「九条の会・わかやま」 1号を発行(2006年6月20日)

 「九条の会・わかやま」事務局は6月19日の事務局会議で、会の広報活動の一つとして「九条の会・わかやま」(「九条の会・わかやま」事務局発行)を発行することを決めました。5.13「平和のつどい」の「平和のつどい新聞」編集発行で活躍した、当会事務局スタッフの保田禎己さんが編集を担当します。同紙は「平和のつどい」のネットワークを利用して配信されます。
 発行の都度、このホームページでも紹介していく予定です。
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[本文から]

「九条の会・わかやま」の発行こついて

     【教育基本法改悪、共謀罪、改憲手続法、米軍再編など、私たちの身の回りはすでに戦争体制の状況です。それでも、わが国のメディアは国民に伝えようとしません。メディアが沈黙するなら私たちが伝えなければなりません。多くの人が、毎日どこかで声をあげています。特に地方には届きにくい中央の集会や講演会での声と情勢を、「誰がどこで何を訴えているのか」を早<、多くの人に、また、「九条の会・わかやま」の呼びかけ人の個々の活動などを「5.13平和のつどい」で出来上がったネットワ-クを通じて伝えたいと考えて発行することにしました。どうぞお付き合いください。  (編集子)】
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第一回「九条の会」全国交流集会報告・現在 五一七四!

休むことなく新しい会が生れている

     【全国各地の「九条の会」から一五五〇人が集り、六月一〇日(土)、日本青年館(東京千駄ヶ谷)で「九条の会」初の全国交流集会集会が開催され、「九条の会・わかやま」から南本勲氏(事務局)が参加。氏の報告と、裏面に呼びかけ人発言要旨を掲載しました。】

 まず、小森事務局長が「現在、五一七四の「九条の会」が結成されている。(和歌山県は六一) 休むことなく新しい会が結成されており、国会の特別委員会でも「九条の会」が取り上げられ、影響を与えざるを得ない状況になりつつある」と報告した。

澤地さんも元気に参加 報道しない新聞を叱る

 続いて、呼びかけ人挨拶が行われ、三木睦子氏は、「若者が賛同してくれるのがうれしい。静かで楽しい世の中にしていきたい」と発言。
 鶴見俊輔氏は、「戦前、政府が「戦争は文明の母」という小冊子を作った。アメリカは文明の名でイラクを攻めている。「もうろく人」として戦争を起す文明に反対していきたい」と。
 澤地久枝氏は、「希望を持ち続けることが必要。希望を持ち市民が集って努力をかさね、新しい知恵が生れてくる。今、我々は新しいところにいるのかもしれない」と。また、「新聞は賛成しなくてもいいが、なぜ全国の「九条の会」活動の事実を報道しないのか。絶望する人を作り出している。犯罪行為だ」と指摘。
 加藤周一氏は、「今は横に手を組むことができる。今は上り坂だ、勢いに乗ると勝てるかもしれない」と発言。
 小田実氏は、「今は理想的であることが現実的である。『九条を守れ』は夢想的と言って、自衛隊を軍隊として認めて法的に歯止めをかけるのが現実的だという改憲論者が多い。九条という歯止めがあってもすごいのに、歯止めを外したらとんでもないことになる」と指摘。
 大江健三郎氏は、「独立した多様な声が重なり、このような大きな結集を示していることを喜んでいる。倫理的想像力を考え、憲法九条をいかに守るかを考えていきたい」と発言した。

 各地・各会からの報告
元、町三役が肩並べて「九条を守ろう」

 続いて各地・各会からの報告が行われた。
 阿賀野9条の会(新潟)は「元町長、元助役、元教育長などが呼びかけ人として生き生きと頑張っているのが特徴。宣伝だけはやり残すことのないようにしている」と語った。
 夕陽ケ丘高校9条の会(大阪府)は「府立高校四八校に九条の会がある。全教、日教組、非組合 員も含めて結成されている。組合を越えて行動することが多くなった」と発言。
 横須賀9条の会(神奈川)は、「力を入れているのは若いお母さんと青年。三百人よりなかなか増えなかったが、小さな語る会を行い、じわじわと会員を増やしている」と。

 分散会報告
 九条守る大きな力  若者の活動に注目

 続いて十一の会場で分散会が行われ、私が参加した第9分散会では、各地の9条の会から、日常の具体的な取り組みが報告された。私は過半数の世論を獲得するために、従来の枠を越えて、特に若者の力を結集する活動に注目した。
「『差別に反対』『個人の自由擁護』で若者にアピールできる」「若者に働きかけ過半数を獲得 したい。そのため、『憲法9条ミュージカル』の出演者を一般公募したら、百名が集まり、二千名会場に二千五百名以上が集った。溢れたので、再公演を行い六百名が集った。若い人の要求に合うこと(ミュージカルなど)をすることが大切」「若者に『華やかに楽しく』アプローチする」「町に出よう」ということで、「ピースキャンドル」を三〇人の若者でやった。「シール投票」や、新しい企画として「ピースモザイク」(細かく切った色紙で9の字を作る)を実施する」「中学枚に出かけて会員が戦争体験を話す」などの発言に注目した。
 また、幅広く活動するために、「九条の会の運動は労働組合の中央集権的なやり方をしては絶 対ダメ。動員費の支給などは論外。本当の民主主義的な運営に徹するようにしなければならない」「9条を守る一点で、自分の方から譲ることも必要」「九条の会は、あわてて作るのではなく、地道に粘り強く、しっかりと準備をしてやった方がよい」「息の長い活動をするための底にあるものは、学習だと考えており、1回/月の学習会を実施し、自発性を高めている」などの発言にも注目した。

 最後に 「九条の会」から、「アピールに賛同し、思想・信条・政治的立場などの違いを超えた『会』を、市区町村、学区、学校や職域に、網の目のように作り、『九条を守れ』の世論を広げ、過半数世論を結集する場を作ることを呼びかける。この中で、全国数ケ所で九条の会セミナーを開催すること、また、来年に第2回全国交流集会を開催すること」が訴えられた。  (報告・南本勲)

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「九条の会」全国交流集会 パネリスト発言要旨

大勢がいて元気になる    三木 睦子

 憲法九条を守っていこうじゃないかという集まりに賛同していただいている方が大勢いて私どもの元気になるのでございます。(運動を)始めたのは、もう二度と戦争の苦しさを若い人たちに味わせたくないということからでした。今、若い方がこんなに大勢賛同してくださるのは思ってもみませんでしたが、本当にうれしゅうございます。集まっている九人の仲間は戦前の苦しさを知り、もうそろそろ力つきかけていますが(笑い)、でもそうでもないですよ(大きな笑い拍手)。九三になる年寄りが申し上げるのですから、皆さん聞いてください。平和というものが世界にどれほど必要なものか。世界にまだ残虐なことが起こっていますが、惑わされず日本も、世界も静かで楽しい世の中にしようではありませんか。

戦争起こす文明に反対    鶴見 俊輔

 私は日々もうろくしています。文明から取り残されています。私が子どものころ、政府は「戦争は文明の母である」という小冊子を出しました。その判断は当たっている。
 かつて米国は文明の名において、日本の戦争を栽き、今はイラクに戦争を仕掛けています。私は二つの国家の文明に取り残された一人のもうろくした個人として戦争に反対です。さらに戦争を進め、押し広げる日進月歩の文明に、もうろくの個人として反対していきたい。もうろくの個人としてできることの一つに戦争に反対することを選びます。
 文明の先進国から二個の原爆を世界に先駆けて落とされた日本人として、この戦争に協力する必要はない。その記憶を大切にし、戦争を起こす文明に対し、もうろく人として反対していきたい。

声が重なり大きな結実    大江 健三郎

 憲法、教育基本法を読み返してみると、マッカーサー司令部や日本の旧支配層の思惑があったとしても、それを自分のものとして受け入れた当時の日本人には倫理的想像力があったと思います。「この憲法の理想は、根本において教育の力にまつペきものである」という教育基本法の文章には、これから.国の回復、人間の回復をはかる個どもたちへのおそれと祈りが込められています。政府・与党の教育基本法案には「教育のカ」という言葉は現れません。きょうは独立した多様な声の重なり、憲法擁護のためのさまざまな運動が重なって、このような大きな結集を示していることを心から喜んでいます。私は悲観的人簡ですが、倫理的想像力を考えること、憲法九条をいかに守るか考えることを続け、この運動にあわせて少しずつ声を発していきたいと思います。

「理想」こそが現実的だ     小田 実

 もっとも理想的であることが、もっとも現実的であることを考えたい。五月三、四日にNHKラジオで改憲派の文芸評論家や国際アナリストと憲法論議をしました。そのとき改憲派の人は夢想的だと思いました。いま、昔に帰れ式の改憲論は影をひそめつつあります。逆に戦争の反省にたってすすめようという物分かりのいい議論が出ています。九条第1項はそのままにして第2項をやめようという。自民党の案もそうです。ラジオで改憲派の人は「自衛隊を軍隊と認めて憲法的に歯止めをかける」といいました。しかし、いまでも勝手な行動をしている自衛隊を軍隊と認めたらもっと勝手な行動をするのではないかと考えるのがリアリストです。非暴力の世界に向けて一歩でもすすめることが、日本を守ることになるのです。

上り坂の勢いで押せば勝てる   加藤 周一

 日本は最近、憲法九条を中心にして分かれ道に差しかかっています。一方は戦争の道、もう一方は平和の道です。戦争は国全体を巻き込む事業ですから、言論の由由とか人権は抑えつけられ、後退します。教育も統制が強くなります。九条は安全保障の問題だけれど、一連の問題はつながりがあります。
二年前に「九条の会」をつくったときに、特徴が二つありました。一つは、国民の意見と議会の中の意見が違うということです。議会の中では、憲法改正が多数だけれど、国民の中では全然多数じゃない。もう一つは、日本は市民連動が盛んだけれど、横の連絡がない。それにいくらか役立ちたいと思いました。「九条の会」は上り坂です。勢いのある運動が勝ちます。押して押していけば(改憲の動きに)勝つ可能性があります。

いま新しいあけぼのに     澤地 久枝

 鶴見俊輔さんと岡蔀伊都子さんとの対談で、岡部さんが「どないしたらまともな考えの政治をするのかな」と問い、鶴見さんは「うー ん、難しいね」と言ってすぐに語らない。私は、その答えを生み出す母体が九条をめぐって集まっているこの日々の中にあると思っています。私たちは希望を持たなければ一日たりとも生きていけません。希望を持ちつづけることが困難な時代だから、いっそう希望を高く掲げて、そして、市民たちがそれぞれの地域や職域において、憲法九条を守る努力を続けておられる。そして、日に日に増えている。これが岡部さんの問いへの答えなのだと思います。この市民のカ、気持ちの結び合いの中から私たちの新しい知恵も生まれてくるに違いない。いま私たちは新しいあけぼのにいるのかもしれません。 (赤旗060611より)

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【新鮮ニュース】
   和歌山東高校に「9条の会・おてぼの」誕生

 職場に「九条の会・おてぼの」ができました。一年前ぐらいから 「つ<らなあかんなあ」という声はありながら「いつでもつくれるわ」でも、「できたらできたで忙しくなりそうや」…いろんな思いがありました。でも、教育基本法改悪・憲法改悪が叫政治日程に上り始め、いよいよ状況は差し迫ってきました。5月13日の澤地久枝さんの会に向けて職場の青年・熟年など9名のかたに呼び掛け人を依頼。断られたらどうしようと不安でしたが、みなさんに快く引き受けていただき、嬉しくて思わず鼻歌も…。
 6月2日、全教職員の皆さんに、呼びかけ人の一人である土谷茂治さんから「憲法9条を守るjというただこの一点での賛同と結集を訴えてもらいました。組合員・非組合員の区別なく聞いてくださり、ある青年教員は「いろいろあっても、憲法9条だけは絶対に守るペきだと思っている」と感想を寄せて<れました。その日は更に嬉しくて嬉しくて…。
 呼び掛け人の皆さんと相談しながら、学習会や見学会などできるだけ楽しく、かつ力強い活動にしていけたらと思っています。
  呼びかけ人  阪本晴美

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(2006年6月21日入力)
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