「九条の会・わかやま」 10号を発行(2006年10月30日) 10号は、1面に、映画評論家山田和夫氏の「石原特攻隊映画のおそるべき出陣式」、わかやま市民生協での早乙女勝元氏講演記録の連載第1回、「九条噺」。2面には、「きくちゆみ講演会 平和憲法を実践する平和省を」の当会事務局の南本勲さんによる手記、東京「九条の会」学習会と和歌山での「9日宣伝」、「九条の会・わかやま」呼びかけ人・わかやま市民生協理事長 尾添仁さんの寄稿「いま、九条の輝きを伝えるとき」です。 | |
石原特攻隊映画のおそるべき出陣式
背筋の寒くなる記者会見
4月6日、帝国ホテルの大広間で石原慎太郎総指揮、脚本の特攻隊映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」(監督 新城 卓)製作発表記者会見。広間への入口には両側に陸軍航空隊の航空服に日の丸の鉢巻き、腕に日章旗の腕章をつけた若者がズラリと並んでいる。入ってくるジャーナリストたちに号令一下、挙手の礼で迎える。この若者たちは映画に出演する俳優志願者たち。石原氏の条件で全員三分刈りの頭、自衛隊での特訓を受けた彼らが舞台の前に整列、二人が特攻隊員の遺書を朗読し、天井から桜の紙吹雪が降るなかを退場、幕が上がってスタッフ、キャストがあらわれ、記者会見がはじまった。石原氏があいさつし、主演女優の岸恵子ら出演者と新城監督の発言が続いた。
【連載1】 早乙女勝元さん講演会
過去を学ばないものは再び過ちを繰返す
早乙女さんは3つのテーマ、①過去から学ぶ~知っているなら伝えよう、知らないなら学ペ ②憲法9条がなかったあのころ ③そして今日から明日へ~子供たちに平和な未来を。の三部に分けて講演されました。
①今年の8月15日私は仕事の打ち合わせで東京の喫茶店にいました。そこで「きょう何の日ですか」とインタビューをしていました。「お盆?」と答える若者がほとんど。「真珠湾ってどこにありますか?」「三重県?」と答える有様。
【九条噺】 9月26日、安倍首相は初の所信表明演説で「集団的自衛権」の行使について具体例を研究する考えを表明した▼そもそも「集団的自衛権」とは何か。「自国と密接な関係にある他国に対して第三者による武力攻撃があった場 合、自国が攻撃されていなくても、第三者による武力攻撃を実カをもって阻止する権利」と言われている。本来的な自衛権ではないのである▼従来、自民党政府は「独立国家に固有の自衛権を行使するために必要最小限の実力を保持することまで禁止されていない」と、憲法第9条第2項があるにも拘わらず、軍隊を保持してきた▼しかし「集団的自衛権」については、平成18年度防衛白書ですら「わが国は、主権国家である以上、国際法上、当然に集団的自衛権を有しているが、これを行使して、わが国が直接攻撃されていない にもかかわらず他国に加えられた武力攻撃を実カで阻止することは、憲法第9条の下で許容される実カの行使の範囲を超えるものであり、許されないと考えている」としている。憲法で許容されていないものなど研究する必要はないのである▼にも拘らず「研究する」ということは、「日本と密接な関係にあるアメリカに対して第三者による武力攻撃があった場合、日本が攻撃されていなくても、第三者による武力攻撃を日本が実カをもって阻止する」ことになる▼集団的自衛権の「研究」は、日本を「海外で戦争ができる国にする」に「アメリカのために」を付け加えることになるのである。 (M)
ロータスカフェ主催 きくちゆみ講演会
10月13日、中央コミュニティセンターできくちゆみさんの講演会が開かれ、参加しました。
安倍新内閣発足で「憲法学集会」を開く
東京「九条の会」は10月7日、都内で「自民党新内閣と憲法」をテーマに、小沢隆一氏(憲法学者)と笠原十九司教授(都留文科大)を招き、学習会を開きました。
9月「9日宣伝」
9月9日(土)午前11時より12時まで、JR和歌山駅前で「憲法9条を守るわかやま県民の会」主催の9日宣伝が和教組、高教組、新婦人、民商、国賠同盟、憲法会議、共産党、和歌山市共同センター準備会から14人の参加で歩行者にチラシ配布や署名を訴えました。
いま、九条の輝きを伝えるとき ▼「平和とよりよい生活のために…」生協のスローガンです。戦後間もない1951年、日本生協連が創立されました。創立総会では、「…平和とよりよい生活こそ生協の理想である」とし「平和の保証がなければ勤労大衆の生活権の擁護は達成されない」と、二度と戦争を繰り返させないことを誓い合う「平和宣言」が採択されています。▼ここに全国の生協が同じ思いですすめている平和運動の出発点があります。わかやま市民生協も創立から一貫して平和を願う活動をすすめてきました。とくに母と子が平和を考え行動する機会をと、組合員の自主的な活動を多彩に取り組んでいます。▼被爆・終戦六〇周年の昨年度は、平和を考え、行動する節目の年として、特別の思いでいろいろな企画が全国で取組まれました。わかやま市民生協も特別企画「ピースフェスティパルinわかやま」を取組みました。▼なぜ今、「平和」なのでしょうか。その背景には、明らかに「平和への危機感」があるように思い ます。イラク戦争など世界各地で拡大される戦争や紛争、テロへの危機感。日本では戦後60年余経過した今、三一〇万人を犠牲にした戦争の記憶が風化することへの危機感。そして、「有事法制」、「自衛隊のイラクへの派遣」、最近では、「戦争をしない、軍隊を持たない」という憲法9条の「見直し」など、ジワジワと戦争へ導こうとする動きへの危機感などがあるように思います。とくに憲法9条の見直しの次にくるのは「徴兵制」か…などとも穿って考えてしまいます。自分の孫子を戦争へ送るなど想像するだけで身震いがします。▼「…戦争は死と破壊しか残さないと思います。平和を心の隅において生きていくことだけで済ませてはいけない。私のこれからの人生において何をしていくべきかを、何ができるのかを考えさせられた暑い夏となりました」。これは、生協の「ヒロシマ・ナガサキ ピースツアー」に参加した組合員から寄せられた感想文です。▼平和のこと、今あらためて一人ひとりのこととして考える大事なときかもしれません。先の新総理の所信表明演説など、9条をめぐる状況はますます緊迫しているといえます。今こそさらに大きく9条の輝きを伝える時ではないでしようか。
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(2006年10月30日入力、11月13日修正)
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