×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

「九条の会・わかやま」 12号を発行(2006年11月20日)

 12号は、1面に、当会呼びかけ人・和歌山大学名誉教授で教育行政学の室井修さんの「教育基本法改正の企みを許さない 憲法九条堅持に関連して」。2面には、憲法公布60周年の11月県内各地の取り組み、早乙女勝元氏講演B、九条噺です。
    ――――――――――――――――――――――――――――――
[本文から]

教育基本法改正の企みを許さない
 憲法九条堅持に関連して
   室井 修 和歌山大学名誉教授 九条の会わかやま・呼びかけ人

 戦争放棄と戦力を持たないことを規定した憲法9条を、政府・与党や日本支配層が変えようとするねらいは、@集団的自衛権の行使を可能にすること、徴兵制をはじめ、国民の国防の義務を憲法で認知することの二つにあるといわれています。  自民党の 「新憲法草案」(2005年11月)では、前記@の他に、Aについては、草案の前文の「日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し」の規定ならびに、国民に「公益及び公の秩序に反しない」責務など(12条)を盛り込んでいることは周知の通りです。その中心的なねらいは、「戦争のできる国家」に体制をつくりあげることにあります。

 教育基本法「改正」のねらい

 戦後、9条を中心とする改憲論が問題になったとき、それと教育基本法「改正」論が一体的に進められてきたこと(1955年以降)が特徴的であり、今 日の教育基本法「改正」論も一体的に進められていることに注目すべきではないかと思います。
 教育基本法「改正」のねらいは、主に次のような点にあると思います。
 一つは、これまでの国家と教育の関係の在り方・原理を転換することです。教育基本法がめざすべき人間像として、「個人の価値、人間の尊厳」の尊重と ともに、「真理と平和を希求する人間」、「勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民」の育成をうたっています。これらは個人としての人間的価値の尊重と国家・社会の主人公としての国民という二つの側面を重視しているのであり、いいかえれば、国民主権の原理を根底にして平和と民主主義の社会の中で人間的価値の表現をめざすことを課題にしているのです。今回の「改正」案は、このような人間像を根本から転換しようとするものです。
 与党の中で調整しつつも、基本的には由民党の「新憲法草案」の内容にみられた 「戦争のできる国家」体制の構築とそれを支える人づくり(国家に奉仕する「国民の責務」「愛国心」の強要)を重視する考えが教育基本法「改正」案の中に具体化されています。それは「改正」案の第2条(教育の目標)に認められます。同条は、「教育の目標」として五項自にわたる「態度」を並べ、「国を…愛する…態度」をはじめとして20以上の徳目をあげています。この五項目の中でも特に重視されるのが「公共の精神、あるいは伝統と文化の尊重、そして我が国と郷土を愛する態度」です(国会での特別委員会におけるやりとり<06.5.24>)。その中心に位置するものが「国を愛する態度」であるとも述べられています。(同委員会における安倍晋三官房長官<当時>)。  「改正」案のねらいの二つめは、教育内容への国家の介入を無制限に認めることです。すなわち、政府が策定権限を有する「教育振興基本計画」(以下 「計画」 )の根拠規定を教育基本法に組み込もうとしているのです。それは政府が教育内容にも無制限に介入できる権限を行使できるようにすることを意味します。「計画」に盛り込もうとしている「教育の目標」(第2条)は、「公共」の精神、「日本の伝統、文化」の尊重、「国を愛する態度」 の育成など、個人の思想・信条にかかわる内心の由由に踏み込むようなものまで含まれており、その方向は、とりわけ国家主義教育の推進を重視しているといえます。

 教育現場への介入が狙い

 結局、「計画」の政策意図は、政府(閣議)の決定事項が直ちに教育基本法を根拠にして教育現場や地方自治体に強制できる道を開くことにあります。教育という営みと教育行政(文部科学省、教育委員会など)の役割を区別しながら、教育という営みの自主性・自立性を尊重し、「教育への不当な支配」を排除し、教育行政は教育の基礎を支える条件整備を任務とすることを定めている現行教育基本法10条を根本的に変質させようとしているのです。
 このような現行教育基本法の教育と教育行政の関係の捉え方には、戦前、教育に対して不当な支配(教育の自立性に対する侵害)を行なった最大のものは、国家権力(教育行政権)であったことの深い反省にたって、教育行政による教育内容への権力介入は認められないという重要な原則が確認されているのです。しかし、戦後教育・教育行政の展開において、国の教育行政の権限は教育内容にも及ぶという行政解釈が強まり、教育行政の任務と限界については教育裁判などを通して争われてきました。1976年5月29日の最高裁学力テスト事件判決では、「教育内容に対する国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが要請されるし、殊に個人の基本的人権を認め、その人格の独立を国政上尊重すペきものとしている憲法の下においては、子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入…は憲法26条、13条の規定上からも許されない」という判示は重視されるペきものです。それは教育基本法「改正」がめざす内容とは根本的に矛盾するものです。

九条改正への外堀埋め

 安倍内閣は、憲法9条「改正」を視野におきながら、まずその外堀を、国家に従う人間づくりを中軸においた教育基本法「改正」で埋めようとしており、従って「改正」案を廃案に追い込む流れを、現在、大きくつくりあげていくことが、一体的な関係にある改憲論を後退させることにつながるという認識に立つことも大切ではないかと思います。 (室井 修)

    -----------------------------------------------

【書籍紹介】
「神殺しの日本」
 梅原 猛(九条の会・呼びかけ人)著 朝日新聞社刊

靖国神社は神仏共存という日本の伝統を壊し、そのことによって神をも殺した、という主張。

    -----------------------------------------------

11月は憲法公布60周年
各地で多彩な活動と取組み

残念! 前夜来の暴風雨で中止 ■「和大九条の会」「紀の川 市民の会」

 11月11日(土)に和歌山市栄谷和歌山大学基礎教育棟三階で「和大9条の会」と「守ろう9条 紀の川 市民の会」が共催で開催を予定していた「憲法を知る、思いを語り合う集い」と映画上映(「戦争あかん!イラク放射能を浴びる子どもたち」「9―NINE―憲法9条は訴える!」 )と、その他のすべての行事は生憎、前夜からの暴風雨で中止となりました。楽しみにしていた地元の人もガックリ。一日も早い再開が待たれます。

 こんな憲法改正国民投票法でいいの?市民集会
   ■憲法9条を守る和歌山弁護士の会

 11月22日(水)午後6時半/和歌山市民会館市民ホールで弁護士によるコン卜「国民投票法案のホンネ」、リレートーク「憲法改正国民投票法案の問題点」などを内容とする市民集会が「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の主催で行なわれます。入場無料です。判りやすく憲法を知るよい機会です。たくさんの方の参加をお待ちしています。お問い合わせ…073-428-6557 トライ法律事務所まで。

 わかうら9条の会結成 記念講演とうたごえで
   ■憲法9条を守るわかうらのつどい

 11月25日(土)午後2時から、和歌川漁業協同組合事務所で「わかうら九条の会」結成総会をかねて「憲法を守るわかうらの集い」を行ないます。内容は「九条の会・わかやま」の呼びかけ人のお一人で和歌山大学教授の副島昭一さんの「日本の戦争と憲法9条」と題する記念講演と、由井勝さん(和歌山ぞう列車合唱団指揮者)の指導で参加者みなさんで歌う「みんなで歌いましょう」の予定です。地域のみなさん、ぜひご近所・お誘いあわせて参加をお待ちしています。主催はわかうら九条の会(準備会)/連絡先 073-447-1744 関口義英です。

 ■「九条の会・高野口」結成
 会員を年内300人に

 11月4日、高野口産業文化会館で40人が参加して、「九条の会・高野口」の結成総会が開催されました。和歌山弁の9条の読み合わせと「9条」の歌を合唱。現在の会員110人を年内に300人にしようとの申し合わせの後、「県民の会」の坂本文博事務局長が「世界に輝く憲法9条」と題して溝演。ある女性参加者は「集会に来るまで、憲法は変えてもいいかも?ともやもやしていたが、皆さんの話を聞いて、やっぱりかえたらあかん」と話していました。

    -----------------------------------------------

【連載3】早乙女勝元氏講演「いのちと平和の尊さを〜」
  世界一の長寿国だが?

 当日正午の大本営発表は「本3月10日零時過より2時35分の間B29約130機主力を以て帝都に来週市街地を猛爆せり。右猛爆により都内各所に火災を生じたるも宮内省主馬寮は2時35分其の他は8時頃迄に鎮火せり。現在迄に判明せる戦果次の如し。撃墜15機。損害を与えたるもの約50機」。というものです。主馬とは天皇の馬、主馬寮とは天皇の馬小屋のこと、そこは2時35分に鎮火し、100万人の人が家を失っているのにその他とは凄い。庶民が皇国民、赤子、民草といわれた時代です。
 戦争に特別席はありません。横浜、名古屋、京都、大阪、神戸の5大都市への爆撃が5月末まで続き、地方都市にも広がります。ここ和歌山市は、7月9日100機編隊の爆撃、死者1625人、負傷4560人、家を焼失したもの114,000人です。憲法9条がなかったらこういう時代なのです。ぜひ今も発掘できる事実を発掘し伝えていただきたい。
 8月15日敗戦。公式な死者は310万人、アジア諸国を含めると2000万人強。当時昭和20年の平均寿命をご存知ですか。男23.9歳、女37.5歳。翌年の昭和21年は、男42.6歳、女51.5歳です。そして昨年平成17年は、男78.5歳、女85.5歳です。世界一長寿国です。平和の大切さがわかりますね。しかし本当に幸せですか。今日のニュースに生活保護世帯が104万人。私の住んでる足立区では修学援助を受けている家庭が43%。70%以上の地区もあります。高齢者の医療費負担どうですか。私も1割負担だったものが8月から2割負担、そして4月から3割負担です。住民税も大変です。これでは構造改革ではなく、構造改悪の世の中ですよ。 (つづく)

    -----------------------------------------------

【上映会】
戦後60年企画・日韓共同ドキュメンタリー
あんにょん・サヨナラ

    戦後60年……日本と韓国のつらい歴史に
    真のサヨナラをするために過去を探るたびに出る

 ■ 12月1日(金)14:30 18:30(2回上映)
 ■ 和歌山県民文化会館小ホール
 ■ 1000円
   ★フリーマーケットもあります。
 主催:9条ネットわかやま 問合せ先 073-428-6557

    -----------------------------------------------

【九条噺】

 北朝鮮の核実験に端を発し、日本の核武装につながる発言が横行していることは極めて重大である▼自民党中川政調会長は「核保有議論はあってよい」「核も含めてなぜ議論しないのか」と述べ、麻生外相は中川発言を「良いタイミングであった」とか、「いろいろ議論しておくことは大事だ」と核保有議論を排除すべきでないと述べた▼十一月七日、自民党・笹川党紀委員長が「非核三原則のうち『持ち込ませず』を堅持していて日本の安全が守れるのか議論が出てくる」と「非核三原則」の見直しにまで言及した▼安倍首相は八日の党首討論でこれらの発言を容認する考えを明言した。「自分の本音を外相らにしゃべらせている」と言われても仕方がない▼首相は「非核三原則」を堅持すると言っている。竪持するなら核保有を議論することなどもっての外である。それでも議論すると言うのなら「非核三原則」を本当に守る意思がないと言わなければならない▼「非核三原則」は日本の国是である。国是とは「幅広い国民が支持している日本が守るべき基本原則」である。北朝鮮の核実験を非難しながら、他方で日本の核武装を議論するなどということがあってはならない▼民主党・鳩山幹事長、共産党・志位委員長、社民党・福島党首が麻生外相の罷免を要求した。当然のことである。首相の任命権者としての責任も問わねばならない▼日本の進むべき道は「憲法9条」「非核三度則」を守り、核廃絶の先頭に立つことである。   (M)

    ――――――――――――――――――――――――――――――
(2006年11月19日入力)
[トップページ]