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[本文から]
世界の宝・アジアの命綱
九条を葬らせない [今日も] 全国で活動続く
「九条を守る宮城集会」に2000人
■小田実さんが講演 [宮城]
憲法九条を守る宮城集会が11月19日、呼びかけ人会議の主催で、仙台市国際センターで開かれ、2千人を超す市民が参加しました。
平和への願いを込めたチェロとピアノのコンサートで始まった集会で、後藤東陽代表は「国は、やらせをやってまで教育基本法を変えようとしている。このままではこのような集会も開けなくなってしまう。さらに運動を広げていこう」と挨拶。「九条の会」の呼びかけ人で作家の小田実氏が講演しました。小田氏は「アメリカ国民がイラク戦争を拒否し、ブッシュ政権が中間選挙で負けた。国際紛争は軍事力では解決できず、平和的手段しかないことの表れで、まさに『九条』そのものだ」と語りました。集会では、憲法を守り、国民投票法案、教育基本法改悪、自衛隊法改悪に反対するアピールを採択。集会後、旗やプラカードを手に商店街をデモ行進し、憲法九条を守ろうと市民に訴えました。
憲法はアジアの命綱
■大分県民集会に650人 [大分]
「憲法九条と平和を守る大分県民集会」が11月19日、大分市内で開かれ、約650人が参加しました。作家の朴慶南(パク・キョンナム)さんと高田健さん(許すな憲法改悪・市民連絡会)が講演。
集会は、県内の「九条の会」など45団体が実行委員会をつくり、準備を進めてきました。実行委員長の岡村正淳弁護士は「九条・教育基本法を守り、国家権力の暴走を止める曲がり角。共同を広げよう」と挨拶。
講演で朴慶南さんは「人を殺す軍隊は人が柔らかな心を持つことを許さない。300万人の日本人、2千万人のアジアの人たちの犠牲の上にできた憲法。どれだけの人々が痛みを受けたのか、それを感じることができるなら、決して憲法を変えようとはならない。九条は、日本が再び軍国主義にならないというアジアにとっての命綱‥‥」と訴えました。
高田健さんは、教育基本法改悪法案を強行した政府与党を批判、「大きな世論を作れば、まだ間に合う」と呼びかけました。
[学習と実践]
30人が講演を熱心に聞く
■登山者九条の会
憲法を学び、憲法を守るたたかいに確信を深めようと、登山者九条の会が11月14日、「日本国憲法と登山を考える集い」を東京で開きました。渡辺治一橋大学院教授が「憲法九条はなぜ守らなければならないのか」と題して講演。30人を超える参加者は約1時間半、熱心に耳を傾けました。渡辺氏は、「九条と現実は乖離しているから変えたほうがいい」という議論や、「北朝鮮に攻められたらどうするのか」という脅威論について、具体的な事例を示しながら反論しました。参加者は一様にすっきり。
すでに8回目の学習会
■スポーツ九条の会
憲法九条を守ろうと、スポーツ愛好者で結成した「スポーツ9条の会」が15日、8回目の学習会を東京都内で開催。テーマは「憲法を考える」、講師に日本体育学会の元会長、片岡暁夫筑波大学名誉教授を招き、約30人が参加。片岡氏は「日本の体育・スポーツの現場で暴力が横行し、それが連鎖している。法治国家である日本の体育やスポーツの実践は、憲法や教育基本法の精神と思想の下で行なわれるべき」だと提起しました。この日、衆院特別委員会で教育基本法の改悪が強行採決されました。
[地方の取組]
堅苦しくなく、楽しい運動で‥‥
■「雑賀九条の会」 和歌山
11月18日、和歌山市の「雑賀九条の会」は、きのくに志学館で総会を開催。総会を成功させるため宣伝カーを運行し54人が集まりました。講演した赤木利行弁護士は、憲法九条を守るために「『みんなこっちへおいでよ。憲法九条を変えさせないようにしようよ』と、主義主張をこえて仲間を増やしていく運動が大切。かた苦しくなく楽しい運動をしながら過半数署名を広げよう」と呼びかけ、みんなで童謡や平和の歌を歌いました。総会では、新たに呼びかけ人や世話人が増えたこと、賛同署名は495筆、入会者が283人に増えたことが報告され「請願署名」の取組の強化も呼びかけました。
党派を超えて 現職県議と元県議ら
■「九条の会」発足 奈良
11月21日、現職県議と元県議らの「九条の会」発足総会が奈良市内で開かれ、党派を超えて9人が集まりました。これは今月中旬に5人の県議、元県議らが発起人となり「憲法九条を守り、戦争のない世界を実現しよう」とよびかけ開かれたものです。総会では、それぞれから戦争体験や九条への思いが語られ、今後は県下の市町村議員にも呼びかけていくことを申し合わせました。現在の入会者は、現職では日本共産党3名、無所属1名、元職は旧社会党3名と自民党1名、共産党3名の計11人。この日は代表世話人3名と、事務局長を選出しました。
未来につなごう平和憲法!
■弁護士事務所がつどい 京都
11月25日、京都第一法律事務所が、創立45周年記念行事として、「未来につなごう平和憲法」と題した講演のつどいを京都市で開き300人が参加しました。つどいではフォトジャーナリストの森住卓氏と慶應義塾大学の金子勝教授が講演。森住氏は劣化ウラン弾被害を受けたイラクの子ども達の写真を示し、「米国は人類に取り返しのつかない犯罪を犯した」と語り、国際貢献を名目にした自衛隊の派兵を厳しく批判しました。
金子氏は、大量破壊兵器の存在をでっち上げてイラクを攻撃した米政府や、米英に比べて真実の情報を伝えず報道の検証すらしない日本のマスコミを「メディアが情報をコントロールし戦前の大本営発表のように世論を誘導するなか、必死に情報を集めて事実をつかむことが大事だ」と語りました。森住、金子の両氏は所属弁護士らを交えてパネルディスカッションを行い、平和憲法を守り未来へ引き継ぐ決意を述べました。
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太田光さん(爆笑問題)のあの熱い思いを、いま一度
日本国憲法は血塗られた時代の奇蹟
世界遺産として大事にすべき
本紙5号でも取り上げた爆笑問題太田光氏の著書「憲法9条を世界遺産に」が26万部を突破したそうです。その本の中で氏が語る思いをいま一度紹介したいと‥‥
▼僕は、日本国憲法の誕生というのは、あの血塗られた時代に人類が行った一つの奇蹟だと思っているんです。この憲法は、アメリカによって押しつけられたもので日本人自身のものではないというけれど、僕はそうは思わない。この憲法は、敗戦後の日本人が自ら選んだ思想であり、生き方なんだと思います▼あの奇蹟的な瞬間を僕ら人類の歴史が通りすぎてきたのだとすれば、大事にしなければいけないんじゃないかと思う。エジプトのピラミッドも、人類の英知を超えた建築物であるがゆえに、世界遺産に指定されているわけですね。日本国憲法、とくに九条はまさにそういう存在だと思います。▼改憲すべきだと言う人が、自分の国の憲法は自分の国で作るペきだと、よく言います。でも僕は、日本人だけで作ったものではないからこそ価値があると思う。あのときやってきたアメリカのGHQと、あのときの日本の合作だから価値があると▼価値があるのは、日本人が曲がりなりにも、いろんな拡大解釈をしながらも、この憲法を維持してきたことです。あの憲法を見ると、日本人もいいなと思えるし、アメリカ人もいいなと思える。すごくいいことじゃないですか。その奇蹟の憲法を、自分の国の憲法は自分で作りましょうという程度の理由で、変えたくない。少なくとも僕は、この憲法を変えてしまう時代の一員でありたくない▼もう一つ素晴らしいのは、憲法九条って、読んでみると、本当にわかりやすいですよね。あの文言は、中学一年生が読んでもわかる▼僕は誰がつくってもいいじゃないかと思う。それがもしかしたら突然変異のようにできたものでも、突然変異が進化する手がかりになることはあるわけですから。それをなかったことにして、もう一度日本人だけで純粋に憲法を作りましょうというのは、ちょっと逆行している感じがします▼憲法九条というのは、ある意味、人間の限界を超える挑戦でしょう。たぶん、人間の限界は、九条の下にあるかもしれない。それでも挑戦していく意味はあるんじゃないか。いまこの時点では絵空ごとかもしれないけれど、世界中が、この平和憲法を持てば、一歩進んだ人間になる可能性もある。それなら、この憲法を持って生きていくのは、なかなかいいもんだと思うんです。▼憲法九条は、たった一つ日本に
残された夢であり理想であり、拠り所なんですよね。どんなに非難されようと、一貫して他国と戦わない。二度と戦争を起こさないという姿勢を貫き通してきたことに、日本人の誇りはあると思うんです。他国からは、弱気、弱腰とか批判されるけれど、その嘲笑われる部分にこそ、誇りを感じていいと思います▼人間とは愚かなものだから、何があってもこれだけは守ることに決めておこうというのが、世界遺産の精神ですよね。そんな規定がなくても守れるのなら、わざわざ世界遺産なんて言わなくてもいいわけです▼番組の中で、日本が軍隊を持つぺきかどうかで、議論になったとき、あるゲストの方が「目の前で彼女がレイプされても、黙って見続けるのか」と言ったんです。僕は、それは違うと思う。憲法の制約と、個人の行動は別だと思うんです。
日本国憲法は特に九条はその輝きを奪われてはならないという太田さんの思いが強<伝わってくる言葉ではないでしょうか。 (事務局・M )
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【最終回】 早乙女勝元氏講演 「いのちと平和の尊さを~」
個は微力、だが無力ではない
軍隊は国民を守りません。昭和19年の国家予算の85%七三五億円が軍事費でした。七九〇万人の軍隊でした。沖縄で満州で国民を守らなかったのは数々の事実が示しています。民を捨て真っ先に帰った将校の話や沖縄ではアメリカ兵より日本兵が恐かったことは今でも語り継がれています。核が27000発、軍事費130兆円、世界の人口の半分の年間所得です。
軍隊は富を生み出しません。21世紀未来をつくるのは日本国憲法の立場ではないでしょうか。私は、外から攻めてくる、攻めてくるという論理より、横須賀に寄港するジョージ・ワシントンの方がずっと問題だと思うんです。核を積んでるかどうかわかりません。いざというとき本国から取り寄せる時間などないでしょう。巡航ミサイル・トマホークを何発も積んでいます。コバルト58とか60とかいう放射能も心配です。もしもの時は、半径50kmが汚染されます。昨冬、戦後31年のペトナムにいました。ベトちゃんドクちゃんは、ここにもお招きして頂いたと思います。
顔に斑点のある13歳の少女に出会いました。父母は何もなく今になってダイオキシン、枯れ葉剤の被害が出てきているんです。最後に私が言いたいのは、武力に代わるものは言葉の力だということ。「すべて物事は一から始まる。振り出しははみな一。その一は私。一は微力だが、無力ではない。可能性の原点は私、個。主体的力を持つ個なる一」 (完)
※早乙女勝元氏の講演要旨は今回で完結です。
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【九条噺】
わが尊敬する作曲家、池辺晋一郎氏のエッセー『空を見てますか』を読みたいがため、いつのまにか家人の講読する『うたごえ新聞』を心待ちにしている▼その新聞に先ごろ意外な人が登場した。福井県小浜市の古刹明通寺の住職中嶌哲演氏である。▼平和の祭典である「日本うたごえ祭典」は先ごろ福井県を舞台に行なわれたが、そのプレ企画として「明通寺奉納コンサート」が行なわれ、中嶌住職の出番となった▼中嶌哲演氏は東京の芸大を経て「本来の仏教をつきとめたい」と高野山大学の宮坂宥勝教授のもとで仏教を学ぶ。原水禁世界大会に初めて参加して「世の中には目を背けたり、耳をふさぐことができない問題がある」と痛感▼その後、明通寺の住職として40年、原子力発電所誘致反対運動に身を捧げ、今、憲法9条を守る活動の先頭に立つ。その原点は、高野山大学宮坂教授のもとで学んだことと原水禁大会だという▼お釈迦様は何が自分にとって一番愛しいものかと考え抜いてそれは結局、「己自身だ。生きものもみんな自分自身の命を惜しまないものはない。自らの平和・幸福を願わないものはない。故に、"己が身に引き比べて、殺すな、殺させるな、殺すことを見逃すな" なのです。憲法9条はお釈迦様の教えそのものズバリ、これ以上の図柄はありません。」と住職は語る(うたごえ新聞10/23)▼住職が高野山大学で学ぶ頃、筆者は日中関係の仕事をしていて、運動に理解のあった宮坂氏に仏教のあれこれを教えていただいた経緯がある。その後、宮坂氏は長野県の真言宗智山派管長として「宗教者九条の和」の呼びかけ人をされるなどご活躍である▼画僧の牧宥恵氏も宮坂師に学ばれたと聞き、この会の事務局に加えさせていただいているおかげで、また一つ嬉しい「絆」が広がった。 (S)
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