「九条の会・わかやま」 23号を発行(2007年2月10日)

 23号が2月10日発行されました。1面は「守ろう憲法!許すな改悪教基法!2・3東京集会」、「防衛シンポ」で前原・民主党前代表「自民党と変わらない」、民報労連臨時大会「改憲阻止、国民投票法案反対」、そして「九条噺」。2面は、新年の地方紙論調、和歌山と奈良の共同センターの取組、月山桂氏の「戦争とはかくも虚しきもの⑥」後方任務だからよいと思った輜重隊が…。
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[本文から]

【守ろう憲法! 許すな改悪教育基本法! 2・3東京集会】
 憲法と教育守ろう/1700人集う

    「守ろう憲法! 許すな改悪教育基本法! 2・3東京集会2007」(同実行委員会主催)が3日、東京・日比谷公会堂で開かれ1700人が参加しました。その様子を2月4日付の「しんぶん赤旗」が次のように伝えています。
 集会は憲法劇「がんばれッ!日本国けんぽう」で幕開け。実行委員会の浜林正夫代表(一橋大学名誉教授)は「教育基本法は改悪されたが、政府は運動で追い詰められた。支持率が低下している安倍内閣の点数稼ぎのため、子どもにとって大事な教育を犠牲にしていいのか。運動のスタートラインとしての決意をいっそう固めよう」と挨拶し「日の丸・君が代」強制「予防訴訟」原告団の宮村博共同代表が東京地裁での勝訴について報告しました。

 国民投票法案とのたたかいの重要性強調-渡辺治教授

 渡辺治一橋大学教授が「安倍政権は教育基本法改悪と改憲で何をめざすのか」と題して講演し、改憲手続き法(国民投票法)案を通さないたたかいの重要性を強調しました。
 参加者は「あらためて日本国憲法と『教育基本法(1947年)』を読み合い、学習し、誇り合いましょう」という集会アピールを確認。実行委員会の石山久男事務局長は「集会は、さまざまな分野で憲法を生かそうと活動しているみなさんの熱い思いで大きく成功した。憲法・教育を守るたたかいには一刻の猶予もない。地域から運動をつくり上げ、国会に届け、さらに大きく広げていこう」と訴えて、集会をしめくくりました。1700人の参加者は、憲法を守る取り組みをいっそう強める決意を新たにした。と「しんぶん赤旗」は伝えています。

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▼民放労連・臨時大会
国民投票法案反対は労働者の責務

 民放労連の「第104回臨時大会」が東京で27、28の両日開かれ、「平和な社会でこそ言論と表現の自由は保障される」として「改憲への動きを阻止し『放送』を改憲に動員する国民投票法案に断固として反対する」と表明。井戸秀明書紀長は、「放送現場に大きな影響が出てくる問題です。改憲手続き法ともいわれる、この法案に反対することは放送労働者の組合の責務」と述べました。

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「自民党と変わらない」
   「防衛シンポ」で前原・民主党前代表

    2月4日付「しんぶん赤旗」の報道によると、3日に「防衛シンポジウム2007in京都」(京都府防衛協会青年部会主催、京都府など後援)が京都市で開かれ、麻生太郎外相が講演。民主党前代表の前原誠司衆院議員(京都2区選出)が石破茂元防衛庁長官らと討論したそうです。その中で、麻生外相は「日本は米国に守られているのに、米国が攻撃されたとき日本が逃げたのでは話が通らない」と述べ、自衛隊の海外派兵の実績、核抑止力論に触れ持論を展開しました。後半の討論で前原氏は、有事法制の制定を自慢し、「石破さんといつも議論しているが(私と)意見がかわらない。なぜ党が違うんだと言われるくらいだ」「私たちの願う二大政党制とは(二大政党が)外交や安全保障でブレがないという政権構想だ」と述べ、憲法「改正」についても、前原氏は「私としては、国会両院の3分の2以上というのは可能」と語り、「共産党や社会党の残党は『九条を守ることが平和を守ること』という勝手な平和主義、九条『改正』することは戦争の道に進むというプロパガンダをばらまいている」と言い放ち、さらに、幕間には防衛協会青年部会の宣伝があり、前原氏も青年部会会員であることが紹介されたと報じています。戦争のない平和な戦後に育ちながら、この無鉄砲な振る舞いには背筋が寒くなります。

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【九条噺】
若い頃、中国語ではアメリカを「美国」と表すのだと知った。米軍がベトナム攻撃で残虐の限りを尽くしている頃のこと。「美国」には思わず苦笑した▼時代を経て今、安倍内閣は「美しい国」を看板にその「美国」のいいなりに「戦争する国」をめざしてひた走る。教育基本法を改悪し、防衛「省」に昇格させるとともに、首相は北大西洋理事会(NATOの意思決定機関)で、「世界中どこへでも派兵することをためらわない」旨表明した。「美国」と「美しい国」…「美」もさぞかし困惑していよう▼1月13日、朝日新聞「私の視点」で、リナックスカフェ社長の平川克美氏が書いている。「戦後60年間、日本は一度も戦火を交えず、結果として戦闘の犠牲者を出していないという事実をもっと重く見てもよいのではないか」。そして平川氏は、「過去はそうかもしれないが将来はどうなんだ、現行の憲法は理想論であり、もはや現実と乖離しているといった議論がある。確かに日本国憲法は理想を掲げたのである。憲法が現実と乖離しているから現実に合わせるというが、憲法はそもそも変転する現実の中で、政治家が臆断に流されて危ない橋を渡るのを防ぐための足かせとして制定されているのである。当の政治家が、これを現実に合わぬと言って批判するのは、そもそも盗人が刑法が自分の活動に差し障るというに等しい。」と断言する。たいへん的を射た指摘だと私も思う▼蛇足だが、「盗人」と聞いて、今やすぐ思い浮かぶのは、議員会館事務所や架空の事務所で何千万円ものデタラメな経費を計上していた閣僚の面々。「税金盗人」に等しい大臣(一人は辞任)が続出しても「任命責任」などどこ吹く風の安倍首相。「美」には「危」だけでなく、「汚」や「無責任」の意味も含まれていたなんて…知らなかった!  (佐)

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《憲法問題》地方紙が積極的論調を展開

 2007年新年の新聞論調で「憲法」はどう報道されたか。連合通信が検証しています。興味深いので紹介します。

▼改憲論の読売は、改憲を待たず《集団的自衛権「行使」を決断せよ》と呼号、産経は勇ましく《「専守防衛」見直す時だ》と(先制的防御)論を主張している。「突撃…っ!」と叫んでいるようです。
▼これに対して朝日は、イラクに派遣された自衛隊が一発の弾も撃たずにすんだのは(憲法9条があったから)だと言ってはいますが、なんとも迫力に欠けます。毎日は新年のシリーズ社説で憲法に触れずじまい。逃げたのでしょう。
▼地方紙では、07年の課題として憲法問題を正面から論じた社説が目立ちます。いくつか拾ってみると―。
北海道新聞=近代立憲主義で憲法は…国家に、守らなければならない人権の尊重や、してはならないことを規定するものだと理解されている。自民党草案は…憲法が基づくこの理念を退け、国が国民に責務を課して秩序を回復しようとしている。これでは、国の方針以外は認めない窮屈な日本にならないか。…今が重要な岐路である。
河北新報=「戦争をしない国」の看板はいつまでも高く掲げていたい。
京都新聞=いま九条を変えれば日米軍事融合に歯止めがかからなくなる。
南日本新聞=戦後政治の風雪に耐えて還暦を迎える憲法は世界に誇れるものだ。戦後日本の平和主義の象徴だった憲法9条を狙い撃つかのような改正論議には強い違和感を覚える。
琉球新報=国民だけでなく周辺諸国にも不安を与え、不要な警戒心を抱かせる憲法改正は得策ではない。
沖縄タイムス=「戦後レジーム(体制)からの脱却」(安倍首相)と改憲ムードの中で右側に大きく舵が切られるのであれば、私たちは全力でその動きを正さなければなるまい。
[連合通信]

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≪各地の活動を伝える≫
 「波照間の悲劇」を告発
  和歌山市共同センター

 寮法九条を守る和歌山市共同センターは27日、和歌山市のあいあいセンターで「9条を守る新春交流集会」を開き80人が参加しました。
 講演した栗原省さんは、八重山諸島・波照間島の戦争被害を告発した朗読劇「ハテルマ・ハテルマ」(栗原さん作)について語り「戦争で例外なく被害を受けるのは女性と子ども、老人たちだ」と訴えました。1945年4月、戦火が激しいわけでもない波照間島に疎開命令がだされ、 島民らは西表島南部の南風見(はえみ)に強制疎開させられ、西表ではマラリアが蔓延、子ども66人が死亡。同年8月に島民らは波照間に戻ることができたが島に食糧はなく、毒性のあるソテツを食べる生活。マラリアがそれまで以上に拡大し島民の3割が亡くなる。栗原さんは「波照間のマラリアがなぜ『戦争マラリア』とよばれるのか。波照間は放牧が盛んだった。島民を追い出したあと軍がやってきて牛を燻製にして石垣島に運んだ。食べたのは兵隊たちではなく将校たちだ。こんなパカなことが許されていいのか」と怒り、9条を守ろうと訴えました。集会では地域や職場の九条の会が活動報告し交流しました。
(1・29 しんぶん赤旗)

 改憲手続き法案廃案に
    奈良共同センター

 「憲法九条守れ!奈良県共同センターは2日、奈良市内で第9回学習交流会を開き、約40人が参加しました。集会では佐藤真理弁護士が「改憲=壊憲のための毒入りカラクリ」と題して講演しました。佐藤さんは「与党と民主党の両党案に共通する、恐るペき内容と仕組みを急速に知らせることが重要」そのうえで∇国会の多数派(改憲派)が国会発議後も国民の討論に介入し、改憲派情報だけが広がるようにする∇公務員、教育者などへの運動規制など国民投票運動の「萎縮」をねらう▽「最低投票率」や「絶対得票率」を定めず、わずかな賛成で憲法改悪ができる仕 組みなど、6点にわたって法案の問題点を指摘しました。また佐藤さんは、この法案があまりに不公正でひどい内容であることや、「九条の会」の広がりなどにふれ、改憲手続き法案阻止の展望はある、と訴えました。
(1・29 しんぷん赤旗)

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[6] 「次世代に伝えたい」 月山桂氏の戦争体験
  戦争とはかくも虚しきもの

 徴兵検査② 画策が裏目に

 このM検が、男子が成年として一人前に成長したことの検査ともいえるもので、恥ずかしいとか、見得・体裁をかなぐりすてて素っ裸で人前に立ち、兵隊社会に突入する前哨戦みたいなものに思えた。この外に徴兵検査で私は、ちょっと口にし難い恥ずべきことをしでかした。それは扁平足の検査である。このことはM検と同じく中学生時代から聞いていたことではある。私の実家は和歌山市吹上の砂山にあり、近くに中部24部隊(歩兵連隊)があったことから歩兵連隊の演習の厳しさは身近に見ていたが、もっとも歩兵以外、例えば輜重隊の演習などは見たことはなかった。それに歩兵は「白撃戦の花」といわれ、第一線の攻防では敵と対峙しドンパチやらなければならないのだから戦死の可能性は高い。できれば戦死はしたくない。行軍や演習も24部隊のようなのはご免被りたい。願わくば歩兵は避けたい。「できれば後方支援の輜重隊に」という一念から、私は扁平足検査の際、足の裏に水をたっぷりとつけ、土踏まずまで足跡がつくようにして床を踏んだ。これが効を奏して「お前は歩兵の行軍は無理だ」ということで念願の輜重隊に入隊できることになった。しかし、これが大失敗だったことは輜重隊入隊後すぐ思い知らされた。輜重隊は確かに後方からの支援部隊には相違ないが、私が配属になった駄馬部隊は野戦部隊の中で歩兵等がドンパチやっている最も近くまで弾薬・食料を輸送する部隊で、それかといって戦う部隊ではないから装備は極めてお粗末。銃も三八銃ではなく当時はもう弾丸も造られていない村田銃。輸送中に襲撃を受ければ、馬や輸送品を敵に奪われないよう逃げ隠れするのが精一杯である。己の命を守る武器すらないのが当時の輜重隊、馬部隊であった。行軍の苦しさも歩兵は自分の世話だけすれば足りるが、馬部隊の場合は、自分が歩く他に馬に荷物を負わせて歩かせ、休憩 の場合も先ず馬の荷を降ろして休憩させ、余りの暇があればこちらも休憩できるというもので行軍の苦しさは歩兵の比ではない。私は後に経理部幹部候補生となり中部第22部隊に配属されさらに関東軍の経理学校に転属して、歩兵の行軍は楽であることを身にしみて覚えた。しかし、徴兵検査当時は、このよう実情は知る由もなく、要領よく検査をごまかして輜重隊に入隊できるようになったことを、浅はかにも喜んだものだった。私にとって徴兵検査は民間の生活・学生生活と軍隊生活に切り替わる過程での忘れえぬイベントであった。   (次回は最終回)

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(2007年2月15日入力)
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