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憲法を変え、戦争するための「国民投票法案」
与党大型連休前の成立を狙う
今国会はとくに注目
166通常国会が25日に召集され、6月23日までの150日間で論戦を繰り広げる。その間に統一地方選、
参院選を迎える注目すべき国会です。
今国会の焦点は、憲法の改正手続きを定める国民投票法案です。政府は教育委員会改革のための地方教育行政法改正案、教員免許更新制度の導入に向けた教育免許法改正案、社会保険庁改革のための関連法案の改革をアピールしながら「9条改憲」を見据えた国民投票法案の大型連休前の成立をめざしています。
すでに、参院は1月25日、国民投票法案を審議する憲法調査特別委員会の設置を自民、公明の賛成多数で議決しました。
これに対し、野党側は格差是正、政治とカネの問題を追及する構えで、民主、共産、社民、国民新の各党は国対委員長会談で野党共闘について話し合いましたが、全体としてはまとまらず、ケース・バイ・ケースで連携を模索するようです。
こうした国会情勢のうえに、冒頭から柳沢厚労相の「女性は子どもを産む機械」発言が飛び出し、これを巡って野党はいっせいに柳沢厚労相の罷免を要求、共産党を除く野党三党が国会審議を拒否、与党は単独で予算審議を強行しました。共産党は「大臣を辞めさせないからという理由で、審議拒否はしない」(市田書記局長)として、審議には出席。こうした野党共闘の不一致の根元には憲法に対する考え方、意見の違いがありますが、一方で国民投票法案の審議や参院選を控え、自民党の数で押し切る強引なやり方を阻止するために、野党共闘の強化が求められていることも事実です。
恣意的な手続き法案 断じて許さない
与党がめざす「9条改憲」とは、「対テロ戦争」を名目にする米国の戦争に、日本が巻き込まれることを国民に認めさせるものであり、まして、米軍増派強行で、イラク情勢を泥沼化させるブッシュ大統領こそ、「テロリスト」という声が一段と高まっているもとで、その危険なブッシュ政権に同調することは、国際的な「対話と協調」の時代に明らかに逆行するものです。その「9条改憲」の「ハードル引き下げ」を狙う与党の恣意的な国民投票法案制定の動きは断じて許すことはできません。
私たちは、この国会に注目し安倍政権の危険な動きを見逃さず、「憲法9条を守る」人たちの輪を急ぎ、さらに大きく広げることが大切です。
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九条の会 6,000超す
3月に第2回憲法セミナー、11月に第2回全国交流集会
作家の大江健三郎氏や評論家の加藤周一氏ら著名な9氏でつくる「九条の会」は1日、国会内で記者会見し、事務局長の小森陽一・東京大学教授が、同会アピールに賛同する地域・分野別の「会」が6,020に達したことを発表しました。地域・分野別の「会」はこの一年間で約2,000増加し、04年6月の「九条の会」発足以来、月平均約200の「会」が生まれたことになると報告。この間の特徴として(1)小学校区単位など市民生活に最も近いレベルで「会」が結成されていること(2)職場単位の「会」が増えていること(3)マスコミ九条の会など分野別の会も地域ごとの会が結成されつつあること、の三点を指摘。
京都府では小学校区単位の「会」が校区の32%で結成されたこと、大阪では公立高校・養護学校の35%以上の学校で結成されたことなどを紹介し、小森氏は「草の根に根をはった「九条の会」の活動が世論を本格的に根っこから変えていくところにさしかかっている」と強調しました。
第2回憲法セミナー開催
また、昨年11月に第1回を開催したのに続いて「憲法セミナー」を今年3月に静岡・ニッセイ駅前ピル(同10日)と京都・立命館大学(同17日)の2ヵ所で開催すると発表。小森氏は、「九条をめぐってどのような理論的問題があるのか、時間をかけてきちんと議論したい」とのペ、さらに11月24日に第2回全国交流集会を東京・日本教育会館で開くことも報告されました。
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【九条噺】
2月9日付の朝日新聞によれば、第45回関西財界セミナーで、岡野幸義ダイキン工業社長は「(憲法を)改正しなければ国際社会での責任を果たせない」と述べた。「国際社会での責任」とは何だろうか▼日本国憲法9条は第2次世界大戦の3百万人の日本人と2千万人のアジアの人たちの犠牲の上に、日本は二度とあのような過ちを犯さないとアジアを中心とした世界の人びとに誓ったものである▼「国際社会での責任」とは、日本のこの誓いを誠実に守り、平和的な方法で世界の発展に寄与することでなければならない。つまり憲法9条を守ることこそ国際社会での責任を果たすことなのであって、断じて「改憲」ではない▼また、宮本秀一・松下電器産業企画渉外部長は「気概ある国家になるため、自衛軍の保持を明確にすることが重要だ」と述べた。「気概ある国家」とは何だろうか▼広辞苑によれば「気概」とは「困難にくじけない強い意気」とある。アメリカの日本に対する改憲要求は極めて強くそれに反対することは「困難」なことである。それでも戦争への道をきっぱりと撥ね退けて、憲法9条を守り平和への貢献を積み重ねる日本こそ「気概ある国家」である。自衛軍の保持など断じて「気概」ではない▼なぜ大企業は改憲を主張するのか。品川正治氏は「軍事力を背景にアジアでの経済的な主導権を握りたいからだ」と言う。そんなことのために改憲を言うなど、もっての外である▼今、東南アジアを中心に平和の流れが大きく進行している。この流れを北東アジア、全アジアに広げていくことこそ、日本の進むべき道ではないだろうか。 南
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マスコミは伝えないけれど… 和歌山でも堺でも
全国に今日も広がる「9条守る」声
「あの先生も賛同してくれた」 ■いま注目の画期的な活動
和歌山県下の小・中・障害児学校の元校長、元教頭など976人が、大江健三郎氏ら9人が呼びかけた、憲法9条を守ろう「九条の会」アピールに賛同し、賛同数は元管理職の人の6割を超えました。この画期的な活動がいま全国的に注目され、2月5日付「しんぷん赤旗」の1面で大きく報道されました。本紙(「九条の会・わかやま」会紙)も昨年9月30日・6号で、いち早く報道しています。元教職員管理職へアピールの賛同を呼びかける運動が始まったのは、1年半前の2005年7月。県内各地の「九条の会」で活動していた元管理職ら20人近くが集まり「元管理職がこぞって9条を守れと声をあげたらインパクトがあるぞ」と話し合ったのがきっかけです。
田辺・西牟婁地方では、06年4月に116人が氏名を公表し「私たちは「九条の会」アピールに賛同します」と、紀伊民報に大きなスペースの意見広告を掲載。その結果219人の賛同に結びつきました。意見広告の呼びかけ人代表となった矢倉優さん(76)は「戦後、新しい憲法のもとで、私が学んでいた旧制中学のクラスも自由と活気に満ちていました。自主的な生徒会が活動を始め、政治問題を研究する文化サークルも活発でした」と振りかえります。
運動の現状を報告 ■和歌山・守ろう9条 紀の川 市民の会
「守ろう9条 紀の川 市民の会」は3日、和歌山市河北コミュティーセンターで40人が参加して総会を開きました。記念講演した「憲法9条を守るわかやま県民の会」坂本文博事務局長は、憲法改悪の動きが加速する一方、九条の会の運動が広がり、国民世論に変化が生まれていることを強調。そして「改憲のねらいを明らかにし、9条を守ろうで広範な人々と手をつなごう」と呼びかけました。総会では、憲法フェスタや和歌山大学九条の会と共催した学生ディベート、7回の路地裏宣伝、会員が689人に達したことなど、会の活発な活動が報告され、さらなる取組みの強化を話し合いました。
堺で鶴見俊輔さんが講演 ■堺・九条守る市民の集い
「堺・9条を守りいかす会」は28日、「九条の会」呼びかけ人で哲学者の鶴見俊輔さんを迎えて、堺市民会館で「1・26憲法9条を守る市民の集い」を開き、1,100人が参加。「人類史に輝く憲法9条を考える」と題して記念講演した鶴見さんは、ハーバード大学在学中の1942年に移民法違反で逮捕され、帰国後に徴兵されるなど、痛苦の戦争体験を語り、他国を攻撃することが日本の国是になっても反対すると語り、「…戦争に加担しない方向にどう日本を踏み切らせるか。政治家がどんなに過激なことをいっても『弱い犬はよく吠える』です。私はこれからの日本を悲観していません」とのべました。集いでは、このほか「君死にたまふことなかれ」の合唱や、憲法前文の朗読が披露されました。
呼びかけ人さんの活動 多田道夫さん・梅田恵以子さん
2月7日の「ニュース和歌山」が、二人の「九条の会・わかやま」呼びかけ人、多田通夫さんと梅田恵以子さんの活動を伝えています。
多田さんは、和歌浦環境保全のグループ「和歌の浦フォーラム」の主宰者としてインタビューに答えています。フォーラムの今後について聞かれた多田さんは「景観は美的問題だが、倫理的な問題でもあると思う。そういう意識がなければ、美しいものは守れない」と答えています。誰かさんに聞かせたいですね。
梅田恵以子さんは、3月10日に和歌山市が「水とときめき紀の川館」(有本)で開催するものしり講座で紀ノ川にまつわる話をします。梅田さんは紀ノ川に造詣が深く、多くの書籍を出版しています。機会があればぜひ講演の拝聴をお勧めします。
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[7]「次世代に伝えたい」 月山桂氏の戦争体験
戦争とはかくも虚しきもの
いよいよ入営 娑婆に別れ [最終回]
「『海ゆかば水つくかばね、山ゆかば草むすかばね、大君の辺にこそ死なめ 顧みはせじ』 月山桂、この決意の下に、ただいま出征します。銃後の皆さんも健康に留意して頑張って下さい」
集まってくれた町内会、親戚の人たちなど多勢の前でお礼の挨拶をし、その人たちの「月山桂君、万歳、万歳、万歳!」の歓呼の声に送られて砂山のわが家を後にした。昭和18年12月1日の早朝のことである。
両親は金岡の34部隊前の練兵場まで見送ってくれた。学徒兵は家族に見送られて来る者が多かった。練兵場で家族と二言、三言かわしたうえ別れ、呼ばれるまま、やや間隔をおいた一列横隊となり、下士官(後の班長)の号令で学生服や肌着まで脱いで、軍隊独特の襦袢、袴下と軍服に着替え、着てきた衣類を風呂敷にくるんで名札をつけた。「1歩前へ!」「お前たちの家族に持って帰って貰う。家族の来ていない者には家へ送る」「左向け左!前へ進め!」後ろの家族の方を振り返ることもなく一路、兵舎へ向けて隊列を組んで入る。それが記念すべき学徒兵の入隊であった。何年続くかわからぬ、否、生死の程もわからぬ娑婆との別れである。その後、どういう儀式が行われたか、入隊の日の記憶は余り定かでない。
いまも脳裏にこびりつく 財閥御曹司の兵役免除
ただ、この日全員の簡単な身体検査が行なわれた。その身体検査の後、S財閥の御曹司といわれた同じ学徒兵の一人が、理由は明らかでないが、不適格ということで「即日帰郷」(一応入営するが一日も兵営で過さず、その日のうちに娑婆に帰らされることをいう)になった。古参中尉と軍医が「あんな人は輜重隊(しじゅうたい)で兵役に服するより娑婆で働いてもらう方がお国のためだ」と話しているのを耳にした。そんなものか、という思いをし
たことが私の脳裡にいまもこびりついている。(おわり)
【編集後記】月山先生、有難うございました。紙面の都合で勝手に語彙を変えたり、削除したり、「おやっ」と思われたこともあったかと思います。ご了解も得ず本当に申し訳ございませんでした。心からお詫び申し上げます。しかし、この体験談に触れた多くの若者が、戦争について大きな影響を受けたと確信しています。これに懲りずまたよろしくお願い申し上げます。(保)
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