「九条の会・わかやま」 25号を発行(2007年2月28日)

 25号が2月28日発行されました。1面は「国民投票法案」与党単独採決もという発言、廃案へ国会要請の取組、そして「九条噺」。2面は、各地の看板、ティッシュビラ配布、音楽と講演会、アレン・ネルソン講演などアイデアを活かした取組のニュースです。
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[本文から]

与党単独採決もあり得る
 ‥‥二階国対委員長がNHKの番組で明言‥‥

 改憲のための国民投票法案  国民は求めていない

 11日放送されたNHKの番組「日曜討論」では、憲法改正の手続きを定める国民投票法案について議論され、各党の考え 方が明確になりつつあります。
 自民党の二階国対委員長は「憲法改正なら一定の時間が必要だと思うが、国民投票法案はその前の手続き法であり、議論 に時間をかけすぎている。民主党といっしょに円満に成立させることも必要だが、与党内には5月3日の憲法記念日までに成立をめざすべきだという意見もあり、議論が空転するようなら採決に踏み切らなければならない」と語り、民主党の賛成が得られない場合は与党単独採決もあり得るとの姿勢を示しました。
 公明党の漆原国対委員長は「日本の憲法は改正を認める法制となっているが、残念ながら手続きがなく、これは法的な不 備だ。国民投票法案は、憲法の内容を改正するのとはまったく違う。国民が求めた場合には、憲法改正ができるような手続きを早く作っておくのは当たり前だ」と述べました。
 これに対し、民主党の高木国対委員長は「国民投票法案は、手続き法といえども、十分な議論を与野党で詰めることが大事だ。国民投票の対象をどうするかなど、調整すべきところがあり、まだまだ議論に時間がかかるというのが率直なところだ。民主党は、憲法調査会で粛々と議論を続けているところだ」と述べています。日本共産党の穀田国対委員長は「改正手続き法がないことで国民が不便を感じたり権利を侵害されたことはない。改憲手続きは9条改憲と連動していると(協議の)当事者が明らかにしている。法案の内容自身も(有権者の)2割台の賛成で憲法が変えられる方向など改憲しやすい内容であり、問題がある。自民、民主両党の合作で憲法を変える道は許せない」と厳しく批判しました。社民党の重野国会対策委員長は「社民党は、今の憲法で何の不都合もなく、かたくなに今の憲法でいいという立場だ。法案には憲法9条を改正し、本格的に軍隊を持とうというねらいが見え隠れする」と述べました。国民新党の糸川国会対策委員長代理は「国民投票法案は必要だと感じているが、5月までに作らなければならないという答えありきで議論を進めることには反対だ」と述べました。

悪法は許さない! 国会招集日、デモ・集会

 第166通常国会が召集された1月25日、労組や民主団体が都内でデモ行進や集会に取組みました。全労連などでつくる 国民大運動実行委員会、中央社会保障推進協議会、安保破棄中央実行委員会の3団体は、日比谷公園から国会までデモ行進。300人の参加者は「改憲のための手続き法案は廃案に」と訴えました。
 また、市民団体などでつくる5・3憲法集会実行委員会は午後、衆議院第2議員会館で集会を開き、改憲手続き法案を廃案 にしようと呼びかけ、200人が参加。日本共産党の志位和夫委員長と社会民主党の福島瑞穂党首が挨拶しました。

 憲法集会実行委員も

 「改憲手続き法案をストップさせよう」と訴える要請行動が2月8日、東京・衆院議員面会所でおこなわれました。多くの市民団体でつくる「5・3憲法集会実行委員会」が主催。約100人が参加し、安倍内閣が今国会で成立をめざしている同法案について、反対運動を強めることを確認しました。
 参加者は「与党によって法案の採決が強行されかねない。国会外の運動を盛り上げ、野党とともに法案阻止を」(許すな!憲法改悪・市民連絡会)「いろんな立場の人に法案の問題点を伝えることが大事。分かりやすい言葉で伝えよう」(平和を実現するキリスト者ネット)などと発言。共産、社民両党の国会議員が連帯あいさつしました。
    (この項、連合通信)

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「九条の会」全国で6,020に

 作家の大江健三郎さんらが呼びかけた「九条の会」は2月1日、都内で記者会見を開き、各地・各分野で結成された「会」が1月末時点で、6,020(準備会を含む)に達したと発表。この一年で約2,000の「会」が新たに結成されました。九条の会は04年6月に発足し「日本国憲法を守るという一点で手をつなごう」とアピールを発表。これに賛同して各地・各分野で会が誕生している。
 小森陽一事務局長(東京大学教授)は①小学校区や団地など市民生活に近いレベルで結成されている②職場単位でも増えている③中央の分野別の会に続きその地域版が結成されている―などを指摘。「草の根の会の活動が、世論を本格的に根っこから変えていこうというところにさしかかっている」と述べました。 (連合通信)

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【九条噺】
2月16日アーミテージ元米国務副長官らがまとめた「アーミテージ・リポート」が公表された。新聞報道によれば「2020年までアジアを正しく導く」ために「日米同盟は米国のアジア戦略の中核でなければならない」とし、その強化のために日本に対して軍事面でも積極的な役割を果たすよう、憲法改定や海外派兵の恒常化を求めている▼日本への「提言」では「日本の憲法に関する議論は安全保障問題に対する日本の意識の向上を反映して心強い」「自衛隊の海外派遣を規定する法的枠組みに関する議論も心強い」「防衛省・自衛隊が近代化と改革を進めるにあたっては十分な財政的措置が重要だ」などと改憲の動きをうながし▼具体的には「武器輸出3原則の更なる緩和」「ミサイル防衛の予算・特別枠創設」「新型ステルス戦闘機の導入」「統合幕僚監部への米軍代表の常駐」など10項目を要求している▼米国にとって都合がいいように「アジアを導く」ため、日米軍事同盟を一層新たな段階に引き上げ、自衛隊の米軍との共同作戦体制確立や速やかな海外派兵など、米国と一体となって海外で戦争ができる国に早くなれと露骨に要求しているのである▼彼らにとっては、集団的自衛権の行使を禁ずる憲法9条は何が何でもなくさなくてはならない存在なのだ。このリポートによって計らずも憲法9条改悪は米国の要求であることが一層明確になった▼日本国民がこのような9条改悪を許すはずがない。「知日派」と言われるアーミテージ氏だが、知日の「日」とは日本国民ではなく、自公政権や財界にしかすぎないようだ。 (南)

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列島各地から講演会や学習会・宣伝相次ぐ 各地でアイデア活かして「九条守ろう」

電車の乗客にアピール ■静岡県藤枝市青島九条の会

 静岡県藤枝市の青島九条の会は11日、同市内のJR藤枝駅―西焼津駅間の東海道本線沿線近くで20人が参加して「憲法9条は世界の宝」の大判パネルを掲げ、通りかかる電車の乗客にアピールしました。電車の本数が多い午前11時か ら午後1時まで、たんぼのあぜ道2ヵ所でパネルを持って、乗客にむけて笑顔と平和のメッセージを送りました。電車から手を振る人の姿も見られました。会世話人の山村愛子さんは「楽しかった。場所と時間を工夫すれば、いろんな所で訴えられる」と感想を話していました。

 「平和を売ってまんねん」  ■滋賀県大津・志賀地区

 目の前は琵琶湖、後にスキー場もある比良山。滋賀県大津市の旧・志賀町地区(志賀町と大津市が合併)に、川島健也さん(67)宅があります。そのベランダに「世界の平和は憲法9条から 志賀9条の会」の巨大な看板が取り付けてあります。(写真) 川島さんは「ベランダがあと1メートルあったら9メートルになったのに」と残念そう。湖面の手前をJR湖西線が走り、看板が通勤客の目をひき、宣伝効果は抜群。
 「会」の奥村文子さん(69)は「9条を守ろう署名の訴えに行くと、看板を見た人から『あのお宅は何の店屋さんですか?』と聞かれるから『はい、平和を売ってまんねん』と答えるんですよ」といって笑います。
 「会」は05年10月に結成。毎月「9の日宣伝」をつづけ、バザーやカンパで10万円が集まり、それをもとに川島さん宅と幹線道路沿いの塀に看板を取り付けました。運動もアイデア次第で楽しく効果抜群です。

 京都各地でも多彩に

 京都府でも各地の九条の会が創意工夫した催しや宣伝を行なっています。▽京都市北区の西加茂会館で4日、西加茂・大宮「九条の会」が結成2周年のつどいを開催。40人が参加し、うたごえやチェロ演奏、腹話術で憲法を語る元保育園長ら多彩な催しとなりました。▽このほか、向日市の「九条の会4向区ネット」は「憲法9条を守りましょう」などの文字が印刷されたティッシュ・ピラを配布。▽京田辺市北部九条の会は、浄瑠璃寺の佐伯快勝住職を招いて「第2回平和の集い」を開き、55人が参加しました。佐伯住職のユーモアを交えた話に参加者は熱心に聞き入りました。地元教職員有志も「もし憲法が改悪されたらこうなる」の紙芝居を作り披露しました。

 歴史の街から平和の声 ■奈良・広陵町に「九条の会」

 奈良県北葛城郡広陵町で「奈良広陵九条の会」発足のつどいが17日開かれ、325人が参加しました。
 つどいは、同郡内を中心に活動している女性コーラスのヴォーチェ・アンサンブル・クラングの「青い空は」「ふるさと」などでオープン。住民代表らが「憲法9条は先の大戦で亡くなった人たちの遺言だ」と訴えたあと、「歴史遺産に囲まれた伝統ある広陵町から、豊かな自然と文化遺産を後世に伝えるためにも『戦争をしない』ことをうたった憲法9条守 れの声を大きく発信しよう」とのアピールを採択しました。九条の会事務局長の小森陽一・東京大学教授が「9条は世界平和のカ」と題して記念講演を行い、改悪教育基本法も改憲手続き法も、改憲をして日本を戦争ができる国に変えることがねらいだと指摘。「イラクや、北朝鮮の6ヵ国協議の経過をみても、いま世界は戦カではなく、話し合いで平和的に解決するという憲法の立場でなければ紛争は解決しない、これが世界の流れだ」とのペました。

 響き合う「憲法を守る心」 ■大阪/音楽・九条の会

 音楽・九条の会が17日、結成1周年を記念して講演とミニコンサー卜を大阪歴史博物館で開き、参加した270人がともに歌い、講演を聞きました。ソプラノの西垣千賀子さんとテノールの西垣俊朗さんが、ヴェルディの歌曲「椿姫」の「乾杯の歌」など7曲を熱唱。西垣俊朗さんが「『ざわわ』は平和の象徴、心をこめて歌ってほしい」と呼びかけて「さとうきび畑」を参加者と一緒に合唱しました。講演は鞍馬寺貫主の尼僧、信楽香仁さん。日常生活でも「いのち」を大切にしている経験や、菩薩の慈悲の心など紹介し「何十年、何百年後に『憲法を守った国』と世界に思ってもらえることを願います。そのために心を響き合わせたい」と語りました。音楽・九条の会代表世話人の一人、日下部吉彦さんが「九条を守るためにはいろんな表現方法がある。音楽はそのなかでも特に強力だと信じています」と語り、この日までに賛同者が2891人になっていることを報告しました。

アレン・ネルソンさんが京都で講演会と交流会

 京都の会京都文化人や宗教者でつくる「憲法九条メッセ-ジ・プロジェクト」(代表=安斎育郎立命館大学国際平和ミュージアム館長)が17日、元アメリカ海兵隊員のアレン・ネルソン氏(59)を招いて講演会と交流会を京都市の聖護院で開き、250人が参加しました。同プロジェクトはブックレット発刊など創意ある活動で憲法9条を守る思いを発信しています。
 ネルソン氏は、べトナム戦争従軍とPTSD(心的外傷後ストレス障害)の経験、兵士が貧困層から補充されていることなどを詳しく語り、戦争の罪を告発しました。戦争政策に従傾だった信条を変える契機になったのは、ベトナムの防空壕でべトナム人女性の出産に直面し「同じ人間だと気付いた」ことだと語る。「憲法9条があるから日本の子どもは戦争を知らないですんでいる。憲法9条のある幸せをかみしめてほしい」と語り、9条を変えようとしている日本の政治家を批判。安斎代表が、参加者の質問を聞きつつ、ネルソン氏と対談。本山修験宗の修験宗学僧のみなさんが「山伏問答」を披露し憲法9条の大切さを語りました。

 ネルソンさん、兵庫県内の9条の会でも

 兵庫県内の多くの「九条の会」も、多彩な企画で、アレン・ネルソンさんの講演を行いました。■4日には、明石市内のおおくぼ九条の会、九条を守る魚住の会、ふたみ九条の会、明石市民九条の会が、明石市教育委員会の後援で、講演会「これが戦争だ!もしも憲法9条がなかったら…」を開催。約300人が参加。■10日は、尼崎市の「東園田九条の会」が「憲法学習会」を開いて100人が参加。■11日には「九条の会・かわにし」が川西市中央公民館で学習集会を開催。約100人が参加しました。

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(2007年3月1日入力)
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