「九条の会・わかやま」 34号を発行(2007年5月12日付)

 34号が5月12日発行されました。1面は、田辺市での小森陽一「九条の会」事務局長の講演、弁護士の会が呼びかけて「県民大署名」始まる、そして「九条噺」。2面は、朝日新聞が九条の会を紹介、みなべ九条の会学習会、会紙編集部からのお願いです。
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自民党新憲法草案は、まさに戦争遂行のための草案
「九条の会」事務局長・小森陽一氏が田辺で講演 「変えたらあかん!憲法9条」

     「九条の会」事務局長・小森陽一氏の講演会「変えたらあかん!憲法9条」が4月28日、田辺市内の「ビッグ・ユー」で開催されました。その内容を「白浜9条の会」世話人・高田由一さんからお知らせいただきました。

 紀南の各地で活動する「9条の会」11団体の共同開催です。私の所属する「白浜9条の会」では、いっせい地方選挙などで忙しく準備ができなかったため心配でしたが、会員をはじめ誘った方々が自主的に参加し、満杯になった会場に一安心しました。

 教育基本法改悪は戦争を望む国民づくり
 小森氏の講演は、教育に携わっておられる立場から、まず先般の教育基本法改悪の狙いが「戦争ができる人間づくり」にあることを深く掘り下げました。格差社会が進む中で「いっせい学力テスト」などで子どもを競争させ、学校を序列化し、「できない子」として育った子どもは将来を悲観し、罪を犯すか、軍隊に志願するしかなくなる。現実にアメリカでは生活が困窮している子どもに軍の募集担当者が入隊を働きかけているなどのお話しは大変リアルで、教育によって「戦争をのぞむ国民」ができあがってしまうことを実感させました。

 戦争は自衛や制裁名目で
 また、自民党新憲法草案のねらいについては、憲法第9条2項が削られることで「戦争の放棄」は有名無実となること、現にアメリカは第二次大戦後は「戦争=WAR」はしたことがなく、もっぱら自衛や制裁という名で武力行使をしていること、また「公の秩序の維持」を自衛軍の任務にあげることによって、緊急事態では軍が国民を管理する仕組みになっていること、軍法会議でなく軍事裁判所の設置で民間人をも強制的に戦争に協力させる仕組みができあがっていることなどを指摘、まさに戦争遂行のための草案となっていることを詳しく明らかにしました。

 一人一人が語り部に
 小森氏自身が「大学の国語の教師」というように、講演の全体が言葉の意味を正確にとらえ、それぞれのねらいをさまざまな情報を使ってわかりやすく解説するという「授業」になっていたように思います。そして最後にこの「授業」を聞いた一人一人が周りの人に語っていくことの大切さを強調されました。 後日、「白浜9条の会」の会議では「講演会の帰り道、さっそく友人にこの話をした人がいた」「この講演を私たちだけのものにしておくのはもったいない」「ビデオを編集して見てもらおう」など積極的な意見がだされました。全国「九条の会」からすばらしいプレゼントをいただいた気持ちでいっぱいです。

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「県民大署名」開始へ
「憲法9条を守る弁護士の会」がよびかけ

 「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」は、憲法九条改悪に反対する県民大署名をよびかけました。 代表の山崎和友弁護士は会見で、すでに各団体により9条守れの署名が始まっているが、情勢が求める広がりと速度に欠けていることを指摘。各団体からの依頼により同会が「県民大署名」を呼びかけることになったことについて、「運動にはいろいろな流れがあり、一緒にということが難しい歴史もある。当会が接着剤になればと思い引き受けた」と説明しました。
同会顧問の月山桂弁護士(「九条の会・わかやま」よびかけ人)は「かつて学徒出陣で代々木原を行進した一人として9条改悪は絶対に許せない。戦争やめろは世界の流れだ」と力説しました。
署名の当面の目標は県民過半数。第1次集約は、半年後の憲法公布の11月3日です。

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「県民大署名」駅前行動
 憲法記念日の5月3日午前11時から午後1時前まで、弁護士の会の呼びかけに応えて、JR和歌山駅前で署名行動が行なわれました。弁護士の会をはじめ各団体や個人の50人が参加し、558筆が集まりました。

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【九条噺】
 何とも情けない国だ。「従軍慰安婦問題」で、狭義だの広義だのと言い出し、軍の関与を否定しようとした安倍首相。アメリカのメディア・議会からも批判されていることにあわて、「河野談話を踏襲する」と急きょ軌道修正。かくて安倍首相初の日米首脳会談は、アメリカへの「謝罪行脚」ともなった▼アメリカではあちこちで「謝罪」の弁を繰り返し、かの大統領からも「(謝罪の)気持ちを受け入れる」との言葉。本当に謝罪すべき相手は全然違うだろうに。ましてや、かのイラクで、大義なき武力攻撃をおこない、多くの罪なき市民・子どもたちを殺りくし、未だに「泥沼状態」に陥れているような国の大統領に「釈明」すること自体おかしなことだ▼もう、当のアメリカでも国民から見放されつつある大統領に未だ律儀に忠誠を誓った安倍首相。直後、クウェートに出向いて、イラクの米軍に武器や兵士を輸送し続ける自衛隊を勇ましく閲兵・激励したという。「どこまでもついてゆきます下駄の雪」というわけか▼イラクといえば、閣内にあって唯一アメリカの開戦に疑問を呈した久間防衛大臣。何のことはない、安倍首相に続いてアメリカに出向き、このところひたすら「釈明」におわれているとの由。やはり、わが国は「ポチの国」ですかね。  (佐)

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朝日新聞が「九条の会」を報道

    5月3日付の朝日新聞が全国各地の「九条の会」を大きく報じました。その内容をご紹介します。

戦争知る保守 護憲の決意

 戦争を知る世代の保守層から「平和憲法を守れ」との声が上がっている。「九条の会」に加わった元自民党県連幹部もいる。各地の「九条の会」にある「従来の革新勢力だけでは改憲の流れを止められない」という危機感が、保革連携の背景にある。
 「戦争や武器の放棄を位置づけた憲法が、いつの間にか雲散霧消していく。子孫のためにどうしなければならないかいま一度考え直す時が来た」4月22日、石川県の加賀市文化会館で「加賀・九条の会」が開かれ、元自民党県連幹事長の上口昌徳さん(75)が講演した。91年まで24年間、県議や県議会議長を務めた。地元で温泉旅館を経営する。
 13歳だった45年7月、空襲で親類7人を亡くした。敵機の爆音や死臭が記憶から消えない。
 昨年、宿泊客のスイス人の元銀行幹部に言われた。「憲法9条は人類の金字塔だ。守り抜いて欲しい」。慎重に考えた末、「九条の会・石川ネット」の呼びかけ人に加わった。「昔の自民党にはリベラル派がもっといて、ブレーキ役になっていた」と話す。
 高知県の「こうち九条の会」代表9人の中に、元自民党県連幹事長で県議会議長も務めた平山公敬さん(83)と、元自民党県連総務会長で須崎市長も務めた梅原一さん(77)がいる。
 2人は、かつて県議会で一緒だった元社会党県議の栗原透さん(79)に説得され、代表に加わった。平山さんは「自由民権運動を生んだ土地柄。護憲運動に保守も革新もない」と話す。宿毛市の「すくも九条の会」筆頭代表は、元県農協中央会長の所谷孝夫さん(76)。99年の知事選で自民党県連の推薦を受け、橋本大二郎知事と戦った。
 新潟県阿賀野市の「九条を守る阿賀野の会」では、旧水原町で保守系と革新系に分かれて戦った町長経験者2人が、ともに呼びかけ人に加わった。自民党に推された吉川正夫さん(84)は「終戦直前、同期の戦友が自分の身代わりになって戦死した。9条を変える必要はない」と言い切る。

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無線愛好家・宗教家・・・「九条の会」6000超す

 草の根の9条の会は、いずれも難しい規則などを持たない。各地のアマチュア無線愛好家ら約170人が参加する「アマチュア無線家9条の会」は05年6月から「9条アワード」を展開する。コールサインの末尾がK、E、N、P、O、U、J、Yの会員と交信して証明カードを集め、9条の会の会員証と合わせて「KENPOU9JYOU」の文字をそろえた人に賞を出す。事務局長の岡村幸保さん(52)は「アマチュア無線は戦時中から戦後にかけて禁止された。戦争と相いれない趣味を楽しむ者として9条を大切にしたい」と話す。
 「とうふ連九条の会」は「生活の場で憲法を語ろう」と考えた中高年が結成して約1年。「闘父」と豆腐をひっかけた。居酒屋での憲法談議を活発にしようと、地元の料飲組合と提携。会のステッカーを張っている店で会員証を提示すると何らかのサービスを受けられる。会員は約100人になった。
 「念仏者九条の会」には浄土真宗の僧侶や門徒ら約千人が参加する。事務局長の小武正教さん(49)は「お釈迦様の教えの根本は不殺生であり、それを形にすれば兵戈無用(ひょうがむよう=兵も武器も持たない)。国家によるあらゆる宗教利用と9条改悪に反対したい」。
 「ひきこもり九条の会」をつくった男性(35)は昨年2月まで22年間、ひきこもり生活を続けた。自助グループなどに参加して徐々に外に出られるようになり、昨春、会を立ち上げた。外に出なくても活動できるインターネットを活用し、署名を集め各地の護憲の催しを紹介する。「ひきこもりの人は社会問題に関心が高い。9条を力を合わせて守り抜きたい」と話す。

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みなべ「九条の会」が学習会
4月30日 講師:岡田政和弁護士
「憲法を変える動きはここまで来ている」

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編集部からのお願い
 いつも「九条の会・わかやま」の会紙をお読みいただき、ありがとうございます。
 会紙では今後とも県下各地・各界の九条を守る活動をできるだけ多く紹介したいと考えています。それぞれの会の催し案内やニュース(機関紙)等、メールまたはFAXでお送りください。
 憲法九条にかかわる様々なご意見もおおいに歓迎いたします。また、この会紙に対するご意見もお寄せいただければ幸甚です。県下での九条を守る活動を広げていくために少しでもお役に立てればとの思いですから、どうかよろしくお願いします。送り先は次の通りです。
◆メールアドレス:wakayama9jou@yahoo.co.jp
◆F A X 番 号 :073-457-1038
*なお、当会のホームページもぜひご覧下さい。
◆URL http://home.384.jp/kashi/9jowaka/9jonokai-waka.htm

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(2007年5月12日入力)
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