「九条の会・わかやま」 43号を発行(2007年8月15日付)

 42号が8月15日付で発行されました。1面は、平和のための戦争展わかやま、紀州おどり「九条連」、「楠見子連れ9条の会」発足、九条噺、2面は、楠本熊一さん(当会よびかけ人・和歌山県立医大名誉教授)の「異見」C、映画「日本の青空」鑑賞紹介です。
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[本文から]

07平和のための戦争展わかやま開催!

九条の心、未来へつなぐ

 「二度と戦争はしない」という思いの広範な人たちに支えられ、1990年に始まった「戦争展わかやま」は本年も8月3日〜5日に開催されました。

 展示は9つのコーナーが関連づけられるように行われた。
 最初の「@世界に輝く憲法9条」では「あたらしい憲法9条の話」「憲法誕生に尽くした鈴木安蔵」、そして海外で評価される憲法9条を紹介。
 「A昔、戦争があった」では、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、日中戦争から太平洋戦争へと続く侵略戦争の歴史を紹介。
 「Bたくさんの人が死んだ」では1945年7月9日の和歌山市大空襲の惨状と、市民が描いた絵が伝える原爆の惨劇を紹介。
 「C今も残る戦争の跡」では加太・友ヶ島砲台、由良防備隊、太地防空壕、串本町掩体壕など、今も和歌山に残る戦争の跡を紹介。
 「D何も言えなかった時代」では治安維持法による弾圧の実態、戦争のために作られた歌、禁止された歌、陰で歌われた歌など戦争と音楽を紹介。
 「Eそれでも戦争に反対した人々」では、治安維持法で苛酷な拷問に遭いながらも、戦争に反対しつづけた和歌山県の人びとを紹介。
 「F世界では今も」では、ウガンダなどの世界の紛争を紹介し、世界の子どもを支援するユニセフの活動を紹介。
 「Gどうして戦争が起きるの?」では、昔は領土を奪うため、今は「自衛」「制裁」「紛争解決」などを口実に戦争をする、経済的利益を得るために民族紛争を煽る、石油などの利権を得るために戦争をするなどの現実を紹介。
 「H私たちにできることは」では、「知ろう」「話そう」「疑おう」「広げよう」「表現しよう」そして「9条を守ろう」と結ぶ。
 今回の戦争展では小学生の姿も見受けられた。彼らにとっては難しいテーマかもしれないが、歴史の現実を「知ろう」の第一歩。心強く感じられた。
 展示の他には、世界に広がる平和の歌「ねがい」の歌唱指導、アニメ上映、戦争体験談、絵本読み聞かせなどが行われた。戦争体験談では、本紙37号で紹介した本多立太郎氏の「戦争出前噺」が8月5日に行われた。本多氏のお話は号を改めて紹介したい。

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紀州おどり〈ぶんだら節〉(8月4日)
  九条連 踊る!
 和歌山城周辺で「紀州おどり」が開催され、九条連で約100名が参加。主催者のアナウンスでも憲法9条を守る運動がていねいに紹介されました

また新しい九条の会が
「楠見子連れ9条の会」結成
 和歌山市楠見地区とその周辺のお母さん、お父さんを対象に、日本が戦争をする国にならないよう、憲法9条の大切さを学びたいと、「楠見子連れ9条の会」を発足させました。
 今後、次のような活動を行う予定です。
@メールマガジン、ニュースレターの発行
Aブログの運営(下のURLでアクセスして下さい
 http://love.ap.teacup.com/peace-mama/
B親睦・交流の実施
C会員の拡大
 アドレス登録または住所登録をしてください。登録は上のAのブログの「管理者にメール」 でお願いします。

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【九条噺】
 「軍産複合体」という用語は、アイゼンハワー元大統領(1952年〜)の「離任演説」ではじめて登場するのだそうだ。それは、大規模軍事組織と巨大軍需産業の結合現象をさしている▼彼は、演説の中で「(これほどの現象は)アメリカ史上かつてみなかったものであり、アメリカの全会社の年間総所得を上回る額を軍事費のために年々消費」する状況だと指摘、「軍産複合体」の肥大化がアメリカを絶えず戦争に向かせるファクターとして作用する危険性を指摘した▼「あなたに言われたくない」との声も聞こえてきそうだが、ともあれ、その後の「歴史」はまさに「危惧」通り。絶えず無法な戦争をつづけ、その都度膨大な借金を重ねて軍事予算を肥大化させ、軍需産業のみが肥え太り、アメリカの経済、産業・雇用そのものが軍需関連抜きになりたたなくなった。アメリカの科学者・技術者の3人に1人が軍需産業にかかわり、世界の武器市場の40〜50%はアメリカが占めるのだという(宮田律「軍産複合体のアメリカ」青灯社)。そんなアメリカには戦争はむろん、紛争の類い、「ならず者国家」や「脅威」も不可欠なのだ▼だから「ジョン・レノンの『イマジン』なんて大嫌い!」なのである。そして、「日本も早く『国際協調』で集団的自衛権を認め、憲法も変えてくれなくちゃ」「頼むよ安倍ちゃん」なのであろう。(佐) 

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憲法九条についての私の「異見」
「九条の会・わかやま」呼びかけ人・楠本熊一(和歌山県立医科大学名誉教授)
C憲法九条を守り、国民一人ひとりの尊厳の確立を

 以上をもって憲法九条は変えてはならないと結論付けるのである。戦争の悲惨さとか無意味さとかだけ言っているのではない。自分たちが戦争をしないといくら叫んでも相手が戦争をしたいのであれば、侵略されるかも知れないから、相手に侵略する気にならないようにすることが、私の論拠である。つまり家庭に例えれば戸締まり論であり、隣近所との付き合いの仕方論である。国においては、近隣諸国特にアジアの中で、盟主にならずに、世話役に徹することが肝要である。そして、もし日本を攻撃すれば、只では済まないぞ、痛い目にあうぞと、知らせるだけの軍備は必要であって、現行憲法下で国の軍隊ではなく庶民を護る軍隊を持つことと軍備を整えることは充分に可能である。今の私は、外国の軍隊の駐留部隊で護られている国が独立国とは思えないから国民ひとり一人に尊厳があるとはどうしても思えない。国の独立を取り戻して国民独り一人の尊厳を勝ち取るためには、外国の軍隊の駐留を拒否して、自衛隊や国の軍隊ではなくて、自警団の組織を早急につくることを提案する。外国の駐留部隊は勿論のこと自衛隊や国の軍隊と言うものは国の統治者の安全と国の権益とを護るためにのみ存在するものであって、庶民の生命や財産を護るものではないことを私は知っている。海外にある国の権益は庶民の財産でもなんでもない。棄てても構わないものであることを、前の第二次世界大戦の時にいやと言うほど知らされたから。あの江戸時代に嘘が実か知らないが、大名火消しが庶民の火消しに繋がらなかったばかりでなく、江戸火消しと真っ向から対立することもしばしばあったと講談で聞いて知っている。だからひょっとすると自衛隊と自警団とでトラブルが生ずるかも知れないが、私は自警団の方を応援するであろう。(終り、見出し編集部)

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映画「日本の青空」を観て
  「九条の会・わかやま」事務局・南本 勲

日本国憲法への誇りをいっそう強くする映画

 ポツダム宣言は、軍国主義勢力の除去、軍隊の完全な武装解除、民主主義と基本的人権の確立などを要求した。これらを実現し、日本が生まれかわるためには、大日本帝国憲法を根本的に改めることが必要であった。日本はポツダム宣言を無条件で受け入れて降伏したのであり、その時点で、軍国主義の古い体制ときっぱり縁を切り、平和に徹する民主国家に生まれかわることを約束したはずであった。にもかかわらず、日本政府の新憲法草案は天皇の統治権総攬(そうらん=一手に握ること)を不変とするなど、大日本帝国憲法と基本的には変わりのないものであった。
 他方、民主主義国家の形成に向けて知識人たちがいち早く行動を開始していた。大日本帝国憲法に代わる、真に民主的な新憲法は民間人から生まれてしかるべきだという気運が彼らを取り巻いていた。鈴木安蔵はそんな時代の流れの中で高野岩三郎らと民間の「憲法研究会」を結成する。「憲法研究会」はメンバー唯一の憲法学者である安蔵を中心に、新しい時代に求められるべき憲法を目指し、論議を重ねて「憲法草案要綱」を作成し、日本政府とGHQに提出した。「憲法研究会」が提出した草案は、真に民主的なものであるとGHQから高く評価された。
 日本政府の態度に業を煮やしたGHQは民政局で草案づくりを開始する。その過程で「憲法研究会」の「憲法草案要綱」がGHQ案に取り入れられていった。GHQは日本政府の憲法草案を最終的に拒否し、GHQ案に基く日本案作成を指示。提出された日本案が第90帝国議会の審議を経て、日本国憲法として制定されたのである。映画は戦前の鈴木安蔵も含めて、以上のような憲法制定過程を、劇映画として描く。
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 4月29日に放映された「NHKスペシャル『日本国憲法誕生』」はドキュメンタリー番組であったが(本紙35号参照)、日本国憲法の制定過程を明らかにしたものであり、「日本の青空」と同じ視点に立ち、同じ事実を追っている。「憲法研究会」の中ではどのような議論があったのか、GHQのラウエル中佐は「憲法草案要綱」を具体的にどのように評価していたのか、日本政府とGHQの間にはどのようなやりとりがあったのか、等々、ドキュメンタリーでは分らなかったことが、この映画から生き生きと伝えられる。
 憲法にとって重要なのは中身であって、「制定手続き」ではない。しかし、この映画は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義などの鈴木安蔵たちの思いとGHQの思いが相まって、日本国憲法に結実していったのであり、中身はもちろん、「手続き」も決してGHQの押しつけではないことを雄弁に物語る。この映画は日本国憲法に対する誇りをいっそう強くするものだ。
 なお、今のところ和歌山県では上映予定がない。下の「日本の青空」のホームページから他府県の上映予定を見つけていただきたい。
http://www.cinema-indies.co.jp/aozora/

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(2007年8月15日入力)
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