「九条の会・わかやま」 51号を発行(2007年11月7日付)

 51号が11月7日付で発行されました。1面は、伊勢﨑賢治氏が講演「憲法9条と国際貢献」、九条の会・わかやま結成2周年によせる呼びかけ人のメッセージ③弁護士 月山桂さん、九条噺、2面は、首都圏3,000人の学生がピース・ナイト9を予定、ストップ「集団的自衛権行使容認」⑩、品川正治氏講演会詳録と映画「日本の青空」お知らせです。
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[本文から]

9条があるからこそ外交力が発揮できる
  伊勢﨑賢治氏(東京外国語大学教授)が講演

11月2日、ビッグ愛(和歌山市)で「9条ネットわかやま」「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」主催、「九条の会・わかやま」協賛で伊勢﨑賢治氏講演会が開かれ、「憲法9条と国際貢献」と題して講演されました。その大要をお知らせします。

 「9条を守る」という人には2つある。「9条は人類の理想」と考える人、いまひとつは「9条は現実の問題を解決する手段」と考える人である。
 私はアフガンで軍閥の武装解除に参画し、成功裡に終えることができた。日本はアフガン再興計画の一番大変なことを押しつけられた。どんな武装解除も、やる方は非武装で、中立性を醸し出し、停戦状態を見せつける必要がある。軍閥は、米国は我々を利用するだけ利用して、邪魔になると粛清するという意図を敏感に感じていた。だから、親米国はこの役割をやりたがらなかった。米国と軍事的には親しい日本がやるはめになった。米国は、日本の憲法9条による「人畜無害」のイメージを利用した。何故、日本が成功したのか、それは、日本が中立に見られ、米国から独立していると見られたからだ。アフガン人の日本人への印象は本当に良い。憲法9条は知らないが、広島、長崎は知っている。日本は大きな被害を受けても、今超大国になっている。被害者の気持ちを分ってくれる超大国という意識がある。これは「美しい誤解」である。米国と軍事同盟を結び、インド洋で給油活動を行なっており、軍事的に米国を支援しているが、テロリストやタリバンはもちろん、カルザイ氏ですらそれを知らなかった。
 海外での軍事活動には法的根拠が必要だ。他国の軍隊が自国に入ってくることは大変なことだ。アフガンに対するOEF(不朽の自由作戦)は集団的自衛権に基く戦争であるが、ISAFは国連憲章に基きアフガン政権を助ける治安維持活動である。民主党・小沢代表は「国連から認められているから自衛隊を派遣したい」と言った。自衛隊を国連の指揮に委ねると言うが、ISAFは国連軍ではなく、NATOの指揮下にある。加盟もしていない軍事同盟に自衛隊を派遣できる訳がない。自衛隊は絶対に出すべきではない。何故なら、「美しい誤解」が崩れて、さらに、日本人(特に民間人)がテロの標的となる。決して日本の国益にならない。
 私は「9条は一句たりとも変えてはならない」と思っている。9条があるからこそ外交力が発揮できる。9条のポテンシャルは日本外交に生かされていない。9条のおかげで国際貢献できないというのはおかしな話だ。それが解るまで9条はいじってはいけない。9条を生かした外交を何回も何回もやって、それでも9条が足かせになるなら、その時に考えればよい。
 日本の「民度」は低い。政治家が勝手な方向に持っていく可能性がある。9条はそれに対するブレーキになる。米国内でもイラク戦争は間違いとの認識が広がっているのに、小泉氏らは米国への支援は米国が北朝鮮から日本を守ってくれるから日本の国益になったと言っている。イラクと北朝鮮は関係がない。これでは中東の国々は日本を信用しなくなる。このままいくと、自衛隊は必ず悪用される。9条は今それをストップさせる役割を一番果たせる時だ。

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「九条の会・わかやま」結成2周年によせる呼びかけ人のメッセージ  (順不同)
      弁護士 月山 桂 さん
 「自虐的史観にとらわれず、戦後レジームから脱却して、美しい国、誇りある国を作ろう」「軍隊をもち、海外に出て国際貢献をしよう」という総理。もし、そんな総理が軍の統帥権を握ることになったらどうなるんだろうか。どこかの改憲草案は、そう予定している。
 「兵よ、死を恐れず、戦(いくさ)の場(にわ)に勇気をもって立て」。そう命じながら、戦争の実態を知らず、歴史の真実に敢えて目を覆うような総理は、つまづき易く、一寸つまづくと、忽ち、青菜に塩。「体調を崩した」と言って、自らは、命を投げ出すことをせず、苦しむ兵を、国民を戦場に残したまま、いとも簡単に総理の職を投げ出す。
 杞憂であってほしいが、改憲して軍をもてば、当然、そのような事態も予想される。
 日本は、軍隊をもってはならない。美しい、誇りある憲法九条は、国民の手で何としても守らなければならない。

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[九条噺]
 9月24日夜、珍しくデンマークのテレビ局制作のニュース特集を見た。デンマーク軍の特殊部隊が、国連治安支援部隊としてアフガンでおこなっている活動を追跡レポートするものだった。特殊部隊の任務は、「捕虜」となったアフガンの人々を施設に拘束し、アルカイダと何らかの関連が完全に否定できない者を米軍に引き渡すというものだ▼この「捕虜」の扱いについて、ラムズフェルド米国防長官は「彼らはテロリストであり、ジュネーブ協定は適用されない」と無法極まる指示をおこない、デンマークの特殊部隊もそれに従い、「捕虜」に対して殴る、蹴るは無論のこと、頭から袋をかぶせ素っ裸にして逆さ吊りにするなど残虐極まる拷問を繰り広げた。ひどい暴行のあと、極寒の夜に素裸で逆さ吊りにされ死んだ人もいた。しかも、これらの「捕虜」とされた人々は、米軍が攻め入った地域で見境なく捕捉された人々で、そもそもが「捕虜」ではないのだ▼デンマークの記者は、必死に特殊部隊員へのインタビューを試み、国の防衛長官や首相にも再三「捕虜の扱い」について追及する。しかし、真実が語られることはなく、巧みにはぐらかされ、虚像と実像の溝は埋まらない▼アフガンの多くの人々が、アメリカだけでなく、国連治安支援部隊そのものにも「敵意」を感じているという理由の一端をみた思いだった。(佐)

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3000人の学生が集まりPeace Night 9開催
11月16日、早稲田大学で、都内の各大学の「9条の会」が中心となり

 ピース9ネットは首都圏の「学生9条の会」を中心としたネットワークで、憲法9条・平和を守ろう、こういう問題をもっと真剣に考えたい、興味があるいう学生一人ひとりのネットワークです。
 今回の「ピース・ナイト・ナイン」は「9条を守りたいというメッセージを『大学生の層』として、世間に主張していく」ことが最大の狙いです。
http://www.peace9.net より

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「楠見子連れ9条の会」が学習会
    10月20日、金原徹雄弁護士を招いて

 学習会は、憲法9条は自衛戦争を認めているか、という重要な問題と、「前項の目的」「戦力」「交戦権」などの言葉の意味を解説していただきました。また、①国連憲章に定める集団安全保障、②その措置がとられるまでの応急措置としての個別的自衛権、③同様に集団的自衛権、の3つを根拠として現代の戦争は行われていることは、おそらく全員が初めて聞いた話だと思います。よくニュースで国連決議がどうこうと言っているけど、ああ!これのことか!と、思った人もいたに違いありません。そして、こうした「言い訳」が、平和を求める国際世論の中では、通り難くなっているという指摘もうなづけるものでした。もっとも、レジメを目にした瞬間、「う、難しそう・・」と、これまたおそらく全員が感じたことも事実で、いつになく、頭と耳と目をフル回転させて学んだ1時間半でした。(会員から)

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あの感動を今一度
品川正治氏講演会詳録完成!
 300円/冊
誠に恐縮ですが、各「9条の会」などで10冊以上にまとめてお申込み下さい。お申込みは「送付先住所・氏名、冊数、電話番号、FAX番号」を下記の番号へFAXでご連絡下さい。折り返し、代金と送料、振込口座番号などをご連絡させていただきます。
 FAX番号      073-457-1038
(本件のお問い合わせは)073-451-9247

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「日本の青空」上映!
日本国憲法誕生の真相。60年を経て いま明らかに

11月28日(水)
    ①13:30~15:40
    ②16:00~18:10
    ③18:30~20:40
和歌山県民文化会館 小ホール
入場料【前売り】 大 人 1300円
         中高生 1000円
   【当日券】 大 人 1600円
         中高生 1300円
お問合せ
「日本の青空」上映和歌山市実行委員会
(事務局)和歌山中央医療生活協同組合
     073-474-5123

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ストップ「集団的自衛権行使容認」⑩
      「九条の会・わかやま」事務局・南本 勲
 「集団的自衛権」と「ISAF」
 民主党・小沢代表がアフガニスタンで活動する国際治安支援部隊(ISAF)について「私が政権を取れば、参加を実現したい」と明言した。そして「平和維持への責任をシェアする覚悟が必要」「国連の活動に積極的に参加することは、たとえ結果的に武力の行使を含むものであってもむしろ憲法の理念に合致する」と述べたという。
 憲法9条は「国権の発動たる戦争」を放棄し、「武力による威嚇又は武力の行使」も放棄しているのである。小沢代表の発言は、国連の決議を根拠にしているとはいえ、海外での武力の行使を容認するものであり、どこが「憲法の理念に合致する」のかという疑問を呈さざるを得ない。この論理は日本国憲法の上に国連憲章を置くものであり、「憲法不要論」につながる。
 ISAFは国連安保理決議に基き01年に当時のカルザイ暫定政府の治安面を支援する部隊として作られた。しかし、今の実態はこれから離れ、空爆や掃討作戦を行い、米軍中心の「不朽の自由作戦」と区別がつかなくなっている。ISAFは国連の指揮下にある国連軍ではなく、派兵した国々の指揮で活動している。その活動は戦争行為であるから、ISAFへの参加は「集団的自衛権の行使」ではないが、憲法が禁ずる海外での武力の行使そのものであり、明らかに憲法違反である。
 改憲に熱心な自民党からさえ「まさに憲法で規定している問題につながる可能性ある。そのことを私たちは懸念している」(福田首相)と言われ、小沢代表は慌てて「いまのISAFの治安維持には参加しない。民生支援に特化する」と表明する有様である。
 国連決議があるから、安保理で承認されたからと、何でも正当化されるものではない。「平和維持への責任をシェアする」と言うのなら、日本国憲法を守った支援でなければならない。

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(2007年12月9日入力)
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