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明文改憲、解釈改憲につながる
憲法審査会の始動狙われる
憲法改正原案の審査を行い、国会に提出する権限をもつ憲法審査会の組織、運営ルールを定める規程を議決しようという動きが強まっています。
笹川尭衆院議院運営委員長(自民党)は「両院協議会に準ずる協議の場をつくることを参議院に申し入れて」審査会を「一歩でも前に動かすようにしたい」と発言したと報じられています。西岡武夫参院議院運営委員長(民主党)は議運理事会で「衆院議院運営委員長から両院協議の場を検討願いたいと申し入れがあった」と発言し、自民党、民主党は持ち帰って検討すると報じられています。審査会は両院に設置されるもので、衆参両院で協議するといった筋合いのものではありません。
2010年の国民投票法が施行される年にも改憲発議をするというのが改憲派の予定でした。今回の一連の動きは、参院選挙での自公の大敗と安倍首相の突然の退陣で改憲の気運が遠のき、憲法審査会は棚上げ状態になっていたものを、改憲派が巻き返しを図るために、両院の自民党、民主党で憲法審査会の始動に向けて協議をはじめることを狙ったものです。
「新憲法制定議員同盟」(中曽根康弘会長)は憲法審査会の早期始動を求める決議を採択し、改憲を目指す国民運動を盛り上げるとのことです。日本会議国会議員懇談会は「審査会の速やかな設置を求める」決議を採択しています。
国民投票法は強行採決されたもので、それに従う必要はありません。改憲については様々な意見がある中で、改憲につながる憲法審査会規程をつくる必要はないのです。また、憲法審査会は集団的自衛権の行使をめぐる問題など、憲法解釈の変更の舞台としても機能する仕組みになっています。明文改憲、解釈改憲につながる憲法審査会の始動を許さないように、私たちの活動を強める必要があります。
「憲法審査会」とは
5月に強行採決された国民投票法に基づき衆参両院に設置された憲法審査会は、日本国憲法およびそれに密接に関連する基本法制の広範かつ総合的な調査をする権限、憲法改正原案を審査し提出する権限、日本国憲法の改正手続に係る法律案等を審査し提出する権限を持つ常設の機関です。参院選での自公の大敗の後、野党の強い反対で、審査会の組織や運営のルールを定める審査会規程の議決や委員の選任も行えず、活動を開始できずに現在に至っています。
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「九条の会・わかやま」結成2周年によせる呼びかけ人のメッセージ (順不同)
わかやま市民生協 理事長 尾添 仁 さん
安倍前首相は、自民党「新憲法草案」がつくられた後、改憲のための「国民投票法」を強行採決し、真正面から改憲を主張しつつも突然退陣した。
福田現首相は、自民党の新憲法起草委員会の九条担当の小委員長として、自衛軍を創設するという「新憲法草案」をまとめあげた責任者である。
首相が代わっても九条改憲への一連の流れは続く。先の参議院選挙で敗北した自民党は、最近「大連立」などという不可解な動きをする。その背景には、九条を改憲しようとするねらいがあることは明白だ。昨今の政治的動きひとつひとつをよくよく注視する必要がある。「九条の会・わかやま」が2周年を迎えた。九条を守る運動をさらに強めなければならない。
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神奈川新聞社説(11月30日)
九条の会 多様な議論の広がりに期待
第2回全国交流集会は全国紙が無視するなか、24の地方紙に掲載され、神奈川新聞は社説で取り上げました。ご紹介します。
憲法九条の擁護を訴える「九条の会」の第2回全国交流集会が都内で開かれた。大江健三郎さんらが記者会見でアピールを発表してから約3年半、これに賛同する各地域、各分野の「九条の会」は現在までに全国6801、県内302に達したという。この1年半に、全国で1627、県内で57増えた。集会には全都道府県から約千人が参加し、すべての小学校区(約2万2千)に草の根の会をつくるという壮大な目標も掲げた。改憲をめぐる攻防において、「九条の会」は護憲側の連帯の結節点となりうる存在だけに、活動の行方を注目したい。
「九条の会」は、九条改定を阻止するという一点のみで連帯するユニークな市民運動だ。大江さんのほか、井上ひさしさん、7月に亡くなった小田実さんら作家、学者ら九人が呼び掛けた。草の根の会の結成は、それぞれ当事者任せ。非武装中立派から、政府の現在の九条解釈論を支持する自衛隊・日米安保容認派まで、会員は〝多様性〟を誇っている。
集会では、保守系議員らが参加している例も報告された。世論調査では改憲賛成派が過半数を超えているが、こと九条に関しては、改定反対派が賛成派を上回っている。「九条の会」は、そうした幅広い世論を背景にしている。
政局を見ると、任期中の改憲をうたった安倍内閣があっけなく崩壊したことで、改憲への動きにはブレーキがかかった。7月の参院選では、安倍前首相が焦点の一つに改憲を掲げたにもかかわらず、世論はほとんど反応しなかった。国民が改憲を急ぐ必要性を感じていないことは明らかで、福田首相も改憲問題には終始、慎重な姿勢を見せている。
現状は九条擁護に追い風が吹いているかに見えるが、集会では楽観論を戒める声も上がった。呼び掛け人の加藤周一さんは「安倍内閣より福田内閣の方が手ごわい。自衛隊派遣恒久法など、解釈で九条を空虚にしていく手法が取られるだろう。長丁場だ。これからが大変」と語った。
今後について「九条の会」事務局は、「各会が援助し合いながら『空白区』を埋めていく。ネットワーク化の取り組みを進める」という。また教育問題など九条以外の政治問題でも「大きな団結の一方、意見の違いを尊重して多様な取り組みを進めてもらいたい」と話した。こうした新たな方針が効果を発揮するかどうか、会にとっても正念場だ。
国会では改憲派が3分の2を確保。国民投票法の成立により、最短で2010年の憲法改正発議も可能だ。ただ今後は米朝関係の進展などによって東アジアの秩序が大きく変わることも予想される。「九条の会」には、新たな視点から九条の意義を再認識させるような創造的な議論を期待したい。
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【九条噺】
11月24日オーストラリアの総選挙がおこなわれた。与党の保守連合が惨敗し、ハワード首相まで落選した。これで、イギリス、スペイン、イタリアをはじめ、イラク戦争の「有志連合」としてブッシュ政権に協力した首脳は全て国民の支持を失い交代することになった▼日本はどうだろう。確かに顔ぶれは、小泉・安倍・福田と代わった。イラクから自衛隊も撤収したが、これは法期限切れによるもので、「政策変更」によるものではない。日本だけは、首脳が代わってもブッシュ政権への忠誠ぶりはいささかもゆるぎないのである▼当のアメリカでさえイラク戦争への批判が高まり、ブッシュ大統領の支持率は極端に低下しているにもかかわらず、わが国の首相や与党連合からは、小泉首相がいち早くブッシュ大統領のイラク攻撃を支持したことに対する一片の反省の言辞も未だ聞かれない▼先ごろ訪米した福田首相は、ブッシュ大統領に、インド洋で米英軍などに給油する新テロ特措法成立を急ぐ旨誓った。だが、給油を受けた米英軍らが攻撃にむかうアフガニスタンでは、カルザイ大統領がタリバンと交渉による和解の道を追求しており、アフガニスタン上院も米英軍等に対して軍事掃討作戦の中止を求める決議を可決したという▼この期に及んでもなお執拗に軍事掃討作戦の一翼を担おうという福田内閣。もはや〝ポチ〟という揶揄も仔犬に気の毒な気がしてくる。福田首相をはじめ内閣の面々は一度ペシャワール会に入り、中村哲医師の指導のもと、アフガンで戦乱の中、井戸掘りにひと汗かいてみてはどうか。 (佐)
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「九条の会」全国交流集会での呼びかけ人の挨拶 奥平 康弘 さん
活動の中で気がついたこと
憲法「改正」問題は揺れ動く政治状況の中にあるものですから、ほとんど予想することのできない突発的な問題も起こってきます。その一つとして最近「大連合」の企てがありましたが、これらは向こう方の事情による策略です。この策略で憲法を「改正」しようとする動きを、大きな歴史の中でつかまえ、多くの勢力を結集していくことに力をそそぐべきだと思います。
地域の皆さんと接触するなかで気のついたことの一つをいわせてもらいます。それは憲法学者としていえば、憲法9条2項で陸海空軍その他の戦力はこれをもたないといっているのだから自衛隊は憲法違反だと考えてきました。それに変わりはないのですが、それだけでは9条を「改正」しようとする動きに対抗できない。9条「改正」反対という意見が広がっているがその理由は、「自衛隊は認めるが改憲には反対」というように、いろいろあります。そのいろいろな根拠の持ち主にアピールして9条改憲反対の声を糾合していくことが「九条の会」の運動のありようの一つでしょう。結論にいたる論理は違っても結論は重なる、この結論を政治的力関係の中に反映させていく重要性を「九条の会」の運動で学びました。 (「九条の会ニュース」より。見出し編集部)
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「日本の青空」みなべ町、かつらぎ町でも上映
みなべ「九条の会」は、12月2日の午後、映画「日本の青空」を南部小学校体育館で上映し、250人が鑑賞しました。みなべ「九条の会」結成2周年を記念して開催されたものです。当日は山田五良みなべ町長も挨拶に来られました。今回の上映会は宣伝カー運行、ポスター貼り、新聞折り込みなど約2ヶ月前から準備を進めてきたものです。
かつらぎ町では12月8日の午後と夜の2回上映され、合計で368人が鑑賞しました。最後には期せずして拍手が起こりました。「日本人がつくった憲法だと胸を張って言えるようになってうれしいです」「日本国憲法のすべてが世界の宝だと見えてきました」などの感想が寄せられました。
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ストップ「集団的自衛権行使容認」⑫
「九条の会・わかやま」事務局・南本 勲
「集団的自衛権」と「国連軍」
民主党・小沢党首は、国連決議や安保理の要請があれば自衛隊をどこに派兵してもよいと主張している。他方で国連軍に自衛隊を派遣することが国際貢献であるという主張もあり、国連加盟国は国連に兵力を提供する義務があるという主張すらある。果たしてそうであろうか。
国連加盟国は、国連憲章第25条で安保理の決定を「受諾し且つ履行することに同意する」ことになっている。しかし、これは安保理が決定する非軍事的な措置の場合であり、軍事行動には当てはまらない。軍事行動については、加盟国と安保理の間で兵力の提供などについて協定を結び、この協定は国連憲章第43条3項で「署名国によって各自の憲法上の手続きに従って批准されなければならない」と定められている。加盟国は自国の憲法に反する協定を結ぶことは義務付けられていない。つまり、憲法9条を持つ日本は兵力を提供する義務は全くないのである。
過去に組織された国連軍は「多国籍軍」であって、正規の国連軍は今だかつて組織されたことがない。湾岸戦争のイラク派遣軍やアフガンのISAFも全て「多国籍軍」である。この種の「多国籍軍」は国連決議によって一定の正当性があっても、最終的な指揮・命令権は各国にあり、軍隊派遣の根拠も各国の個別的自衛権や集団的自衛権に基づいている。従って、現状の「国連軍(多国籍軍)」に自衛隊が参加することは、明らかに集団的自衛権の行使であり、憲法違反ということになる。
もし、正規の国連軍が組織された場合は、安保理常任理事国で軍事参謀委員会が作られ、そこが指揮をすることになる。それで、国連軍に自衛隊を提供した場合、「提供までは『国権の発動』であるが、発動後の国連軍の行動は『国連の指揮下』にあり、各国の指揮・命令権は及ばなくなる」ので自衛隊の武力行使も可能であるという理屈がある。しかし、どこの国にとっても憲法が国連憲章より上位の規範であることは当然のことである。その憲法で「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」と規定している日本が、例え正規の国連軍といえども戦力を提供できるわけがない。しかも日本は、52年に「日本の自由に処置できるすべての手段をもって、その義務を遵守する」との宣言文を国連に提出し、56年に加盟が認められた。日本国憲法の許す範囲で国連に協力し、軍事的協力の義務を負わないことを明らかにしているのである。日本は、憲法の基本精神(武力不行使や紛争の平和的解決など)に沿ったやり方で加盟国としての義務を果たせばいいのである。
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