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室井修先生を偲ぶ
「九条の会・わかやま」事務局・柏原卓(和歌山大学教育学部教授)
「九条の会・わかやま」呼びかけ人で和歌山大学名誉教授の室井修先生が、昨(07)年12月8日に73歳で逝去されました。先生は05年9月16日、和歌山県庁記者室での「九条の会・わかやま」発足記者発表で応答の中心を務め、06年9月16日「第2回呼びかけ人の寄り合い」出席、同年11月20日付の会紙「九条の会・わかやま」12号に「教育基本法改正の企みを許さない 憲法九条堅持に関連して」を寄稿されるなど元気に活躍してこられました。07年5月頃から不調とお聞きして心配でしたが、これからという年齢で逝かれたことはほんとうに残念です。先生にまつわる記憶は多くの方々がお持ちでしょうが、筆者は会事務局の一員として、また職場をともにした者として少し記させていただきます。
先生は研究でも実践でも、日本国憲法と教育基本法の精神を生かすことを目標にされていたと思います。専門研究については門外漢でよく説明できませんが、御著書『教育法と教育行政の展開』(96年4月、法律文化社[京都])などに、先生のカバーされた範囲と立場が出ているようです。出版社サイトの説明に「今日の教育における矛盾や憂慮すべき状況の本質を子どもや国民の権利保障に留意しながら、教育行政・法制面から解明。云々」とあるように、子どもや国民の権利保障にしっかり軸足を置いておられました。そして学問に閉じこもるのでなく、学識を生かして気さくに教育運動の相談に乗り、講演もしばしばされています。「子どもと教科書全国ネット21の結成のよびかけ」(98年4月)など、種々の重要な呼びかけにも名を連ねておられます。中曽根「臨時教育審議会(教育臨調)」あたりからの新自由主義教育の問題点を指摘し続け、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って」の原則の大切さを情況と比べつつ説かれました。
先生は細かいことにも気配りされる一方、お話しぶりは原則的で論理的な直球勝負という印象を持っていましたが、教研集会の宿を出がけに「これが楽しみで」とNHK連続ドラマ「おしん」(83年)を見ておられたことに、優しいお人柄を垣間見た気がしました。
また、「九条の会・わかやま」発足時「よびかけ人のメッセージ」(会ホームページ掲載)に、「・・・多くの学生が徴兵制により戦場に送り出され、志半ばに命を奪われていったことが思い出されます。私の兄が広島で被爆し、・・・1週間で、もだえるようにして亡くなったことが、今も脳裏に焼きついています。後世に禍根を残さないよう平和と人権を守るための声をさまざまな立場から声を上げる必要があると思います」と記されています。この体験が先生の平和と人権と教育を守る実践に深く関わっていると感じました。
拙文で意を尽くしませんが、最後に室井修先生のご冥福をお祈りし、「戦争をしないこの国の誇り 子や孫に」とともに願った先生の遺志を伝えていきたいと思います。
「九条の会・わかやま」呼びかけ人
室井修さん略歴ご紹介
和歌山大学名誉教授、近畿大学生物理工学部(紀の川市)教授。
京都大学大学院教育学研究科の修士・博士課程を経て、82年に和歌山大学教育学部教授(教育行政学専攻)。元日本教育学会理事。元非核の政府を求める和歌山県の会世話人代表。
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「九条の会・わかやま」呼びかけ人のメッセージ (順不同)
画僧 牧 宥恵 さん
「九条の会・わかやま」の創設二周年を迎え、会報等を通して知る限り底辺も裾野も少しずつではあるが、拡がってるように思える。
平素は、掛声だけの小生としては決して存分な活動をしてるとは思えないのでこの場を借りてお詫びする次第です。
しかし、「九条の会」の活動が少しは知られて来たと言っても情況は好転している訳でもなく政府の憲法の拡大解釈(改悪)はまるで紙に水が浸るが如くジワジワと進められている。
仏者としての小生の立場は「殺されない」(法句経並びに十善戒)を基軸に置いて思考し言語化し表現の道を探りたいと思っている。
一層の強固なる意志と揺がない信念を貯えるつもりである。「九条を守る」このことが自分と国のありようを写す鏡である。
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【九条噺】
新テロ特措法が「国際貢献」の名目で成立させられようとしている。この「国際」とは一体何だろうか。早稲田大学・水島朝穂教授が12月17日の朝日新聞に、国際貢献について「21世紀型の小国主義めざせ」と書かれている。教授は言う▼自衛隊を海外に派遣することが「国際貢献」であるかのような言説が流布し、テロ特措法で「ショー・ザ・フラッグ」、イラク特措法で「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」とエスカレートし、目下は新テロ特措法で洋上給油を継続しようとしているが、この活動に感謝する「国際社会」とは誰のことなのか。米国とそれに従う国だけが「国際社会」ではないはずだ▼見過ごせないことは、この「対テロ戦争」の背後には、「テロ」を口実とした米国を軸とする軍と軍事産業の癒着の構造がある。「国際貢献」の本音が、武力による「国益」貢献であり、その裏に軍事産業の「企業益」や、政治家や官僚、高級軍人の「私益」が複雑に絡み合っている▼憲法9条が過去から学び、指し示すベクトルは、国の施策として、武力による手段を遮断するところにある。これこそ真の意味で「国際社会において、名誉ある地位を占め」ることにつながる。国際貢献は日本にふさわしい方法で、医療や教育、災害救援、技術支援など、得意とすることを自然に進めていけばよい▼これはかつて竹村正義元蔵相が言った「小さくともキラリと光る国」とも重なる。自衛隊の海外派遣恒久法やISAFへの参加議論などの発想に共通するのは「大きくてギラリと光る普通の国」への道だ▼と。われわれは本当の「国際」をしっかりと見定めなければならない。(南)
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「九条の会」全国交流集会での呼びかけ人の挨拶 澤地 久枝 さん
私たちは孤立した一人ではない
この三年半ほどのあいだに、日本は悪くなったけど、いいほうにも変わったと私は思います。それはかつてないほど、自覚した市民が増えて、孤立したバラバラではなく、憲法、とくに9条を守ろうと思いを一つにして行動し始めていることです。
憲法9条で世直しの市民連合をやっていきたい。アメリカやその他の国々と軍事同盟ではなく平和条約を結ぶなど、さまざまな目的があります。
最近、ひしひしと感じるのは、病気もできない、安心して年をとることもできない、無残な医療費の縮小と医療や介護などの保険料の値上げなど、生活に対する圧迫です。こういう生活でしぼりとられているものが、大資本の減税にまわされている。もう一つは日本の防衛費が非常に大きいこと、米軍にたいする「思いやり予算」もあります。赤字国債をいっぱい買っているが、売りたくてもアメリカが許さない。
その中で、「私の内閣で憲法を変えます」といっていた安倍内閣が参院選で負けた。いまの日本の政治に反対ですと言わなければならない人々の思いのあらわれです。
亡くなった小田実さんは、小さな人間が参加しなければ、政治は変わらないといった。私たちは孤立した一人ではない。憲法9条で世の中をよくしようという人たちがいっぱいいることに希望を持って生きていきましょう。 (『九条の会ニュース』より。見出しは編集部)
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『パッチギ!LOVE&PEACE』 と 井筒和幸監督講演会
【日時】2月17日(日)
1部(映画)13:00~15:15
2部(講演)15:30~17:00
【場所】和歌山市民会館大ホール
【講師】井筒和幸さん
【演題】「いまこそ9条」
【前売】一般1500円 中~大生1000円
【主催】9条ネットわかやま
憲法9条を守る和歌山弁護士の会
【協賛】九条の会・わかやま
井筒和幸さん(映画監督)
52年生まれ。奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画制作を開始。75年、高校時代の仲間と映画制作グループ「新映倶楽部」を設立、映画界入り。81年『ガキ帝国』で監督協会新人奨励賞を受賞。各賞を総なめにした前作『パッチギ!』(05年)など、抒情性と痛快さをあわせ持つエンタテインメント作品を作り続けている。
映画を通じて日本の戦争を検証したい
高校生のころから8ミリ映画をつくったという根っからの映画人です。『パッチギ!』(05年)で二度目のブルーリボン賞作品賞を受賞。07年は『パッチギ!LOVE&PEACE』が公開されました。
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「映画を通じて日本の戦争が何であったかを検証したかった」といいます。同作品は太平洋戦争で日本軍に徴兵、徴用された朝鮮半島の人びとや、戦争を賛美する映画への異議などを描写。
「いまの日本は自分の国の歴史を知らない若者が多い。それは彼らのせいではなく、日本やアジアの現・近代史、とりわけ侵略史を教えない偏った教育が背景にあります。若い人たちに一度、戦争について真剣に考えてもらいたかった」と、作品に込めた思いを語ります。映画を観て「歴史を学ばなければ」と、感想をのべた若者も少なくありません。
◇
九条改憲の動きにはきびしい目を向けています。「どこが攻めてくるんでしょう。理由もなく日本を攻めれば世界が許さない。武器をもたないのが一番強いのです。日本は知恵と勇気で外交をすべきです」。九条を生かした日本政治の重要性を指摘します。
08年への抱負についても若者への期待の言葉になりました。
「若者には思いやりや、ふくよかな情感を身につけてもらいたい。彼らへの励ましを含めたメッセージを作品を通じて送っていきたい」。【佐藤博】
(『全国革新懇ニュース』08・1・10号より)
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「九条の会・粉河」結成
「九条の会・粉河」の結成総会が12月15日、紀の川市粉河ふるさとセンターで開かれ、旧粉河町の住民約70名が参加しました。今年6月から準備会を立ち上げ、総会当日には呼びかけ人はさまざまな職業・階層の人々が40名に達しました。
総会では、「九条の会・わかやま」の呼びかけ人のお一人である月山桂弁護士の「不思議に命長らえて」と題した記念講演がありました。月山弁護士の講演は、ご自身の体験から始まり、軍隊を一度認めれば、軍隊は一人歩きし、国民の統制を超えて制御しがたい権力の権化と化す非常に危険なものであるということなど、憲法が軍隊を認めるように改悪されればどのような社会に変貌していくのかを詳しく話され、自民党の憲法改正案を引き合いに出しながら、9条の第2項を絶対に変えさせてはならないと力説されました。今後は思想・信条・立場の違いを超え、「日本国憲法第9条を守る」という一点でさまざまな創意ある活動を進めていくことを意思統一しました。(部家司好さんより)
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謹賀新年
本年も会紙「九条の会・わかやま」
をよろしくお願いいたします
2008年元旦
「九条の会・わかやま」事務局一同
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