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「恒久法」制定の動きが急浮上
福田首相が「検討を進める」と踏み込む
福田首相は1月18日の衆参両院本会議での施政方針演説で「テロとの闘い、大量破壊兵器の不拡散問題に取り組みます。インド洋における給油活動を再開するとともに、アフガニスタン、イラク国民の国家再建に対する支援を継続していきます。紛争地域の再建は、治安の確保と復興を同時に進めることが重要です。こうした平和構築分野での協力を更に進めるため、我が国が人材育成や研究・知的貢献の拠点となることを目指します。また、迅速かつ効果的に国際平和協力活動を実施していくため、いわゆる『一般法(=恒久法)』の検討を進めます」と述べています。22日の代表質問に対しても「(恒久法について)平和協力国家としての役割を果たす上で、迅速かつ効果的に国際平和協力活動を実施していくために望ましい」と答弁しています。
恒久法は、新テロ特措法が1年の時限立法であり、1年後の延長が難しい中で新テロ特措法に代わり政府の判断だけで海外派兵を行い、アメリカの「対テロ報復戦争」への支援の継続を目的とするものであり、アメリカが世界のどこで起した戦争でも支援のために自衛隊を派兵する仕組みを作るものです。「国際平和協力活動を実施」がどうして自衛隊の海外派兵になるのでしょうか。福田首相のいう「平和構築分野での協力を更に進めるため、我が国が人材育成や研究・知的貢献の拠点となることを目指」すのなら、憲法違反の自衛隊派兵ではなく、外交的・平和的な方法で対処するのが当然であり、日本国憲法の精神・理念に沿ったものでなければなりません。
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「九条の会・わかやま」呼びかけ人のメッセージ (順不同)
和歌山大学教育学部教授 副島 昭一 さん
この2年の間に憲法9条に関する情勢も動いてきました。一方では憲法改定の手続きに関する法律が定められ、改悪が現実性を帯びてきました。しかし他方では、9条の会の趣旨に賛同する人々が着実に増え、また参議院選挙の結果は9条改悪反対の世論をある程度反映しているといえるでしょう。今後このせめぎ合いはいよいよ激しくなっていくでしょう。世論の前進は心強いと同時に,私が授業で接する学生の考えを見ているとそれほど楽観もできないという気もしています。北朝鮮のような国がすぐ近くにあるのに武器を持たないのは非現実的だという考えはかなり滲透していますし,現代史への無知は深刻であると感じています。
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(紹介)新成人へのメッセージ
おめでとう! お祝いに「ポケット憲法」を贈ります。新成人になって、じぶんが手にする最大のパワーはなんやと思ってる? どうどうと飲めるお酒? それとも煙草? ちがうちがう、そんなちっぽけなもんとちがいます。最大のパワーは、国の政治に参加する権利なんやで。そう、選挙への一票。一票なんてちっぽけやって? とんでもない。金持ちでも貧乏でも、男でも女でも、成人の日本国民一人に一票。これって、むちゃくちゃすごいことなんやから。日本国憲法15条のこの権利渡せて喜んでいます。それから、もう一つ。60余年前に戦争があったことは知ってるやろね。そのほんまにつらく、苦しい経験と反省から、日本人が手にした、「世界遺産」以上の値打ちあるパワーのことは? これも日本国憲法の第9条に書いてある。「戦争の放棄」、つまり武力を使って外交はせん、武力も持たんということなんや。「武力」を持たんのがパワーかって? そうなんやで。憲法9条のおかげで、戦後60余年の間、日本は「戦争をしない国」やった。日本人は一人として参戦して人を殺さんかったし、殺されへんかった。いいかえると、あんたらをりっぱな成人にしてくれたんは、あんたらの「ジイ様」や「バア様」や「オトン」や「オカン」が憲法9条を守ってきたおかげなんや。憲法9条のおかげで、戦争しようとアメリカにさそわれてもやっとこさ、「いやや。でけへん!」といってこれたんや。ところが今、国会ではこの憲法9条を変えて日本を「戦争できる国」にしようとする動きがあるのです。このことを知ってた? 自分の国の政治を知らんままでは、明日からのあんたらの人生に戦争が近づくかもしれないんやで。新成人のみなさん! 今日、私ら大人が「平和の哲学」として手渡すことのできた「憲法9条」のパワーをあんたらが次の世代にバトンタッチするまで一人に一票を使ってぜったいに守りきってほしい。成人の日に、私らおっちゃんやおばちゃんが、どうしても伝えたかったのはそのことです。(「木津九条の会」より抜粋)
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【九条噺】
民主党の小沢代表が新テロ特措法を再議決する衆議院本会議を途中退席したことが国民のひんしゅくを買っている▼ところがである。16日の記者会見で小沢代表は、この問題について「国民にとっても民主党にとっても大事な法案ではない。私は反対の意思表示をすでにしている。参院は多数があったから否決した。府知事選への応援が決まっており、選挙での約束は違えてはいけない」と正当だったと主張したと言う(朝日1・17付)▼この発言は見過ごすことができない。小沢代表は法案は憲法違反だと言っていたはずだ。憲法違反の法案がどうして「大事な法案ではない」のか。例え、可決されようとも、議員の先頭に立って堂々と反対を主張するのが責任ある政党の代表というものだろう▼鳩山幹事長も「反省しなければならない。間違ったことは間違ったと、きちんと謝る心は必要だ」と述べ、謝罪をこばむ小沢代表に代わり連合の会合で「本人がなかなか謝らないから幹事長としておわびしたい」と述べたという。菅氏は「重要法案の採決にはできるだけ参加するのが望ましい」と苦言を呈しているという(毎日1・18付)▼これほど、自党や他党議員、マスコミなどから批判されているのに、小沢体表は「鳩山幹事長が何をいったか分からない。鳩山幹事長の話は鳩山さんに聞いてほしい」と批判を拒否する態度を示したという(朝日1・17付)。これでは「新テロ特措法案は憲法違反だ」といくら言っても、「本気で思っているのか?」と疑わざる得なくなってしまうだろう。(南)
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2月17日(日)
1部(映画)13:00~15:15
2部(講演)15:30~17:00
和歌山市民会館大ホール
井筒和幸さん「いまこそ9条」
前売券:一般1500円 中~大生1000円
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「九条の会」全国交流集会での呼びかけ人の挨拶
大江 健三郎 さん
個性的で普遍的な集まりに希望をかける
私は一時間半前から日本青年館におりました。誰もいない。私は小説家ですから、極端なことを考えます。「九条の会」は落ち目になったのかと(笑い)。それはある人の話を思い出したからです。07年11月9日、大阪地裁の前に街宣車をとめて私の批判を30分した人がいます。大江が頼りにしているのは一つは教育基本法で、彼は講演をすると教育基本法の話をしていたが、教育基本法はもうない、もう一つは「九条の会」だが、これももう落ち目だと言ったのです。
1945年の沖縄戦のはじめの3月に慶良間諸島で島民の集団自殺がおこりました。私の告訴されているのは渡嘉敷島の事件です。その自殺が軍の強制であることは明瞭で譲る気はありませんでした。反対尋問した相手の弁護士は、曽野綾子さんが感銘した話を紹介した本を朗読しました。「なぜ、国に殉ずるという美しい心で死んだ人たちのことを命令で強制されたという言い方をして、その死の清らかさをおとしめるのか」というものです。私がその法廷で考えていたのは憲法13条の国民は「生命、自由及び幸福追求の権利」をもっているとの条文です。赤ん坊、老人、女性の方299人が多数死んでいるその前で「美しい心」「死の清らかさ」という恥知らずに言う者らの、私の母親がいっていた言葉ですが、「口をひねりあげてやらねば」ならんと思っています。それを死ぬまでの自分の仕事にすると言って証言を終わりました。
個性的で普遍的なこのような大きな集まりが今後も続くことに希望をかけています。
(「九条の会」ニュースより。見出しは編集部)
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【断章】新テロ法案と朝日新聞
「九条の会・わかやま」事務局・佐古田 武士
「三分の二窮鼠となって民意噛む」(1・13「朝日川柳」)
「新テロ法案」は参院で否決され、衆院で再議決という半世紀ぶりの異常手段で強行可決。「ご主人様(ブッシュ大統領)のご命令とあらば」なりふりかまわずというわけか。
ところで、この問題では「朝日新聞」も気になった。例えば、昨年10月18日の社説は同法案に批判的だが主な理由は、給油のイラク攻撃への転用等様々な疑惑があるからだという。しかし他方で「9・11テロ直後のアフガン攻撃には国際社会の広い支持があった。テロ特措法による給油活動は、日本としての支援の一策だった」「これを違憲とする考えは納得しがたい」とも述べたのだ。
1月12日、同紙社説は「禍根を残す自衛隊再派遣」と題し、新テロ法成立に批判的な論調を載せた。だが、この中でも「私たちも、テロをなくすための活動に日本も協力すべきと考える。インド洋での給油も選択肢のひとつかもしれない」「これを『違憲』と決めつける」のは乱暴にすぎると述べた。
米英軍等のアフガンへの爆撃を燃料補給で支えることは武力攻撃の一端を担うものであり、明白な憲法違反ではないか。「違憲でない」かに主張する方がよほど乱暴だろう。
しかも、「対テロ戦争」の最前線で、連日爆撃を受けるアフガンの人々がどのように被爆し、どんな悲惨な事態が生じているか、常に被災者・被害者の側にたって見つめることこそジャーナリズムの鉄則ではないのか。そうすれば米英等の武力攻撃に「国際社会の広い支持」などと空虚な言葉など使えるはずはない。テレビCMの「ジャーナリスト宣言」も泣いていよう。
現に14日の「天声人語」も「カブールの幽霊」展覧会(東京)で、アフガンの子どもらが「幽霊」を描いた絵を観て、「アフガンの子供らをさいなむ幽霊とは『対テロ戦争の最前線』にされる祖国の荒廃にほかならない」「あまたの『幽霊』を見るにつけ、対米支援ではなくアフガン支援の論議こそが、より深まるべきだとの思いが募る」と書いているではないか。
すでにアフガンには多くの国から支援の人々・団体が入っているが、日本人だけが唯一攻撃を受けたことがない。既に20年以上、アフガンにどっぷり入り込み、医療だけでなく、生活水のための井戸掘りや農業再建のための用水路建設で現地の人々とともに着々と成果を挙げている日本人たちもいる。黙過できないのは、インド洋での給油など、アフガンへの武力攻撃への荷担は、こうした無腰でがんばる人々も生命の危険にさらすという現実だ。徳島新聞は「私たちは、国際紛争を解決する手段として武力行使を放棄した平和憲法をもっている」「平和憲法の理念を生かしたもっと日本らしい協力のあり方があるのではないか」と書いた。九条をもつ日本だからこそ、武力に頼ることなく、平和外交と対話を基本に、生活・医療・農業再生など実質的支援の道を世界によびかけ、先頭にたつ国でありたいものだ。
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─ 澤地久枝講演会 ─
【日 時】2008年3月29日(土)午後2時開会
【場 所】堺市民会館大ホール(南海高野線・堺東駅近く)
【混声合唱】組曲「このみちをゆこうよ」
【混声合唱】「君死にたまふなかれ」
【記念講演】「今、世直しの時」
【講 師】九条の会よびかけ人・作家 澤地久枝さん
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