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「今こそ9条」井筒和幸監督熱く語る!
誰が攻めてくるのか、リアリズムでは解釈できない
2月17日、和歌山市民会館で「パッチギ!LOVE&PEACE」が上映され、監督の井筒和幸氏のトークが行なわれ、約750人が参加しました。トークの要旨をご紹介します。
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「パッチギ!LOVE&PEACE」で伝えたかったメッセージは
70年代は価値観が変わる時期、つまり自分のことしか考えない、個人的な人生だけを見て、人のこと、周りのこと、社会のことに関わらず、自分たちの幸福・平安だけを求める時代の始まりでもある。一作目で望んだ「大多数の日本人と少数の朝鮮人の共生」が薄れる時に、どんな摩擦がさらに起こってくるのかが大きなテーマであった。その根っこにあるのは戦争だ。在日と言われながら何故日本にいるのか、何故日本人の資格が得られないのかなど、今につながる問題はすべて日本が起した戦争に起因する。日本人の戦争体験はいろいろ明らかにされているが、在日の人たちが戦争でどんな目に遭ったかはほとんど知られていない。在日の戦争体験もひも解かれなければならない。
「お国のために死んできてくださいとは言えません」というヒロインのセリフは
「俺は、君のためにこそ死にに行く」この言葉は嘘っぽい。「君のためにこそ僕は生き抜く」とか「稼ぎに行く」なら正しい。ヒロインの言葉は誰が言ってもリアルなセリフだ。僕は母親に当時はみんなそんなこと(死んできてください)を言っていたのかと聞いたら、「そんなもん誰も言わへんよ」と言っていた。45年、父が20歳の時に召集令状がきた。祖母は玄関口で父に「早よ帰って来(き)いや」と言った。父は気が抜けたがうれしかったそうで、「うん、なるべく早く帰ってくるわ」と答えた。これが関西人のリアリズムだ。41年12月8日、太平洋戦争突入の大本営発表を聞いた大阪の大工さんは「あほかいな」と言ったという。職人や庶民など毎日実感をもって生きている人は、大国と戦争するとどういうことになるかはとっくの昔に分かっていた。中国戦線からの復員兵は悲惨な状況を見ており、みんな口をつぐんで語らないので、この戦争がどうなるかは充分に感じていたのだ。鹿児島で終戦を迎えた父が「ただいま」と帰ってきたら、祖母は「あゝ、もう帰って来たんかいな」と言ったという。私は映画づくりに常にリアリティを求めている。
今こそ9条
9条を守るのは当然だと思う。どう改正するのか見えない、或いは見えすぎている。日本国憲法はそのままでよい。崇高な憲法で、そのままリアリズムで書かれている。何も踏み込んだ条項を入れなくていい。9条1項は戦争してはならないという当り前のことを書いており、そんなことを書いていない国はない。改正の立場の政治家は制裁や侵略の戦争はもちろんしてはならないが、自衛戦争は認めろという。そのために陸海空軍を持ち、自衛権を行使するという。しかし、常識的に考えてどこに対して自衛するのか、誰が攻めてくるのか、僕には分からない。こんなことは大阪や和歌山のリアリズムで解釈できるのか。攻めてくるところがないのに、何故軍隊を持つのか。武力をちらつかせながら仲良くなんていう外交はあり得ない。戦力を持っていないから必死になって外交努力をする。戦力を持っておれば外交努力をしなくなる。万が一にも北朝鮮がミサイルで東京や大阪を火の海にすることなどあり得ない。そんなことをしたら北朝鮮自体が死滅する。
憲法の当り前の条文は、本来庶民には不要で、常識でよい。しかし、憲法は政府、機関、軍国主義者を監視するためにある。これらは「モグラ叩き」と同じで、どこから出てくるか分からない。暴走、暴君を管理するためにできたのだ。当り前のことは常識でいいのだけれど、今や国民投票法ができてしまったので、国民全員がしっかりと考えなければならないと思う。
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「九条の会・わかやま」呼びかけ人のメッセージ (順不同)
NPO和歌山有機認証協会副理事長・オーガニックレストラン経営 花田 惠子 さん
今年も又、1月13日に和歌山市のビッグホエールで行われた成人式の会場で、私の所属する市民団体「平和と憲法を守りたい市民の声」が、新成人に対して憲法改正に賛成か反対かというアンケート調査をしました。盛装をした若者達は、いつもながら無粋な質問を投げかけるこちらが気がひけるほど、無邪気に友人達との再会を喜びはしゃいでいたが、今年はこれまでより、真剣に答えを返してくれる青年が多かったように感じました。
これは、いかに施政者が巧妙に目立たぬように憲法の改悪を進めようとしても、若者達は敏感に空気が読めているのかもしれないし、または、9条を守ろうという世論のたかまりを彼らなりに感じているのかもしれない。
そして、語るべき戦争体験を持たない私自身も、やっぱり憲法9条は守らねばという思いを若者達にバトンタッチしようと、昨春より色んな方々のご協力を得ながら勉強会を開いています。
又、私は平和の問題も環境の問題もつながっている、根っこは同じだと考えているので、それぞれ隔月の勉強会にして、米軍基地のこと、六ヶ所村のことなど等、深刻な問題ばかりですが、若者達の自主性を尊重し、時には音楽や美味しい食事も愉しみつつ続けています。そして4月にはアースデイズとして平和と環境をテーマとしたなかなかユニークな催しが着々と準備されているところです。
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9条ピースウォーク
千葉の「9条世界会議」を目指し、広島を出発
「朝日新聞」2・23付によれば、「戦争の放棄を定めた9条をもっと考えよう」と、歩いて思いを伝える「9条ピースウォーク」が24日に広島をスタートします。大阪や静岡など12都府県を歩き、5月に千葉県で開かれる「9条世界会議」でゴールする。幹線道路を中心に1日20キロほどを歩く。日帰りなら飛び入りも可とのことです。
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【九条噺】
「大阪へ移せばよかった艦載機」(2・7「朝日川柳」)。今や『時の人』橋下徹新大阪府知事へのキツイ一句▼橋下氏は当選直後、米海兵隊岩国基地への空母艦載機部隊移転に反対する井原市長候補を批判し「国の防衛政策に自治体が異議を差し挟むべきでない」(1・31「朝日」)と述べた。橋下氏は同時に井原市長がこの問題で実施した住民投票にも反対した。弁護士というが、タレント活動に忙殺され憲法も地方自治の基本原則も消し飛んだのではないか▼岩国市は今でも米軍基地に対して、騒音など市民の苦情が年に1200件を下らないと聞く。しかも空母艦載機部隊は空爆の最前線を支える機能をもち、イラク・アフガン等への空爆では日に最大5千機も飛び立つともいう。大轟音を持ち込むこんな物騒な移転計画に多くの市民が不安や憤りをかかえるのは当然だろう▼「住民の福祉と安全・健康を守る」ことは地方自治体の基本的責務であり、首長が市民の意向に従い、反することについては、相手がどこであれ物申す権利はあるのである。「圧倒的多数が反対」だった住民投票の結果を尊重して何が悪いというのか▼選挙の結果、井原氏は政府の卑劣極まる『アメとムチ』により惜敗したが、移転反対の「市民の総意」まで覆されたわけではない。(佐)
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井筒監督 撮影秘話、平和の尊さ語る
在日コリアン家族の奮闘を描いた映画「パッチギ!LOVE&PEACE」の上映と井筒和幸監督の講演が17日、和歌山市民会館であった。9条ネットわかやまなどが主催し、約700人が聴き入った。
撮影秘話や平和の尊さを語った井筒監督は、庶民や職人の戦争観を「関西人のリアリズム」と表現。祖母が戦地に旅立つ父親に「はよ帰ってきいや」と声をかけた体験に触れ、「お国のために死にに行くのはうそっぽい。普通の家庭にはない」と指摘した。憲法9条に関しては「憲法は権力の暴走を監視するためにある。自衛のために戦争するという話は関西人のリアリズムでは解釈できない」と述べた。(毎日新聞2月18日)
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高遠菜穂子さんを招き、学習・講演の会開催
憲法9条を守る伊都・橋本連絡会
2月17日、「憲法9条を守る伊都・橋本連絡会」は九度山町ふれあいセンターで、「命に国境はない──イラクで非暴力は実現するか?」と題して高遠菜穂子氏を招いて学習・講演の会を開きました。
参加者110名ほど。予想を上回る多くの参加者があり、ほっとしています。九度山では吹雪のような状態で心配しましたが、無事に開催できました。
高遠さんについてはさまざまな臆測が飛んだり、十分知られていない面がありましたが、憲法9条の精神を自分の生き様として実践している数少ない日本人ではないかと改めて思いました。映像と実体験の話で今日のイラク情勢、世界の情勢が鋭くとらえられ、語られました。あっという間の2時間でした。今はイラクへ入ることはできず、周辺の諸国でイラク支援の仲間と連絡を取り合い、精力的に活動を続けておられます。憲法9条を観念としてではなく、具体的な世界平和のための糧として支えにして活動する高遠氏に学ぶことができました。私たちも9条を守る運動に確信を持ち、さらに広めなければと決意を新たにした思いです。終了後、交流会をひらき、熱心は話し合いが持たれました。(草田信行さんより)
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「九条の会・きし」結成
2月23日、和歌山市・河西コミュニティセンターで「九条の会・きし」(和歌山市貴志地区)の結成総会が開かれ、みぞれが降る中、73人が参加し、9条を守る大切さを確かめ合いました。
当日は記念行事として、「楠見子連れ9条の会」代表の連帯挨拶、憲法九条を守るわかやま県民の会事務局長・坂本文博氏の記念講演「いまなぜ憲法九条なの?」、向地区空襲被災の戦争体験談、平和を願ってのギター演奏、DVD「戦争あかん2『イラク戦場からの告発』」の上映が行なわれました。
総会に移り、「九条の会・きし」発足に向けての活動の報告、会の名称の決定、申し合わせ事項の確認、今後の取り組みの確認、代表呼びかけ人・世話人・事務局の選任を行い、結成総会を終了しました。
今、日本国内で「九条の会」についてマスコミ報道がされていない中で、「ダイジェストではない本当の情報」を全国の津々浦々で訴えていくことが最も大切なことではないかとの思いを強くする結成総会でした。
(貴志公一さん、金原徹雄さんからのお知らせで作成)
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