「九条の会・わかやま」 64号を発行(2008年3月30日付)

 64号が3月30日付で発行されました。1面は、井上ひさし・藤本義一ビッグ対談、自衛隊海外派兵「恒久法」今国会提出…?、九条噺、2面は、書籍紹介、9条ピースウォーク、NHK・ETV特集『小田実 遺す言葉』@ です。
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井上ひさし・藤本義一ビッグ対談
九条の会・おおさか「憲法を語るつどい」

     3月21日、大阪・中之島中央公会堂で「九条の会・おおさか」主催の「井上ひさし・藤本義一ビッグ対談」が開かれました。両氏は対談に先立ち15分間のミニ講演を行いました。ミニ講演と対談の要旨をご紹介します。
 藤本義一さん
 戦争をやらないことを決めた憲法9条、こんな素晴らしいものはない。世界中を眺めても、みんな驚きますよ。日本は憲法の中に、戦争はやらない、武器は何も持たないと決め、非核3原則を守っていると言ったら、ほとんどの国の人はあ然としますよ。そのあ然とするところに日本の強さがあると思います。

 井上ひさしさん
 小田実さんは「良心的兵役拒否国家」を言っていた。外国が戦争をする時も、日本はどんな戦争にも参加しないと言う。そんなことは可能か。自信を持って可能と言える。第2次世界大戦で戦争しないと宣言した国は7つあり、「私たちは戦争に加わりません。その代り戦争で生じる不幸は引き受けます」という態度だった。例えば、スウェーデンは「人質交換船」を運航し、スイスは対立国を取り持つ伝達や仲介の役割を果たし、スペインは強制収容所を回って条約違反などの監視をした。戦争に参加しないが国際的な信頼は維持する「第3の道」がある。「戦争に参加しないと世界に通じない」というのは間違いだ。騙されてはいけない。
 戦争をしたい人が戦争にいけばいい。内閣や大臣や、戦争に賛成する国会議員とその息子が行けばいい。我々を戦争に巻き込まないでほしい。

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(井上) 日本はもっと医学に力を注いでノーベル医学賞を3年に一度は取れるように一気に医学を育てていくと、世界は「人間の一番辛い病気を一生懸命に治そうという国がある。あそこだけは手を出すな」となり、それが平和を勝ち取る生き方になる。

(藤本) 憲法9条はどこまで外国に伝わっているか。感心したのはオランダ人、次はイギリス人とドイツ人。彼らは「日本人は素晴らしいものを自分のものにしている」と言った。ところがアメリカは反応がない。一番腹が立ったのは広島、長崎の原爆はアメリカが使った一番正しい武器だという、今もアメリカでそういう教育が行なわれていることだ。

(井上) チャーチル首相が原爆は米兵100万人と英連邦兵20万人を救った。決断をしたトルーマン大統領は偉大だと議会で賛美した。人口3万人のサンマリノの大統領が経営するレストランには憲法9条が掲げられ、これが理想だという。憲法9条は広まるところへは広まったが、「偉い人」には広まっていない。

(藤本) 憲法9条を今の日本人はどう考えていけばいいのかを常に思う。結集というものが、もっともっと日本に高まるべきだと思う。

(井上) イージス艦は空母を護衛するもの。空母は自衛隊にないから、米空母を守るものだ。日本を守るという駐留米陸軍は1800人しかいない。それを200万円以下の年収とか、ネットカフェ難民とか言われているのに、何百億円もかけて米軍を守るという、この関係はおかしい。

(藤本) 「深刻でなく真剣に」。自分を活かせる自由がまだ日本の中にあることを知って欲しい。

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自衛隊海外派兵「恒久法」今国会提出・・・?

 日経新聞などは「政府は25日、『恒久法』を今国会に提出する方針を固めた。福田首相は山崎前自民副総裁に、民主党からもやるべきだと随分前から言われており、法案提出に向けて民主党との事前協議を進めるよう指示した」と報道しました。ところが、町村官房長官は26日「首相発言は少々正確ではなかった」と発言し、首相は「山崎さんが言ったことを申し上げた」と述べており、混乱状態です。
 恒久法は「新テロ特措法」の来年1月の期限切れ後も、インド洋で海上自衛隊が給油活動を継続するのが当面の狙いですが、民主党を政策協議に誘い出す『呼び水』にし、「解釈改憲大連立」へ進めようとの思惑もあります。
 早急に制定したいが、道路特定財源問題や日銀総裁問題などで、思惑通りには進め難いというのが実情のようです。しかし、「思惑」はなくなったわけでなく、今国会提出の危険性は依然として残っています。一層の注意が必要です。

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【九条噺】
 井筒監督の映画「パッチギ!」をみていて思い出したことがある。高校入学の頃、通学途中の空き地に突然バラック小屋が7戸並んだ。「在日」の人々で、日雇い労務らしかった。朝から大声で怒鳴りあい、こどもたちは満足に衣服もまとわず泥だらけのまま泣きじゃくっている・・・そんな具合で、地域の人々はその道を通ることすら避けていた▼筆者もこどもたちに取り囲まれていたずらをされ、イヤな思いをすることも一再ではなかった。が、毎日見ていると、「裏表」もなく、飾ることもなく、喜怒哀楽のいたって素直な人たちに親近感すら覚えたものだった。不思議なもので、そういう気持ちを持つようになる頃、その人たちがはじめて声をかけてくれたのだった▼夕暮れの寒い日に、戸外で焼肉をごちそうになったりという頃になり、「なぜ日本に?」と軽い気持ちで聞いた時、一瞬、悲しみや怒りのこもった表情がかえってきた。朴さんが「にいちゃんは、勉強、何のためにするか」▼この「在日」の人たちとの出会いと朴さんの一言がなければ、現代史も、日本と朝鮮のかかわりもそれほど深く学ばなかったかもしれない▼個人的な体験披露でおそれいる。お詫びに「木槿(むくげ)の咲く庭─スンヒィとテヨルの物語」(新潮社)というステキな本を紹介したい。日本統治下の朝鮮で、ありったけの知恵と勇気で生きた兄・妹の感動の物語だ。ぜひご一読をお薦めしたい。(佐)

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【書籍紹介】
IMAGINE NINE(イマジン9)
  想像してごらん、戦争のない世界を

[合同出版 本体952円+税]

 この本は「想像してごらん、戦争のない9つの世界を」と呼びかける絵本です。この本は小学生にも分かるやさしい言葉で「戦争のない世界」はどんな世界かを指し示しています。世界中の国が憲法9条を持ったらどんな世界になるのか、その姿が描き出されています。
 この本を題材に子どもたちと話してみませんか。そして「9つの世界」を阻む実態を大人の言葉でも解説しています。中・高生との勉強会にもどうでしょうか。

 心から愛する人を一瞬にして灰にしてしまう原爆とゆう悪魔を、憲法9条とゆうエネルギーと私たちの強い想いで、この地球から追い出せたらいいのにな。
宮沢りえ
 あともどりせず、前に進みましょう。戦争のない世界へ。すべての国が憲法9条をもつ世界へ。
ワンガリ・マータイ(ノーベル平和賞受賞者)
憲法9条はまるで、神が私たち人類に送ってくれた宝物のようです。
中国・40代男性

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9条ピースウォーク

千葉県の「9条世界会議」を目指し、3月30日現在、岐阜県を行進中  「戦争の放棄を定めた9条をもっと考えよう」と、2月24日に広島をスタートした「9条ピースウォーク」は、公式サイトによれば30日現在、岐阜県関ヶ原町付近を行進中です。
 奈良県の行進に参加された「九条の会・わかやま」呼びかけ人の花田惠子さんによると、「ウォーク」には広島から歩き続けている方に加えて、地元の「9条の会」の方々がどっと参加され、賑やかで楽しいパレードになっているとのことです。花田さんは「自分達の活動を地道に着実に進めていくのもいいけれど、外に出て、思いを同じくする他のグループや人々と、こんな楽しい交流をするのもいいのではないか、また、若者達なども気軽に誘えて、無理なく私達の想いを伝えられるのでは」と感想を述べられています。

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日本は何故アメリカにくっつきに行くのか
  NHK・ETV特集『小田実 遺す言葉』@


 3月9日に放映されたNHK・ETV特集『小田実 遺す言葉』より、昨年7月に亡くなった「九条の会」呼びかけ人・小田実さんが遺した言葉の一部を、2回に分けてご紹介します。

 アメリカという国をどうとらえるのか

 「私が今一番困っているのはアメリカという国をどうとらえたらいいのか、どう考えたらいいかということだ。世界の国々が困っている。当のアメリカ人自身が困っている。ブッシュ政権のアメリカはまさに世界を横行した。勝手にアフガニスタンから、イラクからと、9・11を利用して、全世界を制覇するということをやって、失敗して、今のたうちまわっている。アメリカは現代の怪物、21世紀のモンスターだと思う。何とかしてアメリカと手を切って、自主独立の道を歩きたいと、全世界は四苦八苦している。EUもそのひとつの現れだ。もっと懐疑的なのはベネズエラとかボリビアとか、ラテンアメリカの国々の新しい動きだ。アメリカと手を切って、違う形で世界を作ろうというところに来ている。全世界が見放しているブッシュを盛り上げている国は日本だけだ。こんなところに我々が一緒に入っていくのはかなわないと思う。
 日本の戦後の制度の中で、まだしもうまくいっているのは国民健康保険制度だ。実際に病気になってみると分かる。それをアメリカが猛烈な勢いで潰しにかかっている。コマーシャルもアメリカの保険会社ばかりだ。アメリカの保険会社が参入するのに、一番のガンになっているのは、国民健康保険制度だ。それを何とかして骨抜きにし、潰そうとしている。それは巷の医者の話を聞くとはっきり分かる。大病院の話でなく、開業医の話を聞いていると、いかに彼らが圧迫されていたかが響いてくる。そういうアメリカをどうしたら良いのかということに四苦八苦している時に、しかも、国民健康保険制度を作らないで、民主と自由を振りかざしてあちこちに『テロだ』と攻め込むような、こういうモンスターのようなアメリカと手を切りたいとアメリカ人自身が考えている時に、何で旧政権のアメリカとくっつきに行くのか、そしてテコになる、力になるようなものを与えるのか、何のためでしょうかね。
 アメリカの走狗になることで、日本人自身が苦しむだけでなく、アメリカ人自身にも苦しみを与える。そして全世界に苦しみを与える。日本もそのことを考えなくてはいけない時に、何でかつてのアメリカ、モンスターのアメリカと強力に結びつく必要があるのか、ということを私はいつも思う」

 「小さな人間」の力で正すのが民主主義

 「デモクラシー」の語源はギリシャ語のデモス(=民衆)クラトス(=力)、「民衆の力」ということだ。小田さんはデモス(=民衆)を普通の市民である「小さな人間」と表現する。
 「民主主義とは何かという大問題に我々は突き当たるんですね。私は長年考えてきて、いろんなことをやってきて、ひとつの結論はこうなんですね。『小さな人間』と『大きな人間』というのがね、いろんな政治を形づくる。政治とか経済とか文化とか、そういうものの中心を形づくるのは、どうしても『大きな人間』ですね。これまで私が繰り返ししゃべったように、『小さな人間』と対比して『大きな人間』を考えると、『大きな人間』は大きな力を持っているので、その力を行使して、政治をしたり、経済をつくったり、あるいは文化を形づくる。それに対して『小さな人間』は何をするかという大問題があります。もともとデモクラシーは『小さな人間』のためのもの、貧乏人のためのもの。『小さな人間』が『小さな人間』の力で『大きな人間』のやり方を正しくする、それが民主主義だ」

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(2008年4月8日入力)
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