「九条の会・わかやま」 67号を発行(2008年4月30日付)

 67号が4月30日付で発行されました。1面は、名古屋高裁判決 自衛隊イラク派兵は憲法違反、和歌山県「9条の会」交流集会 開催へ、九条噺、2面は、中村哲医師講演の要旨、「9条を守ろう」那賀の会3周年学習・交流集会 です。
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[本文から]

[名古屋高裁判決]
自衛隊イラク派兵は憲法違反 空輸活動は武力行使

 4月17日、名古屋高裁で「自衛隊のイラク派兵の違憲確認と派兵差し止め」を求めた集団訴訟の控訴審判決が下されました。青山裁判長は、航空自衛隊が行なっているイラクでの活動について「憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」との判断を示しました。バグダッドはイラク特措法でいう「戦闘地域」に該当すると認定し、多国籍軍を空輸することは武力行使を禁じているイラク特措法と憲法に違反すると結論づけ、さらに「平和的生存権は、憲法上の法的権利」と認める画期的な判決を出しました。故小田実さんをはじめ、全国で同様の訴訟が起こされていますが、違憲判断は初めてです。

 判決は確定の見通し

 一方で派兵差し止めと慰謝料請求の訴えは却下しました。しかし、原告側は「敗訴」したものの、上告をしない方針で、「勝訴」した国は上告できないため、判決は確定する見通しとなっています。

 バグダッドは戦闘地域

 当時の小泉首相は、「自衛隊の活動地域が非戦闘地域」と開き直りましたが、判決は「イラク国内での戦闘は、実質的には03年3月当初のイラク攻撃の延長で、多国籍軍対武装勢力の国際的な戦闘だ」と指摘し、特にバグダッドは「まさに国際的な武装紛争の一環として行なわれている人を殺傷し又は物を破壊する行為が現に行われている地域」とし、イラク特措法の「戦闘地域」に該当すると認定、空輸活動はイラク特措法違反と明確に述べています。

 空輸は武力行使

 そして「輸送等の補給活動も戦闘行為の重要な要素だ」とし、「少なくとも多国籍軍の武装兵員をバグダッドに空輸するものは、他国による武力行使と一体化し、自らも武力の行使を行なった」と判断、「武力行使を禁じたイラク特措法に違反し、憲法9条に違反する活動を含んでいる」と、憲法違反と結論づけています。

 平和的生存権を認める

 また、憲法前文の平和的生存権は、「9条に違反する戦争の遂行などによる個人の生命、自由の侵害や、戦争への加担・協力を強制される場合には裁判所に救済を求めることができる」とし、具体的権利であると明言しています。

 首相は空自活動を継続

 福田首相は「判決は国が勝った。違憲判断は判決そのものに直接関係がない」「裁判のためにどうこうする考えはない」と、自衛隊の活動を継続する方針を示しました。

 即時撤退を

 「自衛隊のイラク派兵は憲法9条違反」とはっきり認定されたのですから、自衛隊は即時撤退すべきです。しかも、国民の意思を無視して成立させられたイラク特措法にすら違反し、政府統一見解である「武力行使と一体化しない」にも反すると認定された訳ですから、どこから見てもイラク派兵に正当性はありません。

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和歌山県「9条の会」交流集会 開催
 7月5日(土)プラザホープ4階


 4月24日、和歌山市内の地域・分野の「9条の会」が集まり、和歌山県「9条の会」交流集会運営委員会が結成され、7月5日(土)午後1時30分〜5時、プラザホープ4階会議場(和歌山市)で和歌山県「9条の会」交流集会を開催することを決めました。
 この交流集会は、「9条の会」を始め、憲法9条を守るという一点で一致して活動する県下の会が集まり、お互いの活動を交流し、学びあい、励ましあって、さらなる発展を期する場にすることを目的としています。  運営委員会は今後、集会の内容を明確にした上で、県下の「9条の会」に参加を呼びかけます。各会から多数の参加を願っています。

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【九条噺】
 暖かくなってくると、海を思い出す。海が好きだった。5月になると海に潜った。アワビ、サザエをよく採った。アワビ採りにはコツがある。深く、長く潜るだけではだめで、岩の間を覗き、そのまま待つのである。じっと覗いていると、瞳孔が開き、すっと奥まで見えるようになる。瞳孔が開くまで待つ。これがコツの一。二つめは、何といえばいいか、一瞬にアワビと見抜く、いわば「アワビ目」になることだ▼話は海から一転里山に飛ぶ。ワラビ採りの経験はおありだろうか。なかなかワラビを見つけられずに、山の斜面をうろうろ。やっと一本見つけた。すると少し前にまた一本。隣に一本。何本か採って、顔を上げると、山の斜面がワラビだらけ。こんな経験はないだろうか。このワラビを見出す目をあえて「ワラビ目」と言おう▼夜、懐中電灯を照らし、懸命にズガニを捜したがどうしてもみつからない。ところが同行のおじさんは「そこや!」といとも簡単にみつけ、確実に捉まえる。不思議で仕方がなかったが、きっとおじさんはその時「カニ目」をしていたに違いない▼アワビ目、ワラビ目にカニ目・・・これらは別に深い意味も脈絡もないが、5月3日は憲法記念日。子どもの時のように、夢中で、日々の暮らしに根付いている「憲法」を見つめ、鋭い「憲法目」を養いたいものだ。(中)

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日本に対する「美しい誤解」こそ、あるべき姿
  中村哲医師講演


 4月19日和歌山市で、ペシャワール会現地代表・中村哲医師の講演がありました。一端を紹介します。

 警官に守られていると反って危ない。現地の住民は農民であるとともに優秀な兵員だ。住民の100%は古典的なイスラム教徒で、これが民族や部族を束ねている。私はキリスト教徒だが危険な目に遭ったことはない。
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 貧富の差は極めて大きい。金持ちや外国人はロンドン、東京などで治療を受けられる。しかし、99.99%の人は数10円の金がなく、死んでいく人は数知れない。私たちは、いかに少ない金で、いかに多くの人に恩恵を及ぼすかということに特別の配慮をしなければならない。
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 相互理解には時間と忍耐が必要だ。単に違いであるのに、何百年も続いてきた習慣を、善悪、優劣という決めつけ方をして、廃止させようとしたり、非難したりすることを国際人権活動家が行っている。これが戦争の口実に利用される。患者のことを考えているのなら、連れて行って面倒を見ろと言いたい。
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 ハンセン病コントロール計画自体が先進国のアイデアであった。ハンセン病が多い地域は同時に他の感染症も多い。ハンセン病だけを診る医療は現地では成り立たない。山奥の村々に診療所を出し、ハンセン病も一般の伝染病と同じように診るという方針にした。
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 アフガンでは、英米とともに有名なのが日本。英米には悪感情だが、日本の印象は非常に良く、外国人でないような扱いをしてくれる。単に日本人だからということで命拾いをしたり、助けてくれたりすることは数知れずあった。理由は日露戦争と広島、長崎。相手がどんな大国でも理不尽を認めない不撓不屈の国という「美しい誤解」だ。広島、長崎は「あんなひどいことをして」というのもあるが、廃墟から見事に大国に復興したという賞讃だけでなく、「羽振りのいい国」は大抵戦争をするが、日本は戦後一度も海外に軍隊を出さなかったという、これまた「美しい誤解」によって対日感情の良さは支えられている。
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 相手が大国でもペコペコしない日本、どんなことがあっても暴力で相手に応えない日本という誤解はあるべき姿を示している。しかし、今の日本は180度違った方向に行きつつある。特に6年半前のアフガン空爆以降、日本のイメージは小さい者には居丈高になり、大きい者にはペコペコする、ちょっとした経済的利害が関わると戦争協力も辞さない日本というマイナスイメージが定着しつつある。これは戦慄すべきことだと思う。
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 2000年5月、ユーラシアの中心で起っている稀に見る大干ばつで、最も激烈な被害を被ったのがアフガン。国民の半数以上の1200万人が被災し、500万人が飢餓線上、100万人が餓死寸前という状態だった。毎日子どもが死ぬ。清潔な飲料水と充分な食べ物があれば、ほとんどの子どもは救える。
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 もう医療以前の問題だ。今必要なのは清潔な飲料水だ。井戸を掘り始めた。また、食べていく基盤が必要で、農業用水の確保にも力を注ぐようになった。水こそが人の命と平和をつなぐ底力だとつくづく思った。
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 9・11の後の11月にタリバン政権が倒され、世界中が騙された。悪の権化タリバンを打ち破った正義の味方、自由とデモクラシーを保障する守護神アメリカの勝利ということだったが、何が起こったか。ケシ栽培の自由、売春の自由、乞食の自由、餓死の自由であった。
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 住民自らが水路を維持できるよう日本の伝統的技術で対応した。水の果たす役割は、単に人間は水がないと生きられないというだけでなく、人間と自然の関係は同時に人と人との関係も決定づけることを改めて知った。
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 「情けは人の為ならず」。私は助けるつもりが助けられた。金さえあれば、経済が上向きであればバラ色の未来が待っているという世界的迷信から自由である。人間の、これだけは無くしてはならないものは何かということについて認識を深めた。
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 アフガンの人のためだけでなく、自分自身のためにも、日本の良心的な事業として今後も力を尽くしたい。

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結成3周年学習・交流集会開催
「9条を守ろう」那賀郡の会


 「9条を守ろう」那賀郡の会は、4月19日(日)打田生涯学習センターで結成3周年の学習・交流集会を開きました。参加者は75名。講師は山ア和友弁護士(憲法9条を守る和歌山弁護士の会代表委員)。山ア弁護士は、日本国憲法について、誰が、何のためにつくったのかが大事。日本国憲法にはいろんな権利がうたわれているが、労働者の生活実態は、長時間労働で過酷だ、友だちと遊ぶ間もない子どもたちは、疲れたサラリーマンよりひどい日々をおくっているとそれぞれ実例を挙げながら話され、自殺者が年間3万人を超す日本社会は異常。今の日本の社会は憲法の描いている社会ではない。「権利者のたたかいは、権利者の義務である」(権利はたたかいなしでは守れない)。憲法を変えようとする人たちは、憲法を現実に合わそうとしているが、私たちは、憲法が指し示す理想に向かって進もうと訴えられました。参加者からは、わかりやすい話だったとの感想が寄せられています。
 「那賀郡の会」結成後、旧那賀郡内では打田、貴志川、岩出、粉河と4つの地域9条の会が誕生し、それぞれ独自に活動していますが、この会は、今後も地域9条の会と共同して活動し、当面は過半数署名に力を入れること等が申し合わされました。

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(2008年5月2日入力)
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