「九条の会・わかやま」 75号を発行(2008年7月31日付)

 75号が7月31日付で発行されました。1面は、名古屋高裁判決学習会、室井修さんを偲ぶ会、九条噺、2面は、交流集会の記事読み9条の会」に入会、猛暑の中署名活動続けられる、ストップ「集団的自衛権行使容認」P です。
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[本文から]

[名古屋高裁判決学習会]
憲法9条1項違反とは、今日本が戦争をしているということ
 イラク派兵は違憲。それ以上の恒久法は当然違憲


 7月12日には加藤悠志弁護士、18日には川口創弁護士・弁護団事務局長(いずれもイラク派兵差止訴訟弁護団)の名古屋高裁違憲判決についての講演会(学習会)が行われました。両弁護士の講演内容の要旨をご紹介します。


しっかりと行われた事実認定

 今回の判決が画期的なことは、名古屋高裁が事実から逃げず、ていねいな事実認定をし、日本が戦争をしているという事実を暴いたことである。

自衛隊は多国籍軍に参加している

 高裁は「多国籍軍に日本の自衛隊も参加することになった」と多国籍軍への参加を認定し、「イラク攻撃の大義名分の大量破壊兵器は現在まで発見されず、むしろこれが存在しなかったものと」理解し、「多国籍軍は最大41ヶ国が、現在の参加数は21ヶ国となっており」イラクからの撤退が国際的流れで、「国際貢献」の名目が実態から離れていることを認定した。

多国籍軍の軍事行動の実態

 多国籍軍の軍事行動はファルージャ、バグダッドで「武装勢力掃討の名の下に違法な兵器も使用して実施され、市民は市外への避難を余儀なくされ、生活基盤のインフラや住宅は破壊され、多くの民間人が死傷している」「バグダッドの空爆は07年に入り1447回と、06年の約6倍にのぼり、イラクの状況はイラク戦争開始時より悪化している」「イラク人被害者は06年11月までに死者15万1千人にのぼり、最大で22万3千人に及ぶ可能性があり(WHO)、イラクの人口の7分の1にあたる約400万人が難民となり、国内の避難民は200万人以上になる」と認定している。

空自の役割は米兵の空輸。戦争激化の張本人は自衛隊

 当初は「バグダットは安全が確保されないとの理由で輸送は行われなかったが、陸自のサマワ撤退を機にアメリカからの強い要請により、バグダッドへの輸送を行うようになった。輸送の大多数は武装した多国籍軍の兵員である」「航空自衛隊は06年7月頃以降バグダッド空港へ武装した多国籍軍の兵員を輸送している。アメリカ軍はこの時期と重なる06年8月頃バグダッドにアメリカ兵を増派し、同年末頃からバグダッドにおける掃討作戦を一層強化している」と、戦争を )激化させたのは、米軍を運んだ自衛隊であったことを認定している。

多国籍軍の武力行使と一体化と認定。「バグダッド空港は非戦闘地域」というごまかしを論破

 「多国籍軍と武装勢力との間で戦闘行為がなされている地域と地理的に近接した場所(バグダッド空港)において、多国籍軍の武装兵員を定期的かつ確実に輸送しているものであり、多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っているということができる。他国による武力行使と一体化した行動であり、自らも武力の行使を行ったと評価を受けざるを得ない行動である」と認定した。

憲法9条違反を明確に言い切る

 「現在イラクにおいて行われている航空自衛隊の空輸活動は、政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合であっても、武力行使を禁止したイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し、憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」と認定した。「仮にイラク特措法が合憲で、政府と同じ憲法解釈に立ったとしても違憲と認定した」ことは、政府に反論の余地を与えない固い論理展開である。

平和的生存権という武器

 「平和的生存権は、全ての基本的人権の基礎にある基底的権利であり、憲法の基本的精神や理念を表明したに留まるものではない」「憲法9条に違反する国の行為によって、生命、自由の侵害、被害や恐怖にさらされる場合、戦争遂行への加担・協力を強制される場合には、裁判所に救済を求めることができる具体的権利である」と認定し、「憲法上の概念は抽象的なものであり、解釈によって充填されるものだ。例えば『自由』や『平等』ですら、その達成手段は多岐多様であり、平和的生存権のみ具体的権利性の可能性が否定される理由はない」と、具体的権利性否定論に反論している。

刑を執行するのは国民の仕事

 高裁は国に対して有罪判決を下し、それが確定した。裁判所は刑を執行しない。刑の執行は国民の仕事である。

原告の気持ちを思いやる判決

 形式的には原告敗訴であるが、原告の「切実な思いには、平和憲法下の日本国民として共感すべき部分が多く含まれている」と述べている。

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九条の会・わかやま」呼びかけ人
室井修さんを偲ぶ会

 昨年12月8日に亡くなられた「九条の会・わかやま」呼びかけ人・故室井修さんを偲ぶ会が7月12日に和歌山市で開かれ、経歴・業績・講義の内容紹介、ご家族からのお話、「思い出」を語る、「室井先生の教育法思想から学ぶ」発言などが行われました。
 奥様からは闘病の詳しい経過や、先生の原則を貫く頑固な人柄と家族とのかかわり、反戦平和への思いなどが話されました。闘病の末期には自宅療養となり、ご家族は負担も多かった分、濃密な時間となったそうです。
 同僚や教え子など多くの人が、「原則的で頑固、楽観主義、気さく、お金にうるさい」などと、思い出を笑いも交えてこもごも語りました。
 「室井先生の教育法思想から学ぶ」発言では、土屋基規氏が、室井教育行政学の特徴として「@教育行政は教育内容支配でなく、教育条件整備義務を負うという『憲法・教育基本法の立場』A各地の行政や運動に学識を提供する『地域性』と、子どもの権利条約やアメリカ教育行政学専門という『国際的視野』B『法からだけ発想するのでなく』社会の動きと判例で形成される面に留意」をあげ、室井さんと教研集会共同研究者として長年ともに活動したことが「もう一つの大学院」くらい有益だったと語りました。山本健慈氏は、室井さんが示したものとして、「@闘う意思の強さA闘う方法」をあげ、闘う現場の主体を再構築することが今の課題ではないかと問題提起しました。
 また、当会事務局長が「和歌山県『9条の会』交流集会が成功した。種を蒔いた室井さんに見せたかった」と発言し、参加者から大きな共感の拍手がありました。

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【九条噺】
 先日、散歩で立ち寄った喫茶店。何気なく手にした週刊誌(週刊「ポスト」7月4日号)に森永卓郎氏(経済アナリスト)が「書評」を書いていた。氏がとりあげた本は、かの竹中平蔵氏の近著「闘う経済学」▼森永氏はここで竹中氏を「やはり10年に一度生まれるかどうかの天才だ」ともちあげ、この著作について、「説得力のある文章を書くためにはどうしたらよいのか」という視点では「他書を寄せ付けない最高の教科書」と褒める▼その「理由」がふるっている。森永氏は「後期高齢者医療制度や派遣労働の規制緩和など、小泉構造改革の残した負の遺産が国民生活を脅かしている」「その小泉内閣のもとで不良債権処理と郵政民営化の二大改革に深く関わったのが竹中氏で」「これらは結局本来生き残れる企業まで破綻に追い込み、ハゲタカに巨万の富をもたらすとともに、格差急拡大の基礎をつくり」「国民のサービスを低下させ、郵貯・簡保の国家保障をなくした」と指摘する。だから、「普通なら正当化することは容易でないが、竹中氏はその正当化という神業を見事になしとげた」というわけだ。そして「大部分は事実を書き、核心は明快にはずす」などの「見事な」レトリックについて解析する▼結論を言えば、森永氏の「絶賛」は「極め付きのホメ殺し」であるが、実は「この手のレトリックに騙されたら危ないですよ」とのメッセージでもある。改憲派の「あの手この手の」レトリックに御用心!(佐)

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交流集会の記事を読み「9条の会」に入会

 「和歌山県『9条の会』交流集会」を伝える朝日新聞の記事を読まれた和歌山市のAさんから、記事に書かれた事務局員の電話番号に「『9条の会』に入会したい」という電話がありました。地域9条の会を紹介して、早速入会していただきました。

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猛暑の中、署名活動続けられる

 猛暑にもめげず各地で署名活動が続けられています。
 7月27日、「憲法署名を進める楠見の会」(守ろう9条 紀の川 市民の会など)は善明寺地区で署名活動を実施。9人4組とやや少人数でしたが、97軒を訪問し、77筆を集めました。

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ストップ「集団的自衛権行使容認」P
    「九条の会・わかやま」事務局・南本 勲

「集団的自衛権」と「安保法制懇報告書」A
4類型で集団的自衛権行使、武力行使を要求


 昨年5月、安倍前首相は安保法制懇談会に、わが国に対する武力攻撃とは言えない4類型の検討を指示した。「報告書」は4類型に対して次のように憲法解釈の変更を要求している。

@公海における米艦の防護

 「報告書」は「これまでの憲法解釈では、自衛隊は米艦を防護できず、対艦ミサイル攻撃にも対処することができない。よって、この場合には集団的自衛権の行使を認める必要が」あり、「日米同盟の効果的機能が一層重要であり、同盟国相互の信頼関係の維持・強化のために不可欠である」と言う。
 わざわざ、戦闘がありそうな公海に米艦と一緒に出かけない限り世界第一の米艦が攻撃され、自衛隊がそばにいるという事態は考えられない。もっともらしい状況を設定した「日米同盟強化」の議論でしかない。

A米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃

 「報告書」は「この場合も集団的自衛権の行使によらざるを得ない」と言う。迎撃しなければ「日米同盟を根幹から揺るが」し、「ミサイル防衛システム(MD)は従来以上に日米間の緊密な連携関係を前提として成り立っており、そこから我が国の防衛だけを切り取ることは、事実上不可能である」と言う。
 しかし、政府はMD導入時、「わが国を防衛するもので、第三国の防衛に用いられることはない」と答弁した。イージス艦の共同訓練などで既成事実を作っておいて、「切り取ることができない」と言うのは、為にする議論と言わねばならない。

B国際的な平和活動における武器使用

 PKOなどで認められる武器使用は正当防衛や緊急避難の場合だけである。「報告書」は「国際基準と異なる基準で(活動に)参加している。これは常識に反し、国際社会の非難の対象となり得る」。従って「国際的な平和活動への参加は、憲法9条で禁止されていないとすべき」で、「他国の部隊への駆け付け警護及び任務遂行のための武器使用を認めるべき」と言う。
 これは「国際基準と異なるので、憲法解釈を変更せよ」という、「国際基準」を憲法の上におく議論である。「国際社会の非難」は、アメリカからぐらいだろう。「アメリカに顔向けできないから、憲法解釈を変更せよ」という議論に過ぎない。

C同じPKO等に参加している他国の活動に対する後方支援

 他国の武力行使と一体化する後方支援は禁止されている。「報告書」は「事態が刻々と変わる活動の現場において、『一体化』論は適用することが極めて困難な概念である」から「これまでの『一体化』論を止め、政策決定すべき」と言う。
 「補給、輸送、医療等の本来武力行使ではあり得ない」と言うが、名古屋高裁判決でも「輸送等の補給活動は戦闘行為の重要な要素」と認定されており、そもそも無理な議論だ。また、「政策決定すべき」と政府の判断に委ねるなど、とんでもない議論と言わなければならない。

 4類型は集団的自衛権行使や武力行使を合憲とするために、もっともらしい状況を設定した、見え見えの指示であった。
 日本は、日本国憲法の許す範囲で協力するとして、56年に国連加盟が認められた。日本の国際貢献は憲法9条を守り、平和的方法でなければならない。

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(2008年8月5日入力)
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