「九条の会・わかやま」 84号を発行(2008年11月15日付)

 84号が11月15日付で発行されました。1面は、空幕長が「侵略国家は濡れ衣」、憲法9条京都の会が憲法集会、米大統領にオバマ氏、九条噺、2面は、那賀9条まつり開催、和歌山市一斉宣伝署名、ペシャワール会中村哲氏が参院で陳述 です。
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[本文から]

空幕長が「 侵略国家は濡れ衣」と暴論
更迭は当然。過ちの重大さはそれですまされない


 田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長が、「我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣である」などと、戦前の侵略を全面的に否定する論文を発表し、政府は空幕長を更迭しました。

 政府は戦後50年の95年8月15日、当時の村山首相が、戦前の植民地支配と侵略について「国策を誤り」「アジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた」とし、「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明しました。歴代政府はこの村山談話を踏襲しています。
 田母神論文は政府見解を真っ向から否定し、旧満州や朝鮮半島の植民地支配を正当化し、「大東亜戦争」を肯定する内容で貫かれています。さらに、憲法が集団的自衛権の行使を禁止していることや、武器使用の制約などを「東京裁判のマインドコントロール」などと批判しています。
 田母神氏は今年4月の、名古屋高裁のイラク派兵違憲判決について、お笑いタレントの言葉を引用して「そんなの関係ねえ」とちゃかして語り、物議をかもした人物です。
 憲法99条は「・・・公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と定め、自衛隊はシビリアンコントロールが大原則です。憲法が禁じる集団的自衛権の行使や海外での武器使用を主張したり、政府の公式見解を真っ向から否定するなど、氏の責任は極めて重大です。政府が直ちに更迭したことは当然のことですが、懲戒免職に値する事態を定年退職で済まそうとする政府の態度も大問題です。
 防衛省内では歴史認識などが偏っている要注意人物だと広く認識されていたのに歴代の首脳は田母神氏の言動を放置し、トップに任用し、その人物が政府の基本方針を堂々と無視して振る舞い、それをだれも止められないという異常な状態を放置した政府の責任も極めて重大です。
 また、今回の懸賞論文には97人もの航空自衛隊員が応募し、論文総数の4割が自衛隊員だったと言います。航空幕僚監部教育課が全国の部隊に論文募集を紹介し、小松基地ではまとめて提出したそうで、航空自衛隊の組織的な取り組みと言えます。
 これらの事態の原因は、過去、閣僚が植民地化や侵略を合理化する発言をしたり、麻生首相も以前に、日韓併合時代の「創氏改名」を「朝鮮の人たちが名字をくれと言ったのが始まりだ」と語ったり、安倍元首相は、就任前は「適切な評価は歴史家に任せるべきだ」と、日本の戦争責任への明言を避けていたことなどに見られるように、歴代自民党政権の面々がまじめに侵略戦争を反省してこなかったことにあるのではないでしょうか。

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「憲法9条京都の会」が憲法集会
公布から62年 「9条守ろう」1000人参加


 憲法公布から62年たった3日、「憲法9条京都の会」が東山区の円山野外音楽堂で「いのち大切に 9条守る11・3憲法集会 京都」を開き、参加した市民約1000人(主催者発表)が9条を守る思いを確認した。

 集会では、憲法学者の森英樹・龍谷大大学院教授が「激動の中での『改憲』動向と私たちの展望」と題して講演。「日本は米軍再編によって米国が仕掛ける戦争の前線基地になろうとしており、巨額のミサイルや戦闘機を新たに配備しようとしている」と指摘。「9条が邪魔になっているのは明らかで、憲法とは逆向きの国のかたちにしようとしている」と政府を批判した。
 続いて代表世話人の1人で狂言師の茂山千之丞さんらが、横柄な大名を商人が懲らしめる内容の狂言「昆布売(こぶうり)」を上演して会場から大きな拍手を浴びた。その後、9条を守る決意を宣言するアピール文を採択して閉会。参加者は、会場から京都市役所まで「平和憲法を守ろう」などと訴えながら行進した。(毎日新聞11月4日京都版)

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米次期大統領にオバマ氏
イラクからの早期撤退とアフガン問題の非軍事的解決を


 11月4日に実施された米国大統領選挙でオバマ氏が当選しました。これはイラク戦争などブッシュ政権が国連を無視して進めた一国覇権主義や昨今の金融危機をもたらした経済政策に対する米国民の強い批判を表しています。
 オバマ氏は選挙公約で大統領就任後16ヶ月以内にイラクから撤退すると表明していますが、アフガンに関しては「主戦場」と位置づけ、アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者の捜索を徹底させると米軍増派と「同盟国」の協力強化を訴えてきました。
 しかし、ペシャワール会・中村哲氏が「軍事力でテロは絶対になくならない。ますます拡大する」と11月5日の参院外交防衛委員会で述べたように、軍事力でアフガン問題を解決することはできません。
 オバマ氏には、1日も早いイラクからの撤退を求めるとともに、アフガン問題を軍事力に頼らず、平和的・外交的手段で解決をするように要求しなければなりません。そして、国内では米国のアフガンでの軍事活動に協力する「新テロ特措法延長法案」を廃案にしなければなりません。

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【九条噺】

 ジャーナリスト筑紫哲也氏が逝去された。肺がん。73才。なげかわしいテレビ番組が氾濫するなか、「ニュース23」は比較的良質で、とりわけ筑紫氏自身の思いをコンパクトに伝える〝多事争論〟は楽しみでもあった。氏のご冥福を祈る▼さて「23」は筑紫氏のいろいろな〝顔〟を映し出した。さすがに沖縄の「基地問題」をはじめ、「イラク戦争」等ではジャーナリストとしての自信に満ちた〝顔〟も垣間見ることができた。それでも、民放故の「制約」によるのか、揺れ動く〝顔〟も一再ならず見たような▼ただ残念だが、阪神大震災(95・1・17)の夜の放送はいただけなかった。被災地神戸で瓦礫の中、まだアチコチから火災の煙がたちこめている画面を背景に開口一番「まるで温泉地に来ているようです・・・」と言ったからだ。思わず耳を疑った。表現の是非というより、「拠ってたつ位置」とその立場から生じる「ことば」はジャーナリストの生命線だと思うからだ▼その1カ月後、当時まだ健在だったジャーナリストの黒田清氏が神戸市長田区の焼け跡からの中継でゲスト出演した。被災者(在日二世)が震災直後に作った詩を紹介し、朗読しかけたとたんに絶句し、涙で途切れた。ここは「本物のジャーナリストなら」などと敢えて言うまい。黒田氏をますます好きになったし、この夜は筑紫氏にも感謝したのだから。(佐)

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那賀9条まつり「好きなんよ9条!」開催

 「九条を守ろう」那賀郡の会の結成以来、11月に開催してきた「那賀9条まつり『好きなんよ9条!』」は、今年で4回目。9日(日)那賀スポーツリクレーションセンターで開かれ、230名(福引抽選をした人の数)が参加しました。

 夜来の強い雨、さらに小雨が降る寒空という悪条件のもとでの開催で、足下が悪く、舞台のある運動場が使えず、軽トラックの荷台からの挨拶です。
 開会挨拶で増田博さんは、航空自衛隊制服組トップの解任問題に触れ、「暴言を公然と繰り返した人物を安倍、福田、麻生の歴代の自民党政権が任用してきた。『あの人は変わった人や』ですましたらあかん。もっと怒らにゃ」と話されました。
 会場には、いくつものテントが張られ、15の模擬店がならび、参加者は手作りの食べ物などに舌鼓を打っていました。舞台での出し物は縮小されましたが、それでも、3人の青年教師によるギター・器楽演奏や平和の○×ゲーム(こども向け、大人向け)などが行われ、会場は盛り上がりました。また、「平和について」のリレートークでは、中学生の三浦さんが、今年の原水爆禁止世界大会へ参加した感想を発表、「九条の会貴志川」からは、地域でのとりくみが報告され、署名運動を強めたいという決意も述べられました。

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和歌山市一斉宣伝・署名行動

 和歌山市では11月9日「一斉宣伝・署名行動」が実施され、7地域で、55人が行動し、345筆の署名が集められました。
 楠見地区では、「守ろう9条 紀の川 市民の会」会員や、高校教職員組合の先生、医療生協の医師や職員、地域の民主団体の会員などでつくる「憲法署名を進める楠見の会」が10回目の地域署名行動に取り組みました。7組15名のメンバーが小雨まじりの中を約1時間、署名を訴え、98軒で対話して、85筆の署名が集められました。

 のっけから「若い者は戦争に行って鍛えろ」と言われビックリしたが、冗談で、「戦争は絶対にあかん」と快く署名をしていただいた話に大笑い。「いつも通り事前ビラで訪問を待ってくれている人も多かった」「いつもより対話が進み、話をした人が多かった」「高齢者にも分かりやすい話し方が必要だ」「ハンドマイク宣伝があれば、もっとやりやすい」などの感想や意見が出され、「当初は緊張したが、数えて10回目で訪問しやすくなってきた」との声もありました。「署名活動をするのがだんだんと楽しくなってきた」との会長の発言で締めくくりました。

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「対テロ戦争」が治安悪化に拍車
    ペシャワール会・中村哲現地代表の陳述抜粋 ①


 新テロ法延長案を審議している参院外交防衛委員会は11月5日、中村哲氏を参考人として招致し、意見を聞きました。坂本文博さんより議事録を提供いただきましたので、何回かに分け抜粋を紹介します。


 実はアフガンを襲っている最も脅威は大干ばつであり、今年の冬、生きて冬を越せる人がどれぐらいいるのか。恐らく数十万人は生きて冬を越せないだろうという状況の中で、私たちは、1人でも2人でも命を救おうと力を尽くしております▼恐らく5百万人がまともに食べられない、飢餓状態にあるというのがアフガンの現実であり、このみんなが食べていけない状態、そのためにみんな仕方なく悪いことに手を出す、あるいは傭兵となって軍隊に参加するという悪循環が生まれております▼まずみんなが食えることが大切だということで、水それから食物の自給こそアフガンの生命を握る問題だということで、過去、ペシャワール会は干ばつ対策に全力で取り組んできました▼5年前から用水路の建設に着手し、現在20キロメートルを完成しつつあります。その結果、それまで荒廃していた砂漠化地帯で10数万人の人々が帰ってきて生活できるようになる。更にこれが20数キロ完成いたしますと約5千ヘクタールから6千ヘクタールの新たな開墾地が生まれ、20万人、30万人以上の食料供給が可能になり、地域住民と一体になって仕事を進めておるところです▼干ばつに加えて、アフガンをむしばんでおるのが暴力主義です。これは、アフガン人の暴力であることもありますし、外国軍による暴力のこともある。これがアフガンの治安の悪化の背景をなしており、私どもはこれにも心を痛めておる次第です▼アフガンは現在治安が悪くなる一方で、しかもその治安悪化が隣接するパキスタンの北西辺境州まで巻き込んで膨大な数の人々が死んでおるということは皆さんご存じだと思います▼干ばつとともに、いわゆる対テロ戦争という名前で行われる外国軍の空爆、これが治安悪化に非常な拍車をかけておるということを、私は是非伝える義務があると思います。(つづく)

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(2008年11月15日入力)
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