「九条の会・わかやま」 95号を発行(2009年3月9日付)

 95号が3月9日付で発行されました。1面は、イラク派遣岡山訴訟判決、「和歌山県自治体関係者九条の会」結成総会、「和歌山中央医療生協九条の会」第4回総会、九条噺、2面は、和歌山市ひがし9条の会「戦争体験を聴く会」・九条の会美浜「第4回戦争を語る会」 です。
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[本文から]

平和的生存権は基本的人権
 憲法判断には踏み込まず(岡山訴訟)


 イラクへの自衛隊派遣は憲法9条に違反するとして、国を相手に派遣差し止めや違憲確認などを求めた集団訴訟で、岡山地裁は2月24日、自衛隊派遣についての憲法判断には踏み込まず、原告側の訴えを全面的に退ける判決を言い渡しました。
 しかし、「平和的生存権」については、「憲法上の基本的人権であり、裁判規範性を有する」と述べ、裁判所が直接、審査の基準として適用できると判断しました。さらに、判決は「徴兵拒絶権、良心的兵役拒絶権、軍需労働拒絶権など」を例に挙げ、これらの権利が具体的に侵害された場合は、個人が国に損害賠償を求めることも認められるべきだとしています。
 昨年4月の名古屋高裁判決はバグダッドを「戦闘地域」としたうえで「多国籍軍の武装兵員を空輸するのは、他国による武力行使と一体化した行動」と述べ、憲法9条1項に違反する活動を含むと認定しました。原告側の訴え自体は棄却したため国側は上告できず、判決は確定しています。
 岡山弁護団の清水善朗弁護士は、「良心的兵役拒絶権」などを認めた判決について、「自衛隊員が戦闘行為を拒否することも、平和的生存権として行使できることを認めたもの」と語り、河原昭文弁護団長は「平和的生存権では一歩も、二歩も前進した判決」とのべました。

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「和歌山県・自治体関係者九条の会」
 新たに結成!


 2月28日、「一法(はしのり)さんのサックスを聴きながら、九条を語り合おう」と名づけた「和歌山県・自治体関係者九条の会」結成総会が、〝梅の香り〟に包まれる国民宿舎「紀州路・みなべ」で開催され、橋本から新宮まで県下各地の自治体関係者ら70人が参加。総会は、第1部・各地の自治体関係の九条の会の結成や活動状況など、一通りのセレモニーのあと、第2部のオープニング演奏は、「人間が人間らしく生きるために」と題した講演にふさわしく「アメージング・グレース」。和歌山の自治体関係者とも馴染みの深い「宗教者九条の会」の一法真證(はしのり・しんしょう=元大阪労連委員長)さんは、新自由主義の崩壊に揺れるアメリカの話のときは「慕情」や「モーニン」を、米軍沖縄基地の不条理な話のときは「島唄」や「涙そうそう」。そしていま注目のラテンアメリカの政治変革の話では「コーヒールンバ」や「コモエスタ赤坂」など、趣向を凝らした演奏を披露。大きな拍手に包まれました。
 また、一法さんは講演のなかで「九条の重み」について触れ、改憲派がよく使う「攻撃されたらどうするのか」という議論には「9条の存在自体が、この国に攻めて来にくいものにしている」「九条を持つ国を攻めたりすると、世界的な非難を浴びる」「だから、みんなが確信を持って九条を語ろう」とわかり易く解説しました。和歌山市から参加した若い現役の自治体職員は「ユニークで、それでも参加者の心に響く結成総会ですね」と話していました。(保田禎巳さんより)

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「和歌山中央医療生協・九条の会」第4回総会開催

 2月22日(土)、「和歌山中央医療生協・九条の会」の第4回総会が和歌山生協病院・会議室で行われました。代表世話人の挨拶の後、すぐに、映画「日本の青空」を鑑賞しました。観るのは2回目という人は、「よくできた映画だ。まったく見飽きしなかった」また、別の人は「日本国憲法が、どのようにして誕生したかがよくわかった」と感想を述べていました。
 09年度の活動方針として、①「県民の会」や「和歌山市共同センター」が呼びかけている9条を守る住民過半数署名運動にとりくむ。②医療生協の「支部」や「事業所」を単位に医療生協の組合員・職員を対象とした学習、宣伝活動をすすめる。「憲法フェスタ(まつり)」開催を検討する。③「支部」や「事業所」を単位とした「九条の会」づくり、地域や他の「9条の会」と交流・共同する、の3点が確認されました。
 また、憲法25条に焦点をあてた「日本の青空Ⅱ~いのち輝く里~」が今年6月に完成予定になっていることも紹介され、和歌山中央医療生協として制作協力を行い、上映運動も行うことが報告されました。
 なお、この日の上映で使ったDVD、プロジェクター、スクリーンは、映画「日本の青空」上映和歌山市実行委員会の活動の残金で購入したものです。プロジェクターを使うと画面が大きくなり、100人程度でも十分に鑑賞することができます。(もちろんそれより少ない人数でもOKです)DVDは、無料ならどこででも上映できます。この機材は、和歌山中央医療生協事務局で保管しています。基本的には、機材の貸し出しは無料です。「私たちが日本国憲法を持っている『誇り』がかきたてられる映画」です。それぞれの「9条の会」が地域や職場で、この機材をおおいに活用・利用されることを期待します。(久保田泰造さんより)


 「日本の青空」機材の問い合わせは久保田泰造さんまで 073-474-5123
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【九条噺】

 政権誕生以来、言動が国民の感覚や願いとはかけ離れ、「先読めず心も読めず字も読めず」などといわれた麻生首相。その後も迷走止まらず、支持率も1割そこそこに落ち込んで、「川柳で総理への揶揄ももう飽きた」とか。そんな総理に櫻井よしこ氏が〝檄〟をとばした▼「自民党の党是にのっとり、改憲への具体策を推進すべきだ」「そのためにも総理自らが直ちに正しい歴史観を示すべきだ」(産経新聞)という。それにしても唐突で物騒な〝檄〟ではある。氏がいうところの「正しい歴史観」は、例えば「張作霖事件はコミンテルンの陰謀」「盧溝橋事件は中国側が先制」「真珠湾攻撃は米側の罠」など、〝珍説を重ねて〟「侵略戦争」の否定に至るもの。ちなみに、〝檄〟の翌日、氏と同様の歴史観を有する中川大臣が、ローマで例の「会見」をやり、辞任さわぎでせっかくの〝檄〟も霞んだ▼だがこの政権、「迷走」しつつもアメリカへの忠誠ぶりは変わらない。先頃、米国務長官来日の際も、日本が米軍再編費全体で3兆円、うちグアム「移転」整備だけで7千億円も提供することを再確認し、また、オバマ新大統領がとりあえず1万7千人を増派するアフガンや、さらには「ソマリア」でも共同歩調をとると約束した。憲法9条などまるで眼中にはない、〝アブナイ泥酔政権〟にご用心!(佐)

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「戦争体験を聴く会」大盛況


「和歌山市ひがし9条の会」 「戦争体験を聴く会」

 2月22日(日)、東部コミュニティセンターで開催し、中活動室があふれんばかりの参加者となりました。和歌山大空襲のパネル展示、日本国憲法やイラク戦争関係書籍の販売、コーヒー店も開かれました。
 第一部は西谷文和氏のビデオ「イラク戦争からの告発」を鑑賞しました。
 第二部は「戦争体験を聴く会」です。語る人は3人で、「①戦時中の食事や日常生活②一番恐ろしかったこと・悲しかったこと③本人や家族の軍隊生活④終戦直後の生活と気持ち」をテーマに語られました。
 88歳の第1発言者は20才で現役召集、中支へ派遣。古参兵のリンチや兵隊生活に耐えかねての自殺さえ中国兵の銃撃に遭ったとでっちあげ、連隊へ報告するという異常を告発しました。そして、小さい頃から一貫した「軍事中心」教育が大きな力で生き方を支配していた。教育の力は大きい。今も教育勅語は諳んじられる。これからどんな教育をするかが大事と語りました。
 78歳の第2発言者は、和歌山大空襲の後、おじさんを探して汀公園に行ったら、堀に落ちて死んだ人、性別や年令が判らない焼死体など、公園は遺体がいっぱいで、筵が一人一人に掛けられていたが、真夏のこと、「その臭い」が忘れられない。戦争の映像を見るより私の場合は「この時の臭い」が戦争を深く蘇らせる。「あの苦労を考えると、どんな苦労も耐えられる」と語りました。
 77歳の第3発言者は、自宅は和歌山の空襲で焼失した。師範学校教師の父は学校で宿直、家族は火のない所を求めて逃げた。中学生の頃は学校に行くより「勤労奉仕」という名目で太田や出水の農家に手伝いに行った。田植え、草取り、稲刈りや防空壕掘りなどに駆り出されて、学校での勉強の機会が大変少なかった。戦後の苦しい食糧事情についても語りました。
 参加者からは「戦争をするには、まず教育統制から始まり、国民を戦争体制に慣らしながら締め付けてくる。今そういう動きがある。運動を広げ、その動きを打ち破ることが大事」「少ない人ではなく、沢山の人で」などの意見が出されました。(木下和久さんより)

「九条の会・美浜」結成3周年記念 第4回「戦争を語る会」

 「九条の会・美浜」は1月10日(土)、美浜町地域福祉センターで結成3周年記念行事・第4回「戦争を語る会」を開催しました。坂本文博さんが「守り活かそう憲法9条」、尾浦浩巳さんが「聞き取り~塩崎竹千代さんを偲んで」、小松雅也さんが「引き裂かれた青春~特攻隊で散った兄」と題して語られました。今回は「特攻で散らされた命」というテーマで、半年前から取り組み、特攻で亡くなった2人の戦争体験を収集し、やっと開催できました。
 「命を使い捨てにする時代に戻らぬために」というチラシを「九条の会・美浜」の会員、町内の学校教職員、憲法9条を守る御坊日高共同センターに結集する労働組合員、日高郡市9条の会ネットワーク、郡市民を対象に地方紙(紀州新聞、日高新報)へチラシの折込みと案内の記事、当日の取材・記事に掲載を依頼、前日の町内街頭宣伝、塩崎竹千代さん、中西伸一さんの遺品の掲示の準備、当日のボードに張る作業などをよびかけ人、事務局員が一致協力して用意をしました。雪もちらつく寒い日でしたが、100人を超える、過去最高の参加者数で感激しました。「田母神論文」問題や、「ソマリア海賊対策」を利用した自衛隊海外派兵問題など、改憲への巻き返しの危険な動きが察知されていたり、特攻隊員の命を物のように使い捨てる戦争について考えようという強い気持ちも反映したのではないかと思います。3人の語り部はその個性を発揮し、とくに、特攻隊で若くして散った命に対する思いは、聴く人の感動や涙を誘い、印象深いものでした。
  「戦争の残酷さをリアルに話され、特攻隊を美化する動きもあるが、それぞれの悲劇がある。武力攻撃は憎しみの増幅という結果しか生まない。世界中から戦争をなくし、平和な社会をめざし、さらにがんばりたい」「戦争の残酷さ、平和の尊さを考え、訴えて行きたい」「知らない、無知ということも戦争を招くのかも。話し合いこそ大切、言葉の力も大切」など多くの感想が寄せられました。(大谷眞さんより)
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(2009年3月14日入力)
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