「九条の会・わかやま」 96号を発行(2009年3月19日付) 96号が3月19日付で発行されました。1面は、益川教授 九条科学者の会で講演、海賊対処新法上程 護衛艦2隻ソマリア沖へ、全国革新懇が抗議声明、九条噺、2面は、「県民大署名」駅前行動、ソマリア 和平づくりこそ根本(谷本美加さん)、「高校生9条の会」交流集会(東京) です。 | |
物理屋は問う 「なぜ改憲したがる?」 益川教授、九条科学者の会で |
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ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英・京都産業大教授(69)が8日、東京都千代田区の明治大で講演した。自身も呼びかけ人をつとめる「九条科学者の会」の発足4周年記念の一環。ユーモアを交えながら平和への思いを語った。
海賊対処新法を国会に提出 |
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政府は13日、「海賊対処新法案」を国会に提出しました。また、「新法」の成立を待たず、「海上警備行動」を発令し、海上保安官8名を乗艦させて、護衛艦「さざなみ」「さみだれ」を14日、ソマリア沖に派遣しました。「海警行動」では「正当防衛、緊急避難」の場合は「危害射撃」が認められます。海賊が停船命令に従わず、発砲すれば応戦し、海賊を殺傷することもできます。「新法」では、それに止まらず、海賊が停船しない場合は、海賊が発砲しなくても、自衛隊が先に「危害射撃」を行うことを認めています。これは、「海賊対処」であっても、憲法が禁じる「武力行使」です。
ソマリア沖派兵に強く抗議し、撤回を求めます
【九条噺】
「県民大署名」駅前行動 |
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谷本美加さん |
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写真家。69年生まれ。98年NGO国境なき医師団日本フォトジャーナリスト賞。著書に「ソマリア、心の傷あと」 ☆
ソマリア沖で頻発する「海賊」は国際社会を困らせていますが、海上での警戒や取り締まりで解決できるとは思いません。ソマリア国内には、海賊になるしかないような予備軍がいくらでもいるからです。91年から内戦状態にあるソマリアはそれほどひどい状況です。困難ですが国内の和平づくりに協力していくことこそ海賊問題の根本的な解決につながると思います。私は、99年から04年にかけて何度もソマリア各地に行きました。病院や難民キャンプ、市場や人びとの暮らしを取材し、写真を撮ってきました。その後もウオッチしていますが、「海賊」という言葉を耳にしたのは06年から07年の初め。写真などでその姿を見て、ソマリア国内の「民兵」たちが外貨稼ぎの場を陸から海に移したに違いない、と思いました。 ソマリ人は多くが遊牧民で、ラクダやヤギなど家畜を飼って暮らしていました。沿岸部では漁業も盛んでしたが、内戦後は難民となって近隣、欧米諸国に出た人たちの送金に頼る経済になった。それも01年の9・11テロで、米国はテロ組織アルカイダに関連しているとしてソマリアヘの外貨送金を禁じ、干ばつや食糧危機などが重なって、経済はずたずたになりました。人□約870万人のうち320万人が食料など生活・人道支援を必要としています。 町では働く場もなく、中央銀行も機能しないでドルやユーロが生活上の通貨になっている。この外貨を稼ぐために、多くの若者が武装組織の民兵になって1日1ドルくらいの手当で暮らしています。 ソマリアはソマリ人の単一民族国家ですが、基本的に結束力の強い氏族社会です。六つの大きな氏族とその下に枝分かれした小さな氏族集団が地域ごとに暮らしている。植民地時代、北部は英国、南部はイタリアの保護領で、60年の独立で南部の有力氏族が政権を握ると、権力と利益を自分たちの氏族に集中させたため他の氏族の反発を呼び、内戦の下地となりました。 特に南部では多くの武装勢力が群雄割拠する状況です。私も取材する特は、2人のボディーガードと通訳と運転手を雇って出ますが、銃声の聞こえない日はなかった。首部モガディシオではライフルなどで武装した若者を荷台に載せて行き交うトラックが日常的な光景でした。武装組織はこうした民兵を使って戦い、外国人を誘拐したり、海賊行為に出たりするのです。 民兵の若者たちは「仕事さえあれば、こんなことはしたくない」と言ってました。内戦による死、憎悪、不安、絶望は多くの精神病患者を生み出しています。 日本は何だか唐突に自衛隊を派遣しようとしてますが、私は93年の事件を思い起こします。国連平和執行部隊がソマリアに派遣されました。しかし治安回復どころか大勢の市民とともに18人の米兵が殺された。死体が引きずり回される映像が世界に流れた。結局、武力に対して武力で立ち向かうという策は失敗し、部隊は撤退した。あの失敗は大きな教訓だったはずです。今回は海上とはいえ、教訓を忘れてはいけないと思います。(3月8日・朝日新聞・耕論)
Peace Party 9(ピースパーティーナイン) |
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(2009年3月20日入力)
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