孔子は「牛がかわいそうだ。助けよう」と言ったという。弟子は「一頭だけ助けたって仕方がないではないか」と言った。孔子は「しかし、この牛は私の前を通っている」と言った。それが第一歩だ。自分の前を通る牛をかわいそうだと思わなければ、ただ統計的な数字についてしゃべっても仕方がないということだ。はじめに一人の命が大事でない人は、抽象的に何百万の命のことをしゃべっても、それはただ言葉だけであって、本当の行動につながっていかない。行動につながるのはやはり情熱がなければ。情熱の引き金はやはりひとりの人間だ。(つづく)
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【九条噺】
「宝くじ」も〝たちどころに億万長者〟になる〝ジャンボ〟が増え、多少は「夢」も近づいたと 思いたいが、家人は「当たって不幸になる人もあるらしいよ」などと言う。ならばひとつ「どんな不幸か」当たって確かめたい、と思いながらまたもや買い損ねた。ところで、その「日本宝くじ協会」が最近注目すべき冊子を発行した。「平和への想い2009─後世に伝えたい空襲・艦砲射撃の惨禍」とある▼冊子は「B29という巨大な飛行機が日本のまちを無差別に焼き尽くし」「半年あまりで50万人を超える市民が犠牲(死亡)に」なったと、日本地図で被害の全貌を紹介、九州・八幡、大阪・堺、静岡・浜松については一面焼け野原になった街の全景写真とともに被害の詳細を伝えている▼冊子はまた、「戦時中の標語」を掲載。「贅沢は敵だ」「ガソリンの一滴は血の一滴」といった代表的な標語に加え、まるで噴飯物のポスターも紹介している。「東條首相の算術」「2+2=80」とあり、その下にかすかな笑みをたたえた東條首相の顔写真。そして「これは戦時下の日本の算術。今日は2+2=5、明日は2+2=7、これが2+2=80にする生産増強の鍵だ」との説明が。甚だ残念なことに未だこの〝公式〟の根拠は全く理解できないが、非科学的な精神主義の極みには違いなかろう▼いずれにせよ貴重な冊子ではある。8月には「戦争展わかやま」が今年も開催される。「平和と九条への想いを育む」実りあるものにしたい。(佐)
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日本青年会議所が改憲の先導役に?
「憲法タウンミーティング」を考える
5月3日を機に、日本青年会議所(JC)主催の「国民参加型憲法タウンミーティング」が各地で計画されています。
08年3月4日の「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根元首相)総会は民主党の鳩山幹事長、前原前代表などが新たな役員に加わったことで注目され、活動方針には「われわれと正反対の『九条の会』と称する勢力が、全国に細かく組織作りができており、それに対抗していくには青年会議所などに拠点になってもらうことも一つと思う」と述べられています。
翌日、JCは会頭・小田與之彦氏のメッセージ「新憲法制定議員同盟総会開催に対して」を発表し、「憲法のあり方に対する幅広く活発な議論を行う目的で、『国民参加型憲法タウンミーティング』の全国的な開催を予定している我々JCにとって、この動向は望ましい進展であるといえます」と述べ、JCが「九条の会」に対抗する狙いをもった新憲法制定議員同盟の地方拠点作りに呼応して全国でタウンミーティングなどを進めて行く方向を打ち出しています。
08年度にJCが開催した「憲法タウンミーティング」は18回に及びます。
「06年度JC憲法草案」は、前文で「・・五箇条の御誓文以来、大日本帝国憲法、日本国憲法に連なる立憲主義の精神のもと・・」と、大日本帝国憲法を引き継ぐ考えを示し、現9条の「戦力及び交戦権の否認」を否定し、「日本国はいかなる侵略をも排除する。前条の目的を達成する為に日本国は、軍隊を保持する。自衛権の行使にあたっては、・・」とし、軍隊を持ち、自衛名目の交戦権行使を肯定しています。JCは「国づくりに積極的に参画することの重要性を広く喧伝してまいりたい」と言いますが、「軍隊保持と交戦権肯定論を喧伝するもの」になるのではないでしょうか。
JCによる「憲法タウンミーティング」はこうした改憲肯定の開催目的に沿って行われていると考えられます。
JC会員の中には憲法9条を大切に思っている方も少なくないと思います。JCが改憲運動の下請け機関や先導役になることなく、平和を願う市民とともに9条を守り、生かす立場に立つことを願ってやみません。
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「 海賊対処新法案」審議入り
与党・民主で修正協議、早期採決へ
政府が国会に提出している「海賊対処新法案」が14日の衆院本会議で審議入りしました。
政府案は、海上保安庁で海賊に対応できない場合に自衛隊の出動を認め、期間も地域も限定しない恒久法になっています。また海賊船を停船させるための武器使用を認めています。「任務遂行上の武器使用」を認めるのは、海賊対処であっても、憲法が禁ずる「海外での武力行使」になるのではないでしょうか。
これに対し民主党修正案は、自衛官を派遣する場合、首相を責任者として設置される「海賊対処本部」の「本部員」を自衛官に兼務させ、警察活動としての「形式」だけは維持するものですが、自衛隊の派兵、武器使用基準の拡大そのものに政府案と違いはありません。ある民主党議員は「実態は自衛隊の派遣かもしれないが、警察活動を行うわけだから仕方がない」と言い、他の議員は「形式的な修正に意味はない。自衛隊をそのまま出せばいい」と自衛隊の派兵を公然と求めていると言います。
民主党は20日に与党との修正協議に持ち込み、連休前に衆院を通過させたいとしています。与党にも修正容認の動きがあり、例え、協議が不調に終っても民主党は「審議引き延ばし」はしないとのことですので、十分な審議なしに法案が早期に採決される可能性があります。
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