「九条の会・わかやま」 特集号を発行(2006年11月10日)

 日本国憲法公布60周年特集号です。1面に、西日本各地での大きな取り組みの紹介と、これを無視するメディアへの批判。2面には、各地の特色ある取り組みの紹介、「機関紙・草の根ジャーナリズムの出番」です。
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11.3憲法公布60周年/全国で多彩な集会とデモ

憲法を守り活かそう 全国で大きなうねり
  神戸7500人 広島7000人 京都4000人 大阪2000人

これだけの出来事を完全無視?
  マスメディアはなぜ伝えぬ

    日本国憲法が公布から60年を迎えた11月3日、各地で「憲法と教育基本 法を守り生かそう」と大規模な集会やデモが取組まれましたが、マスメディアはこの種の取り組みを完全無視。マスメディアには文化勲章授与式の報道のほうが価値があるらしい。メディアはひどい状況だ。せめて小さいながら本紙が「これを報道しないで何を…」 の気概で緊急に特集を組みました。

[神戸] 「はばたけ!九条の心」に7500人

 兵庫では「はばたけ!9条の心」(9条の心実行委など5団体主催)が、神戸市ポートアイランドのワールド記念ホールで開かれ七千五百人が参加。
 「いま新しい曙に向かって〜9条への熱い思い」と題して、作家の澤地久枝さんが講演。戦争の犠牲になった日本人遺族や、日本の中国侵略の非道な実態などにふれ、「戦争によって切り捨てられた人たちがどれだけ無残な人生を送ったか。私は心の底から戦争に反対です。九条を変えてはいけない。それをいい続けます」と訴え、万雷の拍手を受けました。伊藤塾塾長・法学館憲法研究所長の伊藤真さんも「地球の宝・憲法9条〜今を生きる私たちの責任」と題して講演。若者たちによる「九条ファッションショー」やザ・ニュースペーパーのコン卜が集会を盛り上げ、参加者は「澤地さんの話が胸に追って…」と感激。

[広島] 有名俳優らがメッセージ 会場は7000人

 県内の九条の会や、民主・平和団体、労働組合などでつくる実行委員会が主催する「9条ピースフェスタinヒロシマ」が県立総合体育館グリーンアリーナで開かれ、七千人が参加。
 池田香代子さん(翻訳家)は「だれにとっての押しつけ憲法か?政府の人たちでしょう。終戦当時、戦争が終わり、自由にものが言えることを喜び、都内を二十万人がデモをした」と話し、小田実(作家)さんは「一人の小さな命を守る視点から憲法が生まれ、そのことが世界全体の変革につながる意義を持っている。小さな視点が世界を変える。日本国憲法は今こそ旬だ」と語りました。久保田弘信さん(フォトジャーナリスト)は自ら取材したイラクの映像を紹介。
 学者、弁護士、宗教者など82人が呼びかけ人に名を連ね、吉永小百合、加藤剛、仲代達也、奈良岡朋子、日色ともゑ、中村梅雀の各氏がメッセージを寄せました。会場は歌やコントで盛り上がり、最後に教育基本法を守ろうとのアピールを採択。

[京都] 「戦争はイヤ!平和がいい!いのち守ろう京都集会」4000人

 会場の円山音楽堂(東山区)を四千人が埋め尽くしました。集会後は、市役所前までアピール行進。「守ろう憲法と平和きょうとネット」代表幹事の黒木順子さんがよぴかけ人を代表して挨拶。内閣府が教育基本法改悪のタウンミーティングで「やらせ質問」をしていたことに触れ、「自分たちの主張を通すためには何でもやる安倍内閣にもっと怒り、教育基本法改悪反対、憲法改憲反対の声をあげよう」と訴えました。憲法や教育基本法改悪の狙いを風刺する「笑工房」木藤なおゆきさんの漫談で会場は笑いの渦。リレートークでは、高校生ら八人がそれぞれ平和について訴えました。

[滋賀] 品川正治さん講演に300人

 平和・民主・革新の日本をめざす滋賀の会(革新の会しが)が大津市内で憲法公布六十周年の記念講演会を開催。経済同友会終身幹事の品川正治さんの話に、参加者三百人が熱心に聞き入りました。品川さんは、中国の戦場、捕虜収容所からの引揚船で憲法草案を見て全員が泣き、「二度と戦争をしない憲法なら、死んだ戦友、ひどいことをした中国人にも顔向けできる。戦争は人間がやり、止めるのも人間だ」と語り、また、自衛隊の海外派兵などで「九条の旗はぼろぼろ。しかし国民は旗ざおを放していない。憲法は核兵器の現実を超える平和の論理。国民が改正ノーといえば、日本は変わる。そこに百%の希望をもっている」と訴えました。若者から「なぜ経済界は憲法改悪を主張するのか」という質問に、品川氏は「軍備を持つ普通の国になりたい、アジアの主導権を握りたいと考えている。日本の近代化は脱亜入欧だった。財界人の多くは米国留学組、アメリカを崇拝している。しかし戦争をする国・アメリカの目でアジアを見るペきでない」ずばりと答えました。

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秋晴れの各地でアイデア勝負
国道9号線で「9条守ろう」

国道9号沿線(亀岡)12ヵ所でパネル宣伝

 亀岡市では年前十時から一時間、「国道9号線憲法アピール行動」を行い、沿線12ヵ所で90人が横断幕やプラスターで「9条を守ろう」と訴えました。
 行動には憲法署名亀岡実行委員会の呼びかけで、各地域の実行委員の人たちと飛び入りの人も含めて90人が参加しました。天気もよく国道9号線でのアピールは注目を集めました。通行する自動車からクラクションの激励もうけて、元気をもらった参加者は午後から京都・東山区で開かれた円山集会に向かいました。

JR駅前広場で集会と講演 真鍋大山崎町長も参加
  集会とパレードに200人

 憲法9条守る京都・乙訓ネットが主催した集会とデモに二百人が参加しました。
 JR長岡京駅前広場で開かれた集会では、望田幸男同志社大名誉教授が講演。教育基本法改悪のねらいは「美しい国」に青年を「命をなげだしてお国のためにつくす」人間づくりにある、ときぴしく批判。憲法と教育基本法を必ず守ろうと訴えました。
 十月二十二日投票の選挙で民主町政に一歩ふみだした真鍋宗平町長が、憲法を守るためにカを尽くすと決意をのペました。参加者は向白市まで新西国街道をパレードし、沿道のマンションや信号待ちの車からも暖かい激励をうけまし た。

大阪の九条の会 「憲法公布六十周年のつどい」に2000人

 落語家の桂米朝さんや作家の藤本義一さんらのよぴかけで発足した「九条の会・おおさか」は「憲法公布六十周年のつどい」を開き、会場の大阪城野外音楽堂は気持ちのいい行楽日和とあって、二千人をこえる参加者で賑わいました。

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機関紙・草の根ジャーナリズムが
 これからの時代をつくる

小さな輪が燎原の火のごとく燃え続ければきっと…
 フリージャーナリスト 山崎 克己

 戦後60年、私たちが戦争の惨禍に遭わずに平和に過ごしてこれた原点が「日本国憲法」です。
 この機会に戦後60年の歩みを、あらゆる分野で検証しなければなりません。男女平等、婦人参政権、農地解放、財閥解体、労働組合の結成、健康保険をはじめとする社会保障の確立、言論・集会・結社の自由、由由な学問の研究、義務教育の保障、全て憲法によって保障されたからこそ、今日の日本社会があるのではないでしようか。
 「咽喉もと過ぎれば熱さ忘れる」では困ります。また、メディアが自由に活動できたのも、憲法が保障した出版・報道・表現の自由が、多くの国民にも支持され、支援されたからではないでしようか。
 いま、時代が逆流し始めている時こそ、メディアは原点に立ち返って、戦後60年を検証して警鐘を鳴らすべきではないでしょうか。権力に擦り寄って我が身の安泰だけを願っている内に、自らの首も絞められてしまうでしょう。大企業と化したマスメディアに期待するよりも、市民の草の根のジャーナリズムが、これからの時代を変えていくものだと思います。ニュース報道はされませんが、各地の憲法を守る9条の会や市民集会には多くの人達が参加しています。小さな輪が燎原の火の如く広がり、燃え続けていけば、きっと平和で戦争の無い社会を築いていけるものと、確信し期待しています。
小さくともまず一歩から声を挙げていきましょう!

全国の機関紙が権力に立ち向かう時
       本紙編集子

 安倍新政権は本音を漏らし始めた。中川政調会長や麻生外務大臣の「核保有論議」に続いて、安倍総理自身が外国メディアに「改憲」への強い決意を語った。憲法に沿った国づくりをするのか、改憲して戦争のできる国にするのか、もはやそんな議論の段階は、いつの間にか通り過ぎていて、いまは「改憲」を公約にした内閣が生まれ、「改憲案」どころか「新憲法草案」の提案で平和憲法そのものを根こそぎ変えようとしている。即ち、集団的自衛権の行使を含めて、アメリカと一緒に戦争する国を目指していることはすでに明確である。
 憲法論議はそういう時点まで推移している。
 憲法公布60周年のこの日、日本列島各地では「憲法を活かし、教育基本法を守れ」という大小規模の集会やデモ、パレードが行なわれた。(本号に掲載)西日本だけの主なものでも、神戸では七五〇〇人、広島で七〇〇〇人、京都四〇〇〇人、大阪二〇〇〇人など、それぞれ一つの会場での参加者数だ。これだけの出来事、世論の主張があるのに、マスメディアはこぞって無視。「朝日・毎日」を含めて、新聞:テレビは完全無視だ。一方で新聞・テレビとも「秋の叙勲・文化勲章」授与式は律儀に報道している。読者・視聴者の大半は普通の庶民だ。庶民は憲法より「勲章」に興味があるとでも思っているのだろうか。「しんぶん赤旗」を講読していないと全国の「九条の会」絡みの報道はまったく目にすることはできない。
 これでは庶民は何も知らされないまま、改憲か護憲かの判断を迫られることになる。もはや本来の使命(権力の監視)を投げ捨てたマスメディアに期待はない。国家権力の代弁機関と化したマスメディアは、かつても今も戦争を支え推進する機能でしかないことは国民も経験から知っている。こうなれば、個々のジャーナリストが権力と対峙して、どこまで批判し続けられるか、という課題になる。本紙も機関紙ジャーナリストの一員として、この課題を背負う覚悟である。全国の機関紙の出番だ。

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(2006年11月13日入力)
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