アフガンでは米軍の空爆による被害者も後を絶たない。干ばつと戦乱で疲弊していくアフガンの人々を尻目に、未だ「国際社会」は「テロとの戦い」に固執し、軍隊の増派も進められている。だが、中村哲医師はアフガンの状況をこう喝破する。「ここで起きていることは政治の問題ではなく〝パンと水の問題〟だ。アフガンに必要なのは農業ができる環境であって、軍隊ではない」と。農業の復興こそが人々の平和な営みを取り戻すことができるのだ。「国際社会」が〝アフガニスタン〟を巡り議論を繰り返す裏で、現地は一刻の猶予もない状況だ。中村医師は渾身の力で、この状況と闘いつづけている。泥沼化するアフガン問題への確かな〝解〟を示すために。
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戦後の平和を守ってきたのは自民党???
「国を守るには平和でなければならない。あの愚かな戦争で、250万の命を失い、ヒロシマナガサキの犠牲を生んだ。戦後の平和を守ってきたのは自民党だ。勇気と自信をもってがんばろう」と、7月21日の総選挙に向けた自民党両院議員懇談会で古賀誠氏が発言したそうです。
確かに、自民党内にも「二度と戦争はしちゃいけないんです。・・・それでも憲法は変えちゃいかんのです」「憲法を変えるといったら、それだけは断固許さない」(宮沢喜一氏)。「平和を大切にする日本の基本政策は崩すべきではない。(9条をはじめ護憲の考えに変わりはありませんか)。もちろん。とてもよい憲法ですから」(河野洋平氏)などの憲法を尊重する意見もあったし、今もあります。
しかし、「戦後の平和を守ってきたのは自民党だ」とどうして言えるのでしょうか。憲法9条があったからこそで、もし、9条がなかったら、とっくの昔に朝鮮戦争やベトナム戦争、さらにはイラクやアフガンに引っ張り出され、多くの日本人や外国人の犠牲者を出していたことでしょう。「戦後の平和を守ってきたのは自民党」なら、どうして改憲が党是になり、イラクやインド洋に出て行くのでしょうか。今度の総選挙で、自民党は「戦後の平和を守ってきたのは日本国憲法を守ってきた多くの国民だ」と思い知るべきです。(各氏の発言は30日付朝日新聞)
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6月2日、加藤周一さんを追悼する講演会が開かれ、よびかけ人の井上ひさしさん、大江健三郎さん、奥平康弘さん、澤地久枝さんが講演され、鶴見俊輔さん、梅原猛さんがメッセージを寄せられました。「九条の会ニュース」から順次ご紹介しています。今回は4回目(最終回)で、鶴見俊輔さん、梅原猛さんからのメッセージです。
彼の志は、運動を起し、続けること
鶴見俊輔 さん
晩年の彼の文章を読んで、90年に近い仕事の成熟を感じました。
日本のこの時代の特色は鎖国です。鎖国に抗して、加藤周一は生きました。始まりは日常的な感性にあり、府立一中の生徒の頃、柔道で友達の胸ぐらを取って投げることなどに身を入れられない。教師はそれを見て一時は赤点をつけ、高校進学さえ危ぶまれたそうです。しかし教師が譲って高校、大学に進学しましたが、広島・長崎に米国が原爆を落とします。日本だけでなく、世界が鎖国になります。
ヒポクラテスの時代には、科学知識を犯罪に使わないことが科学者(主として医学者)の心得とされたわけですが、このときから科学は国家と結びつき、何百人の人間を殺す力をもつものに変わります。医学生としての加藤周一は、このような世界の鎖国に向かって立たされることになります。
この時代の戦争に立ち向かう、「九条の会」をおこす運動は、彼の志となります。運動を起こして、続けることです。そのように、彼は考えて、その生涯の終わりまで生きました。私もそのようでありたい。
「九条の会」の精神を大多数の信念に
梅原猛 さん
加藤氏は私より少し先輩ですが、世に出たのは加藤氏の方が私よりずっと早く、私は加藤氏を1世代前の人のように思っていました。加藤氏とはそれほど深いつきあいがあったわけではなく、むしろ私とは正反対の位置にある思想家であると思っていました。ところが、ある新聞の企画で加藤氏と対談し、2人の意見が意外に近いことを発見したのです。加藤氏も私も戦中派で散々苦労し、戦争というものがいかに人間を不幸にするかを深く感じ、憲法9条の理想を守らなければなないという点において2人の意見は一致したのです。
80を超え、人類のため日本のために書かねばならない著書を残したいという気持ちが強くて、あまり「九条の会」の会合に参加できませんが、平和憲法には人類が生き延びるための必要欠くべからざる理想が含まれていて、それを絶対に守らなければならないという気持ちは些かも動揺していません。北朝鮮のこともあり、日本にも核軍備せよという意見も出るかと思いますが、私は絶対に反対です。2人の有力な発起人を失いましたが、私は「九条の会」の精神が大多数の日本人の信念になることを願ってやみません。
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