60年余り前、日本では「天皇陛下ばんざい」と若者を戦争に送り出した。イラク戦争開戦5周年を迎えたアメリカでは、今なお「アメリカばんざい」の声とともに若者を世界の戦場に送り出している。送り出された若者たちの、その後を追う。ベトナムに送られた若者たち。コソボに送られた若者たち。アフガニスタンに送られた若者たち。イラクに送られた若者たち。アメリカに還ってきた若者たち。還れなかった若者たち、イラクだけでも4000人。どんな経験をしたのか。どんな今を生きているのか。マスコミが伝えない「ばんざい」の裏側が見えてくる。(映画は08年制作)
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日 時:2009年10月17日(土)
第1回上映 13:00~(約2時間)
藤本監督講演 15:15~(約1時間)
第2回上映 16:30~(約2時間)
会 場:和歌山市民会館小ホール
入場料:一般 前売 1,200円(当日 1,500円)
学生 前売 800円(当日 1,000円)
小学生以下無料
主 催:9条ネットわかやま
協 賛:第9条の会わかやま、九条の会・わかやま
連絡先:トライ法律事務所(℡:073-428-6557)
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【九条噺】
09年9月9日9時、寺院と教会の鐘を一斉に鳴らすという。大阪宗教者9条の会がよびかけているもので、「千年に一度、9が並ぶこの時に〝憲法9条を守ろう〟の願いを込め平和の鐘の音を」というわけだ。真宗大谷派僧侶・日野範之さん(摂津市)は、「9条は、日本が二度と戦争をしないという、アジアの人たちとの約束」「鐘の音は100の言葉より日本人の心に響く。〝戦争に協力しない〟という宗教者の意思を示し、平和を願う日にしたい」と参加を呼びかける▼日野さんは「満州」(中国東北部)生まれ。父親(僧侶)は、「海外開教使」として中国におもむき、侵略戦争に協力するハメに。日野さんは近年中国を訪ね、父親の足跡をたどるなかで、「幼児を銃剣で突き殺したり、妊婦の腹を引き裂くなど、目を背け、耳も塞ぎたくなるような残虐な侵略の実態を知らされ」「そうした多くの人たちの犠牲の下に自分が生まれたのだと思い知った」という。9月9日、日野さんは、大阪中央区の南御堂で鐘を撞く▼「武装を捨てた頃の/あの永世の誓いや心の平静/(略)/そうだ、平和という言葉が/この狭くなった日本の国土に/粉雪のように舞い/どっさり降り積もってきた」けれども今、時代を引き戻す雪崩の音も次第に大きくなるのが確かに聞こえる、と石垣りん(「雪崩のとき」)。そんな時だからこそ日野さんらも鐘に万感の思いを込める。(佐)
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9月9目、全県街頭署名活動を呼びかけ
「憲法九条を守るわかやま県民の会」は、9月9日(水)に全県で街頭署名一斉活動を実施することを県下に呼びかけています。中央の憲法改悪反対共同センターや「9条を考える道南の会」(北海道函館市)の、「9月9日9時9分に全国で行動をしよう」という呼びかけに応えようというものです。
来年5月18日に国民投票法が施行され、改憲派の動きが強まり、海賊対処法によってソマリア沖周辺への自衛隊派兵が行われ、自衛隊の海外派兵恒久法が狙われている状況の下で、共同センターは憲法を守る取り組み強化の一環として9月9日に全国で「9の日」宣伝を大きく広げて取り組むことを呼びかけているものです。
「県民の会」では全県8郡市で街頭署名活動(駅頭、マーケット前など)を呼びかけています。多数の人々、団体の参加で成功させることが望まれます。なお、和歌山市では午前11時~12時、JR和歌山駅前で署名・宣伝活動が行われます、
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憲法に対する鳩山氏と民主党の考え
「九条の会・わかやま」事務局 南本 勲
鳩山氏は自衛軍、集団的自衛権も肯定
鳩山由紀夫氏は、氏のホームページの「憲法改正試案」で「憲法の条文と政治的現実があまりに乖離している」とし、「現実に保有する軍事力とその制約について規定し、行き詰った戦後憲法的な国際協調主義を新たな国際環境の中で定義し直さなければならない」「戦後の憲法論議を迷走させてきた空想的平和主義を排し」「国際協調を推進するという立場で、新たな憲法を創りたい」と述べています。
「試案」は「日本国は、自らの独立と安全を確保するため、陸海空その他の組織からなる自衛軍を保持する」と自衛軍保持を明記し、「現行憲法のもっとも欺瞞的な部分を削除し、誰が読んでも同じ理解ができるものにする。・・・日本が国家の自然権としての個別的、集団的自衛権を保有していることについて議論の余地はなくなる」と軍隊や集団的自衛権行使も容認する明文改憲の立場です。
また、「日米安保体制は今後も日本外交の基軸であり、それは紛れもなく重要な日本外交の柱だ」と、「日米安保体制」を容認し、「現在(憲法)解釈上問題になっているのは、国連決議による多国籍軍や平和執行部隊、あるいは将来編成されるかもしれない国連常設軍への参加である。内閣法制局はこれを違憲としている。私の憲法草案では、こうした国連による国際警察軍的な活動への参加を明確に容認している」と、国連に軍事的にも協力するとしています。「国連の要請があれば、何処へでも出て行くという話ではない」というものの、「国益に則り、政府と国会が主体的に判断すればよい」と、時の政権や多数党の判断にゆだねる立場です。
民主党マニフェストは憲法を「守る」立場ではない
「民主党マニフェスト」(09年7月27日付)は、憲法について「現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任をもって提案していきます。今後も国民の多くの皆さんとの自由闊達な憲法論議を各地で行ない、国民の多くの皆さんが改正を求め、かつ、国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか、慎重かつ積極的に検討していきます」と、どこをどのように改めるかは明確にしていませんが、少なくとも憲法を「守る」という立場ではありませんし、憲法審査会についても言及がありません。そして、「国連を重視した世界平和の構築を目指し」、国連決議があれば「国連の平和維持活動等に参加して平和の構築に向けた役割を果たす」としています。
「集団的自衛権」は「専守防衛」と矛盾
マニフェストの基礎となる「民主党政策集」(09年7月23日付)では、「自衛権は、これまでの個別的・集団的といった概念上の議論に拘泥せず、専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と安全を直接的に脅かす急迫不正の侵害を受けた場合に限って、憲法第9条にのっとって行使する」としています。「専守防衛の原則に基づき」と言いますが、「集団的自衛権」を云々することは「専守防衛」と矛盾します。「専守防衛」とは「他国を攻撃することなく、もっぱら守りにより自国を防衛すること」であるはずです。「集団的自衛権」とは「自国と密接な関係にある他国に対して第三者による武力攻撃があった場合、自国が攻撃されていなくても、第三者による武力攻撃を実力で阻止する権利」と定義され、いわば「他衛権」だからです。法理上はすべての主権国家が保有しているとされる「集団的自衛権」や「敵基地攻撃能力」を今までの政府が封印してきたのも、「専守防衛」を原則としてきたからにほかなりません。
国連決議があれば軍事活動も
また、「民主党政策集」では国連の平和活動は、「国連憲章第41条および42条によるものも含めて、国連の要請に基づいて、わが国の主体的判断と民主的統制の下に、積極的に参加します」とし、国連決議がありさえすれば、非軍事的活動(国連憲章41条)だけでなく、軍事的活動(同42条)にも積極的に参加するとしています。しかし、日本が56年に国連加盟が認められた時、「日本の自由に処置できるすべての手段をもって、その義務を遵守する」との宣言文を国連に提出し、「戦力を持たない」日本国憲法の許す範囲で国連に協力し、軍事的協力の義務を負わないことを明らかにしています。国連の活動でさえあるなら軍事活動にも参加するという主張は、憲法9条を無視する議論といわなければなりません。
注意深く監視を
このように、鳩山氏および民主党の憲法に関わる考え・政策には、自衛軍の明記や集団的自衛権の肯定、国連活動への軍事的参加など、憲法9条の明文改憲、解釈改憲の方向が多く含まれています。私たちはこれらの動向を注意深く監視をしながら、同時に、民主党政権が改憲に向かわないように、「憲法9条を守ろう」の声をさらに大きくしなければなりません。
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「自民党の『提言・新防衛計画の大綱について』の問題点④」は次号(112号)に掲載します。
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