「九条の会・わかやま」 116号を発行(2009年11月18日付)

 116号が11月18日付で発行されました。1面は、「守ろう9条 紀の川 市民の会」が憲法フェスタ、憲法解釈「鳩山内閣が判断」、九条噺、2面は、「いのちの山河 日本の青空Ⅱ」上映、米軍再編は日本の若者を米軍と一体に(藤本幸久監督講演③)、書籍紹介『活憲の時代』です。
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[本文から]

憲法9条をまんなかに ~えがこう平和への道~
「守ろう9条 紀の川 市民の会」が「憲法フェスタ」開催


 11月14日、「守ろう9条紀の川市民の会」は和歌山市・河北コミュニティーセンターで第6回憲法フェスタを開催しました。

 (原代表挨拶)

 当日は午前10時から「展示室」と「映像室」がオープンしました。「展示室」では、会員の皆さんの絵画、写真、書、絵手紙、リフォームなど、自慢の作品が展示され、「くつろぎコーナー」で、コーヒーや紅茶、お菓子などをいただくことができました。「映像室」では、DVD「アフガンに命の水を」と「9条世界会議」が2回ずつ上映されました。「アフガン・・」は、長年にわたるペシャワール会の活動を記録したもので、見応えがあるものでした。

 (会員の作品<一部>)

 午後1時半からメイン会場では、最初に「よみきかせ9条の会・和歌山」による素晴らしい読み聞かせ(ギターは三浦健一さん)がありました。「ほたる」は田原美栄さん、「おかあさんの木」は別院丁子さんで、後の感想で和大の学生が涙声になるほどの感動を与えました。

 (読み聞かせ「おかあさんの木」)

 その後、原水爆禁止09年世界大会に参加した「ピースネットわかやま」の4人の学生が報告。その内の一人はニューヨークでのNPT会議にも参加するとのこと。大いに頑張ってほしいと思いました。

 (原水禁大会の報告)

 続いて、「センコウ花火」の「歌い、語る、くらし・子ども・平和・・・」です。出演の「センコウ花火」は「線香」と思いきや、「先コウ(=先生のこと)」とのこと。和歌山大学教育学部・経済学部の先生のバンドでした。この会場は「騒音」が禁止されているので、本来の「音」はお披露目できず、残念でしたが、「熱演・熱唱」の内に、楽しく一日の予定を終了しました。

 (「センコウ花火」の演奏)

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憲法解釈「鳩山内閣が判断」
集団的自衛権容認に道を開く発言


 11月5日付朝日新聞によれば、平野官房長官は4日の記者会見で、鳩山政権が、政府の憲法解釈を国会で示してきた内閣法制局長官の過去の答弁に縛られないとの見解を示し、憲法9条などの解釈は、今後内閣が政治判断で行う考えを表明、鳩山首相は同日夜、記者団に「法制局長官の考え方を金科玉条にするのはおかしい」と述べたといいます。
 内閣法制局は今まで解釈改憲を重ねてきたとは言え、歴代自民党政権でも、法制局の了解がなければ、憲法解釈の変更には踏み込めず、「海外での武力行使や、一体となった活動」は憲法9条で禁じられているという一線を乗り超えることはできませんでした。
 内閣法制局は時々の政権の言うとおりに憲法解釈を変えないために存在するものです。憲法解釈を内閣ごとに変えられるという考えが許されるならば、時々の政権の意向で何でもできることになり、公権力を縛る憲法の意味がなくなり、法治国家とは言えなくなってしまうからです。
 民主党・小沢幹事長は「法制局長官も官僚だから答弁しない」と言ったといいます。「官僚の答弁禁止」は法制局長官の答弁封じのためだったと言わざるを得ません。小沢幹事長は「国連活動への参加は、武力行使を伴うものであっても、憲法9条に抵触しない」が持論で、アフガンのISAF(国際治安支援部隊)への参加も主張しています。
 今回の一連の発言は、憲法解釈も政治主導で行うことを示したもので、民主党政権の都合で憲法解釈が安易に変更される恐れがあります。平野氏は会見で「政治主導だから、政治判断で解釈していく」と述べ、集団的自衛権の行使を違憲とするこれまでの政府解釈は「無条件で内閣は縛られないということか」と問われると、「もちろん」と答え、解釈変更の可能性については「世界情勢が大きく変わったときには」と述べています。自分たちの政権の都合で勝手に解釈する意向を示したもので、極めて危険なものと言わなければなりません。

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【九条噺】

 過日、普天間基地の移設問題を抱える宜野湾市で「ピース・ミュージック・フェスタ!」が行われた。歌手の加藤登紀子さんも舞台にあがり、「初めて沖縄にきたのは復帰2年目の73年。当時は基地問題もすべて積み残した復帰に沖縄のみんなが怒っていました。今も怒っていますか?」と問いかけたという。加藤さんには、燃えるような熱気に包まれていた、あの〝熱い沖縄〟が一体どこへ行ったのか、という思いも多少はあったのではないか▼筆者の初めての沖縄行きは72年、復帰の直前から直後にかけての1ヶ月足らず。何よりも度肝抜かれる思いをしたのは、膨大な基地群であり、そして地鳴りのような轟音をたててベトナムに向うB52爆撃機の巨大な姿だった。当時まだ人骨も随所に転がっていた南部各地のガマ(壕)や戦跡、まるで西部劇に見る、荒んだ場末のまちのようなコザ(現沖縄市)の光景なども今も記憶に残る。しかし、同時に、多くの素晴らしい出会い、そして感動と大きな勇気をいただいたのもその沖縄であった▼佐久川長聖さんもその一人。佐久川さんは、昆布地区(具志川市)での米軍の強引な軍用地収用に対して反対運動の先頭にたち、遂に断念させた立役者の一人だ。一見、その柔和で穏やかな表情からは熾烈な闘いなどとても、と思うがさにあらず、沖縄には同様の人たちがいっぱいいて、身体を張って闘い抜いた勇気と不屈の心こそ、この明るさ、この楽天性と優しさの源泉なのだと納得させられたのだった。(佐)

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「米軍再編」とは日本の若者を米軍と一体となって戦わせること

10月17日、和歌山市民会館で「アメリカばんざい crazy as usual」が上映され、藤本幸久監督が講演しました。講演の内容を3回に分けて紹介しています。今回は3回目で最終回。


 辺野古の人たちが新基地反対で座り続けているのは、日本の政府が言うように、沖縄の基地負担を減らしてほしいということではない。辺野古の人たちが言っているのは、新しいアメリカの基地がここに出来れば、また日本の若者が戦争に行くことになる。だから、ここに基地を作らせたくないということを14年前からずっと言っている。ようやく私たちにもその意味がはっきり分かるようになってきた。普天間基地をなくすことは沖縄の基地負担の面から当然だが、それ以上に米軍再編の本質は沖縄の基地負担軽減ではない。アメリカは米軍再編を沖縄の基地負担を減らすためにやるとは一度も言っていない。ずっと、次の戦争に備えて、新しくアメリカ軍を再編成していくと一貫して言っている。それは何かというと、アメリカも苦しんでいる。お金もない、兵士のなり手もない、戦争に行って死ぬと分かっていて兵士になる人はそう多くない。アメリカ社会もイラク戦争は間違っているというように世論が変わったのは、アメリカの若者が2千人、3千人、4千人と死んで、これは本当に間違っていると変わっていった。
 しかし、アメリカの人たちも政府も軍隊は必要だと思っている。「いい戦争はある」というのが多数の考えだ。戦争はやらねばならないが、金もないし、アメリカ人の犠牲者も出せないということで、イラク戦争から民間軍事会社に戦争の一部を肩代わりさせることが出てきた。もっといい方法として出てきているのが、同盟国の軍隊にやらせることだ。同盟国の若者に米軍と一緒に戦ってもらうということだ。米軍再編というのは、この次に起るであろう戦争に備えてどのようにしていくかということが、今行われていることだ。それは日本とアメリカが軍事的に一体となって、日本の若者にもアメリカの若者と一緒に戦争に行ってもらうということが、今米軍再編という名前で進められていることだ。辺野古の人たちは、ここに新しい基地が出来、米軍再編が進むと、日本の若者がまた戦争に行く、それを何とか止めたいと座っている。
 たかだか20歳ぐらいの若者たちに戦争に行って人を殺させるような教育をしていいのか。そんなことをして、その若者たちが大学に行って、本当に自分たちの人生を切り開くことが出来るのかと思う。「本当の軍隊を持つ」ということがどういうことなのかを、是非みんなで考えていきたい。(終り)

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「いのちの山河 日本の青空Ⅱ」上映
あきらめから、自信と誇りの 明るい 笑顔へ
 長く無医村であった岩手県の山あいの沢内村――


 父・晟訓(加藤剛)から医者になることを期待されつつも村を離れていた深沢晟雄(長谷川初範)は、妻・ミキ(とよた真帆)と帰郷し、村の抱える「豪雪・多病・貧困」という三悪を克服しようと立ちあがる。やがて村長となった晟雄は、『生命尊重』の理念を掲げ、憲法25条を盾に、      当時は国保法違反であった老人と乳児の医療費無料化に踏み切る。そして全国でも最悪だった乳児死亡率を、全国初の死亡率〝ゼロ〟へと導く。この〝生命行政〟を実現するには、晟雄と村民たちの奮闘の日々と数々のドラマがあった・・・。

12月3日(木)和歌山県民文化会館小ホール
 ①13:30~15:30 ②16:00~18:00 ③18:30~20:30
入場料【前売り】大人1200円・中高生800円
   【当日券】大人1500円・中高生800円
お問合せ 「いのちの山河~日本の青空Ⅱ」上映実行委員会
      事務局:和歌山中央医療生活協同組合本部事務局
          TEL:073-474-5123

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書籍紹介 『活憲の時代 コスタリカから9条へ』

 憲法9条を捨ててしまえという声が政府から出れば、国民からは「九条の会」が全国で生れる。改憲だ、いや護憲だと言うが、そう声高に言うほど私たちは憲法をちゃんと使ってきただろうか。私は、素朴に疑問に思う。使ってもいないのに、今の憲法の良さや悪さがわかるだろうか。
 コスタリカでは小学生が違憲訴訟を起こす。平和憲法を持つ平和国家の役割は平和の輸出と考えて、まわりの国々の内戦を終らせた。このような姿勢こそ、日本が目指すべき国家のあり方ではないだろうか。憲法ができてこのかた、日本国民が憲法に明記された権利を使って生活してきたら、3万人が自殺する社会になっていないだろう。憲法の活用、一口で言うなら「活憲(かっけん)」こそ、私たちが今取り組むべきではないか。(あとがきより抜粋)(雑賀9条の会世話人・原昭二さん推薦)
著者:伊藤千尋    09年1月6日 第3刷発行
価格:999円+税  発行:シネ・フロント社

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(2009年11月25日入力)
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