「九条の会・わかやま」 117号を発行(2009年11月27日付)

 117号が11月27日付で発行されました。1面は、「和歌山障害者・患者九条の会」が学習交流会、核兵器廃絶への動き活発化(県原爆被災者会 楠本会長)、九条噺、2面は、「九条の会」ブロック交流集会近づく、「いのちの山河 日本の青空Ⅱ」上映、鳩山首相まだ「新憲法制定議員同盟」顧問 です。
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[本文から]

「和歌山障害者・患者九条の会」が「学習交流会」開催

 「和歌山障害者・患者九条の会」は、11月15日(日)13時より、和歌山市・ふれ愛センターで「学習交流会」を開催しました。たくさんの方が集い、会場は熱気にあふれました。
 まず、「紙芝居九条の会」の方々による紙芝居が行なわれました。戦争は何の罪もない一般の市民を傷つけること、兵隊であっても末端の人たちは決して戦いを望んではいないことなどがお話を通して伝えられました。続いて「障害者自立支援法廃止後の障害者福祉をめぐって」のテーマで、和歌山県共同作業所連絡会副支部長の加藤直人さんと、「和歌山障害者・患者九条の会」呼びかけ人の上杉文代さんによる講演が行なわれました。患者や障害のある人たちが生きる権利を追い求めること、それは憲法25条(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)を守り発展させる闘いであり、当事者自身が立ち上がることが重要であること。そしてそれは、平和を求め続ける活動につながることを皆で学び合うことができました。障害者・患者たちが今後何をしていくべきなのかを示唆してくれる貴重な講演でした。
 閉会後、JR和歌山駅前に移動して、9条を守る署名活動が取り組まれ、16人で39筆が集められました。夕方で寒くなり、家路に急ぐ人たちが多かったのか、署名数はやや少なめでしたが、繰り返し続けることが何より重要だと感じられるものでした。
 「和歌山障害者・患者九条の会」は、参加された皆さんに感謝するとともに、さらに多くの方々がこの会に参加されることを願っています。

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核兵器廃絶への動き活発化 県原爆被災者の会・楠本会長に聞く
   「九条の会・わかやま」呼びかけ人・楠本熊一さん

「広島へ行き行動を」オバマ米大統領に期待

 9月の国連安保理首脳会合で、「核兵器のない世界」を目指す決議案が採択され、核兵器使用国として「道義的責任がある」と述べたオバマ米大統領がノーベル平和賞を受賞するなど、核兵器廃絶に向けた動きが活発になっている。県内の被爆者団体「県原爆被災者の会」会長の楠本熊一さん(84)=和歌山市東高松3=は、約半世紀にわたり市民活動を続けて核兵器の脅威、廃絶の必要性を訴えてきた。これまでの取り組みや今後の展望を聞いた。【藤顕一郎】
 楠本さんは旧名田村(現・御坊市)出身。1945年8月当時は20歳で、広島文理科大(現・広島大)に通い、爆心地から約1キロ離れた広島市内の友人の下宿先で被爆した。建物が崩れて、がれきの下敷きになり、ガラスの破片が右腕に突き刺さった。真っ暗な街中は助けを求める人であふれ、「子どものころに道成寺(日高川町)での行事で見た地獄絵そのものだった」と当時を振り返る。
 県原爆被災者の会は63年、当時県内に約600人いた被爆者手帳を持った有志約350人で結成。会員が被爆体験を語ったり、写真展を開催するなどして原爆の脅威を訴えてきた。だが、米ソ冷戦時代や89年のドイツ・ベルリンの壁崩壊後にも核実験や核保有国はなくならなかった。現在の会員は約170人で、高齢化や体力の低下などを理由に活動規模は年々縮小している。
 オバマ大統領は4月、チェコのプラハでの演説で、核兵器を使用した国としての「道義的責任」に米大統領として初めて言及した。鳩山由紀夫首相も9月の国連安保理首脳会合で「原爆投下から60年以上たった今も放射能の被害に苦しむ人々の姿がある」と発言し、廃絶を推し進める動きに一層の賛同を呼びかけた。
 楠本さんは「アメリカが方針を変えたことは大きい。『何かが変わる』という予感はある」と期待する一方、「まだ具体的な話は何も出ていないので楽観はできない」と手放しでは喜べない表情。13日にも初来日するオバマ大統領は被爆地を訪れる予定はないとされるが、「広島の原爆資料館だけでも行ってほしい。言葉だけでなく行動での変化を見たい」と注文する。  楠本さんの耳には今も、原爆直後に逃げるさなかに、「みず、みず」と助けを求めてきた女性の声が残って離れないという。「私たちにできることは今でもあるはず。核兵器の恐ろしさを伝える努力を変わらず続けていきたい」と話している。(毎日新聞11月8日付・和歌山版)

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「九条噺」

 宇治川中之島界隈の桜が満開の頃から、近くの平等院境内の大きな藤棚が鮮やかな紫色に染まる頃、老舗の料亭旅館「花やしき浮舟園」も多くの観光客で賑わう。「山宣」こと山本宣治は120年前この旅館で生まれ育ち、今近くの墓地に眠る。その墓碑に「山宣ひとり孤塁を守る だが私は淋しくない 背後には大衆が支持してゐるから」と有名な言葉が刻まれている。全国農民組合の大会での演説の一節である▼山宣は生物学者として同志社や京都大学の講師を務めながら、農民をはじめ貧苦に喘ぐ人々の暮らしに密着し、労農党京都府委員長として、そのいのちとくらしを守るために奔走、代議士となって当時の国会で、侵略戦争を推進するための治安維持法にもただ一人敢然と立ち向かった。しかし、国会で治安維持法反対の演説をおこなう前に与党政友会によって強行採決されてしまい、演説もできないまま可決されてしまった、まさにその夜、右翼団体の黒田某に刺殺されたのである。手段を選ばぬ暴挙で反戦・平和の声を圧殺してきた戦争推進勢力の残忍さを象徴する一幕であった▼かつて、その山宣を描いた映画「武器なき闘い」(西口克己原作・山本薩夫監督)で、下元勉演じる山宣が右翼の暴徒に刺殺される場面を今も鮮明に思い出すことがある。こうして多くのかけがえのない尊い犠牲もあって今の憲法9条はあるのだとしみじみ思うのである。(佐)

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「九条の会」近畿ブロック交流集会 開催近づく

 「九条の会」事務局と近畿ブロック交流集会運営委員会が準備を進めてきた「九条の会」近畿ブロック交流集会の開催が近づいてきました。下のように全体会の学習の講師とともに、分科会での報告者も決まりました。非常に多彩なメンバーです。
 「九条の会」近畿ブロック交流集会は、①民主党中心の連立政権誕生という情勢を踏まえ、憲法9条を巡る情勢と9条を拡げる課題について学習する。②「全ての小学校区に9条の会」を合言葉にして思想・信条・社会的立場の違いを超えた「会」をつくる運動の現状や継続的に活動を行うための課題、会が抱える問題と課題について充分な時間をかけた意見交換を行う。を目的としています。交流集会は、「九条の会」の主催・運営ですが、具体的な実務は、「九条の会」から委託を受けた近畿各府県の9条の会が集まった運営委員会が担当します。
 「九条の会」事務局と交流集会運営委員会は、近畿の「9条の会」から多数の参加を期待しています。和歌山県下からの参加申込みは急ぎ、「九条の会・わかやま」までお願いします。


 (梅林宏道さん) (薄井雅子さん) (本多立太郎さん)


【交流集会開催要領】
 日 時:12月13日(日)
   会 場:関西大学千里山キャンパス
 参加者:近畿各府県の九条の会から
 参加費:一人1000円
【当日のプログラム】
 10:00~12:00 全体会
 (1)最新情勢を踏まえた報告と学習
     講師:渡辺治さん(一橋大学教授)
 (2)各府県の「9条の会」の活動報告
 13:00~15:30
  分科会
       ①東北アジア・世界の平和と憲法9条
     梅林宏道さん(ピースデポ代表)
   ②9条改憲の動向とわたしたちの課題
     柳井健一さん(関西学院大学教授)
   ③青年学生と憲法9条
     薄井雅子さん(米国在住ジャーナリスト)
     本多立太郎さん(戦争出前噺語り部)
  分散会
   参加「9条の会」の、うまくいっていること、困っていることなどの経験交流を少人数で行う
 15:45~16:30 全体会
   分科会・分散会のまとめ
【九条の会・わかやま】
 TEL :073-457-7279、FAX:073-457-1038、メール:kashi@384.jp
 参加申込書は次のHPからダウンロードして下さい
 http://home.384.jp/kashi/9jowaka/9jonokai-waka.htm <こちら>

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「いのちの山河 日本の青空Ⅱ」上映
あきらめから、自信と誇りの 明るい 笑顔へ
 長く無医村であった岩手県の山あいの沢内村――


 父・晟訓(加藤剛)から医者になることを期待されつつも村を離れていた深沢晟雄(長谷川初範)は、妻・ミキ(とよた真帆)と帰郷し、村の抱える「豪雪・多病・貧困」という三悪を克服しようと立ちあがる。やがて村長となった晟雄は、『生命尊重』の理念を掲げ、憲法25条を盾に、      当時は国保法違反であった老人と乳児の医療費無料化に踏み切る。そして全国でも最悪だった乳児死亡率を、全国初の死亡率〝ゼロ〟へと導く。この〝生命行政〟を実現するには、晟雄と村民たちの奮闘の日々と数々のドラマがあった・・・。

12月3日(木)和歌山県民文化会館小ホール
 ①13:30~15:30 ②16:00~18:00 ③18:30~20:30
入場料【前売り】大人1200円・中高生800円
   【当日券】大人1500円・中高生800円
お問合せ 「いのちの山河~日本の青空Ⅱ」上映実行委員会
      事務局:和歌山中央医療生活協同組合本部事務局
          TEL:073-474-5123

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鳩山首相、まだ「 新憲法制定 議員同盟」顧問辞めず

 鳩山由紀夫首相は首相になる前の08年3月4日、「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根康弘元首相)の顧問に就任しました。09年11月23日付朝日新聞「声」欄に載った高田健氏(許すな!憲法改悪・市民連絡会)の投書によれば、11月10日、議員会館の鳩山事務所に電話をして回答を求めたところ、事務所の秘書は、顧問について「現在、辞任はしていない」と回答したとのことです。と言うことは、まだ明文改憲や集団的自衛権容認の考えを捨てていないと思わざるをえません。
 憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めています。そもそも、大臣や国会議員が改憲を主張すること自体が憲法違反です。先般の総選挙では、「新憲法制定議員同盟」はメンバーが相次いで落選し、百敷十人いた所属衆院議員は半分以下に激減しました。とは言え、特に首相は憲法99条で規定される憲法尊重擁護義務が厳しく要求されるもので、改憲を主張する団体に所属したり、役員を務めることなど「とんでもないこと」です。急いで関係を断絶すべきです。

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(2009年11月29日入力)
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