「九条の会・わかやま」 118号を発行(2009年12月9日付)

 118号が12月9日付で発行されました。1面は、「いのちの山河 日本の青空Ⅱ」602人鑑賞、9条改憲の目的は日米軍事同盟強化(「九条の会」事務局・川村俊夫さん講演①)、九条噺、2面は、美の追求も平和でこそ(日本画家・平山郁夫さん)、Peace Night 9今年も です。
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「いのちの山河~日本の青空Ⅱ」上映会 602人が観賞

 12月3日、映画「いのちの山河~日本の青空Ⅱ」上映会が、和歌山県民文化会館小ホールで開催されました。3回上映され、合計602人が鑑賞し、大きな感動を呼び起しました。  この映画は、岩手県の山あいの沢内村で、人間の生命に格差があってはならないと、村総ぐるみで「生命行政」を推進した深沢晟雄村政を描いたものです。
 アンケートでは、憲法25条について「大切な条文なのに、その理念が実現されていないことに問題を感じます」「憲法の趣旨に沿った法律や条例があればもっとすんなり社会保障は充実できるのではないか。逆に現在、どれほど憲法が生かされていないかがよくわかった」「現在当たり前になっていることが地域の小さな運動から始まったことにびっくりした」「憲法25条がないがしろにされているこの時代に、この映画を上映する意義は大きい」などの意見がありました。また、映画については、「これまで漠然としか知らなかった無医村の実態を知ることができて、とても感動的でした」「どんな時代にも社会問題は生み出されますが、全力で解決に取り組むことで光が見えてくる。そのことに改めて気づくことができました」「命が粗末にされている今の世の中で、本当に大切なものは何か考えさせられる映画でした」「命を守るための思いに感動して10代の頃より民主医療機関で看護師として働き続けた自分の今までのことに思いを馳せました。若い頃のあの力を思い出し活動を続けたいと思います」「9条と25条の相互関係を強く感じました」「涙が流れるのはなぜだろう。心に残る映画でした。とても考えさせられました」などの感想が寄せられました。

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9条改憲の目的は日米軍事同盟強化にある
「九条の会」事務局・川村俊夫さん講演①


 11月25日、和歌山市勤労者総合センターで「九条の会」事務局・川村俊夫さんの「新政権下での憲法をめぐる情勢」と題する講演がありました。その要旨を3回に分けてご紹介します。今回は1回目。

 総選挙の結果をどう見るか。麻生前首相は「自民党政治への積年の不満がこういう形で現れた」と言い、鳩山首相は「国民の政治への不信感、従来型の政治・行政の機能不全への失望と怒りが、政権交代に結びついた」と言っている。世論調査では「自民党政治への不満」「政権交代への期待」が圧倒的。「マニフェストへの期待」は10%だ。
 これが今後の改憲の動きにどんな影響を与えるかだが、新憲法制定議員同盟所属議員は139名が53名になってしまった。改憲推進役の中山太郎会長、愛知和男事務局長以下80余名が落選し、推進部分が大打撃を受けてしまった。新議員アンケートでは9条改正に賛成34%、反対51%だ。前回の総選挙では賛成は60%だった。にわかに憲法改悪に取り組むという空気は薄れつつある。改憲には2つの関門がある。憲法審査会については、参議院では審査会規程が作られていないし、民主党は名簿提出しないと言っている。国民投票法が10年5月に施行されるが、最低投票率の問題など18の付帯決議が付いている。このイニシアティブを取ったのは民主党で、国民投票法を本当に動かそうとするなら、この付帯決議をどうするかということが問われる。よほどの事情がない限り明文改憲に向かう状況ではない。
 民主党政権の性格は寄り合い所帯の中の綱引きである。03年総選挙では「政権交代可能な2大政党制」を掲げて構造改革、憲法改悪を自民党と競いあったが「生活優先」に転換し、国民の怒りの受け皿になった。しかし、財界とアメリカとの関係では自民党と変わらない。財界や日米軍事同盟に切り込んではいない。中途半端でふらついている。
 9条改憲の目的は日米軍事同盟にある。防衛白書でも「近い将来日本に本格的な侵略事態が発生する可能性は低下している」と述べている。北朝鮮が攻めてくる可能性はない。北朝鮮には輸送手段がなく、日本を攻めることは物理的に不可能だ。もし、ミサイルを撃ち込んだら、たちまち国家・民族の絶滅につながる。
 確かに、オバマ政権になり大きな変化が起っている。核兵器廃絶をよびかけた。「核兵器廃絶を国の目標とすべき」という米国世論がこの10年間で倍近くになっていることがある。オバマ政権では単独行動主義の放棄、軍事力の重要性を強調するが、限界も言う。価値観の多様性認知のようなことも現れている。しかし、国防予算を拡大し、アフガニスタンには2万人を増派した。ソ連崩壊後の「米軍再編」という基調は変わっていない。「米軍再編」とは、①米軍を世界のどこへでも機動的に展開する。②ハイテク兵器で制圧する。③兵力面・資金面で同盟国を活用する。ことである。①では在日米軍基地は極めて重要で、日米共同作戦体制が進められている。日本はお金を出し、後方支援をしているが、軍事的にもより一体化を進めるということだ。
 予算の仕分け作業でも米軍関係はほとんど減らされていない。日本政府は海兵隊の一部のグアム移転費28億ドルを負担し、33億ドルを融資(50年で回収)する。鳩山首相は「東アジア共同体」を強く打ち出している。アメリカがこれに参加する。これは「日米」「米韓」の軍事同盟を基本にして「東アジア共同体」を作るということだ。鳩山首相はその場合、日本は応分の負担をしなければならないだろうと言っている。つまり軍事分担だ。問題になるのは集団的自衛権だ。11月4日、鳩山首相は「内閣法制局長官の考え方を金科玉条にするのはおかしい。それを採用するかしないかは内閣が責任をもたなければいけない」と語った。内閣の考えで憲法解釈を変えるということだ。小沢幹事長は「民主党は多数なんだから、野党の言うことなど聞く必要はない。力をもって対処すればいい」と考えており、この小沢氏の発想が鳩山首相の前に大きく横たわっている。(つづく)

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【九条噺】

 NHKテレビの「ふれあい世界の街歩き」でスペイン領カナリア諸島、フェデリテ島にあるラ・   グーナという街が紹介された。この島の東隣り、グランカナリア島のテルデ市には「ヒロシマ・ナガサキ」広場があり、日本国憲法第九条の碑(スペイン語)が掲げられていることは以前このコラムで紹介した▼ラ・グーナ市もステキな街だ。街のまわりには要塞もなく、目抜き道路の景観はこの4百年、基本的に変えることなく維持されてきたのだという。家々の扉や壁面は黄色や赤、茶色など、決して派手ではないがカラフルに彩られ、木々の緑や花々、そして空と海の色にも溶け込んで街そのものが明るくやさしい雰囲気に包まれている。3百年以上も営まれてきたという機屋、「私が4代目」という理容店など、商売もそれぞれに老舗を誇る。街の人々はよく働き、仕事の退け時ともなれば、街のそこかしこに語らいの輪が生まれて話と笑いの花が咲く。メイン道路脇には樹齢千年という大樹があり、人々はそのあたりを「恋に落ちる散歩道」と言い、近くの公園を「愛の広場」と呼ぶ。「愛と平和の島」というふれこみも含めて、それを決してキザだとは思わせない何かがある▼この街には、都会につきものの「喧騒」や「興奮」はない。しかし、〝9条の心〟ともいえる平和の匂いがただよう街であることは確かだ。(佐)

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美の追求も平和であってこそ
   日本画家・平山郁夫さん


 日本画家・平山郁夫さんが12月2日に亡くなりました。ご冥福を祈り、氏の核兵器や憲法への思いをご紹介します。

 まぶしかった瀬戸内海

 (原爆被爆後)、実家のある瀬戸内の島に向かいました。途中、「水をー」「水をー」と言って、うなっていた人が静かになったかと思うと、亡くなっている。線路の枕木の上を歩くと、左右にやけどだらけの人、死んだ人がダーッと並んでいる。のどが渇き、爆風で全半壊した家の台所で、水たまりをすくって口に水を含ませると、死臭、血の臭いがウッと入ってきて、噴き出しました。もしそのとき、飲んでいたら、強烈な放射能を体内いっぱいに入れていたと思います。
 途中の駅で客車によじのぼり、客席に横になって綿のように眠りました。眼が覚めると、ガタンゴトンと東へ向かって走り、負傷者がいっぱい乗っていました。太陽がのぼり、瀬戸内海がキラキラ光を浴びてまぶしかったですね。

 罪なき人が大勢犠牲に

 私の修道中学校では教職員と生徒201人が即死しました。私もそのご、何回か白血球が少なくなり、倒れたりしました。「もう、だめかな」と思ったとき、「一枚でもいいから」と、「仏教伝来」という絵を描き、画壇へ出るきっかけになりました。昭和34年(1959年)のことです。ちょうど50年になります。
 私は原爆手帳を持っていません。友だちが亡くなり、手厚く葬られるべきなのにボロぞうきんみたいに死んだ人を私はいっぱい目にした。罪なき人が大勢亡くなっている。生き残った私は、「病気になりましたからと、一銭でももらえますか」という気持ちです。
 いま、核戦争になれば、「勝った」「負けた」じゃ済みません。地球そのものが崩壊する。「核抑止」もへったくれもないんです。
 核の恐ろしさはアメリカやロシアなど、それを持っている国も知っています。核はどこに貯蔵しても容器が腐ったり、周辺を汚染する。この点で(核兵器廃絶を訴えた)オバマ大統領は正直だと思います。

 歴史に残る平和憲法

 日本は国際貢献でいえば、環境問題や食料問題、人道問題など率先して行うべきです。私たち芸術家は文化的な面で、たとえば1千年、2千年と続く文化遺産を人類共有のものとして守っていく。このことを標榜するならば、たとえ主義主張が違ってもお互いに理解し合えます。
 日本は戦後64年間、戦争をおこなわなかった。外国と交戦しないという平和憲法は、さまざまな議論はさて置き、非常に夢のような、歴史に残る憲法です。
 私たち画家、芸術家は、美を最後の最後まで精進して追求しています。これも平和であってこそ深まると思います。(全国革新懇ニュース09年11月10日号より抜粋)

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Peace Night 9
   今年も渡辺えりさん招き開催

 12月11日、東京・早稲田大学で、憲法を守る大集会、第3回「Peace Night 9(ピースナイトナイン)」が開催されます。一昨年、昨年に開かれた第1回、第2回集会には約1000人の青年・学生が集まり注目を集めました。
 実行委員会はこの集会で、「学生に行動すれば社会を変えていけることを実感してほしい。日本は9条を生かした外交の実践が大事だ。世界の流れは話し合いで解決する方向に向かっていると確信をもってもらいたい」と話しています。


第3回 Peace Night 9
「核も戦争もない世界をどうつくるか」
日時:12月11日(金)午後6時30分
場所:早稲田大学 大隈講堂
メーン企画:学生トーク with 渡辺えり
http://www.peace9.net/main/index.html <こちら>

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(2009年12月13日入力)
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