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「九条の会・わかやま」 122号を発行(2010年1月17日付)

 122号が1月17日付で発行されました。1面は、私たちの運動で解釈改憲を止めよう 渡辺治さん講演B、与党「国会改革」法案を通常国会提出へ、九条噺、2面は、近畿ブロック交流集会第3分科会から 上、法の支配を守ってきたのが内閣法制局、 です。
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[本文から]

私たちの運動で解釈改憲を止めよう

 12月13日の「九条の会」近畿ブロック交流集会で一橋大学大学院教授・渡辺治さんが「民主党政権と改憲の行方−九条の会の新しい課題を探る」と題して講演をしました。その要旨を3回に分けて紹介しています。今回は最終回。

渡辺治さん講演 B

 今後、民主党政権はどうなるのか。民主党は一枚岩ではなく、立脚点が3つに分かれている。「頭」の部分は党の執行部。悩みながら構造改革や日米同盟を実現しなければならないグループ。民主党政権が作られた力を一番知っている人たちで、悩む人たち。「胴体」の部分は小沢氏を中心とする部分。「頭」の深刻な悩みを全く受付けない。利益誘導型政治を自民党から民主党に代えるというだけ。「手足」の部分は07年頃から運動団体と接触し、マニフェストを具体化して、国会で構造改革を追及し人気を博すようになったが、今一番元気がない。党内で勢力を持っていないので、他の部分から圧力を加えられている。右に行こうとする「頭」、後に行こうとする「胴体」、左に行こうとする「手足」がせめぎ合っている。しかし、自公政権時代とは違う。自公政権時代は福祉の実現や日米同盟に打撃を与えようとすると、自公政権を倒さねばならなかった。今の民主党は私たちが大きな力を発揮すると「手足」や「頭」を頑張らせて、前進させることができる。この3つの部分に関しては、安保と憲法の問題ではもっと厳しい状態にある。「頭」と「胴体」は日米軍事同盟や改憲問題では一致している。だから、もっと大きな運動をしないと、この状況を覆すことは難しい。では、この問題ではみんな一致してしまっているかというと、そうではない。運動の力によって大きく事態を変える可能性はある。
 改憲はどうなるのか。民主党政権は多くの国民の圧力の下で登場しているだけに、明文改憲、改憲手続法の問題では、そう簡単に実現できない。「九条の会」が社会の中で活発に訴えている限り改憲を阻止する可能性が生れてきた。何故明文改憲を阻む可能性が出てきたのかというと、鳩山首相が改憲反対の声を受けていることを自覚しており、彼は持論を唱えることができない。そのような力を私たちが作ってきた。
 改憲の動きは私たちによって止められている。しかし、アメリカの圧力は非常に強くなっている。そこで、鳩山首相たちが生きる道は解釈改憲だ。私たちの運動がよほど強く解釈改憲を止めない限り、この方向がはっきり出ている。今、私たちは新しい情勢を第2歩にもっていくのか、解釈改憲を許すような方向に退歩させてしまうのかというところにいる。民主党は運動次第でその方向を決めるという状況になっている。私たちは大きな可能性と責任を担っている。これは私たちの運動が作り上げた新しい事態だ。
 3つの新しい課題を提起したい。1つは、解釈改憲の動きに機敏に対処する。十分に学習することが必要。2つ目に、解釈改憲実現を狙う国会の非民主的な改変を許さない。内閣法制局長官の答弁禁止、衆院比例定数80議席削減を阻むために立ち上がる。3つ目に、憲法9条を日本の中に実現するために「九条の会」がさらに前進し、9条を生かす活動をすることで日本から改憲を一掃する、そういう新しい力を作っていく必要がある。
「九条の会」が近畿ブロック交流集会を機に新しい第2歩を踏み出すために、いろんな工夫と新しい試みをする決意を一緒にしたいと思う。(おわり)

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与党、「国会改革」法案を了承、通常国会に提出
  憲法解釈は政府の思いのまま?


 新聞報道によれば、与党3党は12月28日の幹事長・国対委員長会談で、民主党提示の「官僚答弁禁止」などを柱にした「国会改革」関連法案骨子を了承し、小沢幹事長主導の「国会改革」の第1歩として、18日からの通常国会冒頭で成立させると合意しました。
 法案は、政府参考人制度を廃止して官僚答弁を制限し、内閣法制局長官を「政府特別補佐人」(注)から除外するのが主な内容です。歴代自民党政権でも、内閣法制局の了解がなければ、憲法解釈の変更には踏み込めず、「海外での武力行使や、一体となった活動」は憲法9条で禁じられているという一線を乗り超えることはできませんでした。法案は内閣法制局の「有権解釈」(裏面参照)を否定し、民主党(或いは小沢幹事長)の思いのまま法解釈をしようと狙うもので、「政府が法の支配に基づいて統治を行う」という大原則を否定するものと言わなければなりません。「国連活動への参加は、武力行使を伴うものであっても、憲法9条に抵触しない」が持論の小沢幹事長が、湾岸戦争の時に提出した「国連平和協力法案」が廃案になったのは、法制局長官が「例え、国連決議があっても自衛隊を戦地に送ることは憲法に違反する」と答弁したからだと、内閣法制局長官が答弁に立てないようにしようとしているものです。小沢幹事長が主張してきた海外派兵を拡大するために、解釈改憲の障害となっている法制局長官の答弁を排除したいという意図がみえみえだと言わなければならないのではないでしょうか。
(注)政府特別補佐人とは国務大臣を補佐するために国会の委員会に出席することが認められる担当者で、人事院総裁、内閣法制局長官、公正取引委員会委員長、公害等調整委員会委員長が国会法で規定されています。

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【九条噺】

 ドイツは歴史教科書制定に際しても、早くから歴史教科書検討国際会議の頻繁な開催などを通じて、ナチスドイツの犯罪についての客観的な事実を教科書に克明に叙述するようになり、そのことが周辺諸国の信頼感を増進させてきたという。対して、我が国のそうした取り組みはかなり遅れたが、それでも05年5月には、日・中・韓3国共通歴史教材委員会により「未来をひらく歴史─東アジア3国の近現代史」の刊行が実現して、軍国主義日本の南京虐殺や毒ガス・人体実験、強制連行、日本軍「慰安婦」などについても冷静に事実が明示され、これがアジアの合意点とされてきた▼ところが、「新しい歴史教科書をつくる会」(藤岡信勝会長)が、日本のかつてのアジア侵略は「自虐史観」とし、「南京大事件」も日本軍「慰安婦」も「すべて創作」だとして否定するヒドイ教科書をつくり、あろうことか、東京都教育委員会が養護学校など一部でそれを採用したというから「バカな!」と無視できなくなってきた▼その東京都で、千駄ヶ谷小学校の校歌は2番で「世界の国に先駆けて/戦争棄てた憲法の/こころ忘れずとりもって/民主日本の民ごころ/民主日本の民ごころ」と歌う。また烏山小学校の校歌は3番で「窓に見る/富士の高ねをそのままに/よろずの国にさきがけて/あらゆる武器をうちすてた/文化国家の国民と/私たちはなるのです(以下略)」と歌う▼つと、先人がうみだしてきたものや、その思いを乱暴に踏み にじらせてはなるまいと思う。(佐)

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 09年13月13日、「九条の会」近畿ブロック交流集会第3分科会「青年・学生と憲法9条」で薄井雅子さん(米国在住ジャーナリスト)と本多立太郎さん(元日本兵)が話された内容の要旨を紹介します。


戦争が打ち砕く青年の夢
  薄井雅子さん

 アメリカには9条がなく、毎日戦争をしている。パールハーバー以来、アメリカ国土が戦場になったことはない。本土に住んでいる人は戦争がピンとこない。毎日普通の生活をしながら、一方で戦争が続いているのが当り前の国になった。オバマ大統領になり戦争が終るのかと思ったら、アフガンに米兵を3万人増派し、10万人規模になった。アメリカでは若い男女が人殺しにされている。
 軍隊の勧誘チラシは、海外に出て、子どもたちとも交流ができ、やりたい世界が広げられる、奨学金が貰える、手に職が付く、冒険も出来るし、世界旅行もできると勧誘している。年収では軍需産業のトップが約25億円、命をかけて戦っている兵士は270万円。戦争している人は安く、裏で手を引いている人がどんなに儲けているか。亡くなった兵士の年齢は18〜20歳。高校を卒業して人生の花を開かせようという時に戦場に送られて亡くなってしまう。その一生は何だったのか。イラク戦争で戦死したのは4358人、負傷者は3万人以上。無事に還ってきても、08年の米兵の自殺者は140人。家庭内暴力の被害2万5千件以上、少なくとも90人の配偶者が殺されている。こんな状況の中でアメリカでは、アフガンやイラクから出て行こうという運動が起っている。

戦争出前噺
  本多立太郎さん

 戦争は、温かい環境からすっぱりと切断されて、殺人を目的とする集団に放り込まれる。先ず別れがあり、その後待っているのは死である。自分にとって戦争とは「別れと死」、それ以外の何物でもない。
 25歳の5月、召集が来た。お別れを言うために銀座の喫茶店に行ったら、娘さんが驚いた顔で迎えてくれた。坊主頭にしていったからだ。コーヒーを飲んでいると、私の大好きなラベルの「ボレロ」が鳴り出した。1曲が終ると、また鳴り出した。3回目が鳴り出し、「もういいよ」と言ったら、「これはあなたへのプレゼントです」。涙が止まらなくなった。これが私の初めて体験した戦争であり、別れだ。その店は45年3月の東京大空襲で全滅してしまった。
 戦場では無数の死を見た。その死を私のこの手でやってしまった。これは何回語っても無念、恥ずかしく、悔しく、切ない。ある日、隊長に中国人の捕虜を処分せよと言われた。銃剣で胸を刺して殺す。いくら戦場といえども罪は罪。とうとう私はそれをやってしまった。命の極限の表情は70年たっても消えない。心に深い傷となって残っている。
 2・26事件では声を上げられない黒山の群衆がいた。今なら声を上げることはいくらでもできる。声を上げないのは罪というべきだ。今、世の中が変わりつつある。やがて我々がはっと気が付いた時には、声を上げられない群衆のひとりにされてしまっているのではないか。そうなってからではもう遅い。声を上げるのは今だ。(つづく)

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法の支配を守ってきたのが内閣法制局

朝日新聞10年1月6日付「対談・『政治主導』と民主主義の行方」の中から内閣法制局に関する部分を抜粋して掲載します。(長)・長谷部恭男氏(東大法学部教授)、(杉)・杉田敦氏(法政大法学部教授)


 (杉)内閣法制局長官の国会答弁が有権解釈(公的機関による拘束力をもつ法解釈)とみなされてきたことについて、一官僚に過ぎないものが憲法解釈を左右すること自体がおかしいという批判は常にあります。
 (長)フランスではコンセイユ・デタ(国務院)という機関が政府に助言を与えています。アメリカでは司法省の法律助言局が、憲法あるいは法解釈一般について政府に助言を与える役割を担っています。つまり、世界の主要国には概ね日本の内閣法制局と類似の機関が存在している。いずれも政府が法の支配に基づいて統治を行うことを担保していて、その役所が行う有権解釈を政治が左右していいという議論にはなっていません。ただ、国会での答弁は有権解釈を公にする1つのやり方に過ぎないので、絶対に必要とまでは言えないでしょう。アメリカやフランスは主要な有権解釈をホームページに載せていますが、内閣法制局も何らかの形で解釈を公開すればいいと思います。
 (杉)憲法の条文、特に論争的なテーマである9条の解釈について、法制局に過大な負荷がかかってきたことが問題ではないでしょうか。
 (長)しかし、例えばアメリカの法律助言局の重要な任務のひとつは、どういった場合に議会の承諾なしに行政府が軍隊を動かせるか、先例に基づいて有権解釈を示すことです。それは9条に関して内閣法制局がやってきたことと本質的に同じで、日本だけが特異だとは言えません。個々の法案を審査し、必要な時には有権解釈を示して法のネットワーク全体がちゃんと働くようにし、法の支配を守ってきたのが内閣法制局です。ここを取っ払うとネットワークが機能障害を起こしてしまう。(表題は編集部)

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(2010年1月17日入力)
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