「九条の会・わかやま」 124号を発行(2010年2月8日付)

 124号が2月8日付で発行されました。1面は、「国会改革」法案に自由法曹団が意見書、高遠菜穂子氏講演会「命に国境はない」、九条噺、2面は、「九条の会」近畿ブロック交流集会に参加して(「九条の会・きし」世話人・雑賀敏樹さん)㊦、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」第6回総会開催、「田辺9条の会」第5回総会開催 です。
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[本文から]

内閣法制局は内閣の監督を受ける機関ではない
「国会改革」法案に自由法曹団が意見書


 自由法曹団は1月14日、「『強権的国家づくり』をめざす民主党『国会改革』に反対する」という意見書を発表しました。意見書はA4判15ページに及ぶ長大なものですが、国会改革関連法案の中身を明らかにし、与野党で協議するのであれば、〝白紙〟の状態で協議を始めなければならず、与党が野党の意見を聞かずに国会の審議ルールを多数決で強行するのは、議会制民主主義を根底から覆すものだと批判しています。
 内閣法制局長官を政府特別補佐人から除くことの問題点については、「政府特別補佐人には、政府から独立性の強い機関の長を国会審議の必要性から特別に国会への出席を認めたものである。憲法は国の最高法規とされ、国家機関は憲法に反する施策を行うことは出来ない。行政権の行使も常に憲法に適合していなければならない。内閣法制局は、『閣議に附される法律・政令・条約案を審査し、それに意見を附し、及び所要の修正を加えて、内閣に上申すること』をその職責としている。法律・政令・条約案と憲法との整合性や憲法解釈の統一性をはかる目的である。時の内閣が憲法解釈をコロコロと変えるようでは、『法による支配』は実現できない。内閣法制局の職責がそうである以上、内閣とは独立した意見を持つことや内閣の意思に反する意見を述べることも当然許されなければならない。従って、内閣法制局は、内閣の監督を受ける一機関ではなく、内閣から独立した立場で憲法解釈が出来る独立性が認められているのである。内閣法制局長官が政府特別補佐人から除外されれば、国会の法案審議の場で内閣提出法案について内閣法制局長官の答弁を求めることが出来なくなる。そうなれば、内閣法制局が本来の職責を果たすことは不可能となってしまう」と指摘しています。
 また、内閣法制局長官の国会答弁禁止の狙いについては、「小沢幹事長は、90年のイラクによるクウェート侵攻当時、自民党幹事長として、『国連平和協力法』により自衛隊の海外派兵を強行しようとしたが、(自衛隊を戦地に送ることは憲法9条に違反するとの内閣法制局長官の答弁で)それが実現できなかったことが、その契機となっている。内閣法制局長官を政府特別補佐人から除く真のねらいは、従来の政府の憲法解釈を『政治主導』の名で勝手に変え、自民党政権でさえ実現できなかった自衛隊の海外での公然たる武力行使と集団的自衛権行使を合憲化し強行することである」と指摘しています。

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高遠菜穂子氏講演会(告知)
命に国境はない
~イラク戦争とは何だったのか?~

 イラク支援ボランティア。70年1月14日北海道千歳市出身。麗澤(れいたく)大学外国語学部英語学科卒。卒業後、東京で1年間の会社員生活。退職後はアメリカへ。黒人解放運動の田尻成芳氏の元を訪れ、生き方を学ぶ。30歳を機に仕事を辞めてからは、インドのマザーテレサの施設や孤児院、タイ、カンボジアのエイズホスピスでボランティアに専念する。
 03年3月にイラク戦争が勃発し、ブッシュ大統領の「大規模戦闘終結宣言」が発表された5月1日にイラクに初入国。NGOと共に病院調査、医薬品運搬、学校再建などを行う。後半は路上生活する子どもたちの自立支援に取り組み始める。
 04年4月、4回目のイラク入国の際にファルージャ近郊で地元の抵抗勢力に拘束される。04年8月より隣国ヨルダンからイラク支援を再開。バグダッドで薬物依存に走り始めた路上生活の子どもたちに「子ども自立支援プロジェクト」として就職斡旋と職業訓練プログラムの基盤作りを完了。
 現在は、「ファルージャ再建プロジェクト」をイラク人と共に進めている。「9条世界会議」呼びかけ人。

日時:2010年2月18日(木)
   午後6時30分開演
会場:プラザホープ4Fホール
   (和歌山市北出島1丁目5番47号)
入場:無料
主催:憲法9条を守る和歌山弁護士の会
   連絡先:パークアベニュー法律事務所(073-422-1858)

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【九条噺】

 ひところ、折にふれて京都の町なかを散策した。寿岳章子さんの『京に暮らすよろこび』(草思社)が格好の案内書だった。寿岳さんが父親である文章氏(英文学者)との思い出も交えながら、町なかに生きる人々の日々の暮らしを通して綴った京都賛歌である▼寿岳章子(1924~2005)さんは元京都府立大学教授・随筆家。鶴見和子さんらとともに女性学者の草分けであり、女性差別や地位向上をはじめ、様々な分野で幅広く活躍してきた。専門の言語学に関する多くの著作を通して〝ことば〟の大切さを伝え、また、言語を通して暮らしや女性問題などを訴えた。その寿岳さんと二度ばかり懇談する機会に恵まれたことがある。とても気さくで話題も豊かだったと今も記憶する▼「平和憲法は光り輝く存在/人間のありかたの原点/日本人が血と涙で手にしたこの尊いことば/その理想を地球人は追い求めたい/寿岳章子」これは父親の求めに応じて、文章氏の著作の裏表紙の添え書きに寄せたことばだとされる。晩年に至るまで一貫して憲法を語り、憲法を広め、憲法を守るために情熱を注いできた人なのである。その集大成の一端は著書『ひたすら 憲法』(岩波書店)にもうかがうことができる▼女性の中にとびこんで、日々の暮らしを通して憲法を知り、憲法を通して日々の暮らしや女性問題を考え合うという、地道な活動の積み重ねが憲法を守る確かな拠り所になることを体現された人であり、惜しむらくは「九条の会」が全国的に急速に拡がる様をご覧いただけなかったことではなかろうか。(佐)

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「九条の会」近畿ブロック交流集会に参加して
 「九条の会・きし」世話人・雑賀敏樹さん ㊦


 参加した第1分散会は23名の出席で、座席順に自己紹介と簡単な活動紹介から始まりました。  私は自己紹介と「九条の会・きし」の地域、立上げ時期と、毎月第3日曜の署名行動と集めた数の報告に止めたのですが、長い活動報告をする人もあり自己紹介が終わった後は数人の意見交換で終了になりました。
 各会の活動エリアが市などの行政区単位から小学校区単位の会、自治会や町内会、職場や趣味の会まであり、呼びかけ人や賛同人の数も大小さまざま、成り立ちにも違いがあり、簡単な報告を聞くだけではすぐに参考にするのは難しいかな?という感じがしました。しかし会場で頂いた各会のニュースなどの資料はすばらしく良かったので、事前に手に入ればそれも材料に、もう少し時間をとって話し合えればよかったと思いました。
 「奈良橿原のブログ立上げ」ひょっとすると「きし」がチャレンジしても面白いかも。「大阪阪南の120人の呼びかけ人ができるだけ参加できる運動にしたい」この目線学ぶべき。「奈良生駒の、代表や運営委員はなし、来た人でやる」とはどんなことかを聞いてみたかった。「明石おおくぼの朝の7時半から1時間【九条守れ】の看板を8人が無言で掲げて1年半」ユニークだが大変そう。「彦根の甲良9条の会は住民運動など起こったこともない保守的な土地柄で自分の意志表示をしない人が多い中、大阪から移り住んだ人が牽引者で立上げ、僧侶が会長を引き受け、その寺でいろいろなイベントを計画、8月の平和の集いには32名、除夜の鐘つきには55名が集まり、2周年記念・総会には甲良町長からメッセージが届くなど」そのしたたかさに感服。「戦争放棄は正義の大道」と言った幣原首相の出身地・門真の会はその紙芝居を作り、門真ゆかりの人たちの戦争体験集を発行し宣伝に活用・・・他にもいろいろ沢山のヒントを頂きました。どの会も高齢化、財源作り、会場や講師探しと、苦労しながら知恵と工夫、賛同者の力を借りて、たくましく、したたかに、しなやかに乗り越えていることを学ばせてもらいました。「九条の会・きし」も世話人だけで悩み、事を運ぶのではなく、多くの「呼びかけ人・賛同人」に相談し、その力に依拠し、今年こそは「総会と2周年記念行事」を中心に、楽しく意義ある取り組みを計画したいと思いました。(おわり)

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「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」第6回総会開催
 会員は和歌山県の弁護士の54%に


 1月26日、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の第6回総会が、和歌山弁護士会館で開催されました。司法修習2期の月山桂弁護士から62期で弁護士になりたての新人まで、24名の会員が出席しました。現在、和歌山県下の弁護士は合計113名で、その内の61名(54%)が「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」に結集しています。
 総会では、次の活動方針が満場一致で承認されました。
●「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の組織強化に向けて
 ①さらなる会員拡大をめざす
 ②より多くの会員が活動に参加することをめざす
 ③会員間の意見交換の活性化をはかる
●全県的な「9条」を守る運動を推し進めるために
 ①9条「改正」に反対する県民大署名運動を一層推進する
 ②6年連続で紀州おどりに「九条連」を結成して参加する
 ③当会主催行事を会をあげて成功させる
 ④講師派遣の活性化をはかる
 ⑤今年も特別番組「憲法を考える」放送を企画する
 ⑥県下各団体の取組に会員が積極的に参加する
●楽観を戒めつつ、希望を失わず、憲法9条を守る活動に全力をあげる。
 役員については、事務局次長の増員などを引き続き検討することを確認し、顧問に月山桂さん、鈴木俊男さん(ともに「九条の会・わかやま」呼びかけ人)ら4名、代表世話人に山﨑和友さんら3名、世話人に石津剛彦さんら3名、事務局長に金原徹雄さん、事務局次長に岡田政和さんが選出(全員留任)されました。(金原徹雄さんより)

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「田辺9条の会」第5回総会開催

 「田辺9条の会」は30日、田辺市民総合センターで第5回総会を開催しました。
 今回は15名とかなり少ない参加者だったのですが、第Ⅰ部の総会は昨年度の活動報告・会計報告、今年度の活動計画の承認と役員の選出が行われました。
 今年度の活動計画では、
①5月開催予定の紀南9条ネットによる「ピースフェスティバル」(仮称)を成功させよう
②小・中学校区を単位とした「ミニ9条の会」を今年は2~3箇所でつくることをめざそう
③今年中に国内平和ツアー、来年度は海外平和ツアーを実現しよう
などが決められました。
 役員は、代表世話人に木川田道子さん、田所顕平さん、光吉敏郎さん、事務局長に木川田道子さん(兼任)、会計に中田文子さんが選出されました。
 第Ⅱ部では、堺市民が制作したミュージカル「炎の街より」のDVDを鑑賞しました。堺市にあった遊郭を舞台に、空襲のみならず、戦前の女性の置かれた状況、治安維持法、軍隊など、戦時中の状況を、空襲をはさんで、今日の問題とも結んで、9条と平和をめぐる課題を問いかけるこの作品は、調査から芝居づくりまで、まさに、小学生から高齢者まで市民が結集した意欲作でした。「堺でこれだけの市民が参加してよくなされたなあと思いました。多くの人の気持ちがひとつになった過程がわかるような舞台でした。田辺でも歴史の掘り起こしをして、こういう取り組みができたらいいなと思いました」といった感想が寄せられています。(田所顕平さんより)

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(2010年2月21日入力)
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