政府の公式見解を求める
イラク戦争7周年になるが、イラク支援のNGOや取材を続けているジャーナリストたちとイラク戦争の検証を求める運動を始めた。民間の検証は進んでいるが、求めるのは政府の公式見解だ。日本政府はイラク戦争を支持しただけでなく、自衛隊を派遣したが、今も外務省は、イラク戦争は根拠のある戦争だとしており、それに基づき武力行使がおこなわれた。
ところが、当事国であるイギリスでは独立調査委員会が作られ、ブレア前首相が公開の場で証人喚問され、事実が明らかになってきている。オランダでは検証の公式報告書が出され、イラク戦争は国際法違反と結論づけている。国連安保理決議1441号を根拠には正当化できないと言っている。今も日本の外務省はそれを根拠に正当化したままになっている。外務省の見解は崩れてしまっている。民間の検証活動で航空自衛隊の輸送実績が開示されたが、イラク復興支援で人道支援物資を運ぶと言いながら、70%は軍事物資と兵士で、そのほとんどは米軍だ。これは日本国憲法にも関わるもので、公式見解を求めなければならないと、高遠さんは強調しました。
高遠さんは、ファルージャなどの、米軍の残虐な掃討作戦の実態を多くの、おぞましい映像も交えて告発しました。
「アンバールの覚醒」を知り、励まそう
そして、アンバール州・ラマディーの実例を紹介しました。ラマディーは1年以上町が封鎖され、米軍基地として使用されていたという最激戦地だが、一番大変なところから事態が良くなってきた。紛争地には武力ではなく、粘り強く対話をして解決策を導き出そうと奮闘する人が必ずいる。残念なことは少なく目立たないことだ。ラマディーの部族長たちはアルカイダ掃討で米軍と共闘するか否か、米軍を追い出す方が先か、アルカイダを追い出す方が先かで意見が分かれたが、結局、妥協策として「アンバールの覚醒」という部族長会議を結成し、米軍と粘り強く直接交渉をし、「市民を勝手に逮捕するな。我々の許可なく軍事作戦をするな。治安維持は我々にやらせろ」と申し入れ、それを実現させていった。治安維持を自分たちでやるだけでなく、米軍を町から撤退させることに成功した。これはブッシュ政権時代のことで、オバマ政権は都市部より段階的撤退を始めているが、それに先がけ、イラク政府でも、アメリカ政府でも、国連でもなく、部族長が撤退させた。日本で憲法9条を守ろうという人たちには、このような目立たない少数派の人たちがいることを伝えたい。その人たちのことを覚え、励ましてほしいと、高遠さんは訴えました。
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9条守れ初交流/秋田、宮城の「首長の会」
宮城県の「憲法九条を守る首長の会」(会長、川井貞一元白石市長)と「憲法9条を守る秋田県市町村長の会」(呼びかけ人、千田謙蔵元横手市長)との初の交流会が27日、秋田県横手市内であった。両会によると、憲法9条を守る首長の会は現在、この二つだけといい、今後、同様の会を全国に広めていくことなどを話し合った。
千田元横手市長が「首長は本来、憲法を守るのが仕事。交流を深め、組織を広げていきたい」とあいさつ。川井元白石市長は「全国に広がり、各県の連携が取れれば、憲法を守るエネルギーになる」と話した。全国に広めていくことなどを話し合った。
千田元横手市長が「首長は本来、憲法を守るのが仕事。交流を深め、組織を広げていきたい」とあいさつ。川井元白石市長は「全国に広がり、各県の連携が取れれば、憲法を守るエネルギーになる」と話した。町長)、「日本の9条ファンは世界中にいる。もっとアピールしたい」(元湯沢市長)などの発言があった。
宮城の会は2008年2月に、秋田の会は同8月に結成、各県の首長や県民へ憲法9条の大切さをアピールするなどの活動をしてきた。会員は秋田24人、宮城14人だが、現職首長は秋田の2人だけで、ほとんどが元首長。(1月28日付・朝日新聞秋田版)
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【九条噺】
田辺市在住のエッセイスト松上京子さんの新著『チェアウォーカーという生き方』を読んだ。「チェアウォーカー」は著者の造語で、車椅子生活をする人 のこと。松上さんは車椅子生活について、「障害のために余儀なくされた」とか、「障害にもめげず車椅子でがんばっている」と言われるのを好まない。彼女にとっては、車椅子生活もいわば 個性 のようなものだ。和歌山の自治体問題研究所の研修会に二度ばかり講師をしていただいたが、ハンディをまるで感じさせない、さわやかで前向きな生き方をたんたんと語る彼女に多くの参加者が魅了され、 元気をもらった と喜んだ▼松上さんは保育士時代にバイク事故で脊髄を損傷、車椅子で日々暮らすことになった。当初は 絶望の日々 だった。そんな彼女に希望をもたらせたのがアメリカ、オハイオ州のユージーンという町。ここでは障害者が安全に暮らせるように町づくりがおこなわれており、障害を負い目に感じることなくフツーに生活していけるという。松上さんはこの町で生活をはじめ、自立してたくましく生きる力を得た▼障害者や高齢者が安全ということは、つまりすべての人々にとって安全であることを意味するが、残念なことに、日本にユージーンのような町はないのである。憲法9条にふさわしく、人々が心の底から安心して暮らせる町、安全な町をつくる大きな仕事が待っている。私たちの仕事はまだまだ・・・。(佐)
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防衛相の「武器輸出3原則」見直し発言は重大
日本経団連は昨年7月、欧米企業との国際的な武器の共同研究開発などを求める提言を発表しました。また、首相の諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」も8月に国際共同開発・生産への参加やテロ・海賊対策への「支援」を例外扱いするように求めました。
ゲーツ米国防長官は10月、日米で共同開発をしている迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」を欧州などの第3国に輸出できるように「武器輸出3原則」の見直しを求めました。
北沢防衛相は1月12日、日本防衛装備工業会の会合で挨拶し、「そろそろ基本的な考え方を見直すことがあってもしかるべきだ」と、3原則の見直し論議を始める考えを示したといいます。
ここに至って財界、アメリカから「武器輸出3原則」見直しの声が多く出てきていることは重大です。民主党の現職閣僚の、「3原則」そのものを見直すという動きはさらに重大です。昨年6月、自民党の国防部会などの「提言・新防衛計画の大綱について」で、「武器輸出3原則等運用においては、・・・国際的な技術レベルを維持するとともに他国との技術交流を維持するため、米国以外の企業との共同研究・開発、生産、や『武器』の定義の緩和等、更なる3原則の見直しが必要である」と、「3原則」の見直しを求めたのと全く同じ立場です。
「武器輸出3原則」は76年に武器禁輸国以外の国にも「武器の輸出を慎む」とし、事実上、日本の他国への武器輸出が禁止となり、武器技術や投資も武器と同じ扱いを受けるとしたものです。政府方針は、「平和国家としてのわが国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため、政府としては、従来から慎重に対処しており、今後とも・・・武器の輸出を認めない」(76年2月27日政府統一見解)としてきました。「武器輸出3原則」は、憲法9条の理念である「戦争の放棄」「国際紛争の平和的解決」「武力行使・威嚇の禁止」を具現化したものです。「見直し」は憲法の理念を真っ向から否定するものです。
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アフガンで農業用水路完工式
ペシャワール会
アフガニスタン東部で日本の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」が03年3月から建設を続けてきた約25.5キロの農業用水路がこのほど完成。ジャララバード近郊シェワで8日、完工式が開かれた。
式典は同会が用水路の中間地点に建てたモスク(イスラム教礼拝所)で開かれ、同会関係者や地元ナンガルハル州のシェルザイ知事ら約200人が出席。同会の中村哲・現地代表は式典で「国際社会は武力でアフガニスタンに平和をもたらそうとしているが、これは解決策ではない。豊かな水がこの国に平和をもたらすという模範となることを望む」と述べた。
建設中の08年8月、同会スタッフの伊藤和也さん=当時(31)静岡県掛川市=の拉致、殺害事件が発生。中村代表はその後、日本人としては唯一現地に滞在、アフガン人スタッフ約600人と共に最後の5.5キロを完成させた。(2月8日、共同通信)
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