「九条の会・わかやま」 126号を発行(2010年3月10日付)

 126号が3月10日付で発行されました。1面は、「守ろう9条 紀の川 市民の会」が第6回総会、自民5月めど改憲案修正、日本政治は閉塞状況になりつつある(森英樹さん講演①)、九条噺、2面は、9条は戦争手段否定が大事(石津剛彦さん講演①)、しかしそれだけではない(映画) です。
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「守ろう9条 紀の川 市民の会」が第6回総会 開催

 「守ろう9条 紀の川 市民の会」は3月6日、和歌山市・河北コミュニティーセンターで、74名の出席のもと、第6回総会を開催しました。
 第1部は「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」世話人・石津剛彦弁護士が「日本国憲法9条の原点を見直そう」と題して講演をしました。(講演要旨は裏面)
 第2部総会では、代表委員の原通範さん(和歌山大学教育学部教授)が開会挨拶をし、教員の僻地実習の環境で個々人が一人一人が育つことが分かった。個々人が大事にされてこそ、平和が大事され、基本的人権や国民主権が保障されると挨拶しました。
 続いて、09年度の活動報告と会計報告が行われ、10年度の活動方針と予算が提案されました。討議のあと、ともに承認されました。次に10年度の役員の選出がおこなわれ、運営委員会の提案通りに選出されました。

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自民党、5月めどに改憲案修正

 自民党憲法改正推進本部は4日、05年に策定した改憲草案修正のための論点を公表しました。これを基に、国民投票法が施行される5月までに成案をまとめるとのことです。
 論点は、9条の関係では、集団的自衛権、兵役義務の意味や軍隊と国民との関係などですが、集団的自衛権容認などとともに、「国民の義務」の項目で、「民主主義国家における兵役義務の意味や軍隊と国民との関係について、さらに詰めた検討を行う必要がある」と、今まで言わなかった徴兵制を目指すような記述があります。大島幹事長は「わが党が徴兵制を検討することはない」と火消しを図るコメントを発表したといいますが、それなら何故このような論点を記述するのでしょうか。

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日本の政治は閉塞状況になりつつある

 2月27日、和歌山市勤労者総合センターで憲法9条を守る和歌山市共同センター主催の「春の憲法学習会」が開催され、龍谷大学教授(名古屋大学名誉教授)森英樹氏が「60年安保改定から50年-憲法9条のゆくえ」と題して講演されました。その要旨を3回に分けてご紹介します。

森英樹さん講演要旨 ①

 総選挙は民主党の圧勝という結果を招いた。日本のメディアはこれで大きく日本が変わると報じた。しかし、ドイツのメディアは、これは権力そのものが変わる本格的な政権交代か、単に与党の構成メンバーが入れ替わっただけか、はっきりしないと論評した。本当の政権交代とはメンバーが新しくなるだけでなく、その政策がチェンジしたのかがポイントになる。命と暮らしを粗末にする自民党政権は変えたいという国民の声が受け皿となって民主党が圧勝した。「命と暮らし」とは憲法9条と25条の問題だ。これからそれがどれほど変わるのかが本当の政権交代かどうかを測るモノサシになる。
 ところが、見るところunchangeableで変わっていない。「小・鳩」政権に「政治と金」疑惑が噴出している。政権の先行きは不透明になり始めている。鳩山首相は、母親から毎月1500万円もの桁外れの「子ども手当」を貰った。この政治資金は、何に使ったのか一向に明らかにならない。小沢幹事長は、ゼネコンから裏金が入っていたのではないかという疑惑が晴れないまま今日に至っている。「小沢ゼネコンと鳩山マザコン」という対句ができる。政治資金が不透明という点で自民党政治と変わらない。特に小沢氏は田中元首相たちがやってきた手法と全く同じだ。小林千代美議員への違法献金などで、愛想をつかしたのか、21日の長崎県知事選挙で民主系候補が惨敗したが、この選挙で小沢氏は「新幹線を長崎まで引っ張ってみせる」と利益誘導演説をした。
 「10年度予算案」の財源は自民党と同じく、「聖域」に手をつけていない。その最たるものは軍事費。事業仕分けに馴染まないと、防衛省の言うがままに予算が組まれた。これでは国民の失望を招く必然性がある。日本の政治は2大政党を見る限り閉塞状況になりつつある。
 9条問題から見た総選挙結果の最大の特徴は9条改憲に対する衆議院の勢力に大きな変動が起ったことだ。9条改憲派議員が大量に落選した。「新憲法制定議員同盟」所属衆議院議員139名で再選は53名のみに止まり、「大物」議員の大量落選があった。また、議員の改憲に対する意思傾向が大きく変わった。毎日新聞アンケートでは改憲一般に賛成68%、これは多いように見えるが解散前は84%いた。9条改憲賛成はわずか34%、51%が反対だ。集団的自衛権の政府解釈を見直すべき37%、必要なし50%だ。様変わりである。9条改憲はひとまず食いとめたと言える。改憲賛成の世論は「九条の会」が結成された04年をピークに下降し、08年には賛否が逆転した。私たちの憲法への熱い思いが改憲を食い止めた。歴史に参加したと誇りを持つべきだ。
 安倍内閣の07年参院選と、麻生内閣の09年衆院選の2度の選挙で改憲をテーマにして敗れたということは、歴史に照らすと重要な意味を持つ。改憲が初めて大きな争点になったのは55~56年だ。50年に警察予備隊ができ、54年には自衛隊になった。憲法の矛盾が明確になり、改憲勢力は自衛隊をやめるのではなく、憲法を棄てることで総選挙に臨んだが、改憲ができる勢力は取れなかった。保守2大政党が合併して56年の参院選挙に同じテーマで臨んだが、それでも負けた。この2度の選挙で改憲ができないことが分かり、自民党は長らく憲法解釈を変えてここまできた。また改憲ののろしが上り、また敗れたということは、当分の間は足腰が立たないところに追い込まれたと見るのが常識的だろう。(つづく)

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【九条噺】

 3月6日、朝日新聞に聖路加国際病院の理事長である日野原重明氏の提案が掲載された。この提案は、沖縄県にある米軍の普天間基地問題に関わってなされたもので、タイトルは「10年後の日本に向けて」「98歳・私の証 あるがまゝ行く」とある▼日野原氏は、「国内には憲法改正をして自衛隊を正式な軍隊にすべきだという意見もあります。しかし、資源のない日本を他国が爆撃する必然性は本当にあるのでしょうか」「むしろ、日本は武力を誇示して国を守るのではなく、10年後には国内の米軍基地をなくす条約を日米間で結び、この日本を『平和の国』として世界に宣言し、世界平和の礎としての立場を明確にすることで、国際社会の確固たる地位を築くべきだと思う」と提案。「これは単なる『休戦』ではなく、カントの言う『非戦』の精神です」と言う。そして、「普天間の跡地には、これまで多大な負担を強いられてきた地域住民に最高の楽園を作ることを約束し、あと10年の猶予をもらう」とも。「最高の楽園」や「あと10年の猶予をもらう」等については、あれこれ議論もあるだろうが、いずれにせよ、日野原氏の立場は明快である▼未だ迷走を続ける鳩山政権には、少なくともこの98歳の医師の提案を心して受け止めてほしいものだ。(佐)

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9条は戦争をする手段を否定しているところが大事

 「守ろう9条 紀の川 市民の会」第6回総会で、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」世話人・石津剛彦さんが「日本国憲法9条の原点を見直そう」と題して講演をしました。その要旨を2回に分けてご紹介します。今回は1回目。

石津剛彦さん講演要旨①

 憲法とは何かを正確に言うのは難しい。憲法は、①国家は何ができ、何ができないのかを決める②議会・政府・裁判所など国の機関の役割分担を決め、暴走を予防する③国家はどのような役割を果たさなければならないのか、を明らかにしている。普段は意識しないが、国民が安心して生活が出来るということに非常に関係している。実は平和に暮らすためには憲法が必要だ。きちんとした生活が出来ない場合も憲法が国に命じてちゃんと生活できるようにする。憲法は我々の生活に密接に関わっているものなのだ。
 では9条はどういう役割を期待されているのか。日本国憲法は戦前の憲法と比較すると、基本的に①国民主権②基本的人権の尊重③平和主義、の3つの違いがある。①②は分かりやすいが、平和主義とは何なのか。世界の全ての憲法にあるかというと、書かれているものも多いが、日本国憲法ほど徹底しているものはない。国同士のもめごとは話し合いでとか、国際社会全体で解決していこうという考え方だ。平和主義はどのような役割を持っているのか。戦争になれば勝つことが最優先されるので、個人の権利がどうのとか、自分たちで物事を決めようとかはどうでもよくなってしまう。現に自衛隊幹部は戦時になった時は人権よりも指揮権が優先すると言っている。財産権も守られない。平和主義は憲法からすると一見ピントがずれているように見えるが、実際に日本人が戦争を経験して初めて到達したことだ。つまり、平和でなかったら国民主権も基本的人権も成り立たない。平和主義が3本柱になる理由はそこにある。
 9条が他の国の平和条項とどこが違うのか、戦争をする手段そのものを否定しているところが一番大事だ。戦争は違法だとかなり昔から言われているにも拘らず戦争がおこなわれている。制裁、自衛のための戦争は例外になっていて、戦争は拡大していった。戦争を止めるためには戦力を否定しないと難しいと日本人は肌身に沁みて分かった。
 いま平和主義が危うくなっている。2000年前後から状況が変わり、冷戦が終結してアメリカが唯一の超大国になり、東アジアの軍事を日本に肩代わりさせようとして、9条を変えて戦争へ協力させる圧力が高まった。これが一番大きい。日本国民は9条の先進性や平和の重要さを知っているので、9条は根深い人気を持っている。新しい権利を加えようというのは撹乱させるために言っているに過ぎない。(つづく)

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ドキュメンタリー映画の紹介

しかし それだけではない。
~加藤周一 幽霊と語る~

http://www.ghibli.jp/kato/mov.swf <ここをクリック>

 戦後の日本を代表する知識人として発言を続けた加藤周一が最後に残したメッセージを、彼自身の歩みとともに構成したドキュメンタリー。
 文学を始めとする芸術全般、文明、社会、政治と、幅広い視点から日本について語り続けてきた加藤周一。08年12月にこの世を去った彼が最後に試みたのは〝決して意見が変わることのない〟幽霊たちとの対話だった。戦時中に、自らの運命との共通性を感じた源実朝、自由な言論が失われた中でも意見を曲げることのなかった神田盾夫、渡辺一夫といった恩師たち、そして、学徒出陣で戦地に向かい若い命を落とした友人。彼らに語りかける加藤の言葉の中から、日本の今と未来が浮かび上がる。若い世代への期待を語った講演と生前最後のインタビュー(08年8月)も収録。
 加藤周一の言葉に示唆を与えられてきた全ての人だけでなく、加藤周一という人物をこれから知ろうとする人にとっても、最良の出発点となる貴重な映像作品。

「九条の会」は各地の九条の会、大学などで自主上映ができるよう準備しています。自主上映を希望するグループには、DVDをレンタルします。貸出料金は30人以下は3万円、それ以上は5万円を予定。(上映時の入場料の設定は自由)
申込みは以下にメールを。
web@eizoudocument.com <ここをクリック>

【関西での上映】京都シネマ(075-353-4723)5月1日~7日

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