「九条の会・わかやま」 129号を発行(2010年4月13日付)

 129号が4月13日付で発行されました。1面は、「九条の会」呼びかけ人 井上ひさしさん死去、第4回「きのくに9条まつり」開催 、九条噺、2面は、「九条の会」関東ブロック交流集会開催、警戒! JCが今年も「憲法タウンミーティング」開催、「みんなの党」は日米安保体制堅持「憲法9条否定」論 です。
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「九条の会」呼びかけ人 井上ひさしさん死去

 「九条の会」呼びかけ人・井上ひさしさんが4月9日、死去されました。謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。4月12日付の毎日新聞ウェッブサイトから記事(電子版)を抜粋してご紹介します。

 作品で社会を風刺するだけでなく、言論の自由や平和を求めて積極的に行動した井上ひさしさんが9日、75歳で亡くなった。博覧強記で、弁舌は鋭く明快。幅広い分野で才能を十二分に発揮した作家だった。
 5歳で父を亡くし、児童養護施設に預けられた時期もあった。天性の素質は、学生時代に雑用係や台本作家として働いていた東京・浅草のストリップ劇場で磨かれた。ショーの前に、渥美清らそうそうたる顔ぶれのコメディアンが演じる喜劇を見て、大きな影響を受けた。奇抜な着想やことば遊びを駆使したおかしみは、その後の作品の特徴の一つとなった。
 滑稽(こっけい)さの中に人間の精神のあり方を示し、価値観を逆転させたり、戦争の悲惨さを浮かび上がらせる。そのように重いテーマを軽妙に語る手際が、井上さんの真骨頂だった。完全主義者で苦吟を重ねるため、原稿執筆に時間がかかり、自ら「遅筆堂」と名乗っていた。新作の執筆が遅れて舞台の初日が開かないことも、しばしば話題になった。
 一方、「九条の会」を結成するなど、さまざまな反戦・平和活動を展開。「井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法」(06年)はベストセラーになった。教科書や食糧についての問題、国鉄民営化などについても発言。自宅のある神奈川県鎌倉市の緑を守るためのナショナルトラスト運動にも取り組んだ。
 言葉に対する関心が深く、「私家版日本語文法」(81年)などの著書もある。読書推進活動に熱心で、蔵書家としても知られた。その膨大な蔵書を故郷の山形県川西町(旧小松町)に寄贈。同町には87年、図書館「遅筆堂文庫」がオープンした。井上さんは山形県川西町出身で、劇団「こまつ座」の名は小中学生時代に映画や芝居を見た同町の「小松座」に由来する。99年には名誉町民にもなった。

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第4回「きのくに9条まつり」開催
みんなで「9条を守ろう」と春の午後を楽しく過ごす


 4月11日、和歌山市・長町公園で「きのくに9条市民の会」が「第4回きのくに9条まつり」を開催しました。心配された雨も降らず、多くの人が参加しました。中央舞台では、会長の挨拶・よさこいソーラン・9条ミニ講演・紙芝居・太極拳・シニアエクササイズなど、平和の願いを込めてプログラムが進行しました。NPT再検討会議に参加する学生からの訴えも行われました。中央舞台の周囲には、「食べ物」「フリーマーケット」「子ども」「健康」「平和・折鶴」のコーナーも設けられ、近所の住民の方も見学や買い物に来られていました。






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【九条噺】

 2006年、安倍晋三首相と胡錦濤国家主席(10月)、麻生太郎外相と李肇星外交部長(11月)がそれぞれ合意して「日中歴史共同研究プロジェクト」が発足し、その報告書が今年1月末に公表された▼この「共同研究」は、当時安倍首相が国会で、靖国神社問題や教科書問題など、「日中の歴史認識については専門家の判断に委ねたい」としたことから取り組むことになったもの。しかし、安倍晋三氏は、自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(現「教科書議連」)の事務局長などとして、すでに歴史教科書に対して「自虐」「偏向」「売国」などのレッテルを貼り、侵略・加害の事実を否定するなど、乱暴な教科書攻撃を展開しており、「専門家の判断に委ねる」という態度そのものがすこぶる怪しかった。ただ、日中間は、安倍氏らのかねてからの〝活動〟も災いして、かなり軋轢と亀裂を深めていたことも事実で、いわばその打開策としての「共同研究」だった▼今般公表された「報告書」は、日中戦争が侵略戦争であったという基本認識にたって、南京虐殺事件や毒ガス兵器の使用、「奪い尽くし、焼き尽くし、殺し尽くす」三光作戦、中国人強制連行など、歴史的事実を具体的に叙述している▼しかし今もなお、南京虐殺事件すら否定する議員が自民党だけでなく民主党にもいるという。鳩山首相には「報告書」への感想と明確な歴史認識を重ねて求めたい。(佐)

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「九条の会」関東ブロック交流集会開催

 「九条の会」は4月4日、東京都港区の正則高校で「九条の会」関東ブロック交流集会を開きました。1都7県から450人を超える参加者が地域のネットワークづくりなどの活動を交流しました。
 「九条の会」は一昨年まで全国交流集会を東京で開催してきましたが、昨年から「多くの人が参加し、濃密な交流ができるように」とブロック交流集会として開催することになり、中国ブロック(12月12日)、近畿ブロック(12月13日)、東北ブロック(2月20日)につづき関東ブロックは4ブロック目の開催となります。
 午前の全体会では、「情報や活動の交流を目的」に県段階の会を発足させ、年1回のイベントなどを通じて活動を進めている神奈川(九条かながわの会)の活動、各地のニュースを袋詰めして80団体に発送している群馬(「九条の会」群馬ネットワーク)の活動、市・町の九条の会が横のつながりで活動を強めている茨城(九条の会・水戸)の活動、ニュースやホームページを活用した東京(九条の会東京連絡会)の活動、「『9条を守れ』の看板の前で花見などの行事を開催」した埼玉(三室九条の会)の活動、「憲法9条を守るため地方議員が立ち上がろうと、党派を超え147人が参加」した千葉(九条の会・千葉地方議員ネット)の活動、「憲法を詠む短歌を募集し小冊子に」した(憲法九条を守る歌人の会)活動など多彩な活動が紹介されました。NPT(核不拡散条約)会議にむけ核兵器廃絶署名にとりくむ高校生や首都圏50大学で企画開催をめざす大学生の取り組みも報告されました。
 「九条の会」からの報告として小森陽一事務局長が「9条を守るだけでなく、生かす活動を、それぞれの地域でどう具体化していくか、じっくり、しっかり、熱く議論してください」とよびかけました。
 午後から参加者は30~40人の13分散会に分かれ、★どのようにして「会」を広げ、増やしているか★どのような日常活動をしているか★「会」の財政はどうしているか。などをテーマに報告と質疑応答で交流しました。同時に「職場」「青年・学生」の分科会も開催されました。

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警戒! JCが今年も「憲法タウンミーティング」開催
和歌山では日本会議和歌山会長が参加


 日本青年会議所(JC)は今年も5月3日に全国一斉で「憲法タウンミーティング~憲法を考えませんか~」を開催します。
 「06年度JC憲法草案」は、前文で「・・五箇条の御誓文以来、大日本帝国憲法、日本国憲法に連なる立憲主義の精神のもと・・」と、大日本帝国憲法を引き継ぐ考えを示し、現9条の「戦力及び交戦権の否認」を否定し、「日本国はいかなる侵略をも排除する。前条の目的を達成する為に日本国は、軍隊を保持する。自衛権の行使にあたっては、・・」とし、軍隊を持ち、自衛名目の交戦権行使を肯定しています。このようにJCは9条改憲の立場に立つ団体です。
 昨年の和歌山「憲法タウンミーティング」では、パネリストの松原敏美弁護士やコーディネーターの堀内秀雄氏(和歌山大学生涯学習研究センター長)が努力され、JC本部の思惑通りにいかなかった経緯があります。
 今年は、5月3日午後1時30分~3時30分、和歌山ビッグ愛(県民交流プラザ)で開催され、パネリストには角荘三氏(日本会議和歌山会長)、亀田直紀氏(和歌山JC特別会員、和歌山県防衛協会理事)、コーディネーターには原見輝彦氏(JC和歌山ブロック協議会、明日を照らす実践会議議長)が担当するとのことです。日本会議は、いわゆる靖国派の総本山ともいうべき組織で、「新憲法」制定を主張し、靖国神社「参拝」、田母神講演会の推進なども展開しています。防衛協会は「防衛意識の高揚を図り、防衛基盤の育成強化に寄与し、自衛隊の活動を支援・協力する」ことを目的とする団体です。うがった見方をすれば、昨年の結果を「反省」し、JC本部の改憲肯定の開催目的に沿い、「軍隊保持と交戦権肯定論を喧伝する」ことを目的に開催しようとしているのではないでしょうか。
 JC会員の中には憲法9条を大切に思っている方も少なくないと思います。JCが改憲運動の下請け機関や先導役になることなく、平和を願う市民とともに9条を守り、生かす立場に立つことを願ってやみません。

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「みんなの党」は、やはり日米安保体制堅持による「憲法9条否定」論

 テレビなどは「みんなの党」が支持率上昇と騒いでいますが、「みんなの党」は憲法9条をどうしようとしているのでしょうか。
 「みんなの党」のマニフェストを見ても、この問題に対する明確な記述はありません。
 それらしきところを抜き出してみると、
「政治の最大の責務は、国民の生命・財産を守る、国土を守ることにある。そのためには、日米同盟を基軸にしながら、我が国への脅威、急迫不正の侵害に対しては、万全の体制で臨むべきだ」
「我が国の国民と国土はとことん守る。相互信頼に基づく日米安保体制を基盤(米軍再編への協力等を含む)。急迫不正の侵害に対する自衛権の行使、テロやミサイル、海賊等新しい多様な脅威に対する備えには万全」
となっています。
 「日米同盟基軸」「米軍再編への協力」を明記しており、「自衛隊海外派兵については、しっかりとした原理原則を定める法律を策定」と「派兵恒久法」の制定を主張しています。
 国民の不満をそらすために「対等な同盟関係という立場から、地位協定や『思いやり予算』の見直し、沖縄の米軍基地負担軽減」なども言っていますが、憲法9条の尊重とは対極の、旧来の自民党の路線と何の違いもありません。

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(2010年4月13日入力)
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