「九条の会・わかやま」 133号を発行(2010年5月23日付)

 133号が5月23日付で発行されました。1面は、「全県一斉署名行動」実施、「九条の会・きし」平和の集い開催、5月の風に We love 憲法 国民の運動が守った憲法9条(東京慈恵会医科大学教授・小沢隆一氏②)、九条噺、2面は、憲法9条が南極条約をまとめた(井上ひさしさん講演 ③)、世界に誇る9条を守るのが私たちの責任 WBS和歌山放送・特別番組「憲法を考える」②、与党3党「国会改革」関連法案提出を強行 です。
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「全県一斉署名行動」実施

 5月9日、「憲法九条を守るわかやま県民の会」が呼びかけた第3回全県一斉署名行動が県下で行われました。
 和歌山市では7地域で行われ、96名の参加し、510筆の署名が、橋本では16名・80筆、那賀地域では旧5町で41名・428筆、日高地域では美浜で46名・315筆、田辺では19名・89筆、紀南では5名・54筆の成果が上げられました。
 美浜では「憲法9条を守る御坊・日高共同センター」に加盟する労働組合員と「9条の会・美浜」の会員を合わせて46名が24班に分かれて美浜町で署名活動が行われました。約2時間、2人組みで20軒ぐらいの訪問が実施されました。田植えの準備の時期でもあって留守が多い中、「ビラを見た」「戦争はあかん。是非署名する」と言って協力してくれた人もあったそうです。「署名をしても無駄。沖縄の問題も解決できないのに」という意見もあったそうですが、230軒訪問し、数は力なりで315筆も集められました。

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「九条の会・きし」平和の集い開催

 5月16日、かわばた産婦人科(和歌山市)「ぱれっとほーる」で「九条の会・きし」の第2回総会&「戦争はいや!平和を考えるつどい」が、53名の参加で開催されました。
 総会の議事は最初の30分だけ。第2部の「戦争と平和と私たちのくらし」では、①DVD「どうするアンポ~日米同盟とわたしたちの未来~」を観賞。タイムリーなテーマがコンパクトにまとめられていました。②乙女文楽(角野悦子さん)は、女性が1人で人形を操るもの。演目は「お里・沢市」(壺坂霊験記)で、「お里」の感情表現が見事でした。③紙芝居(池田光子さん)は、特に、海南への空襲に題材をとった「おかあさんのうた」は、聴衆に深い感銘を与えました。という具合に、充実したプログラムが進みました。会場の周りには役員の方が苦労して集められた貴重な資料や会員の作品が展示されていました。

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5月の風に We Love 憲法
国民の運動が守った憲法9条


 5月9日、プラザホープ(和歌山市)で「憲法九条を守るわかやま県民の会」の講演会が開かれ、小沢隆一・東京慈恵会医科大学教授が「憲法9条と日米安保50年」と題して講演されました。
講演の要旨を3回に分けてご紹介します。今回は2回目。

東京慈恵会医科大学教授・小沢隆一氏 ②

 第2次世界大戦はアジア・太平洋地域では2千万人が亡くなり、日本国民は3百数十万人が亡くなっている。その内本土で亡くなったのは70万人。一方、朝鮮戦争では狭い朝鮮半島で2~3百万の死者が出ている。しかも、戦争で亡くなった人の人口比は朝鮮戦争の方が高い。そして、1千万の離散家族を生み出した。朝鮮戦争では、アメリカは平壌を焼け野原にし、ダムなども全て破壊して、もう少しで北を国として破壊してしまうところまでいった。このようにされた国はその後アメリカにどのような対応をするか、二度と潰されないように交渉しなければならない。その交渉の中にはミサイルや核兵器をカードにしながら経済援助を引き出したり、国家体制の保障を取り付けるか考えるようになる。日本はどうであったか。一般の受け止め方は残念なことに朝鮮特需でいい思いをしたというものだ。日本は後方基地としてアメリカ軍を支えて、朝鮮戦争に関ったのだという自覚が薄れるほど儲かったという意識が先行している。
 韓国は民主化も進み経済も発展したのでもう二度と戦争はしたくないと思っているし、北朝鮮は何とかして体制を維持したいので二度と戦争はしたくないと思っている。意味合いは違うが二度と戦争はしたくないということでは一致している。このような思いを日本国民はしっかり見ているかということでは心もとないところがある。朝鮮戦争から考えると6ヵ国協議の道筋をつけ、日朝国交正常化が重要になる。かつて騙し合い、裏切り合い、憎み合って戦った国々が交渉のテーブルについているのは画期的なことだ。これをさらに前へ進めれば、安保条約に頼らない平和なアジアをつくることができる。
 50年代中ごろに憲法9条は危機に陥る。朝鮮戦争が起った頃、再軍備肯定論が5割を超えた。しかし、その後正式の再軍備の動きになると、国民は冷静に声を上げ、改憲反対運動、基地反対闘争、反核・平和運動が湧き起って改憲の動きを封じ込め憲法9条は守られた。国民の運動がこれを守ってきた。(つづく)

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【九条噺】

 最初に手にした「さらば国分寺書店のオババ」で笑い転げ、続いて「哀愁の町に霧が降るのだ」   で〝椎名ワールド〟にはまった。以来、椎名誠はわが本棚を広く占拠する。彼は筆者とほぼ同世代。故に、例えば青春の日々を綴った多くのエッセイも無理なく理解でき、その自由で、おおらかな発想と、スケールの大きな生き様が、いつも目先の仕事に追われる筆者の〝狭い心〟を押し広げてくれたように思う。ことに、一見〝100%元気印〟の彼が、一時期〝心の病〟に苦しみ、筆者も尊敬する代々木病院の精神科医の援助で克服したことを知り、この作家への親しみはいっそう増した▼さて、世界の辺境地をかけめぐるような毎日を過ごす彼だが、いつも日本の今を憂い、そのあるべき姿はしっかりと見据えてきたように思う。例えば、「小泉改革」による「郵政改革」がヤマ場の頃には、「メディアも含めて『大政翼賛会』のような流れが伺える。これは、憲法9条まで消し去ろうとする流れで、僕は今の政治動向をとても危惧している」(「週間文春」)と訴えた▼椎名誠がかつて〝怪しい探検隊〟と命名した仲間たちもイラストレーターやカヌーイスト、カメラマンなどとしてそれぞれに環境保全や平和の分野でも活躍する。何より素晴らしいと思うのは、彼らがいつも多くの若者からも慕われつづけていることだ。(佐)

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憲法9条が南極条約をまとめた

 4月9日に亡くなった井上ひさしさんを偲び、08年6月21日に岐阜で開催された「九条の会」憲法セミナーでの井上さんの講演「ひとの都合では死なない」(要旨)を、4回(予定)に分けてご紹介しています。 今回は3回目。


井上ひさしさん講演 ③

 第2次世界大戦で日本軍が殺したアジアの人たちは1555万人です。その内1000万人は中国の人たちで、555万人は朝鮮半島や東南アジアの人たちです。また、日本軍の戦死者の3分の2は餓死です。兵站が途絶えて食料がなくて死んだ。
 戦争には何一ついいことはないのです。いいことがあるのは、ほんの一握りの人たちでしょう。戦争に行かずに内の方で「国を愛せ」とか、「精神力だ」とか言っている人は、みんな助かる。それを真に受けて出て行った人たちが、みんな悲惨な目に遭う。これが戦争の実態です。銃後も哀れです。とくに大都会は狙われて、東京は一晩で10万人が亡くなる大空襲があった。原爆が落とされた広島はその年のうちに14万人が、長崎は7万人が亡くなった。広島では今も1年に5000人の被爆者が亡くなっていく。それが起こるのが戦争なのです。

 南極条約はこうして生まれた

 51年、日本は、アメリカとその仲間の国と講和条約を結び、国家主権を回復しました。学術面で最初に始まったのが南極観測です。当時すでに、産業革命で地球はおかしくなっているという考えはあり、あんなに工場が煙をあげて大丈夫かと思っていたのです。第1回を1882~83年に、第2回を1932~33年にやりました。そして第2次世界大戦後、急激な地球環境の変化に伴い、25年後の57年7月から18ヵ月間、南極を観測しようということになりました。
 ところがここで問題が起きました。南極は自国のものだという国が、当時、7つありました。アルゼンチン、オーストラリア、チリ、ニュージーランドこれらの国は分かります。地図をみると国の尻尾が南極に近づいている。ところが、イギリス、フランス、ノルウェーという南極と関係のなさそうな国も、「探検隊を送った」とか言って領有権を主張し出したのです。さらに、アメリカは、「ソ連はこの国際観測年にかこつけて南極にひそかに軍事基地を造ったり、核兵器を持ち込むのではないか」と疑った。一方、ソ連は、「あのアメリカのことだから、金の力で南極に軍事基地を造って・・・」。お互い全く同じことを考えるんですね。その2ヵ国と領有権を主張する国で議論は紛糾し決裂の危機に至りました。
 そのとき日本から会議に出ていた南極本部に木田宏さんという文部省の官僚がいました。木田さんは戦後、文部省に入り、みなさんよくご存知の『あたらしい憲法のはなし』を作った人です。木田さんは物別れになりそうだった会議で言いました。「もめないでほしい、まず話し合いをしてほしい」と。そして「私たちは、戦後新しい憲法を持っている、その前文と第9条を見てほしい」と言って、英訳の憲法前文と9条を配ったわけです。結局、それが会議の行方を決めました。やっぱり一緒にやろう、今後は紛争の起こる可能性が絶対ないようにしようということで、「南極条約」がつくられました。(つづく)

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世界に誇る9条を守るのが私たちの責任
WBS和歌山放送・特別番組「憲法を考える」②


 5月3日憲法記念日の15時から20分間、WBS和歌山放送が「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の提供で特別番組「憲法を考える」を放送しました。その内容を2回に分けてご紹介します。今回は2回目。

豊田泰史弁護士が出演

 和歌山での9条を守る動き

 「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」もそのひとつ。各地の講演会に出かけたり、紀州おどりに「九条連」として毎年参加し、憲法9条が世界に誇るものだと訴えています。和歌山県では「九条の会」がいくつもできていて、「9条ネットわかやま」という緩やかな形でお互いに連携を取り合って活発な活動をしています。

 「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」は創立5周年

 創立5周年記念企画として「アフガン最前線報告」という講演会を行います。講師の中村哲さんはアフガンで井戸や用水路建設の支援をされています。現地の人たちと同じ目線に立って国際貢献活動をされている方で、真の国際貢献活動はどんなもので、武力では国際紛争を解決できないことなどをお話いただきます。多数のみなさんのご来場をお待ちしたいと思います。 【6月25日開催の予定でしたが、緊急事態で中止となりました】

 県民のみなさんにひとこと

 憲法9条は「非核3原則」「武器輸出禁止3原則」「自衛隊の海外派兵禁止」といった縛りをかけて日本の軍事大国化に歯止めをかけてきました。日本は戦争をしない国として世界・アジアの平和に寄与してきたのですが、これも憲法9条があったからで、世界に誇る9条を守っていくのが私たちに課せられた責任であると思います。日本を再び戦争が出来る国にしてはならないと思います。(おわり)

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与党3党、「国会改革」関連法案提出を強行

 民主、社民、国民新の与党3党は14日、官僚答弁の原則禁止などを盛り込んだ「国会改革」関連法案を野党の反対を押し切り、国会提出を強行しました。国会ルールの変更は、慣例では超党派の合意が必要とされています。
 「国会改革」関連法案提出者の筆頭が小沢幹事長になっているように、法案は小沢幹事長が主導し、最大の狙いは内閣法制局長官を答弁者から排除し、政治主導の名の下に憲法解釈を内閣の自由にしようというものです。小沢幹事長は「国連の決定があれば、自衛隊が海外で武力行使をしても何ら憲法には抵触しない」という考え方の持主です。自民党政権ですらできなかった自衛隊の海外での武力行使と集団的自衛権行使を合憲化し、強行しようとするものです。

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(2010年5月25日入力)
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