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今年も大変お世話になりました。来年も憲法9条を守る活動にともにがんばりましょう。よいお年を。
「九条の会・わかやま」事務局一同
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【九条噺】
先頃、朝日新聞夕刊に連載された「ニッポン人・脈・記 語り継ぐ戦場」を読んだ。なかでも、「撫順の奇蹟」を伝える記事は印象深いものだった。中国遼寧省撫順の戦犯管理所には1959年まで約1千人の日本兵が収容されていた。そこで会計係を務めていた中国人女性(現在81歳)は「私たちがトウモロコシの粉のかゆなどしか食べていないのに、上からの指示で、戦犯には三食、白米が与えられました。多くの中国人を殺した戦犯をなぜ厚遇するのか、内心、怒りをこらえるのがたいへんだった」と語る。こうして、声を荒げることなく、温かい態度で接してくれる管理所職員らの姿勢に、戦犯たちは「戦争中の自己を照らし、どれほどの非道を繰り返してきたか、深い反省に到達して」いったのだという。その後「戦犯」の大半は釈放され、双方の親しい交流が今日も続いていると伝えられる▼ふと、いつかテレビで見たノルウェーの刑務所を思い出した。それは、学校か文化施設と見間違うような、およそ刑務所らしからぬ建物で、立派な図書室や音楽室もあり、窓にも鉄格子などはいっさいなかった。「独房」には、トイレやシャワーはもちろん、机や本棚、ミニ冷蔵庫やテレビなども備え付けられており、新緑の芝生や湖を見渡す大きな窓もあった。何よりも収容者の心を大切にする施設の有り様が、罪の自覚と再犯防止の最大の力になったという▼まるで異なる二つの話だが、どこか通じるものもあるような。(佐)
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農芸高校門前で署名活動
「九条の会・かつらぎ」
「九条の会・かつらぎ」の主な取り組みは、原則毎月の9の日に行う署名活動です。この4年間で、会員533名、署名はもう少しで2000筆を超えようとしています。しかし、最近ややマンネリ化傾向にあり、どう打破するかを模索中です。今、論議していることは、もっと若者をこの運動の仲間として参加してもらうにはどうするかということです。昨年、今年と開いた「9条祭り」にはできるだけ多くの高校生の参加をということで、高校生の和太鼓演奏、ソーラーカーの展示と説明、ポップコーン・綿あめの販売などに参加をしてもらいました。高校生たちの参加は大好評で、私たちは大きな勇気をもらいました。
11月23日「勤労感謝の日」は、紀北農芸高校の「農芸祭」でしたので、宣伝・署名活動を行いました。朝10時、8名の仲間が集結し、校長先生に許可を頂きにゆくと「敷地外だし、結構ですよ」と快諾をいただきました。顔見知りの人も多く、世間話をしながら署名をお願いしました。「尖閣列島や北朝鮮の問題があるやろ。軍備がなかったらどうするんよ」と署名を拒む人もいましたが、大半は「この孫らのために平和やないと」と老若男女を問わず署名をいただきました。もちろん生徒も。重い大根を何本も抱えた人がそれを地面において署名してくれました。2時間で119筆、私たちは、さわやかな気持ちで会場を後にしました。(草田信行さんより)
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「戦う自衛隊」へ変貌
新防衛大綱、「動的防衛力」へ大転換
政府は12月17日、「防衛計画の大綱」を閣議決定しました。新防衛大綱は、「専守防衛」などの原則を完全に空洞化し、中国や北朝鮮の脅威をあおり、軍事的に対抗する姿勢を打ち出すという、憲法9条や前文の理念に反する内容になっています。
新防衛大綱は、「従来の『基盤的防衛力構想』によることなく」「『動的防衛力』を構築する」と述べています。95年の改定以降、日本はPKO法、周辺事態法によって海外派兵への道をひらき、04年の改定では、インド洋、イラクへの派兵を公然とおこない、自衛隊の海外での活動を本来任務とするところまで進みました。しかし、この間も最初にうちだされた「基盤的防衛力(自衛隊の役割を日本防衛に限定し、防衛設備が『存在する』ことそのものに意味を見出す)」構想が維持され、「専守防衛」がうたわれてきました。新防衛大綱は、その建前すら投げ捨てようとしています。
「動的防衛力」構想は、「中国の脅威や朝鮮の情勢」などの「東アジアの安全保障環境の悪化」を口実にイージス艦や潜水艦などの軍備を増強し、必要に応じて自衛隊をどこにでも緊急に展開できるようにしようというものです。
今回の改定は、政府がいうアメリカ軍による「抑止力」に加え、自衛隊が米軍との共同作戦をいっそう強めつつ、攻撃的軍事力を発揮し、戦う自衛隊に変貌するものといわなければなりません。
新防衛大綱は、アメリカと財界が強く求めている武器輸出3原則の「見直し」を明記していませんが、武器の「国際共同開発・生産に参加する」ことを「検討する」として、「見直し」の早期実現をめざしています。
新防衛大綱は「軍事には軍事を」という軍事的緊張の拡大と悪循環をもたらします。いま、日本に必要なのは、東アジアに平和的環境をつくる外交力です。軍事力で対抗する思考からの脱却こそ求められるものではないでしょうか。
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───── お知らせ ─────
小沢隆一さんの報告「なぜ、いま衆院比例定数削減か? これとどうたたかうか」の第3回は次号(153号)に掲載します。
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