今回の投票期間前後に、尖閣諸島の中国漁船衝突事件が起こり、反日デモも報じられため、「自衛隊を日本の軍隊として憲法で定め『普通の国』になるべき。中国の脅威に対して自国で防衛が行なえるよう軍事力の増強が必要」という櫻井よしこ氏の意見への賛成が多くなっていると思われます。
今回の「国民投票」は新聞社などのような無作為抽出による世論調査ではないため、統計学的な精度が担保されているかということでは若干の問題があると思われますが、概ねの傾向は表していると思われます。
●「軍備に頼る安全保障は、どうしても軍拡の方向に進まざるを得ない。理想論と言われようと、日本国憲法の精神に則った安全保障の道を、粘り強く追求していくべきだと思う」
●「日本国憲法第9条は、戦争はしない、武器は持たないと決めているのに、安保条約のもと、アメリカからたくさんの武器を買っています。ソ連に対抗するためとか、今なら中国に対抗するためといって、(自衛隊は)世界でも有数の軍事力だと言います。もっと平和外交を進め、軍事費を教育、文化、福祉に使って、若者が希望と誇りを持てる日本にならなければと思う」
●「日米安保は百害あって一利なし。日本はアメリカとは平和友好条約を締結し、地域の平和と安定に寄与するアジア外交を展開すればいい。戦争の悲惨さを体験した私には、『抑止力』という言葉は存在しない」
●「日米安保条約は、絶対に日本の安全保障にならない。航空機が自由に自国の空を飛べないことや、沖縄の基地が住民の意志に反してあることなど、安保条約によって押し付けられています。安保条約は破棄すべきです。軍事条約ではなく、平和友好条約の締結を望みます」
●「アジア外交を積極的に展開し、リーダーシップをとっていくことで、日本とアメリカの軍事同盟と言うか、頼った生き方から脱却できる。アジアの平和のために友好条約を構築することが、今とるべき現実的な方策であり、日本ができる世界平和への貢献だと思う」
などのコメントもありました。
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自民、憲法審査会始動を迫る
小池百合子氏、衆院本会議で
自民党の小池百合子氏(元防衛大臣)は1月26日の衆院本会議の代表質問で、「(自衛隊の)装備の大幅削減は、わが国の防衛力の生産・技術・教育等、基盤の維持すらも困難となります。これでは、抑止力の強化になりません」「武器輸出3原則の見直しは、喫緊の問題であります」と、軍事費の増額や武器輸出3原則の見直しを求めるとともに、「衆参両院に『憲法審査会』を設置して、本格施行の本年5月までの3年間の準備期間に、この『憲法審査会』で憲法改正に向けた論点整理を行うべきとしたはずであります。ところが、民主党や社民党が反対し、衆参両院で今もって『憲法審査会』は開催されておりません。早急に、衆参両院で『憲法審査会』を始動させ、憲法論議を行うべきではありませんか。民主党代表である菅総理に、日本国憲法への姿勢、そして憲法審査会設置に向けた取り組みについて伺います」と迫りました。
菅首相は、「今後とも民主党内で議論して、その上で与野党間で協議すべきだ」と答えたといいます。
山本有二氏、西岡参院議長に
1月27日の産経新聞は「自民党の有志議員6人でつくる政策集団『のぞみ』代表の山本有二氏(元金融担当大臣)らは27日、西岡武夫参院議長に、憲法改正原案を審議する参院憲法審査会の委員数や議事手続きを定める審査会規程の早期制定を求めた。同席した自民党議員によると、西岡氏は『同感だ』と述べた」と報じています。
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【九条噺】
1月16日、朝日新聞は社説のなかで、NHKの新会長に〝ジャーナリズムの精神〟を求めた。異存はないが、同時に釈然としない思いをしたのも事実だ。では、朝日新聞はどうなのかといえば、やはり最近は首を傾げたくなることも少なくないからだ▼この前日もそうだ。同紙は、菅政権に対して消費税増税とTPP(環太平洋連携協定)参加を迫る趣旨の社説を掲げた。消費税増税は弱者をさらに苦しめ、TPPは、場合によっては、農林漁業など日本の基層を揺るがし、深刻な食料不足や340万人ともいわれる新たな雇用喪失など、重大事態をも招きかねない問題だ。それを15日には朝日新聞を含む「5大紙揃い踏み」で政府に「推進」を求めたのだから、背筋に寒気を覚えたのは筆者だけではあるまい。〝ジャーナリズム〟も聞いてあきれる▼かつて作家の辺見庸氏は、安倍新政権誕生の前、メディアの多くが「安倍氏にあまりに無批判・無警戒」だとして、そうした「マスコミ人は背広を着た〝糞バエ〟だと敢えて汚い表現」をしたことがある。用語の是非はともあれ、ジャーナリストならばこその憤りだった。今の事態は同氏なら「もはや嗤うしかない」のでは。やはり新聞はもう少し牙を上に向け・・・でければ、世の中は少々淋しく、なにより暗くなる。(佐)
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言葉
「動的防衛力」と「基盤的防衛力」
昨年12月17日に閣議決定された「新防衛大綱」の最大の問題点は、「動的防衛力」という提起です。
「76年防衛大綱」は「基盤的防衛力」という考え方を打ち出しました。「基盤的防衛力」とは「専守防衛」のために打ち出されたものです。「専守防衛」とは、自衛隊をいくらかでも憲法と整合性をもたせる狙いで使われ始めた言葉です。自衛隊については、潜在的な敵を明記せず、役割を日本防衛に限定し、日本の周辺地域に「力の空白」を生み出さないために「必要最小限の軍事力」を保持すると定義し、防衛力の存在自体による抑止効果を重視したのが「基盤的防衛力」構想です。従って、自衛隊は、いうなれば全国均等的に配置されていました。
ところが、昨年8月の「新安保懇報告」は、この「基盤的防衛力」を「すでに過去のもの」として「決別」を求めました。そして「新防衛大綱」は「今後の防衛力については、・・・従来の『基盤的防衛力構想』によることなく、各種事態に対し、より実効的な抑止と対処を可能とし、アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化とグローバルな安全保障環境の改善のための活動を能動的に行い得る動的なものとしていくことが必要である。このため、即応性、機動性、柔軟性、持続性及び多目的性を備え、軍事技術水準の動向を踏まえた高度な技術力と情報能力に支えられた動的防衛力を構築する」と述べています。
なぜ「動的防衛力」なのかの理由について大綱は、米国の「抑止力のかげり」が見え始めている一方で「朝鮮半島、台湾海峡、北方領土問題等、未処理の主権・領土問題や冷戦の遺構がいまだに残存し」「地域における不確実性」が広がり、多様な対応が必要になっており、特にこの地域では中国や北朝鮮の動きは「不確実性」「懸念」を抱かせると、中国の軍事力の近代化・強化を「地域・国際社会の懸念事項」とし、軍事的に対抗する姿勢を打ち出し、南西諸島への新たな部隊配備や潜水艦部隊の増強などを打ち出すなど、重大な内容となっています。
「動的防衛力」は、機動力と即応性をより高めることを重視して、アジア太平洋地域さらには地球規模での自衛隊の展開を想定しています。「基盤的防衛力」に終止符をうち、「憲法の下」と言いながら、実際には憲法の制約を公然と取り払い、国内だけでなく、むしろ国外で公然と行動する軍隊に自衛隊を変えるのがその中身でしょう。
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