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【九条噺】
「六二三、八六八九八一五、五三に繋げ我ら今生く」(西野防人)▼昨年、第27回朝日歌壇賞に選ばれた歌である。一見、漢数字ばかりで不思議な気もしたが、しばらく見つめるほどに、「そうか、なるほど」と感心させられた。「六二三」は「六月二三日」、つまり、戦没者が15万人にも達したという、あの「沖縄戦」終結の日である。これが分ればあとは速い。「広島」「長崎」ときて、八月一五日と続く。そうして、我らは「日本を二度と戦争する国にはしない」という決意のもとに今の憲法をつくり、その誓いのもとに生きてきたと作者は歌うのである。「五三」は、憲法施行日(五月三日)というより、むしろ憲法そのものをさしている▼つい仕事や雑事に追われて、日々何となく過ごしているが、せめてこの歌にある日ぐらい、つまり年に幾日かは、世界に誇る我が国の憲法について、あるいはこの憲法につながる過去についてゆっくり考えたり、学習したいものだ。ことに戦争にかかわっては、被害にとどまらず、アジア諸国などに多くの惨劇をもたらした「加害」の事実についてもしっかりみつめなければと思う▼かつて藤沢周平も書いた。「一方的な論理で他国を蹂躙した事実に心がいたむかいたまないか・・・加害の意識を欠き、事実の糊塗にも眼をつむり、うちのまとまりだけを言うとき、きわめて危険なものと化しかねない」(「村の論理」82・9・21毎日新聞)。この指摘がますます重みを増してきた。(佐)
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自民、憲法に「 非常事態条項」画策
5月2日の朝日新聞の報ずるところによれば、「東日本大震災を受け、憲法に非常事態条項を盛り込もうとする動きが自民党内に浮上している。4月27日の自民党憲法改正推進本部の役員会で、保利耕輔本部長が『非常事態について憲法に記述することを考えてみてはどうか』と提案し、賛同意見が相次いだ」とのことです。非常事態条項とは、武力攻撃・テロや大規模災害時に政府の権限を拡大し、国民の権利や自由を制限しようというものです。28日に開かれた新憲法制定議員同盟(中曽根康弘会長)の大会でも「大規模自然災害にも即応できる憲法をつくろう」とスローガンに付け加えられています。
これは「東日本大震災」を口実に憲法の改定を進めようとするもので、憲法で基本的人権を制限しようとする極めて危険な動きです。
「東日本大震災」の被災者支援や復興に人権制限条項が何故必要なのか、個別の法律で充分対応が可能です。今、必要なことは改憲論議ではなく、政府や国会などが英知を集めて迅速で充実した支援策を推進することではないでしょうか。
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改憲団体が改憲大会を開催
憲法記念日に合わせて
新憲法制定議員同盟
新憲法制定議員同盟(中曽根康弘会長)は4月28日に永田町の憲政記念館講堂で「平成23年度 新しい憲法を制定する推進大会~『自立と共生』に向けて」を開催します。第1部はジャーナリストの櫻井よしこ氏が「日本の進路と誇りある国づくり」と題した記念講演で、第2部では中曽根康弘氏をはじめ、各党や日本経済団体連合会代表らによる挨拶が予定されています。
自主憲法制定国民会議
新しい憲法をつくる国民会議(=自主憲法制定国民会議)は5月3日に牛込箪笥区民ホールで、尖閣諸島問題、北方領土問題などを根拠に憲法改正すべきと、「新しい憲法をつくる国民大会(第42回)」を開催します。高乗正臣氏(平成国際大学大学院教授)が、「危機管理・安全保障と憲法改正」と題して講演します。
民間憲法臨調
「21世紀の日本と憲法」有識者懇談会(民間憲法臨調)は、5月3日に砂防会館別館で「第13回公開憲法フォーラム」を開催します。森本敏氏(拓殖大学海外事情研究所長)、勝股秀通氏(読売新聞編集委員)、石川水穂氏(産経新聞論説委員)、西修氏(民間憲法臨調運営委員長)、大原康男氏(國學院大學教授)、百地章氏(日本大学教授)が発言します。
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