ラジオ番組などで活躍する放送タレント永六輔さんの講演会が29日、山形市のシベールアリーナで開かれた。長年の友人だった劇作家・作家の故井上ひさしさん(川西町出身)が信条とした「むずかしいことをやさしく─」をテーマに、憲法や原発についてユーモアを交えながら、切れ味鋭い視点で語った。
「井上さんは芝居を書くのもうまいが、理解の仕方がうまい」と永さん。憲法9条を守ることに力を注いだ井上さんは、永さんには99条を託したという。99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」。「井上さんは、この条文に『国民』が入っていないことに気が付いた。つまり国民は憲法を守らなくていい、自由でいい。憲法を守らなければいけないのは役人たちだという読み方をした。その上で『きちんと守っていないじゃないか』と指摘する。そこが井上さんのユーモアだ」と話した。
福島第1原発についても持論を展開。事故前には周辺住民は東京電力から恩恵を受けていたと振り返り「安全神話を唱えた科学者はもちろんだが、一般の人も『まずいこと言っちゃってたな、恥ずかしいな』と思ってほしい。ところが、みんなで東電に『土下座しろ』と言う。土下座しても何の解決にもならない。闘い方が下手だなあとも思う」。井上作品を引き合いに出し「大いに笑いながら、でもちょっと待て、笑っていられないぞ、と考えさせる物語になっている」と評価した。
パーキンソン病を患いながらも、井上さんとの友情から1時間半の講演を自ら申し出たという。ロビーで観客を出迎え、開演15分前からステージに立って満席の会場の期待に応えていた。(5月30日 山形新聞)
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民主党、来春に改憲見解取りまとめ
5月27日の日経新聞は「民主党憲法調査会(会長・前原前外相)は27日、来年3月末までに憲法改正に関する見解を取りまとめる方針を決めた。07年から活動を休止していた同調査会が約4年ぶりに再始動したが、党内に護憲派も抱え、議論は曲折が予想される」と報じています。
民主党は前原氏が党代表だった05年10月に憲法提言をまとめ、「憲法に『制約された自衛権』を明確にする」「国連主導の集団安全保障活動への参加」などを提案しています。集団的自衛権の行使容認を持論とする前原氏はあいさつで「国の根幹である憲法をわれわれ自身で作り上げていくという気持ちで議論したい」と強調したとのことです。
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武器輸出3原則を一層形骸化
日米共同開発の迎撃ミサイルの輸出を容認
時事通信は6月4日、「北沢防衛相は3日、ゲーツ米国防長官に日米で共同開発しているSM3ブロック2Aの第三国への供与について、6月下旬の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会で合意できるよう政府内で調整していると伝えた。北沢氏は、第三国供与を認める基準について『わが国の安全保障や国際の平和と安定に資する場合で、第三国がさらなる移転を防ぐための十分な政策を有している場合』と説明。ゲーツ氏は歓迎する意向を示した」と伝えています。
SM3ブロック2Aは弾道ミサイルを撃ち落とす「ミサイル防衛(MD)」システム構築のために日米共同開発中の、射程や速度を大幅に向上させた海上配備の次世代迎撃ミサイルです。
日本政府は武器輸出3原則に反して、米国とのMDの共同開発は、04年に例外とし、今回さらに、米国から第三国への輸出を認めるということは、他国への武器輸出を禁じる武器輸出3原則の一層の形骸化を進める動きと言わなければなりません。
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