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自衛隊の海外派兵強化を狙う
PKO懇、武器使用権限の見直し提言
7月4日の読売新聞は、「政府の『PKOの在り方に関する懇談会』(座長・東祥三内閣府副大臣)は4日午前、国連平和維持活動(PKO)への貢献を強化するため、PKO参加5原則や武器使用権限の見直しを検討する必要があるとの『中間取りまとめ』をまとめ、枝野官房長官に提出した。『中間取りまとめ』では、PKO5原則や武器使用権限を変更するにはPKO協力法の改正が必要なため、『政治の関与とリーダーシップなくして解決し得ない』と指摘している」と報じています。
そもそも自衛隊が海外で武力行使をするのは憲法違反のはずです。92年のPKO協力法の制定時、憲法上の制約をすり抜けるためにPKO5原則を定めたものです。
とりわけ武器使用権限の拡大は重大です。武器の使用は、PKO協力法、イラク特措法、海賊対処法などでも、日本の要員(日本部隊の管理下の他国の要員を含む)の生命防護に限ります。日本の要員は攻撃を受けていないのに、他国が攻撃を受けている場所に駆けつけて他国の要員を防護できるように拡大するのは、集団的自衛権の行使です。今回の「中間報告」は海外でアメリカとともに戦う自衛隊を求めるものと言わなければならないのではないでしょうか。
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PKO5原則
①当事国の停戦合意の成立
②当事国の活動の受入れ同意
③中立的立場の厳守
④以上の原則が崩れた場合の独自撤退
⑤武器使用は生命防護に限る
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【九条噺】
茨木のり子さんのエッセイで尹東柱(ユン・ドンジュ)という若者のことを知った。彼は、詩を詠むことがとても好きだった。彼が生きた時代は、不幸にも日本による植民地支配が続いていたが、彼は祖国民としての誇りを失うことはなかった。だから、禁じられたハングルで、家族や身の回りの小さな生き物などへの愛に満ちた詩をいっぱい詠んで、密かに保管した。彼の詩には、若者ならではの清冽さと同時に凛としたものを感じる▼死ぬ日まで空を仰ぎ/一点の恥辱なきことを、/葉あいにそよぐ風にも/わたしは心痛んだ。/星をうたう心で/生きとし生けるものをいとおしまねば/そしてわたしに与えられた/道を歩みゆかねば。(「序詩」より以下略)▼尹東柱は1943年に同志社大学に入学。ある日、彼が京都の下宿屋の二階で友人らに祖国の文化を語り、独立への願いを口にしたことが運悪く下賀茂署の特高警察にかぎつけられて検挙されるハメに。8カ月余もの未決勾留の後、治安維持法違反で起訴され、福岡刑務所に送られた。そして45年2月、彼は獄中で正体不明の注射を幾度も打たれて「何やらわけのわからないことを大声で叫んで息絶えた」という▼尹東柱は祖国を愛したが故に命を絶たれた。その加害の国は戦争に敗れ、二度と過ちは繰り返さないと九条の旗を掲げて世界に誓った。なのに、60余年を経て、〝立て歌え軍事教練現代版〟などという川柳が紙上に躍るような光景はかなり恥ずかしい。(佐)
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「原子力の平和利用」は世紀の4大詐欺のひとつ
7月9日、和歌山地域地場産業振興センターで核戦争防止和歌山県医師の会主催の平和講演会が開催され、詩人・アーサー・ビナード氏が「夏の線引き ― アメリカからピカドンを見つめて ― 」と題して講演されました。講演要旨を3回に分けてご紹介しています。今回は2回目。
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