「和歌山障害者・患者九条の会」は10月16日、爽やかな秋晴れのすばらしい一日に恵まれ、27名が参加して由良町の戦跡を巡りました。
県の福祉バスを借りて、朝10時にJR和歌山駅を出発。「九条の会ゆら」事務局長・池本護さんの説明を聞きながら、阿戸の弾薬庫跡、糸谷の海防艦沈没場所の慰霊碑、神谷の特攻艇・震洋、人間魚雷・回天の基地トンネル跡などの戦跡を巡りました。
昭和14年に由良村に建設された紀伊防備隊には陸・海軍合わせて3000名が駐屯、海上交通の保護や敵艦船の撃破などの任務に当っていたそうです。昭和20年7月28日の朝9時頃、グラマン戦闘機80機の猛爆撃により、海防艦30号が沈没、艦長以下66名が壮烈な戦死を遂げました。権現山に対空砲が備えられていましたが手動であったため、山よりも低空で侵入する戦闘機には何の役にも立ちませんでした。グラマン機は、仮に撃墜されても操縦士を助けられるよう海上に保安部隊が配備され、人命を守る手立てが設けられていました。それに対して日本軍は、ゼロ戦の特攻にみるように、出撃したら二度と生きては帰れない、もしうまく帰還し得たとしても生存には数えられず、すぐに最も危険な戦場に送られるという、人命軽視の思想がありました。今年3月の福島原発事故は未曾有の被害を出しながら、政府や財界は原発を止めようとせず、国民の命は後回し。人権意識が高揚した今の世の中でも本質は何も変わっていません。このことは絶対に覚えておいてほしいというお話も伺いました。
白崎少年自然の家の頂上の見晴らしの良い芝生で弁当を囲み、自己紹介をしながら交流のひとときです。「障害者の生活と権利を守る日高御坊連絡協議会」から3人がサポートにかけつけてくれ、その1人の楠本さんから日高原発反対運動の経緯を伺いました。当時は賛成の主流派だった人たちが今は、「日高に原発をつくらずほんまによかったなあ」と言っているそうです。
最後は興国寺の平和の塔を見学。「どんな理由があっても戦争は起してはならない。若者を戦場に送るような愚かな歴史は二度と繰り返してはならない」、碑文のメッセージを胸に、全員で不戦への誓いを新たに、旅を終えました。(野尻誠さんより)
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【九条噺】
野田総理が誕生してまもなく、相田みつをの詩集が脚光をあび、書店にも注文が殺到したという。野田佳彦氏が民主党代表選挙で新代表に決まった時、会見の中でその詩を引用して「どじょうに金魚のまねはできない。どじょうの政治をやりぬく」と語ったことが詩集の売れ行きに思わぬ波及効果を生んだらしい。「どじょうの政治」というのは、要するに「庶民とともに、泥にまみれて」という政治信条の一端だ▼それにしては、と思うのである。国連総会を前にしてオバマ米大統領と会談し、かねてから米側から強く求められていた普天間基地の辺野古への移設実現に努め、TPP推進も急ぎたいと誓った。これではどうみても「どじょう」ならぬ「ポチ」ではないかと思う。泥にまみれて働く庶民宰相なら、とても大多数の沖縄県民を足蹴にするようなことはできないと思うからだ。TPPまた然りである▼野田総理はさらに今年8月15日(当時財務相)の会見で「東京裁判でA級戦犯とされた人たちは戦争犯罪人ではない」と断言した。そもそも侵略戦争の事実はおろか東京裁判まで否定するような政治家が総理大臣になったこと自体が不幸なこと、何が「どじょうの政治」かとあきれる思いだ▼総理はさらに「好きな言葉」として、勝海舟の「正心誠意」という言葉も紹介したが、施政の実際をみれば、何やら言葉虚しくなるようで・・。(佐)
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憲法審査会、始動
20日、衆参両院の憲法審査会委員が初めて選任され、審査会が始動することになりました。
憲法審査会は07年5月に強行成立させられた国民投票法に基づき衆院と参院にそれぞれ設置されましたが、民主党は自公両党による同法の強行採決に反発し、委員が選任されませんでした。しかし、「憲法審査会は始動させない」と公約して委員名簿の提出を拒んできた民主党が、ねじれ国会で自民、公明両党の協力を得る思惑から、自民党に譲歩を重ねて公約を投げ捨てたものです。
20日の衆院議院運営委員会では共産、社民両党が委員選任に反対しましたが、民主、自民、公明などの賛成多数で本会議での選任を決定し、衆院憲法審査会(定数50)では民主32、自民12、公明2、共産・みんな・国民新・社民各1の委員枠が割り当てられ、参院憲法審査会(定数45)は民主19、自民16、公明4、みんな2、共産・たちあがれ・国民新・社民各1となりました。
21日に開かれた初会合では、衆院は民主党の大畠章宏前国土交通相、参院は自民党の小坂憲次前参院幹事長を会長に選出しました。
今やらねばならないことは、憲法25条(生存権)や13条(幸福追求権)を生かし、東日本大震災の復旧・復興に向けて全力を尽くすことであって、憲法審査会を始動させて、国民の誰もが望んでいない改憲を議論することではないはずです。
参院の小坂会長は、「憲法改正は自民党の党是。議論の土俵づくりに一番力を尽くしていきたい」と語ったと言います。憲法審査会での改憲の動きに要注意です。
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野田首相、「武器輸出3原則」見直し
野田首相は10月14日、武器輸出3原則について「新防衛大綱に書いてある通りだ。平和国家の理念を堅持しながら、そのあり方については、具体的な不断の検討は必要だ」と述べ、見直しに前向きな考えを示しました。前原政調会長は武器の共同開発・生産への参加を可能にするため見直しを主張しており、首相発言はこれを容認するものです。
民主党は13日の防衛部門会議で見直し方針を確認し、首相は「党で議論していることをこれからの参考にしたい」と述べ、見直しの意向を示しました。
「武器開発は、国際共同開発・生産が主流になっているが、日本は3原則が制約となり、米国などのF35の共同開発に加われなかった。次期主力戦闘機も、他国から購入せざるを得ず、割高になる」というのが彼らの理屈です。また、財界は「防衛産業にはこのままではじり貧になる」と圧力をかけ、アメリカも日本の技術を活用するために見直しを押し付けてきています。
「見直し」は日本国憲法の平和主義の理念を真っ向から否定するものと言わなければなりません。
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