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「九条の会・わかやま」 176号を発行(2011年10月30日付)

 176号が10月30日付で発行されました。1面は、放射能汚染は「がん当りくじ」(安斎 育郎 氏 @)、由良戦跡めぐりハイキング実施 和歌山障害者・患者九条の会、九条噺、2面は、憲法審査会 始動、野田首相「武器輸出3原則」見直し  です。
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[本文から]

放射能汚染は「がん当りくじ」

 10月22日、中央コミュニティセンター(和歌山市)で憲法9条を守る和歌山市共同センターの憲法学習会が開催され、立命館大学名誉教授・安斎育郎氏が「憲法九条、原発事故と放射能」と題して講演されました。その要旨を3回(予定)に分けてご紹介します。今回は1回目。

安斎 育郎 氏 @

 憲法9条は、第2項で「前項の目的を達するために、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と書いた。憲法はすべの法律の上に立つ、国家のあり方を決める基本的な枠組みのはずなのに、陸海空軍を持っている。この国は憲法の上を行く「日米安保条約」というもうひとつの憲法がある。日米軍事同盟で必要なことは、憲法を破ってでも実現していくというのがこの国の特徴だ。土地を持つことは憲法で保障されているはずなのに、米軍用地として必要になると自分の土地も自由に持てない。
 明治憲法は一言一句変わらなかったのに、大正デモクラシーの時代もあり、昭和になると戦争の時代を迎え「天皇陛下の御ために」ということになった。憲法はあるだけでは、その運用によって如何様にでもなり得ることを示している。逆に言うと、今、平和憲法を持っているが、運用の仕方によってはこの憲法を根拠に戦争をすることもできるかもしれないので要注意だ。この憲法ができた時に2項をめぐってもめた。1項に「国際紛争を解決する手段としては」と書かれているから、2項の「前項の目的」とは「国際紛争を解決する手段」のことではないか、だから「国際紛争の解決」ではなく自衛のためなら陸海空軍は持ってもいいのではないかという質問が出た。吉田茂首相は、戦争は自衛のためと言って行われるので、自衛のための戦争、自衛のための軍隊は別だと言うと、事実上、全ての戦争、全ての軍隊を認めることになるから、自衛のためであるかどうかの如何に拘らず全ての軍隊を否定したものであると答えた。しかし、憲法ができて10年目、岸信介首相は57年の国会で、日本は核兵器を持てるかとの質問に、自衛のための核兵器は憲法で否定されていないと答えた。核兵器を他国で使えば自衛にならない。自衛の核兵器は自国を破壊することになる。従って、自衛のための核兵器なんて概念上も存在しないけれど、いずれ何とか核兵器を持ちたいということで、この憲法を持っているのに抵抗した。そういう風に憲法は絶えずいろんな怪しげな解釈にさらされ、憲法はできてから一言一句変わっていないが、運用は時代ごとに政治勢力の如何によっては変わり得るので、我々はしっかりと見張っていないといけない。
 さて、福島原発事故で気になるのは放射線の影響だ。影響には2種類あり、一度にドバッと浴びると「確定的影響」が起る。急性放射線障害が起り、命にかかわる。広島・長崎ではそれでたくさんの人が殺された。幸いなことに福島原発事故では急性放射線障害で死ぬことは起っていない。M9の地震が起ると最大級の余震はM8の可能性がある。そうなると本震でガタがきている原発の冷却システムに不具合が生じ、もっと悲惨なことが絶対起らないとは言えないので安心はできないが、今の内に事故を収めきれば「確定的影響」で命を失うということは避けられる可能性がある。チェルノブイリは事故現場に突入して放射線障害で30人余りが命を落した。やっかいなのは、ちょっとずつだらだら浴びると「確率的影響」が起ることだ。今、福島県やその周辺、関東地域でこれが起っている。癌や白血病になる確率が少し増えると言われている。「確率的影響」という言葉はよく分らないので、ちょっと不謹慎だが「癌当りくじ型影響」だと言っている。癌が賞品である宝くじを買うようなものだ。「癌当りくじ」と「宝くじ」は同じところと違うところがある。同じところは、宝くじは1枚買うより100枚の方が当りやすい。放射線も同じで、1ミリシーベルト(mSV)浴びるよりも100mSVの方が100倍ぐらい癌になりやすい。また、宝くじを100枚買って当っても、1枚で当っても同じ賞金をくれる。放射線も1mSV浴びて白血病になろうが、100mSVでなろうが、白血病としての酷さは同じ。決定的な違いは、宝くじは当籤発表日が決まっている。発表されて外れたら破って捨てることもできる。放射線は当籤発表日が決まっていない。生涯有効の宝くじのようなもので、「当籤発表は賞品の発送をもって替えさせていただきます」といったものだ。買った本人も忘れている頃に癌が送られてくるようなものだ。さらに宝くじは誰かに譲渡できるが、放射線は譲渡禁止だ。こういう籤は誰も買いたくないが、東京電力が何億枚かばら撒いてしまった。原発近くに住んでいた人は何十枚か何百枚を強制的に買わされてしまった。この籤は今なお野山に降り積もっており、子どもたちがこれからも買わされ続ける恐れがある。その責任は我々にもある。私が54基の原発をつくった訳ではないが、このような事態を食止められなかった。もっと実力があったら説得して原発依存をやめさせることができたかもしれない。しかし、和歌山など食止めた原発もいっぱいある。だから、我々のやったことは決して無駄ではなかったし、反対運動がなかったらもっとできて、和歌山にもできていた可能性もある。(つづく)

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由良戦跡めぐりハイキング実施
和歌山障害者・患者九条の会

 「和歌山障害者・患者九条の会」は10月16日、爽やかな秋晴れのすばらしい一日に恵まれ、27名が参加して由良町の戦跡を巡りました。
 県の福祉バスを借りて、朝10時にJR和歌山駅を出発。「九条の会ゆら」事務局長・池本護さんの説明を聞きながら、阿戸の弾薬庫跡、糸谷の海防艦沈没場所の慰霊碑、神谷の特攻艇・震洋、人間魚雷・回天の基地トンネル跡などの戦跡を巡りました。
 昭和14年に由良村に建設された紀伊防備隊には陸・海軍合わせて3000名が駐屯、海上交通の保護や敵艦船の撃破などの任務に当っていたそうです。昭和20年7月28日の朝9時頃、グラマン戦闘機80機の猛爆撃により、海防艦30号が沈没、艦長以下66名が壮烈な戦死を遂げました。権現山に対空砲が備えられていましたが手動であったため、山よりも低空で侵入する戦闘機には何の役にも立ちませんでした。グラマン機は、仮に撃墜されても操縦士を助けられるよう海上に保安部隊が配備され、人命を守る手立てが設けられていました。それに対して日本軍は、ゼロ戦の特攻にみるように、出撃したら二度と生きては帰れない、もしうまく帰還し得たとしても生存には数えられず、すぐに最も危険な戦場に送られるという、人命軽視の思想がありました。今年3月の福島原発事故は未曾有の被害を出しながら、政府や財界は原発を止めようとせず、国民の命は後回し。人権意識が高揚した今の世の中でも本質は何も変わっていません。このことは絶対に覚えておいてほしいというお話も伺いました。
 白崎少年自然の家の頂上の見晴らしの良い芝生で弁当を囲み、自己紹介をしながら交流のひとときです。「障害者の生活と権利を守る日高御坊連絡協議会」から3人がサポートにかけつけてくれ、その1人の楠本さんから日高原発反対運動の経緯を伺いました。当時は賛成の主流派だった人たちが今は、「日高に原発をつくらずほんまによかったなあ」と言っているそうです。
 最後は興国寺の平和の塔を見学。「どんな理由があっても戦争は起してはならない。若者を戦場に送るような愚かな歴史は二度と繰り返してはならない」、碑文のメッセージを胸に、全員で不戦への誓いを新たに、旅を終えました。(野尻誠さんより)

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【九条噺】

 野田総理が誕生してまもなく、相田みつをの詩集が脚光をあび、書店にも注文が殺到したという。野田佳彦氏が民主党代表選挙で新代表に決まった時、会見の中でその詩を引用して「どじょうに金魚のまねはできない。どじょうの政治をやりぬく」と語ったことが詩集の売れ行きに思わぬ波及効果を生んだらしい。「どじょうの政治」というのは、要するに「庶民とともに、泥にまみれて」という政治信条の一端だ▼それにしては、と思うのである。国連総会を前にしてオバマ米大統領と会談し、かねてから米側から強く求められていた普天間基地の辺野古への移設実現に努め、TPP推進も急ぎたいと誓った。これではどうみても「どじょう」ならぬ「ポチ」ではないかと思う。泥にまみれて働く庶民宰相なら、とても大多数の沖縄県民を足蹴にするようなことはできないと思うからだ。TPPまた然りである▼野田総理はさらに今年8月15日(当時財務相)の会見で「東京裁判でA級戦犯とされた人たちは戦争犯罪人ではない」と断言した。そもそも侵略戦争の事実はおろか東京裁判まで否定するような政治家が総理大臣になったこと自体が不幸なこと、何が「どじょうの政治」かとあきれる思いだ▼総理はさらに「好きな言葉」として、勝海舟の「正心誠意」という言葉も紹介したが、施政の実際をみれば、何やら言葉虚しくなるようで・・。(佐)

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憲法審査会、始動

 20日、衆参両院の憲法審査会委員が初めて選任され、審査会が始動することになりました。
 憲法審査会は07年5月に強行成立させられた国民投票法に基づき衆院と参院にそれぞれ設置されましたが、民主党は自公両党による同法の強行採決に反発し、委員が選任されませんでした。しかし、「憲法審査会は始動させない」と公約して委員名簿の提出を拒んできた民主党が、ねじれ国会で自民、公明両党の協力を得る思惑から、自民党に譲歩を重ねて公約を投げ捨てたものです。
 20日の衆院議院運営委員会では共産、社民両党が委員選任に反対しましたが、民主、自民、公明などの賛成多数で本会議での選任を決定し、衆院憲法審査会(定数50)では民主32、自民12、公明2、共産・みんな・国民新・社民各1の委員枠が割り当てられ、参院憲法審査会(定数45)は民主19、自民16、公明4、みんな2、共産・たちあがれ・国民新・社民各1となりました。
 21日に開かれた初会合では、衆院は民主党の大畠章宏前国土交通相、参院は自民党の小坂憲次前参院幹事長を会長に選出しました。  今やらねばならないことは、憲法25条(生存権)や13条(幸福追求権)を生かし、東日本大震災の復旧・復興に向けて全力を尽くすことであって、憲法審査会を始動させて、国民の誰もが望んでいない改憲を議論することではないはずです。
 参院の小坂会長は、「憲法改正は自民党の党是。議論の土俵づくりに一番力を尽くしていきたい」と語ったと言います。憲法審査会での改憲の動きに要注意です。

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野田首相、「武器輸出3原則」見直し

 野田首相は10月14日、武器輸出3原則について「新防衛大綱に書いてある通りだ。平和国家の理念を堅持しながら、そのあり方については、具体的な不断の検討は必要だ」と述べ、見直しに前向きな考えを示しました。前原政調会長は武器の共同開発・生産への参加を可能にするため見直しを主張しており、首相発言はこれを容認するものです。
 民主党は13日の防衛部門会議で見直し方針を確認し、首相は「党で議論していることをこれからの参考にしたい」と述べ、見直しの意向を示しました。
 「武器開発は、国際共同開発・生産が主流になっているが、日本は3原則が制約となり、米国などのF35の共同開発に加われなかった。次期主力戦闘機も、他国から購入せざるを得ず、割高になる」というのが彼らの理屈です。また、財界は「防衛産業にはこのままではじり貧になる」と圧力をかけ、アメリカも日本の技術を活用するために見直しを押し付けてきています。
 「見直し」は日本国憲法の平和主義の理念を真っ向から否定するものと言わなければなりません。

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(2011年11月1日入力)
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