「九条の会・わかやま」 181号を発行(2012年1月2日付)

 181号が1月2日付で発行されました。1面は、「武器輸出3原則」を大幅「緩和」 武器輸出解禁に道を開く、第4回「九条の会」全国交流集会に参加して ②、九条噺、2面は、美浜、9条を守る過半数署名81%達成、『平和なくして人権なく 人権なくして平和なし』 当会呼びかけ人・月山桂弁護士が出版  です。
    ――――――――――――――――――――――――――――――
[本文から]

「武器輸出3原則」を大幅「緩和」
武器輸出解禁に道を開く


 政府は、12月27日、武器輸出を認めないとした「武器輸出3原則」を大幅に「緩和」し、武器の国際共同開発・生産や海外への移転を認める方針を決め、藤村官房長官談話として発表しました。
 従来は、共同開発・生産した迎撃ミサイルの移転を、米国に限って個別に「例外」としていました。今回それを、「防衛装備品等の海外への移転については、・・・従来個別に行ってきた例外化措置における考え方を踏まえ、包括的に例外化措置を講じる」と、「例外」措置を取り外し、「平和貢献・国際協力目的での防衛装備品の他国への供与」「友好国との武器などの共同開発・生産」を幅広く解禁しました。
 今回の「包括的に例外措置を講じる」とは、今後は個別に判断せず、何でもOKと、規制を取り払ってしまうもので、従来の「例外」とは全く質が異なります。日本政府と当該国との「事前同意」や、第三国への移転がないことが確認されれば、武器の品目に関らず、米国やNATO諸国などとの共同開発・生産が可能となっています。日本が国際共同開発・生産する武器は、共同開発国を通じて輸出できる道が開かれます。一般の武器輸出も可能になります。
 日本の軍需産業は繰り返し、「武器輸出3原則」の緩和を要求してきました。日本経団連・米倉会長は、今回の決定について「画期的で、高く評価する」との談話を発表しましたが、これは軍需産業の声を代弁するものです。
 「武器輸出3原則」は憲法9条の理念を具現化した「国是」ともいうべきものであり、いわば「平和国家・日本のブランド」です。野田政権は国際武器市場に参入し、日本を「死の商人」にしようとしていると言われても仕方がないでしょう。

    -----------------------------------------------------

第4回「九条の会」全国交流集会に参加して ②

 11年11月19日に東京で第4回「九条の会」全国交流集会が開催され、「田辺9条の会」から中田文子さん、勝本香里さんが参加されました。詳しいレポート(参加記)を送っていただきましたので、4回に分けてご紹介しています。今回は2回目。

 全体会では地域・分野の「会」からの5つの報告、午後の分散会では8つの報告があった。
 ニュース発行はもとより、取り組みもいろいろで、平和バスツアー・講演会・子育て・コンサート・映画・手作り作品展・平和看板・地元の祭りに協賛など、地域によっては、こんなに豊かな取り組みができるのかと、驚きも感じた。東北各地の9条の会からの報告は、時間制限されるのが辛いくらいの生々しい報告だった。

地域・分野の「会」からの報告

つけち9条の会(岐阜)
 この会では、1枚の紙に1人だけ署名してもらう用紙で署名運動。呼び掛け、提案は納得したことだけをする。会員の96歳の女性のがんばりも紹介された。彼女は、誰にでも声を掛け、親しくなった人に署名を頼む。若い人にも積極的に呼び掛け、たくさんの署名を集めているそうだ。

女川9条の会(宮城)
 今、女川の町民は前向きに歩き始め、あのとき、何が起ったのか、語り継ぐ行動を開始し、党派を超えて9条の会を再開しようとしていることが報告された。原発から子どもを守ることは9条を守ることと同じだと訴えられた。

福島県九条の会
 福島からは『福島は訴える─「くらし」「子育て」「なりわい」を原発に破壊された私たちの願いと闘い─』という本(かもがわ出版 1600円)が紹介され、なぜ福島県九条の会がこの本の編者になったのかを訴えられた。
 「何より、戦争によって被害を被った人々の生活がどう踏みにじられたのかということと、今の被災者には共通点が多いからだ。その共通点は『人権と生活』の破壊である。この問題は9条の会以外に誰が取り上げるかという使命感からだった。原発は潜在的な抑止力を持っており、その点では核兵器と同じだ。3・11直後は誰もが原発はいらないと思っていたが、1カ月後頃から『原発を止めることはできない』という声が出始めた。今後その本質が露呈してくるだろう。福島の感覚と外からの視点にはズレがある。共通の視点を得るために、被災地からぜひ発信したかった」と。
 被災から8カ月、早くも出来上がった本で、中学生の訴えから、地域の実態、汚染への取り組み、原発災害と地域社会等、被災地の厳しい現実が書かれていて、国や東京電力の無策ぶりが露呈している。人間として何をどうすべきかが問われている。読むほどに大勢の人々に是非読んでもらいたいと思った。

大阪宗教者9条ネットワーク
 「大阪宗教者九条の会」は「大阪宗教者9条ネットワーク」へ。その意義は、①発足当初は活動できていたが、その後あまり活動できていなかった宗教・宗派九条の会もネットワークに参加し、共同で活動することができるようになる。②多くの教団は第2次大戦時、戦争を推進し、教義を守り戦争に反対した聖職者を教団が罰した。教団が参加する意義は大きい。③教団は組織として運動に参加し、信者・末寺へ物を送る際、「つどい」の案内などのビラを同封でき、影響が広がり参加人数も多くなる。
 08年9月28日「宗教者九条の和」第4回シンポジウムを大阪で開き、400人が参加し、9条の運動に確信を得た。09年3月14日、交流会を開き、09年9月9日9時9分に平和を祈る取り組みを決め、各寺院・教会で鐘を撞き、祈りの集いを呼びかけた。府下での鐘撞きは20カ所、祈りは4カ所だった。これを更に発展させ、「大阪宗教者9条ネットワーク」の発足集会後、13教団、200人が参加し、各宗派の装束で御堂筋を難波までパレード、心斎橋を歩く人や商店の人に注目された。
 また、ブックレット『日本における宗教教団の戦争責任』を刊行予定である。

前橋5中地区9条の会(群馬)
 5月3日に、憲法記念日大集会を計画した。3・11後の計画停電が迫る中で、何よりも宣伝が大事と、連日宣伝カーによる宣伝を7名のボランティアとともに行った。6854世帯、13340名の有権者の地域で、集会は1600名の参加を得て成功し、「前橋5中地区9条の会」結成への勇気と確信を得た。9月17日に結成集会を行った。活動を長く活発にやることを通じて、劇的に大きくはならないけれど、ゆっくり確実に大きくなるのだと、深く胸に刻んでいる。(つづく)



    -----------------------------------------------------

【九条噺】

 今年の賀状には「日残りて昏るるに未だ遠し」と書いた。まもなく69才になるが、「何かできる時間はまだ充分にある」との思いである▼さて、「時代遅れ」と笑われるかも知れないが、近頃になって「韓国ドラマ」に少々取り込まれている。「歴史モノ」も新鮮で面白い。大いに楽しみながら、同時に、一番近しい国のことをあまりにも知らずにいたことに少し反省もさせられている。この際、せめて歴史ぐらいはもう一度学び直したいと思う▼隣国と日本の関係はこの100年余に限れば悲しく憂うようなことが多い。それは、かつて日本が隣国を不当に支配し多大な被害を与えた、その大きな傷跡が今日も未だ癒えることがないからである。それは主として日本の歴代政府が加害の歴史に誠実に向き合ってこなかったことによる▼韓国では、日本軍「慰安婦」にされたハルモニたちが日本政府に謝罪と損害賠償を求め続けてきた。昨年には集会も1000回に達し、記念に「平和の碑・少女像」を設置した。12月に来日した李明博大統領もこの問題であらためて誠実な対応を求めたが、野田首相は「解決済みだ」と突っぱねた。しかし日本側が「解決済み」の根拠にする「日韓請求権協定」(1965年)には「慰安婦」問題はまったく含まれておらず、野田首相の対応はあまりにも不誠実である▼「せめて歴史に誠実に向き合う政府へ」今年は一歩でも前進するように願いたい。(佐)

    -----------------------------------------------------

美浜、9条を守る過半数署名81%達成

 「9条の会・美浜」は有権者の過半数署名に取り組んで町内を一巡し、第2ラウンドに突入しています。
 スタートは三尾地区、6月に会員12人で72筆を集めました。9月11日の「9条署名全県総行動日」には、「9条を守る御坊・日高共同センター」の暖かく力強い支援をいただき、32名の参加で、猛暑の中、汗を拭き拭き、和田・吉原地区の、前回訪問していない所を回りました。署名をしていただけなかった家も少数ありましたが、161筆を集めることができました。その後、会独自で署名活動を続け、10月に69筆、11月に70筆、12月に152筆を集めることができました。
 これで、今年は合計524筆を集め、美浜町内有権者の過半数の81%にまで到達することが出来ました。来年は100%達成まで頑張りたいと思います。

農業まつりで若者多数が署名

 美浜町農協主催の農業まつりで、主催者からコーナー設置の許可を受け、3年連続で署名活動を行っています。
 今年も12月11日の農業まつりで、年配の方には、「お孫さんや子どもさんの明るい将来のため、平和な国にするために」と、若者には、「あなたたち若い人は、平和な日本の将来を担っています。どうぞ署名してください」と訴え、数日前から袋詰めした「うまい菜」や「菜花」の種を渡して、どんどん署名が進み、4時間あまりで152筆も集まりました。
 特に若い人に重点的に訴えましたが、快く応じてくれたように感じました。訴えを外へ、大胆に足を踏み出せば、大きな結果が生まれるという情勢の新しい変化が感じられ、署名行動に参加した会員は大きな力をもらうことが出来ました。(「9条の会・美浜」事務局長・大谷眞さんより)

    -----------------------------------------------------

『平和なくして人権なく 人権なくして平和なし』
当会呼びかけ人・月山桂弁護士が出版


 「九条の会・わかやま」呼びかけ人・月山桂弁護士が『平和なくして人権なく 人権なくして平和なし』を自費出版されました。月山弁護士は長年、人権活動に携わってこられました。この書籍は1989年から2001年までの間に行われた月山弁護士の講演録をまとめたものです。

 危ない。日本は、危ない道を辿りつつある。私は、そのような情勢のもと、戦争を知らない今の人達に、前の戦争の時代に生きたものとして、戦争の愚かさ、平和の尊さを伝える責任があると考え、拙著『法曹界に生きて平和をおもう』を先に世に出すこととなった。しかし、平和なくして人権は守られないと同時に、人権を認め、尊重し合ってこそ平和が成り立つ。先ず人権。私が「九条の会」に入らせて貰ったのも、人権関係の方のお誘いによるものであった。人権なくして平和はない。遅れ馳せながら、本書をまとめることにした所以である。(「まえがき」より抜粋)

    ――――――――――――――――――――――――――――――
(2012年1月2日入力)
[トップページ]