「九条の会・わかやま」 182号を発行(2012年1月25日付)

 182号が1月25日付で発行されました。1面は、第4回「九条の会」全国交流集会に参加して ③、自民党 改憲案策定へ 通常国会へ提出か、企業はだれのためにあるのか 品川正治さん(経済同友会終身幹事)、九条噺、2面は、当会呼びかけ人・藤藪庸一さん ピースプロジェクト立ち上げ  です。
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第4回「九条の会」全国交流集会に参加して ③

 2011年11月19日に東京で第4回「九条の会」全国交流集会が開催され、「田辺9条の会」から中田文子さん、勝本香里さんが参加されました。詳しいレポート(参加記)を送っていただきましたので、4回に分けてご紹介しています。今回は3回目。

 特別分散会では8人の方の発表があったが、私たちは帰りの飛行機の時刻に間に合わせるべく中途退席したので、最後の学生の方の発表を聞けなかった。せっかくの若い人の発表だったのに、残念だった。

特別分散会

大宜味村「憲法九条を守る会」(沖縄)
 私はもうすぐ80歳。「対馬丸」の生存者で、戦争は二度とさせまいとの思いで9条の会を発足させ、今100名の会員を擁している。
 米軍のことを思うといつも不安で、日曜日でもチームを組んで、高江のヘリパッド移転反対の行動に取り組んでいる。普天間基地の辺野古への移転反対の行動にも80歳を超えた女性が大勢参加している。沖縄は日本復帰後もその実態は変わらない。首相は変わったが、変わる度に悪くなっている。「静かに、平和に暮らしたい。沖縄に基地は不要」その思い一つで頑張っている。沖縄返還闘争をくぐり抜けてきた沖縄のおばあは元気です。集会や抗議行動に行きたがる、闘争心溢れるおばあはたくさんいる。9条を守る会の取り組みに今後もがんばります。

山元町九条の会、憲法九条を守る首長の会(宮城)
 あの日自宅にいたが、ドーンの音と縦揺れ、その後、横揺れ、揺れが鎮まってから裏山に避難。水平線の中に白い線が現れ、しぶきを立てて高さを増し、陸地に押し寄せ、12㎞に及ぶ保安林に襲いかかった。津波は渦になって町をのみ込んでいった。死者614名、1300棟が津波に流され、農地の70%が浸水。山元町はイチゴの産地だが、出荷できたのは129戸の内5戸のみ。生存そのものが脅かされ、権利皆無の状態なのに、復興に便乗した構造改革が推し進められようとしている。原発の事故に関して言うと、宮城県は放射能対策には消極的で、「問題なし」と言う態度。これは人災なのに、国も東電も責任回避に走っている。今こそ原発からの撤退を訴えたい。

小高九条の会(福島)
 福島第一原発から12~16㎞の町で、震災の翌日、突然の「避難指示」。私は、着の身着のまま埼玉三郷へ避難。誰がどこへ行ったか一切不明だった。9条の会8名の世話人も会長は亡くなられたし、みんなバラバラになった。辛うじて残っていた3人の携帯電話のアドレスで連絡をとり、その3人が別の3人へと・・・というスタートで、集団避難中に通信を出して喜ばれた。1回目は20名、次は50名にと増え、やがて、会員の85%まで情報を伝えることができた。中には、こちらで消息をつかめていなかった人や、長く縁が切れていた人からも送って欲しいという申し出があったりして、どんどん増えた。最初は送料も個人で負担していたが、現金やカンパが寄せられるようになった。この通信活動は読売や赤旗、NHKは地方版から更に国際版でまで報道された。通信活動は9条の会の基礎的な活動であり、これからも続けていきたい。

唐津・東松浦地区日本国憲法九条の会(佐賀)
 原発事故の後、危険な原発はいらないと、原発の廃止を求める声が急速に高まり広がっているが、その一方で、電力の安定供給のためには原発は必要だという意見や、核抑止力として必要だという考えも出てきている。
 原子炉は、核分裂する際に放出される中性子を浴びて鉄が変質し、脆くなる。また、熱の急激な変化で炉が割れることもある。破損危険性の指標の温度は、九電玄海原発では大変危険な状況にある。事故が起これば30㎞も300㎞も同じだ。原発の被曝は事故の時だけではない。施設の点検・整備などの作業で浴びる。人が傷つかねば維持できない原発を動かしてはならない。「電力は原発に頼らなくても足りる」ことを信じて頑張ろう。

井の頭沿線九条の会・永福(東京)
 井の頭沿線に次々と会をつなげていきたいとの思いを込めてこの名前を付けた。会費なし・規約なしだが、行事の当日に資料代として3~500円もらっている。世話人会は、仕事を終えてからになるので、午後8時ぐらいからの開始。その後で食事会をする。講演会の後では、持ち寄り料理で懇談会をする。世話人が楽しく負担にならない活動が、長続きのコツ。今までに、澤地さんをはじめ、講演会、憲法ウォーク、DVD鑑賞会、戦争体験を聞く会等々、2~3カ月に1回、様々な取り組みをしてきている。今後、九条の会を地域に広めていく必要がある。

水橋九条の会(富山)
 ①毎月ニュースを出す。3~6千世帯が医療生協に加入。医療生協を通じて配布できるようにした。②毎月呼びかけ人会議をする。その中で10~15分の学習をする。③運動を楽しくするために、月1回はバス旅行。新年会もする。④お寺さんにも協力を依頼。22カ寺が名前を出してくれた。残り2カ寺は名前は出せないがカンパを寄せてくれた。また、誰にも見えるように13万円をかけて看板を設置した。この費用も募金で集めることができた。⑤若い世代に引き継ぐために、結成集会で、憲法前文を生徒に朗読してもらえるよう教員組合にお願いした。
 5月3日には、参加費300円で、平和を祈り、鐘をつくイベントをしたところ2~300人の参加があった。

憲法9条をまもる瀬戸の会(愛知)
 発足時は800名。6年後の今は400名。事務局は硬直化しているという批判がある。13万人の町に35の会がある。プライベート九条の会として、友人・知人に手紙や葉書を書いて「止めよう、死刑と戦争を」など、訴える取り組みをしている。いろいろな工芸士のいる瀬戸という土地柄を生かして、グッズを作って販売、宣伝活動に生かしている。(つづく)

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自民党、改憲案策定へ
通常国会へ提出か


 自民党の憲法改正推進本部(保利耕輔本部長)は憲法改正案を今年4月までに取りまとめ、通常国会に提出する方向で検討に入っています。1月の党大会に中間報告を行い、サンフランシスコ講和条約の発効からちょうど60年目に当たる4月28日をめどに改憲案を発表する方針とのことです。
 自民党・谷垣総裁も記者会見で「60年前に日本国が主権を回復した数年後に、自由民主党が結党しました。主権を回復した国がやるべきこととして、自主憲法制定ということを党是に掲げた。・・・60周年という節目に自民党としての考え方を世の中に問うていこうということです。まずは自民党として、全体の姿、どういう方向を目指すかを明らかにして、そして国民の間に自主憲法を作るという動きを訴えていくということになると思います」と述べています。
 緊急事態条項の導入、改憲要件の緩和、自衛軍の創設、集団的自衛権の容認などが充分に予想されます。厳重な警戒が必要です。

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企業はだれのためにあるのか
品川正治さん(経済同友会終身幹事)


 憲法9条の理念を具現化した国是ともいうべき武器輸出3原則の「緩和」を、日本の大企業の代表である米倉日本経団連会長は賞賛しています。「企業はだれのためにあるのか」を品川正治さんが語られていますのでご紹介します。

 オリンパスの不正経理、大王製紙前会良のカジノ事件などが起こり、企業のコンプライアンス(法令遵守)が問われています。その原因として、企業が金融資本化し、企業自身をも商品として売り買いする時代になったことがあります。極端に言えば「何で儲けてもいい」という感覚がある。収益性や効率性だけで序列をつくる流れもあります。かつては、「自分たちは鉄をつくっている」「自分たちは精密機械をつくっている」という産業の誇りがありました。
 今回の背景には、株式や商品の取り引きすべてを市場にゆだねる市場主義、〝弱肉強食〟のアメリカ的価値観を世界的に展開するグローバリズムの押しつけがあります。しかし、これは今アメリカでもEU(欧州連合)でも行き詰まりをみせています。  企業はだれのためにあるのか。何のために経営をするのか。
 それは自社利益の最大化のためでもシェアホルダー(株主)のためだけではありません。ステークホルダー(幅広い利害関係者)といわれる従業員や得意先などのためであり、まちや村に役立つためです。
 経営者が労働者を雇用するということは、労働力を買うだけでなく、その人が結婚もでき、子どもを産め、生活ができるようにするということです。従業員と力を合わせて最良の商品をつくり、顧客に最大の満足を与えうるような経営のあり方を追求することが求められている。
 私が社長を務めた損害保険会社ではかつて、高卒で入った人には授業料を出し大学を卒業できるように支援しました。
 日本の現状や経済を変えることは不可能ではありせん。しかしそれは国民が主権を発動するときです。日本国憲法も60年の安保改定反対闘争を通じて「戦争を人間の目でみる」ようになり、九条の値打ちが広がりました。「いまの政治はまずい」というだけでなく、自分たちの一票はものすごく重いことを自覚し、行動するときだと思います。
(全国革新懇ニュース 335号 12年1月号より)

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【九条噺】

 それこそ「踏まれ、蹴られ」続けてきたのは沖縄県民ではないか。例えば、昨年11月30日付の琉球新報「日米高官・軍人の主な問題発言年表」を見る。■93年11月。ジェフリー・クライバー嘉手納基地第18航空団司令官「少しの騒音を出して申し訳ないが、これを自由の音と受け止めてもらいたい」(同基地爆音訴訟)■94年9月。宝珠山昇防衛施設庁長官「沖縄県民は基地と共生、共存を」■95年9月米兵による少女暴行事件直後。リチャード・マッキー太平洋軍司令官「犯行に使用した車を借りる金があれば女が買えたのに」■昨年9月。玄葉光一郎外務大臣「(普天間基地移設問題は)踏まれても蹴られても県民と向き合っていくしかない」■昨年11月。田中聡沖縄防衛局長が、普天間基地移転に伴うアセスの提出時期を聞かれ「犯す前にこれから犯しますよと言うか」・・・などとある▼かくて普天間基地の辺野古への移転にかかる環境影響評価報告書は多くの県民の監視を逃れて深夜こっそり沖縄県庁にもちこまれた。まるで「コソ泥」まがいのぶざまな提出は、アメリカに約束した「年内提出」をただ守るだけのためらしい。何とも情けなくて悲しい政権ではないか▼そればかりではない。事故で辛酸をなめた筈の危険な原発の輸出、憲法9条をないがしろに「死の商人」を太らせる武器輸出3原則の緩和、そして消費税も大増税へ・・・いいかげんストップをかけないとそれこそ大変だ。(佐)

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当会呼びかけ人・藤藪庸一さん、ピースプロジェクト立ち上げ

 和歌山県白浜町で自殺防止活動をされている、「九条の会・わかやま」の呼びかけ人で、「白浜レスキューネットワーク」理事長・藤藪庸一さんが、自殺防止活動、自殺志願者の就業支援や生活自立支援を支える活動資金を得るためのピースプロジェクトを立ち上げられました。この名称には、ジグソーパズルが1ピースでも失くすと出来上がらないように、この世に生を受けた者は誰でも、社会にとってなくてはならない存在で、欠けてはならないというメッセージが込められています。具体的には、PIECE PROJECTのロゴが入ったTシャツやトレーナー1枚を販売する毎に、Tシャツは500円、トレーナーは1000円を販売した団体の活動費に還元し、自殺対策、困窮者支援、子どもの教育や福祉活動に使ってほしいとのことです。個人で購入された場合は、「白浜レスキューネットワーク」の活動資金として使わせていただくというものです。Tシャツ1枚2500円、トレーナー1枚4000円です。詳しくはホームページで。
http://www.pieceproject.jp

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(2012年1月25日入力)
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