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「九条の会・わかやま」 187号を発行(2012年4月3日付)

 187号が4月3日付で発行されました。1面は、ジャーナリストには惨事を抑止する力がある(広河 隆一氏 @ )、明文改憲は絶対に許してはならない(梅田章二弁護士 B )、九条噺、2面は、読売新聞憲法世論調査結果 警戒!憲法改正賛成54% 3年ぶり半数超、3面は、秘密保全法 今国会提出見送り、言葉 「立憲主義」   です。


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[本文から]

ジャーナリストには惨事を抑止する力がある

3月20日、和歌山ビック愛で「広河隆一氏講演会&写真展」が開催され、フォトジャーナリスト・広河隆一氏が「子どもたちをどう守るか? 〜パレスチナ・チェルノブイリ・フクシマ〜」と題し、映像を交えて講演をされました。その要旨を、やや断片的になりますが、3回に分けてご紹介します。今回は1回目。
広河 隆一氏 @

 82年にイスラエルがレバノンに攻め込む戦争があり、ベイルートに行った。その頃、私は戦争というものを抽象的な観点で考えており、軍隊と軍隊が戦うものが戦争だと思っていた。実際の現地では爆弾を落とす人間と、それによって被害を受けるパレスチナ人民衆という構図がほとんどであった。戦争は付随した産業を育成していく。例えば、ベトナム戦争でナパーム弾が使われ、あらゆるものを燃やしたが、人間に火がついても水に飛び込むことで消える。我々からするとそれでも残虐な兵器だと思うが、戦争をする人間にはそれがマイナスだと、黄燐爆弾という消せない兵器を開発し、多くの子どもが犠牲になっていった。どのようにすれば多くの人を殺せるかを研究できるところが優秀な兵器産業として認められる。
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 76年にイスラエルに行った。パレスチナ人がイスラエル国籍を持って国内に住んでいるが、その人たちの土地をイスラエル政府はどんどん没収した。それで農民たちは日雇い労働者になるという状況だった。日雇い労働者となりイスラエル産業の下支えをする人たちがゼネストをすることは見過ごせないと、パレスチナ人の村に軍と警察が攻め込んで殺した。そんな事件の1カ月後に私が村に入ったら、ある男性が泣きながら「どうして今頃来たのか。1カ月前に来てくれたら息子は殺されなくて済んだ」と言った。最初は何のことか分らなかった。軍や警察は証言する人がいないところでは何でもやる。外国人ジャーナリストがいるところではそんな無茶なことはできない。私はジャーナリストの役割を少しずつ、住民から教えられていった。一番悪いことが起らないようにする抑止力があるんだと。何かが起ったらそれを伝えるのがジャーナリストだと思っていたし、そう思っている人は世界中にたくさんいる。だから現場には手を付けるな、人が殺されても自分たちは取材する人間で、止める人間ではないと考える人も多い。しかし、ここで会った人たちは、あってはならないことが起らないようにする監視役という役割があるのだと言っていた。
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 82年にレバノンに行った時、難民キャンプが包囲され、ジャーナリストの立ち入りが禁止され、ジャーナリストに見られては困る状況が起っていた。前に聞いた父親の話を思い出し、そういうところへはジャーナリストは入らないといけないと思った。しかし、頭で言い聞かせても怖くて仕方がない。身体が言うことを聞かない。近くまで行って引き返そうと思い、小さな入口を見つけて入った途端に殺された人を見てしまった。この時、難民キャンプでは2000人ぐらいが殺されて、1000人ぐらいが行方不明になった。このことを外に知らせなければならない、外圧で止めさせる以外にないと共同通信やロイター通信に走ったが、電話線は切断されており、あらゆる情報は外に漏れないようになっていた。何時間も経った後、BBCがレバノンの難民キャンプで大虐殺が起ったことを伝えた。難民キャンプにいたBBCの記者はイスラエル軍司令部に飛び込み、そこの電話で外に伝えるのに成功したのだった。
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 イスラエルのテレビチームが難民キャンプの状況を追いかけたことがあった。イスラエル軍は、自国のテレビだから自分たちに都合の悪いことは報道しないだろうと思っていたが、イスラエルのジャーナリストにも良心的な人もいた。その時、イスラエル軍はいつもの通り勝手なことをやって、女性、子どもを殺し、室内に火を付けた。その日にイスラエルのテレビがそれをそのまま延々と映し出した。それは占領地の中で息子や夫たちがどんなことをしているのかを知らないユダヤ人に大変なショックを与えた。この後イスラエル軍は徹底的な情報規制に乗り出し、あらゆるところをジャーナリストは一切入れない軍事封鎖地域とし、難民キャンプは軍事封鎖され、ジャーナリストは追放された。その時、昔の難民キャンプでのBBCの報道を思い出した。ある時、大通りから難民キャンプに入ろうとしたら戦車に追い立てられて、路地に逃げ込んだら行き止りだったが、パレスチナ人が木戸を開けて逃がしてくれた。彼は何故私を助けてくれたのか。彼らは、中で起っている恐ろしいことには、ジャーナリストの手を借りて外から圧力をかける他ないと思っている。そのためにはジャーナリストを無事に中に入れて、そして無事に外に出すことが、自分たちが助かる術だと思っているからだ。(つづく)

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明文改憲は絶対に許してはならない

3月3日、「守ろう9条 紀の川 市民の会」第8回総会が開催され、大阪憲法会議幹事長・梅田章二弁護士が「知らない間に迫る9条の危機〜これからの私たちの課題〜」と題して講演されました。その要旨を3回に分けてご紹介しています。今回は最終回。
梅田章二弁護士 B

 次の大きな変化は05年の「日米同盟・未来のための変革と再編」だ。これは誰によって作られたかというと「日米安全保障協議委員会」いわゆる「2+2」だ。まさに日本の国の将来を4人で決めたのであり、国会や政府で決めた訳ではない。安保を極東からアジア太平洋に広げた「橋本・クリントン共同宣言」をさらに進め、グローバル安保に広げるものだ。米軍と自衛隊の役割・任務は、ひとつは日本の防衛及び周辺事態への対応、今ひとつは国際的な安全保障環境の改善のための取組みだ。その任務を達成するために、米軍と自衛隊は一緒に活動する。米軍基地や自衛隊基地を一緒に使う。座間の米陸軍司令部に自衛隊中央即応集団司令部を同居させる。BMDは共同で開発するなど、米軍と自衛隊は一体的に世界的な情勢に対応するという、こんな大変なことが国民が知らないまま進められている。これを実現するために日本の防衛政策は変わっていく。従来の日本の防衛政策は「基盤的防衛力構想」と言い、「専守防衛」は外から攻められた時に対抗するものだから、日本に攻め込まれない態勢を作るという構造の防衛政策であった。ところが04年の防衛大綱で「基盤的防衛力構想を引き継ぎながら、新たな脅威や多様な事態に対応できるように、即応性、機動性、柔軟性、多目的性を備える」と、機動的に対応できるように陸海空の統合幕僚監部を設置し、どこへでも何時でも移動できる海兵隊のような中央即応集団(CRF)を編成した。防衛白書によれば07年に創設されたCRFは要請があれば何時でも出て行ける、そういう編成がされている。06年に自衛隊法を改正して、専守防衛に加えて国際社会の平和と安全の維持を本来任務に格上げした。これ以前は自衛隊が海外で活動する法的根拠がなかったが、これで海外業務は正式に任務になった。同時に防衛庁から防衛省に格上げが行われた。自民党は恒久派兵法の立法化に向けて動き出した。
 そこで、09年9月に民主党政権が誕生する。鳩山内閣は普天間基地の県外・国外移転、対等な日米関係、東アジア共同体を打ち出したが、これは従来の日米同盟に異を唱える政策で、我々は出来るかと期待したが出来なかった。東アジア共同体構想は正面からアメリカに喧嘩を売る話だ。アメリカは常に太平洋全体で考える発想だから、東アジアで共同体を作るなんてとんでもないということだ。鳩山内閣はものの見事喧嘩に負けてしまう。その後に続く菅内閣はTPPを承認しようとし、自民党の防衛政策を手の平を返すように急速に進めることになる。そして「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」を作り、10年8月に報告書が発表された。それに基づいた新しい現在の「防衛大綱」が作られた。ここで新しく出てくる言葉は「基盤的防衛力構想によることなく、動的防衛力構想に変える」、つまり従来の「基盤的防衛力構想」を捨てるということだ。「動的防衛力構想」とは徹底した監視能力・偵察能力を強めるための情報収集、人工衛星の重視、イージス艦の増強、外へ出て調べて即応できる態勢、シームレス(連続的)に対応できる態勢にするということだ。「防衛力の存在」よりも「防衛力の運用能力」という国家意思を表明する防衛政策に変えた。さらに「秘密保全法」が出てきた。前に「国家機密法」が出てきたことがあるが、それ以上に悪い。対象が「日本の防衛・安全」に加えて「公共の安全」まで広げられている。
 野田内閣はこのように新防衛政策で「動的防衛力構想」を打ち出し、「武器輸出3原則」を緩和し、スピードは遅いが足の長い、敵地攻撃に向いたF35を次期主力戦闘機に採用した。また、PKOでの武器使用を緩和し、「自衛隊の宿営地外で活動する民間人」に拡大しようとしている。
 このように、憲法9条の明文改憲、解釈改憲や安全保障を取り巻く状況から言うと、9条は追い詰められている、外堀が次々と埋められている。「こういう状況だから仕方がない」というところに持って行こうとする状況がある。「事実改憲」とでも言うべき既成事実を作ることがあると思う。今後の見通しとしては、今年1月にアメリカの国防戦略の見直しがあり、「グローバルな指導力を持続する21世紀の国防における優先課題」が発表され、アジア太平洋を重視する政策、中国との軍事的緊張関係に転換していく。日本の防衛政策もこれに合うように修正していくと思われる。これも9条の危機につながっていくと思う。イランで何かがあれば、ホルムズ海峡に自衛隊が派遣されることになり、これにも注目する必要がある。
 このような状況の中で、私たちはどのようにしていかねばならないのか。まず、何と言っても憲法の明文改憲は絶対に許さないことだ。どんなに解釈改憲が進もうが、既成事実が進もうが、憲法9条がある限り歯止めになるということに確信を持っていい。この点は絶対に譲ってはならない。「九条の会」の運動を強めていくべきだ。2つ目は、中国やロシアを仮想敵国とする日米同盟関係を転換させることだ。PKOや国際協力は、そんなものはすべきでないという議論は通用しない。憲法9条の立場で、明白な国連決議に基づき、日本は非軍事の協力に徹することだ。同時に国連改革も提案する。自衛隊の任務は災害救助活動を最重点にするとして、再編成すべきだと提案していくことも必要だ。市民社会からの平和の発信として、99年ハーグ市民集会、16年バンクーバー平和市民会議、08年9条世界会議などのような市民レベルの国境を越えた平和交流も必要だ。平和教育の強化も必要。最後に、平和の問題は格差社会、貧困社会と裏腹で、この問題にきちんと取り組むことが9条への脅威をなくしていくので、25条との連携を強めていくべきではないかと思う。(おわり)

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【九条噺】

 沖縄の首里城跡地には2度行った。最初の見学で今も記憶に残っているのは58年に再建されたという「守礼の門」だけである。それまでは切手や写真で見ただけなのに、一瞬、なぜか懐かしいような気持ちにとらわれたのだった。2度目は大がかりに再建・整備された直後。壮大で華々しい姿が再現されたが、その昔、創建に伴う民の犠牲もまた想像を絶するほど大きかったろうと思う▼この首里城に地下壕があり、沖縄戦を指揮した旧陸軍第32軍司令部がおかれていたということは最近まで知らなかった。琉球新報によれば、この地下壕は内部崩落が激しく危険なため、沖縄県が入口に説明板を設置することになった。文章は有識者らによる検討委員会でつくり、昨年11月には県側も含め全委員一致で決まったという。ところが仲井真知事が突然、いったん決めた文章から「慰安婦」と「日本軍による住民虐殺」を削除した。知事はそれを検討委員会にも告げず、一方的に決めたのである▼検討委員会は「史実にもとづく記述にこだわって、研究者らが記録や証言を数多く集めてつくった文書なのに、知事は検討委員会に一言の相談もなく削除を決めた。あまりにも乱暴だ」と批判。文言復活を求めているが知事は聞く耳をもたぬという▼ことは沖縄戦の本質にもかかわる大事なこと。基地問題なら知事の座を左右するが歴史観なら本音を言っても≠ニいうようなことでもないと思うが、さて。(佐)

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読売新聞憲法世論調査結果
警戒! 憲法改正賛成54%、3年ぶり半数超


 3月18日、読売新聞は「読売新聞社の全国世論調査(2月25〜26日実施、面接方式)で、憲法を『改正する方がよい』と答えた人は54%となり、昨年9月調査(43%)から11ポイント上昇した。改正賛成派が半数を超えたのは09年(52%)以来で3年ぶり。『改正しない方がよい』は30%(昨年39%)に下がった」と報じました。
 改憲派を自認する読売新聞は社説で、「憲法改正を求める声は、04年に65%に上昇し、その後、下降傾向をたどっていた。それが、再び大きく持ち直した。憲法改正賛成派は54%と、昨年9月の前回調査から11ポイントも跳ね上がった」と喜んでいます。
 賛成理由(複数回答あり)を見ると、「時代の変化に憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱する」が54%、「国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じている」33%と、必ずしも自衛権や自衛隊の明文化(28%)より多い訳ではありません。また、9条については、「憲法第9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない」13%、「これまで通り、解釈や運用で対応する」39%、「解釈や運用で対応するのは限界なので、憲法第9条を改正する」39%と、9条明文改憲は昨年9月に比べて7ポイント増えていますが、まだ3分の1強です。
 しかし、この状況は東日本大震災、福島原発事故などの影響もあるかとは思われますが、「九条の会」の伸びの鈍化、会員の高齢化、活動の停滞もあるのではないでしょうか。「知らない間に9条改憲の危機迫る」といったことにならないように、今一度エンジンをかけ直してがんばる時ではないでしょうか。








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秘密保全法案、今国会提出見送り

 3月20日の毎日新聞は、「政府・民主党は19日、秘密保全法案の今国会提出を見送る方針を固めた。政府は、今通常国会に法案を提出する方針を決めていた。有識者会議報告書は国が指定した『特別秘密』を漏らした公務員や閣僚らに、最高5年か10年の懲役を科すよう提言。民主党は国会に秘密の妥当性を審査する委員会を設け、委員の国会議員に守秘義務を課すことも検討している。しかし、『国民の知る権利や取材・報道の自由を阻害しかねない』として、日本新聞協会などが法案への反対を表明していた」と報じました。
 この法案は、国の安全、外交、治安の3分野で、国の存立に関る情報を「特別秘密」に指定。職員らの漏洩はむろん、第三者による不正な取得や職員らへの働き掛けも処罰対象で、罰則は最高10年か5年の懲役刑。さらに「特別秘密」の範囲は防衛省や警察庁などの行政機関が指定し、第三者が関与できず、必要以上に広げられる可能性があり、国民の知る権利、言論表現の自由を奪うものです。今後とも法案提出を許さないために、十分な監視が必要だと思われます。

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言葉 「立憲主義」

 日本では民主主義は何か絶対的なものであって、多数決で決められたことは必ず守らなければならないと往々にして思われがちです。しかし、仮に多数決で決めた法律、あるいは多数の支持を受けた人物(行政)が何らかの行為をしたとしても、憲法が最高法規(98条)であって、その法律や行為が憲法違反であれば、当然無効です。「悪法も法なり」や「出来た法律は守る」ではないのです。これを立憲主義と言います。通常は民主主義ですが、それは立憲主義によって担保されているのであって、場合によっては、民主主義的な決定であったとしても立憲主義の観点からそれを否定するということもあります。
 橋下大阪市長は、「多数決で選ばれたのだから、反対する者は黙ってろ。悔しかったらおまえが知事や市長になれ。俺に従え」みたいなことを言っています。これは正に「多数決民主主義」論です。橋下氏が多数の市民の支持を受けて大阪市長になって、何か行為をしようとしても、「何をしてもいい」という訳ではありません。橋下氏の行為が憲法違反であれば当然無効です。この度の「思想調査アンケート」は、その典型と言わねばならないでしょう。日本国憲法で保障された基本的人権は、明治憲法と違って多数決であったとしても奪えないものです。仮に国会の多数決で特定の人びとの人権を侵害するような法律をつくったとしても、それは違憲審査権を発動して無効にしなければなりません。日本でも、うまく機能しているかどうかは別として、憲法81条で、法律、命令、規則、処分の審査権を具体化しています。(清水雅彦氏の「市民憲法講座」より要約)

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(2012年4月5日入力 4月21日修正)
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