「九条の会・わかやま」 190号を発行(2012年5月7日付)

 190号が5月7日付で発行されました。1面は、朝日新聞憲法世論調査 「9条改正反対」55% 昨年比4P減、原発は人間の生きる権利を脅かす存在(今中 哲二 氏 @ )、九条噺、2面は、国民は本来自由だと決めているのが憲法 WBS和歌山放送・特別番組「憲法を考える」(谷口f二弁護士 @)、書籍紹介『憲法が教えてくれたこと』 その女子高生の日々が輝きだした理由  です。

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朝日新聞憲法世論調査
「9条改正反対」55%、昨年比4P減

 5月3日付朝日新聞は憲法全国世論調査を発表しました。( )内は昨年の数値です。憲法9条は「変えない方がよい」は55%、「変える方がよい」は30%でした。昨年は「変えない」59%、「変える」30%なので、「変えない」は4ポイント減っています。
 憲法全体は「改憲必要」は51%(54%)、「改憲不要」は29%(29%)で、「必要」と答えた人の中では、9条を「変える方がよい」は44%(45%)で、「変えない方がよい」は43%(46%)となっています。「改憲必要」の理由は「新しい権利や制度を盛り込むべき」が69%(74%)と圧倒的。「自分たちの手で新憲法を」は9%(9%)、「9条に問題あり」は17%(14%)に過ぎません。「改憲不要」の理由は「改正するほど問題点なし」が39%(35%)、「9条改正の恐れあり」は38%(45%)、「自由と権利の保障に役立っている」は17%(15%)となっています。また、改憲発議要件の緩和については「賛成」が36%、「反対」が45%、国会を一院制にすることは「賛成」が42%、「反対」が38%でした。

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原発は人間の生きる権利を脅かす存在

 4月27日、プラザホープ(和歌山市)で青年法律家協会和歌山支部主催の「憲法を考える夕べ」が開催され、京都大学原子炉実験所助教・今中哲二氏が「放射能汚染の時代〜3.11後の世界をどう生きるか〜」と題して講演されました。要旨を3回に分けてご紹介します。今回は1回目。
今中 哲二 氏 @

 放射能・放射線とはどんなもので、それに被曝することによってどういうことが起るのか。そして我々は放射能汚染の時代に入っているが、そのことにどう向き合ったらいいのかという話をしたい。
 76年に京大原子炉実験所の職員になった。当時の所長から「原子炉は危ないものだから、職員は常に最悪の事態を考えながら対応しなければならない」と言われており、原子力をやる人間の基本的なスピリットはそうだと思っていた。しかし、日本では絶対安全だと言いながら原発がどんどんと出来ていった。私は原発に肩入れをしていた大学の先生は、承知で嘘をついていると思っていた。福島原発事故で、私がびっくりしたことは、原子力安全委員会などの原発行政に責任を持つ人たちや電力会社の人たち全部が「原発は安全だ」と思っていたことだ。何十年間にわたり「原発は安全だ」と言い続けて、地元を騙して、代替りしている内に、原子力村が一種の自己暗示・自己催眠にかかって「原発は安全だ」と思い込んでしまった。「原発は危ない」などと考えてはいけないというカルチャーに陥ってしまったのだろうと思う。福島の事故を防ぐのは実に簡単なことだ。「津波が来たら」と現実的な想定を持って「これは危ない」と対応すればよい。危ないと言った人はいたのに、原子力村の中では、そういうことは言ってはいけないというカルチャーで、言った人は飛ばされる。ということで福島の事故は人災だ。
 チェルノブイリの事故を調べて、一旦原発が事故を起すと村や町が、地域社会が一遍になくなってしまうという凄さを感じた。私自身は日本でも事故が起きる可能性があると言っていたが、ついに起きてしまった。今、福島の周りで強制的に家に住めなくなった人は10万人、自主的に避難している人も含めると数十万人が住めなくなった。私自身は原発で最悪の事故が起きたら取返しがつかないということは30年前から確信していた。原発は人間の生きていく権利を脅かしている存在であることは間違いない。
 チェルノブイリの人たちは事故が時代を分けたと言っている。和歌山ではまだリアリティがないかもしれないが、福島の人たちにとっては「福島後」の時代になってしまったことを実感している。汚染の規模はチェルノブイリでは周辺はもちろんのこと、2〜300qにかけて高濃度の汚染があり、500qぐらいのところにもある。さらに凄いことはここに住んでいた人も汚染のことを知らされなかった。住民運動が盛り上がり27万人の人が避難することになった。
 福島では完全な電源喪失が起り原子炉を冷やす水のポンプが回せなくなり、炉内の圧力が高まり、水素爆発を起し、格納容器が壊れて、チェルノブイリと同じになってしまった。3月15日に1号機の圧力が上がり放射能漏れが始まった。最初の放射能は南の東京の方に行ったが、雨が降らなかったので上空を通過していった。その日の午後に風向きが変わり飯舘村の方に向かい、雪が降っていたので、空中の放射能が地面に落ちていき、大変な汚染が起きてしまった。確かに地上の汚染はチェルノブイリの方が広い。日本の上空は西風が吹いているので、福島の場合は海に行った方が多い。私は東京より北の本州太平洋側には無視できないレベルの放射能汚染が生じていると言っている。東京の汚染は1時間当り0.1マイクロシーベルト(μSv)ぐらいで、自然の状態では0.05μSvぐらいだから、大体倍ぐらいで、セシウム137と134を合わせた汚染レベルは1u当り2万ベクレル(Bq)ぐらいの汚染だろう。汚染はBq、問題は我々がどれぐらい被曝を受けるかで、これはSv。被曝は2種類あり、外から放射線を受ける外部被曝と食べ物や呼吸で体内で放射線を受ける内部被曝がある。東京のセシウムによる被曝を0.05μSvだとすると、年間では440μSvとなり、家の遮蔽などを考えると外部被曝は200μSvぐらいだろう。(つづく)

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【九条噺】

 恐縮だが今一度、大阪・橋下市長に登場願う。劇作家で演出家の永井愛さん(二兎社主宰)が公立高校の卒業式で「君が代」の斉唱・伴奏を強制する問題を描いた劇「歌わせたい男たち」を書き上げた▼この作品はロンドンの劇場を皮切りに各国・各地で公演される予定だったが、出鼻から暗礁に乗り上げた。ロンドンの劇場で舞台監督から「一体いつの(時代の)話です?」「ロンドンの学校でこんなことが起きたら国じゅうが大騒ぎに」「ロンドン市民にはとても理解されない」と言われてボツになったとか。そこで永井さんは「日本で起きていることは海外の目で見るとおかしいことなのか」と思い、劇団スタッフが欧米、アジア18カ国の「国歌斉唱」事情を調べたという▼その結果、学校で「国歌」を教えたり歌う国そのものがほとんどなく、演奏はしても義務規定や罰則規定などはない。そもそも入学式・卒業式では、「式典」そのものがなかったり、もちろん「国歌」の法制化もなく、国民の愛唱歌やクラシックの名曲が流されるという▼すると、罰則付き条例によってむりやり「起立斉唱」させ、口元チェックまでしているような大阪は一体なんなのだろう。橋下市長もさかんに口にする「国際化」の中身もなにやらいびつに見えてきた。「大震災のがれき処理遅れの原因は憲法9条」(ツイッター)などととんでもないことまで言い出すような市長や維新勢力・・・それでもだまって見てますか?(佐)

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国民は本来自由だと決めているのが憲法
WBS和歌山放送・特別番組「憲法を考える」 @


 5月3日憲法記念日の15時から20分間、WBS和歌山放送が「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の提供で特別番組「憲法を考える」を放送しました。その要旨を2回に分けてご紹介します。今回は1回目。
谷口f二弁護士が出演

憲法とはそもそもどういうもの。

 国の基本法で、これを基に全ての日本の国が動いている。国のあり方を決めている部分と、国民の基本的人権を決めている部分の、大きく2つから成り立っている。

もう少し詳しく教えて。

 憲法は1章から11章、条文にすると1条から103条の、そんなに多くない条文のもの。最初に天皇があり、その次に9条の戦争放棄の規定があり、10条から40条までが基本的人権に関する規定、それから、国会、内閣、司法、財政、地方自治といった規定が、41条から95条まであり、あと、改正規定、その他があって103条までとなっている。

私たちの身近なことに例えて言うと、どう解釈すればいいか。

 憲法の基本的人権の規定は国と国民との間のことを決めてある規定で、私人の間のことを直接決めている規定ではない。元々は国が国民に何をしたかというと、国は国民に「あれせい、これせい」「あれしたらいかん、これしたらいかん」といろんなことを強いて、国民を締め付けていたのを、国民は本来自由なものですよ、国から干渉されないのが原則ですよということを取り決めている。憲法が一番上にあって、具体的にどうするかを決めているのが法律で、その下に規則その他がある。憲法の基本的人権の中では、例えば「どこに住んでもいいですよ。日本国内どこに行ってもいいですよ」と決めているが、みんなは当り前のことのように思っている。

それも決まりが書いてあるのか。

 今はどこへでも行けるのが当然になっているが、例えば、江戸時代は関所があり、「入り鉄砲に出女」と言って取り締まっており、国内での移住すら自由ではなかった。憲法の22条には「何人も公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と書かれている。今の時代だからどんなところへも自由に就職できるとは限らないが、就職できる機会は国民に均等に与えられている。職業選択の自由は当り前のようだけれど、すごいことなのだ。

憲法は私たちの生活にものすごく関わっていることが分る。

 関わっていることを意識しないで済んでいる今の日本はすばらしい国だと言うことになろうかと思う。

憲法9条というのはおさらいするとどういうものなのか。

 読んでみると、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。これが第1項。第2項で「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」。これが憲法9条だ。(つづく)

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書籍紹介『憲法が教えてくれたこと』
その女子高生の日々が輝きだした理由

 憲法の本質がわかる青春ストーリー。桜井うたこが高校入学祝いに祖父から贈られたのは日本国憲法の本だった。祖父は「自分らしく、自由に、高校生活を楽しんで」と。一体どういうことなんだろう? ツイッターによるプライバシーの侵害、陸上部やクラスに馴染もうとしない原発の被災地からきた新入生……。日々起きる出来事を憲法に照らしていくと、そこには祖父が言った通り、「自分らしく自由に誇りをもって生きていいんだ」というエールが隠されている。憲法って、私を縛るルールじゃないんだ! 民主主義の意味、自由の本当の意味を考えながら、たった6人の部員たちは都大路を目指して襷をつないでいく―― 。
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2012年4月15日第1刷発行
著 者:伊藤真
発行所:幻冬舎ルネッサンス
価 格:本体1200円+税

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(2012年5月7日入力)
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