「九条の会・わかやま」 191号を発行(2012年5月15日付)

 191号が5月15日付で発行されました。1面は、「県民大署名」JR和歌山駅前で30人が署名活動、みなべ「九条の会」憲法記念日に街宣・署名活動、放射線被曝はすればするほどリスクを背負う(今中 哲二氏 A )、九条噺、2面は、9条を現状に合わせようというのは本末転倒 WBS和歌山放送・特別番組「憲法を考える」A  です。

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[本文から]

「県民大署名」駅前行動
JR和歌山駅前で30人が署名活動


 65回目の憲法記念日の3日、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の呼びかけで、午前11時から約1時間半、JR和歌山駅前で、憲法9条「改正」に反対する「第10回県民大署名・駅前行動」が行われました。天候不順の中でしたが、30名の参加で、185筆の署名が集められました。
 72歳の女性は「戦争を知る者として孫の世代に同じ経験をさせたくないとの思いを込めて署名した」(5月4日、朝日新聞和歌山版)と語っています。

 
 
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みなべ「九条の会」、憲法記念日に街宣・署名活動実施

 みなべ「九条の会」は、5月3日の憲法記念日に例年通り町内全域で街宣活動を実施しました。この行動は結成以来一度も欠かしたことがなく、通算7回目となります。
 この日は署名行動もしました。これは3月19日が雨で実施できなかったので、会員の「憲法記念日実施すればもっと意義があるのに…」の声に応え、実施したもの。午前10時から1時間の行動で85筆集計できました。街宣活動と署名行動に会員17名が参加しました。意見チラシは地元地方紙に4000枚を折り込みました。これも結成以来欠かさず実施しています。(平野憲一郎さんより)

    <ピースアピール行動>紀伊民報報道へのリンク

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放射線被曝はすればするほどリスクを背負う

4月27日、プラザホープ(和歌山市)で青年法律家協会和歌山支部主催の「憲法を考える夕べ」が開催され、京都大学原子炉実験所助教・今中哲二氏が「放射能汚染の時代〜3.11後の世界をどう生きるか〜」と題して講演されました。要旨を3回に分けてご紹介しています。今回は2回目。
今中 哲二 氏 A

 内部被曝は2つの径路があり、空気と一緒に吸入するもの、もうひとつは食べ物と一緒に入るものがある。吸入の被曝は1日で0.0004マイクロシーベルト(μSv)、年間では0.15μSvとなる。食べ物からの内部被曝だが、福島の事故以前には食品に対する規制値は日本にはなかった。事故後に暫定基準値を決め1s当りセシウムで500ベクレル(Bq)を出した。この数値だと1年間の内部被曝は5000μSv(5mSv)になる。今年4月に主な食品は100Bqに引き下げ、1年間で1mSv以下になるように決まっている。厚労省の最近の放射性物質の検査結果を見ると基準を超えるのは主に魚。今は農産物より水産物の方が大変。農産物については福島の農家が非常に気を遣っている。そして流通業者、消費者も気を遣っているので、農産物の汚染は予想したよりも相当低いレベルになっている。地面の汚染は相当詳しく調べられているが、海の方はよく分らない。特に大変なのは底物で、今現在も福島県漁連は一切漁をしていない。海の汚染は海底でじんわりと拡がっている。三陸の漁業は津波で壊滅的な被害を受け、ようやく復活しようとした時に放射能汚染の問題でまた被害を受けた。魚でも回遊魚にはあまり蓄積しない。海の魚は取り込んだ塩分を排出しようとするが、淡水魚はなかなか排出しないので、セシウムを蓄積する可能性が高い。今回の新しい基準で食物を食べていると1年間で1mSv以下にはなる。セシウムを体内に取り込んだらどれぐらい被曝するかだが、1Bqを取り込んだら、大人で0.02μSv、子どもで0.01μSvということになる。私の印象では東京で流通している食品は規制値よりも相当低いのが実際だろうと思う。
 我々は汚染の中で生きていくのだから、「Bq」と「Sv」に馴染んで、被曝に対する感覚を持たざるを得ない。私自身の感覚では1回の作業で「1μSvはほとんど気にならない」「10μSvはちょっと浴びたな」「100μSvはかなりの被爆」「1000μSvは始末書もの」「1Svはすぐ病院に行く」だ。胸部レントゲン撮影は50μSv、飛行機に乗ってヨーロッパを往復すると50〜100μSvの被曝になる。基準以下だから安全だという訳ではない。放射線被曝はすればするほどリスクを背負うものだ。日本政府は基準を超えたものは流通させませんと言うが、基準以下だったら「安全です」と言っている。これはおかしい。
 被曝の障害は一度にたくさんの放射線を浴びたら急性放射線障害が出る。広島・長崎の原爆被爆者は1qのところでは4〜5Svぐらいだろう。急性放射線障害は身体の細胞が全部やられてしまう。特に敏感な臓器、例えば骨髄がやられて造血できなくなり死亡するということが起きる。一方、被曝線量が少ない時でも、細胞は傷を受けて、後々になって癌や白血病が出るというのが晩発性障害だ。広島・長崎の原爆から67年になるが、それでも被爆者の癌の発生率は他の人より多い。福島では枝野氏は「すぐには健康に影響がない」と言ったが、問題は後々になって現れる晩発的影響で、あの時点では晩発的影響を出来るだけ少なくするために最大限の措置をとらなければならなかったのに、ほとんど何もしなかった。晩発的影響の代表はチェルノブイリの甲状腺癌だ。チェルノブイリの事故は爆発で遠くまで飛んでいく揮発性の放射能が問題で、揮発性放射能の代表がヨウ素とセシウムだ。福島では水素爆発をしたが、炉心は爆発していないので、揮発性のものが出て行った。ヨウ素が圧倒的に多いのだが、事故初期に問題になるのは放射性ヨウ素による汚染なのだが、チェルノブイリでは子どもたちが放射性ヨウ素による被曝を受けた。子どもの甲状腺は大人に比べると10分の1ぐらい。そこに放射性ヨウ素が溜まり、甲状腺の組織が集中的に被曝する。ヨウ素131の半減期は8日間で、2〜3カ月でなくなる。ウクライナの子どもたちが被曝を受けたのは86年の春、4年経って影響が現れ始めた。西側の医師たちはそれを否定しようとしたが、さすがに10年目からは子どもの甲状腺癌だけは事故の影響として認めようということになった。今でも増えている。事故当時に子どもだった人に甲状腺癌が増え、後で生まれた子どもには増えていない。ウクライナでは事故から25年経って6千人ぐらいの子どもが甲状腺癌になった。ベラルーシやロシアも含めて1万人ぐらいに甲状腺癌が出ているし、これからも出てくるので2万人になるだろうと思っている。(つづく)

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【九条噺】

 70年前の1942年2月、「日本最大の海底炭鉱」といわれた長生炭鉱(山口県宇部)が崩壊・水没し、一瞬にして183人もの命が奪われた。もともと地盤がもろく採炭自体が危険な場所だが、戦争のためにエネルギー源確保を焦る政府が無理に操業を進めたことによる悲劇だった▼さて、戦時下の日本の労働力不足を補うために、植民地化した朝鮮半島からの強制連行は72万人を超え、その半数は日本各地の炭鉱で重労働を強いられたといわれている。この海底炭鉱の崩壊・水没事故の犠牲者183人のうちの137人も朝鮮人で、「強制連行労働者の悲劇」としても忘れてはならないと思う。しかし、事故が起きてから40年経過して炭鉱事務所跡に慰霊碑が建立されたが、朝鮮の人々のことは何一つ記されていない▼史実を隠蔽しようとする動きを許さず、事実をありのまま伝えようと努力してきたのは犠牲者遺族と彼らを支援する日本の心ある人々であり、それは今日まで地道に多彩に続けられてきた。筆者がこの惨劇を知るきっかけも「合唱」である。徳山(山口県)の女声合唱団がこの史実を合唱にして広げたいと考え、歌詞を詩人の芝憲子さんに、作曲は池辺晋一郎さんに委嘱、93年に女声合唱組曲「海の墓標」として発表された。強制連行を告発し、贖罪と平和へのレクイエムからなる鎮魂の曲である▼今年は70周年記念の犠牲者追悼集会が行われこの合唱曲も歌われた由。徳山の平和を求める地道な活動に大いに感謝したい。(佐)

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9条を現状に合わせようというのは本末転倒
WBS和歌山放送・特別番組「憲法を考える」 A


5月3日憲法記念日の15時から20分間、WBS和歌山放送が「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の提供で特別番組「憲法を考える」を放送しました。その要旨を2回に分けてご紹介しています。今回は最終回。
谷口f二弁護士が出演

9条について先生のお考えは

 私は憲法9条をこのままの形できっちりと残さなければいけないという考えだ。いろんな意見があるのは当然で、現に自衛隊が存在し、誰が見ても戦力だから、現状に合うよう、世界情勢も憲法が出来た当時とは変わっているから、9条を改正して自衛隊を憲法上も正当なものと認知し、場合によっては集団的自衛権行使も、他の国と一緒に戦争するのもやむを得ない場合もあるから、そのような規定にせよという意見もあるが、私はこの条文のままで残すべきだと考える。

いろんな弁護士がいるのか

 弁護士業務をしようと思えば弁護士会に登録しないと出来ない。そうすると言い方は悪いかもしれないが、弁護士会は極右から極左までの思想の持ち主がいる訳で、私のように国粋的「日本大好き」の人もあれば、逆に「日本大嫌い」の人もいる。「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」は、そんないろんな人が集って思想的なもの違っても9条はきっちりこのまま残さねばならないと、その一点で一致している会だ。

いろんな意見が中で交換されることはあるか。

 例えば、原発問題でガレキを受け入れるかどうかではいろんな意見が出てくると思う。9条は守らなければならないと言っている人の中にも、受け入れるべきでないという人も、受け入れるべきだという人もいるだろうし、個々具体的なことでは分かれていくと思う。

会としての取り組みは

 毎年、啓発活動を行ったり、講演会を主催したりしている。今年は3月20日に写真家・広河隆一さんの講演会を開催した。

県民の皆さんにメッセージを

 自衛隊があるし、北朝鮮から核弾頭が飛んでくるかもしれないのに、戦争の放棄とか軍隊を持たないと言ってもナンセンスだという意見が常識的と思われるかもしれない。ただ、例えばスピード違反はこれ以上の速度はダメとなっている。超えている人が一杯いるからルールは止めよとは言わない。憲法9条の条文を素直に読んだ状態と現在の状態が違っているからと言って、現在の状態に条文を合わせるのは本末転倒だ。あるべき姿を想定して、それに出来るだけ近づけるように、そこから遠ざからないようにするのが我々のやるべきことと思う。憲法の前文には「日本国民は、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と書かれている。ここの部分は「他力本願」で、これは自分ができることをやった上で、後は自分の身を他人に委ねるということで、これは非常に勇気のいることだ。9条も他力本願思想の現われだと見ている。自分の国で何かあった時は外交努力を精一杯やって、国際世論にも訴えて、それでもダメだったら、それは「他力本願」だということを書いているように思える。9条は守っていかなければならないし、守れるものだと思う。(おわり)

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(2012年5月15日入力 31日増補)
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