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「九条の会・わかやま」 193号を発行(2012年6月13日付)

 193号が6月13日付で発行されました。1面は、5月の風に We Love 憲法 橋下氏は独特のキャラでもてはやされているだけ(名古屋大学名誉教授・森英樹氏 A)、衆院憲法審査会 9条について議論、九条噺、2面は、書籍紹介『3・11と憲法』、言葉「公共の福祉」「公益及び公の秩序」、3面は、自民党の憲法改正草案の問題点@  です。


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[本文から]

5月の風に We Love 憲法
橋下氏は独特のキャラでもてはやされているだけ


 5月19日、プラザホープ(和歌山市)で「憲法9条を守るわかやま県民の会」が「5・19県民のつどい」を200人の参加のもとで開催し、名古屋大学名誉教授・森英樹氏が「憲法をめぐる攻防の新段階 − 橋下・維新の会と財界・米国の思惑 −」と題して講演をされました。その要旨を4回(予定)に分けてご紹介しています。今回は2回目。

名古屋大学名誉教授・森英樹氏 A

 「一院制国会実現議連」が改憲原案を提出したが、改正案が初めて国会に提出されたのもこの春の特徴だ。民主党は中野寛成憲法調査会長が、櫻井よしこ氏らの「改憲フォーラム」に出席して、「日本はすでに憲法改正の第一歩を踏み出しているということを前提に民主党も真剣に改正議論を進めていきたい」と挨拶している。震災を主たる理由とする緊急事態対処が改憲の国民への説得材料になっている。憲法審査会の中でも震災対応が改憲の重要な理由として選ばれている。国民の目が届かないところで着々と改憲議論が進められている。
 5月18日の憲法審査会で現憲法を章ごとにひとつずつ審査することを多数決で決めた。いよいよ本番が近づいた。ある日突然改憲草案が国会に用意されることもあり得る時代に入ってきた。おそらくそのポイントは震災対応だろう。審査会の対応や、改憲派の主張を見ても、震災対応を軸にこれなら国民が頷くだろうと思って出してきた節が非常に強い。震災にも対応できる憲法に変えようという主張は俗受けしているが、専門家的に言うと全くの筋違いだ。確かに大地震を通して政府、東電の対応の遅れが問題になるが、だからと言って、憲法に緊急事態条項を入れると問題は解決するということはあり得ない。政府の下におかれた「原発事故調査検証委員会」でさえ、現行法制を有効・適切に行使しなかったことが被害を拡大したと言っている。大地震を利用しようという企てはありありとしている。
 この改憲の動きに突如乱入してきたのが大阪維新の会だ。2月13日に「維新八策」なるものが出て、第7策に「日米同盟を基軸として、豪州を含む3カ国同盟を作り、領土を自力で守る防衛力を目指す」とある。中身は明らかな9条破壊政策だ。第8策は「首相公選制と参議院の廃止」を実現するために改憲手続き「緩和」を言っている。9条改憲の動きにはしばしば改憲手続きの引き下げが法則的に先行して出てくる。維新の会は、要するに来るべき総選挙でどの勢力と連携するのかで暗躍している段階だろうと思う。自民党を出た右の勢力と繋がっていることは要注意だ。河村名古屋市長や石原都知事など、日本の国粋的な「右」の地下水脈が橋下市長には不気味に流れているかもしれないことは注意しなければいけない。76年前に2・26事件が起った。維新を叫ぶ動きにはかつて日本の政治にファッショの道を開いた勢力が昭和維新を叫んでいたこととダブって映る歴史的な危うさを感じる。橋下氏の政策は憲法論から見たら「ハチャメチャ」だ。「9条がなかった時は他人のために汗をかこう、命の危険も厭わないという時代があり、それでやっていた」と、こんな危ないことを言っている。憲法論から見れば取るに足らないのだが、これを個別に真面目に批判しても彼にとっては痛くも痒くもない。「それがどうした。それで悪いか」みたいな開き直り憲法論が彼の持論だ。この開き直りが受けているのは、この間の自民党政治、そしてそれをチェンジするとして政権交代を果たした民主党の酷さも手伝って、結局2大政党のどちらがやっても同じだという閉塞感が国民の中に蔓延しており、それを突き破る突破力を持った救世主として橋下という独特のキャラが持てはやされている。それが国民の政治的な苛立ちへの熱狂的な鬱憤晴らしに役立っているというのが、冷静に見た評価だろうと思う。ただ、メディアがものすごく熱っぽく取り上げ、勢いを感じ取ることはできるし、勢いの中に1920年代のドイツのナチスとの類似性を見て取り、語呂合わせで「ハシズム」という論者も多いが、イズムと呼ぶほどの高級な体系はない。権力を取るまではメディアを徹底的に利用する。ヒトラーはラジオを駆使して、次々と攻撃しやすい敵を作り、選挙民の爆発的支持を取り付け、自らが権力を取るや否や、陰謀を張り巡らし、その権力をフルに発揮して、有無を言わさず批判者を排除し、時には殺した。そういう手法は規模と程度は異なるが橋下氏の手法と似たところがあり、「ハシズム」という名付けは特徴を衝いてはいるが、橋下氏の政治を「ハシズム」だと呼んで、不安を煽るだけでは彼の手法の裏返しで、感性に訴えるやり方は、あまり意味のあるやり方ではないと思う。議論すべきは中身で、「決定できる民主主義」と言うが、何を決めるのかということこそ議論しなければならないのであって、中身を差し置いて「早く決めればそれでいい」というのは、全く本末転倒だ。(つづく)

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衆院憲法審査会、9条について議論

 衆院憲法審査会は、憲法改正を前提とせず各章ごとに改正の必要があるかどうか審査するとして、第1章「天皇」に続き、5月31日に第2章「戦争の放棄」を議論しました。
 時事通信によれば、「自民・中谷氏は『国家の自衛権は国連憲章で認められている』と述べ、9条改正を通じて集団的自衛権の行使を認めるべきだと主張。これに対し、公明、共産、社民各党は『平和憲法はアジア諸国の共通財産だ』(共産・笠井氏)などと改正への慎重論を展開した。民主は憲法改正に関する党内論議がまとまっておらず、逢坂氏が『(9条は)平和国家日本を示すものとして今後も引き継ぐべきだ』とした05年の憲法提言を紹介するにとどめた。集団的自衛権は、みんな・柿沢氏は『何らかの立法措置が必要』と表明。きづな・渡辺氏も『軍を憲法に示せばいい』と改正に前向きな姿勢を示した。公明・赤松氏は『改憲の必要はなく、平和憲法の理念を世界に広める責任がある』と反論。社民・照屋氏も『条文を変更してはならない。現実を9条に近づける努力が国会議員の使命だ』として自衛隊を縮小すべきと提言した」と報じています。

【九条噺】

 故意なのかどうか・・・・というよりたぶんそうだと思うが、原発事故にかかわって政府当局が使う言葉はことさら曖昧でしかも難しい。その「政府用語」について作家の池澤夏樹さんの指摘(5/1「朝日新聞夕刊」)が鋭く痛快だった▼政府のいう「警戒区域」は実際には「禁止区域」であり、正確には「放射線量が高いので一般住民の立ち入りは禁止する区域」のことだという。なるほど、その方が判りやすい。続けて「避難指示解除準備区域」。まるで「お前ら分らんやろ、アホゥ!」と何故か大阪弁で笑う官僚の顔が浮かぶような難解な用語だが、これも「もうすぐ帰れますから待っていてくださいね」とすれば判りやすい。また、「帰還困難地域」というのは実は「長期帰還不能地域」で、「帰るのが困難」どころか「これから長期間、帰ることもできません」ということだ▼さらに政府当局は「廃棄物」と簡単にいうが、原発に伴う廃棄物はそれほどなまやさしくはない。これは正しく言えば「長期絶対隔離保管猛毒危険物」である。つまり、原発の廃棄物は、猛毒にして危険極まりなく、どこへ棄てようにも棄てられないというやっかいなもので、原発そのものが抱える解決不能な致命傷でもあるのだ▼先の原発事故では2万人以上の人が住む国土が住めない土地になった。事故原因究明も未だ不十分で、課題も山積しているが、野田内閣は早々と難題にフタをして新たな稼働に奔走する。ナント危険な政権だろう。(佐)

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書籍紹介『3・11と憲法』

 東日本大震災と福島第一原発事故は、私たちの生きる社会と憲法に、さまざまな問題を、今も鋭く問いかけ続けています。
 人間のいのちを粗末に扱う社会の大きな動きに対し、私たちは、自分のいのちを大切にし、人任せにせず、「怒り」を基底にしながら、希望ある社会のありかたを求めていかなければならないと思います。  この本は、これらの問いに憲法の埋念から応えていこうとするものです。
 肥田舜太郎 (全日本民医連顧問・日本被団協中央相談所顧問)

2012年3月11日第1版第1刷発行
編著者:森英樹、白藤博行、愛敬浩二
発行所:日本評論社
価 格:1900円+税

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言葉「公共の福祉」「公益及び公の秩序」

 自民党の憲法改正草案は、現憲法の「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に変更しています。この2つは似たように見えますが、「似て非なるもの」です。
 憲法13条は「すべて国民は、個人として尊重される」と規定しています。「個人の尊重」を根本価値とする人権ですが、絶対に制限されないわけではありません。このことを憲法は「公共の福祉」という言葉を使って表しました。12条には「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」とあります。「公共の福祉」とは、「社会のの秩序や平穏という公共的な価値のために、個人はわがままを言ってはいけない」とか「多数の人の利益になるときには、少数の人は我慢すべきだ」というように、「社会公共の利益」で個人の人権を制限できるということを意味しません。それでは、「個人が最高だ」とする個人の尊重の理念に反してしまいます。個人が最高の価値であるなら、その個人の人権を制限できるものは、別の個人の人権でなければなりません。つまり個人の人権を制限する根拠は、別の個人の人権保障にあります。
 社会生活の中では、ときに、「ある人の表現の自由vs別の人の名誉権やプライバシー権」のように、人権と人権は衝突します。そしてその衝突の場面においては相手の人権をも保障しなければなりませんから、自分の人権はその限りで一定の制約を受けることになります。すべての人の人権がバランスよく保障されるように、人権と人権の衝突を調整することを、憲法は「公共の福祉」と呼んだのです。決して「公益及び公の秩序」とか、「多数のために個人が犠牲になること」を意味するものでもありません。
 「自由及び権利は、公益及び公の秩序に反してはならない」と言ってしまえば、明らかに個人の価値は「公」の下だということになります。「公益及び公の秩序」とは、憲法の基本的価値である個人の尊重を、「公」という曖昧でかつ権力者による恣意的な解釈が可能なものによって、低位に置こうとするものであると言わなければなりません。(法学館憲法研究所所長・伊藤真氏の解説を要約)

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自民党の憲法改正草案の問題点@

 自民党は4月27日、新たな憲法改正草案を発表しました。  9条を「戦争放棄」から「安全保障」に変えて、「自衛」戦争を容認し、「国防軍」という名の軍隊の保持を明文化しています。また、「公益及び公の秩序」を守るためには国民の自由や権利が制約されることを盛り込んだ、人権より秩序優先の極めて問題の大きい改憲案です。
 早稲田大学教授・水島朝穂氏は、ホームページで、その問題点を解説されています。また、日本体育大学准教授・清水雅彦氏の解説「自民党『日本国憲法改正草案』の内容と問題点」での指摘も含めて、それらを分りやすいように一覧表にまとめて、2回に分けてご紹介します。今回はその1回目です。

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(2012年6月13日入力)
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