「九条の会・わかやま」 201号を発行(2012年9月24日付)

 201号が9月24日付で発行されました。1面は、県民大署名 9・9和歌山全県統一署名行動実施、会紙200号発行に寄せて 当会呼びかけ人・副島昭一さん(和歌山大学名誉教授・前和歌山県立図書館長)、会紙「九条の会・わかやま」200号発行を祝して 金原徹雄さん(弁護士)、九条噺、2面は、警戒! 憲法改正賛成65%   です。

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[本文から]

県民大署名
9・9和歌山全県統一署名行動実施

 9月9日、和歌山県内の「九条の会」などは全県署名統一行動に取り組みました。
 和歌山県全体では、伊都地方・実施地域3カ所・参加者24人・署名筆数164筆、那賀地方・5カ所・44人・380筆、和歌山市・10カ所・97人・416筆、海草地方・1カ所・16人・42筆、日高地方・4カ所・44人・184筆、西牟婁地方・1カ所・22人・169筆、東牟婁地方・1カ所・5人で、県合計では25カ所・252人・1355筆という結果でした。
 和歌山市では、楠見、和歌浦・名草、四箇郷、雑賀、山口、広瀬、ひがし、貴志、有功・直川の9地域とJR和歌山駅前の10カ所で、和歌山市9条センター作成のチラシなどを活用しながら署名活動が行われました。

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 楠見地域
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 「憲法9条を守る署名を進める楠見の会」が高校の先生などの応援も得て、第26回地域署名活動として取り組み、参加者10名で122軒を訪問、74軒と対話し、44筆を集めることができました。「20代~30代の比較的若い人が署名に協力してくれた」「インターフォンで『またにして』も多いが、ドアを開けてくれたら、署名に応じる人が多い」などの感想が出されました。今回で参加者累計は285名、訪問累計は3474軒、対話累計は1804軒、署名累計は1549筆となっています。
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 貴志地域
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 今まで署名活動が出来ていなかったが、今月から、毎月9の日に街頭に出て宣伝・署名活動をすることを決め、ショッピングセンター前で、12時半から約1時間、宣伝・署名活動が行われました。参加者8名で、(裏面①に続く)(表面①より続く)「オスプレイの配備撤回せよ」のチラシ80枚を撒きながら署名を訴えました。(松田長敬さんより)
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 雑賀地域
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 午前10時、高校の先生ら8人の応援を得て13人が高津公園に集合。残暑厳しい中、公園の木陰で打ち合わせをした後、6組に別れて行動。事前にチラシを撒いていたこともあり、快く署名に応じてくれるお家がある一方、領土問題などが影響して「日本が馬鹿にされている」と言って署名を断るお家も。汗だくになりながら地図を頼りに一軒一軒訪ね、1時間30分ほどで39筆が集まりました。(坂本文博さんより)
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 那賀地方
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 5カ所で第5回一斉署名行動が行われ、44人が参加し、375筆が集まりました。岩出・粉河・打田・桃山・貴志川地域では、前もって宣伝チラシや署名用紙などが配布されており、当日は各戸を訪問して署名をお願いしました。チラシを読んでくれている家庭では、「ご苦労さんです」と、すぐに署名をしてくれる人や、すでに家族分を書いてくれている家庭も多くありました。しかし、「よく分からない」「どんな団体?」「忙しい」と言って断られる家庭もありました。蒸し暑い日でしたが、憲法の大切さや平和について自分自身で再確認出来た行動日でした。(部家司好さんより)
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 みなべ町
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 10時から11名が署名活動を行いました。天気予報では「雨時々曇り」でしたが、実際は「晴れ時々曇り」の最高の署名日和になりました。訪問した家のほとんどがハウスで梅を干していました。その香りがあたり一面に漂っていました。「ご苦労さんやのぅ」の一言で疲れも吹っ飛び、約1時間で62筆の署名を集めることができました。(川村誠治さんより)
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 美浜町
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 32人が参加し、町内2巡目の署名活動をしました。前回留守だった所へ9時30分から行動開始。宣伝カーの街宣活動でムードを盛り上げて活動。拒否する家も少数あり、「分からない」「子供に聞かないと」という家もありましたが、すでに「9条の会・美浜」は農協の農業まつりで署名コーナーを設け、市民権を得ていて、有権者過半数の83%まで達していることなど訴えると、快く署名に応じてくれた人も多く、家族全員に書いてもらったところもありました。
 煙樹ヶ浜水際地雷敷設訓練が始まっている地元ということもあって、1時間余りの行動で122筆の署名を集めることができました。累計は町民の有権者過半数まで87%の2907筆。あと417筆を残すのみとなりました。(大谷眞さんより)

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会紙200号発行に寄せて
当会呼びかけ人・副島昭一さん(和歌山大学名誉教授・前和歌山県立図書館長)

 200号まで来ましたか。編集担当者の方本当にご苦労さまです。
 少し前の北朝鮮のミサイル発射に際して行われた地対空ミサイルの設置訓練や最近の領土問題をめぐる日中、日韓の関係の緊張を契機に、軍備の必要性を主張する声が日本国内に出てきています。とくに領土問題は偏狭なナショナリズムを容易に惹き起す要因になります。しかし軍事力の行使は領土問題の解決をますます遠ざけてしまうだけで、結局犠牲になるのは国民です。九条の精神で国際世論に訴え、相手国とねばり強く話し合っていくしか解決の方法はないでしょう。九条と九条の会の役割はますます大きくなっていると思います。

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会紙「九条の会・わかやま」200号発行を祝して
金原徹雄さん(弁護士)

 会紙「九条の会・わかやま」が200号に到達されたにあたり、心からのお祝いとお礼を申しあげます。2004年の「九条の会」アピールに応え、その後多くの9条の会が結成されました。もちろん、今も活発な活動を続けている会もそれなりにありますが、事実上の開店休業状態を余儀なくされているところも散見します。ことほど左様に「継続」は難しいと言わざるを得ません。
 そのような中、「九条の会・わかやま」は、結成以来現在まで、ホームページの定期的な更新と会紙「九条の会・わかやま」の発行をたゆまず継続しておられます。ホームページ「県内の取り組み」コーナーは、県下の9条を守る活動の予定と軌跡が一目で分かるかけがえのない情報源ですし、ほぼ旬刊で発行される会紙は、県内で開催された主要な講演の内容を詳細に紹介したり、9条をめぐる全国的に見逃せない動向を掘り下げて伝えてくださっています(毎回ピリッと小味の効いた「九条噺」も楽しみです)。
 私は、かねてから「九条の会・わかやま」には、和歌山における9条を守る運動の「情報センター」となっていただきたいと申しあげてきましたが、この7年間、期待以上の活動を続けて来られましたことに深甚なる敬意を表したいと思います。
 今年4月、自民党が7年ぶりに新しい「日本国憲法改正草案」を発表しましたが、2005年草案よりも一層反動的となり、あからさまに「立憲主義」を否定する内容となっています。また、集団的自衛権を容認する同党の「国家安全保障基本法案」も早晩国会に提出される見通しであるなど、憲法を取り巻く情勢は緊迫の度を増しています。このような動きに対し、憲法9条を守る運動の再構築が緊急の課題となっている今日、「九条の会・わかやま」の存在は、ますます重要となっています。
 会紙200号達成を機に、いよいよ活発に活動を継続されますようお祈りします。

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【九条噺】

 今年6月、ニコンは、「新宿ニコンサロン」で開催予定だった日本軍「慰安婦」をテーマとする写真展の中止を発表した。主催者の写真家・安世鴻(アン・セホン)氏(名古屋市在住)も無視したもので、当然安氏は納得せず、裁判で争われることに。その結果、東京地裁が「ニコンは契約に基づき会場は貸さなければならない」と仮処分決定を下して予定通り開催されたのだった。ニコンが突如中止したのは、右翼団体の街宣にとどまらず、〝脅迫電話〟が殺到、ネット上も「売国行為」といった非難が飛び交う異常な事態にみまわれたからだ▼また、作家・高橋源一郎氏は「報道ステーション」で、「尖閣諸島に香港の活動家が上陸」というニュースへのコメントを求められ、「そんなことより『領土』という国家が持ち出した問題のために、もっと大切な事柄が放っておかれることの方が心配だ」と発言した。彼が帰宅すると、「ツイッターのアカウントに数え切れないほどの返事が届き、そこには『非国民』『国賊』『反日』『死刑だ』『お前も家族も皆殺ししてやる』といった罵倒のことばが踊っていた」(朝日新聞)という▼ことほど左様に、近年はネット空間の言論も含めて、異なる考えを認めず、過激な批判を浴びせて萎縮させようとする動きがさかんだ。思うに、日本の過去の誤りを指摘することを「自虐史観」だと否定する「靖国派」の主張と軌を一にする。「臭い物にフタ」をして果たしてどんな「真実」が見えるやら。(佐)

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警戒! 憲法改正賛成65%

 9月15日の毎日新聞は、憲法世論調査結果を発表し、「憲法改正『賛成』は65%、09年9月に比べ7ポイント上昇し、過去最高となった。『反対』は27%で、5ポイント減」「改憲の賛成理由を5者択一で聞いたところ、『時代に合っていない』が60%で最多。次いで『制定以来、一度も改正されていない』(17%)。反対理由は『改正するほどの積極的理由がない』(35%)『9条改正につながる恐れがある』(28%)だった」と報じています。  「賛成」理由は「時代に合っていない」が圧倒的。どこがどのように時代に合っていないのかが不明ですが、期待をことごとく裏切った民主党政権、そして大都市圏を中心に急速に進行する貧困化、日中・日韓の領土問題などに対する鬱積した閉塞感が「時代に合っていない」という気持ちにさせ、「改憲」への流れを作っているのではないかと推測します。それは、首相公選制「賛成」63%、「反対」32%にも現れているのではないかと思われます。
 9条改正については、「必要」56%(「不要」37%)となっていますが、どこを変えるかでは、「1項のみ」8%、「2項のみ」23%、「1、2項とも」20%、「新たな条項付加」46%です。これまた、どんな条項を付加するのかがよく分かりませんが、北東アジアでの緊張問題に何らかの対応が必要だとの思いからではと推測しますが、これが「武力による解決」に向かわないように注意する必要があります。
 「集団的自衛権」行使については、「否認」51%、「容認」43%で、「否認」が多くなっていますが、「容認」が01年調査より18ポイントも伸びていることも要注意です。

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(2012年9月24日入力)
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