日本の新聞は「第3極」などと訳の分らないことを書いているが、ヨーロッパ系の新聞は「維新は極右団体」と書いている。我々の若い時代は「若者は左翼」が当り前だったが、今は「右翼か左翼か」と言っても分らない世代になり、「右翼・左翼」の区別がなくなり、代りに「保守か革新か」が識別の基準になった。ところが今や「保守・革新」という言葉すら見かけなくなった。これが、橋下一派の躍進を若者が評価してしまう、判断の誤りを起す、自分の意見通りに投票しないで、逆に票が流れる、という恐ろしい問題を起した。
安倍政権は磐石ではない。危険なのはその脇を固める維新やみんなだ。彼らは改憲の先頭に立ち、安倍首相より過激なことを言っている。安倍首相は参院選まで持ちこたえて、参院選をクリアすれば、維新やみんなを引き連れて憲法改正もやりたい放題何でも出来る。この構造が衆院選の結果生まれて日本の新しい起点を作るにいたった。
現在「アベノミクス」がブームになりつつあるが、あれは参院選まで安倍政権が何とか無事に乗り切るための方便だ。参院選まで景気を見せ掛けでもいいから維持したいということだ。今一つは、これをやっておかないと今年秋に消費税引き上げをやるかどうかの判断が必要で、引き上げないということになれば大きな失点だ。見せ掛けでも株価を引き上げ、物価が上がるという形にしておかないと、参院選を乗り切り、消費税を引き上げることはできない…。だから、苦し紛れに「アベノミクス」は出されている。3本の矢はデフレ不況を射止めることはできるのか。
1本目の矢(金融緩和政策)は途中で落ちてしまう。通貨量を増やしても、市中に出て行くかは景気が決めるのであって、日銀が景気をよくしたり、物価を上げたりは出来ない。
2本目の矢(公共事業のバラマキ)は的には行くが、的に当たって落ちてしまう。関連企業で潤うところはあるが、国民の所得増にはならない。現在の不況の最大要因は国民の所得が落ち込み、消費に回らないというところにある。
3本目の矢(国際競争力強化戦略)は最初から的外れだ。企業が国際競争力を強めるとますます海外に出て行き、国内の雇用は伸びない。だから、これは見せ掛けだが、踊らされている間に参院選が来れば、これで行けるとやっている。この欺瞞性をしっかり認識し、これでは国民の生活はよくならず、不況は打開できないことを明確にしておく必要がある。
もうひとつは自民・民主の支持率が伸びないので、参院選が行われたら、共産・社民は全体として伸びる条件がある。維新の支持率は下がっている。あまりにも橋下のやり方が酷過ぎるからだ。民主からの票が維新に流れる可能性はあるので、流さないことが大事だ。消費税・原発・TPPなどの今の世論の趨勢を高めていくと、革新勢力は参院選で伸びるだろう。これはこの4年間を考えると極めて重要だ。維新やみんなに流れないようにすることがポイントだ。流れてしまうと衆院選と同じ結果に至ってしまい兼ねない。そのためには、特に関西では橋下をともかく押さえ込まないとダメだ。私は、先の衆院選の状況は、大阪府・市民は正気の沙汰ではないと思う。桜宮高校の体罰問題を始め、橋下のやっていることは無茶苦茶だ。
何故こんなに異常なのか。原因は日本の若者層を襲う貧困だ。何故若い世代がある程度正常に判断できなくなってしまったのか。昔の若者も貧困だったが、貧困の質が違う。現在の貧困は20代から30代前半の雇用が崩れたことだ。雇用が崩れてしまうと自分の人生・生活をかけた仕事が見つからない。自分の仕事の見通しが全く立たない。大阪の若者の半分以上が非正規労働者だ。半分もが雇用が不安定で先行きの見通しがなくなると、まともに考えられなくなる。高校生も大学生も雇用・就職問題に振り回されて、通常のものごとの判断ができなくなる。これはかつて日本の若者が経験しなかったことだ。昔の若者は賃金は安くても働きながらものごとを考える、働く者の目から世の中を判断するという、極めて正常な判断が働いていた。これが崩れるという事態になると、我々の想像を超える意識の貧困を作り出すことになる。貧困を防止するための政策を打ちながら同時に、革新化する日本の高齢者が若者の保守化を食い止めるために、若者の奮起を促し、指導することを、これからの4年間に期待したい。(おわり)
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【九条噺】
札幌市の上田文雄市長は4月の定例記者会見で、札幌市内の朝鮮初中高級学校に対する補助を今年度もおこなうことについて、「北朝鮮のこと(拉致問題や核実験等)は承知しているが、この予算は札幌で学ぶ子どもたちのためであり、政治の世界とは分けて考えるべきだ」と答弁、さらに「札幌で学んだこの子どもたちが、世界で、日朝友好関係を築いていく人格者になってほしいと願う」とした。首長として見識のある明快な答弁だと思う。今、こんな答弁が輝くのは、他方でかなりヤバイ動きも広がりつつあるからだ▼2010年、大阪府が朝鮮高級学校を高校無償化の対象外にするとともに、すべての朝鮮学校に対する補助金を凍結したことは既に当コラムでも紹介した。以来同様の動きは朝鮮学校のある27都道府県のうち8都府県にまで広がった。東京の町田市教育委員会は小学校新入生への防犯ブザーの配布を朝鮮学校だけ除いて実施した(後日配布)。肝心の子どもたちを見ないような〝灰色の教育行政〟はこわい▼学校法人・大阪朝鮮学園は約1600名の子どもたちが通う朝鮮学校10校を運営し、各校とも近隣の小中学校と親しく交流も続けている。しかし、府の補助金削減は学校現場を直撃し、教師は給与遅配や大幅ダウンで生活苦に陥り、保護者負担も中学生で毎月約20000円という▼「日本は民族教育の権利を保障していない」という国際機関の批判を誠実に受け止め、至急改めるべきだと思う。(佐)
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死の直前まで日本国憲法を守るために
3月30日「ベアテさんを偲ぶ会」で、ベアテ・シロタ・ゴードンさんの娘さん・ニコルさんがスピーチされました。4月10日付の「九条の会」メールマガジンより抜粋してご紹介します。
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