「九条の会・わかやま」 226号を発行(2013年9月1日付)

 226号が9月1日付で発行されました。1面は、9条署名有権者過半数を達成 「9条の会・美浜」、活動を交流し,学びあい,励ましあって,さらに発展を!第2回和歌山県「9条の会」交流集会、集団的自衛権行使容認「非常に難しい」前内閣法制局長官・山本庸幸氏、九条噺、2面は、集団的自衛権の憲法解釈「変更」反対59%、集団的自衛権行使 全面解禁提言へ 安保法制懇・北岡氏、公明 集団的自衛権容認重ねて反対  です。

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[本文から]

9条署名有権者過半数を達成
「9条の会・美浜」


 8月11日、「9条の会・美浜」は9条署名の活動を行い、美浜町の有権者の過半数を超過達成しました。
 13年6月1日現在の美浜町有権者数は6583人で、その過半数3292人に残すところ57人となっていました。午前9時30分に集合。約7年間、町内を3巡して最後になると思われる会独自の署名統一行動でした。快晴猛暑で、汗がわき出る気温32度の中、会員15人が2人1組の8班編成で、各班5筆を目標に約1時間の行動をしました。訪問した中には「憲法改正は必要だ」とか拒否する人もありましたが、趣旨に賛同して署名に協力してくれた人が65筆。この日まで個人で集めた署名30筆。計95筆の成果となり、累計3330筆で、38筆の超過達成となりました。
 「1人が『憲法9条を守ろう』と叫んでもダメ、団結した会員の熱意が大きな力になる」というのが活動からの教訓です。(事務局長の大谷眞さんより)

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活動を交流し、学びあい、励ましあって、さらに発展を!
第2回和歌山県「9条の会」交流集会

2013年9月8日(日)
開場13:00 13:30~16:30
プラザホープ4F(和歌山市)
●講演
  講師:小沢隆一氏(東京慈恵会医科大学教授)
  演題:参院選後の憲法~情勢と私たちの課題~
●各「9条の会」の発言・交流
●各「9条の会」の展示・掲示
主催:和歌山県「9条の会」交流集会運営委員会

 憲法9条を守るという一点で一致して活動する県下の「9条の会」が集まり、お互いに活動を交流し、学びあい、励ましあって、さらなる発展を期する場です。
 当日は小沢隆一氏の講演に引続き、各「9条の会」の代表から会の活動についての報告があります(各7分程度)。会場内では、会の活動内容や会報、作品などの展示・掲示も行われる予定です。

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集団的自衛権行使容認「非常に難しい」
前内閣法制局長官・山本庸幸氏

 前内閣法制局長官の山本庸幸氏が8月20日、最高裁判事への就任会見で、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認について、「私自身は非常に難しいと思っている」と語っています。その内容を朝日新聞から紹介します。
Q 憲法9条の解釈変更による集団的自衛権の行使容認について、どう考えるか
A 前職のことだけに私としては意見がありまして、集団的自衛権というのはなかなか難しいと思っている。というのは、現行の憲法9条のもとで、9条はすべての武力行使、あるいはそのための実力の装備、戦力は禁止しているように見える。しかし、さすがに我が国自身が武力攻撃を受けた場合は、憲法前文で平和的生存権を確認されているし、13条で生命、自由、幸福追求権を最大限尊重せよと書いてあるわけだから、我が国自身に対する武力攻撃に対して、ほかに手段がない限り、必要最小限度でこれに反撃をする、そのための実力装備を持つことは許されるだろうということで、自衛隊の存立根拠を法律的につけて、過去半世紀ぐらい、その議論でずっと来た。
 従って、国会を通じて、我が国が攻撃された場合に限って、これに対して反撃を許されるとなってきた。だから、集団的自衛権というのは、我が国が攻撃されていないのに、たとえば、密接に関係があるほかの国が他の国から攻撃されたときに、これに対してともに戦うことが正当化される権利であるから、そもそも我が国が攻撃されていないというのが前提になっているので、これについては、なかなか従来の解釈では私は難しいと思っている。
Q 憲法の条文が変わっていないのに、解釈を変更して対応することは可能か
A 一般に法解釈論だが、9条は非常にクリアカットに武力行使はいけないと書いてある。それについて、例外的に我が国自身が攻撃されたときは、前文と13条の趣旨からして反撃が許されると解釈してきた。私はそれが法規範だと思ってきた。法規範そのものは変わっていないわけだ。その範囲内で、それと同様の説明がまたできるのかが一つの考え方だと思っている。その可能性は決して否定するものではないが、私自身は、国会で何回も説明されたこともあり、説明してきたこともあり、非常に私自身は難しいと思っている。
Q ご自身の考えとしては、基本的には難しいと
A そうですね。そういうふうに長い間、国会でも説明してきた。ただ、そこを新しい解釈を持って、新長官がどう内閣に対して、法律的な進言をするかということにもよると思う。それは論理的な考え方の工夫というのはあり得るとは思っているが、私自身がどうかといえば、なかなか難しいと思っている。
Q 集団的自衛権の解釈変更以外に、憲法を改正する方法もある
A それは国民の選択であって、何らかの法規範が現状に合わなくなったということであれば、その法規範を改正するということは、普通の法律では、私は長官として常時やってきたわけだから、そういうふうなことは一番クリアカットな解決ではある。クリアな解決だ。するかどうかは、国会と国民のご判断だ。
Q 解釈変更よりは憲法そのものを変えた方がはっきりしていると
A そうだと思う。なかなか難しいという非常に細い道をたどるよりは、憲法そのものを変えないとなかなかできないことだと思っている。ただ、いろいろ議論がある。集団的自衛権というのは、我が国が攻撃されていないのに、同盟国が攻撃されてそれを一緒に戦おうということ。それが完全にOKとなるなら、地球の裏側まで行って共に同盟国と戦うということになる。それが、現行の憲法9条のもとで許されるかどうかという議論になるが、それが一つの極端。もう一つの極端は、4類型といわれている、「併走する米艦をどうするか」「我が国を飛び越えてくる同盟国に向かうミサイルをどうするか」という話。これはかなり次元が違う話。4類型は比較的目の前を見た細かい話で、もし集団的自衛権を完全に認めるなら徹底的にいってしまう。だから、そこは私自身は、我が国自身が攻撃されたときという解釈を、アナロジーで何かそういう集団的自衛権的なものができると考えついたとしても、そこでやはりある程度の制約は9条上は必ずかかると思っている。もう一度言うが、私自身は完全な地球の裏側まで行くような集団的自衛権を実現するためには、憲法改正をした方が適切だろう、それしかないだろうと思っている。

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【九条噺】

 このところ、また日本軍「慰安婦」問題が何かと取り沙汰されている。韓国女性家族省によれば登録された元慰安婦237人のうち、今年7月現在で存命は58人で、最高齢97才、平均年齢87.2才となっている。93年の「河野洋平官房長官談話」は、16人の元慰安婦に対する詳細な聞き取り調査に基づくものだが、その証言者もすでに14人が亡くなっている▼この調査は日本政府がソウルで元慰安婦を名乗り出た16人から、それぞれ1人当たり2~3時間かけて聞き取ったもので、河野官房長官(当時)は、記者会見で「半世紀前の話で記憶違いもあるかもしれないが、いずれも被害者でなければ語りえない体験」と語っている▼慰安婦問題の核心は、日本軍が設置・管理した慰安所に女性を拘束し性行為を強制したことで、日本政府がその事実を認めて謝罪することに尽きる。元慰安婦らも、自分たちが軍の関与の下で言葉に尽くせぬ辛い体験をさせられたとして政府に謝罪を求めているのだ▼ところが安倍首相は「政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示す記述は見あたらなかった」と述べた。橋下徹大阪市長(維新の会共同代表)らの主張もほぼ同様だ。まるでわざと問題の核心をはずしたかのようだ▼「日本は過去を直視し、過去の痛みを癒してほしい」と朴槿恵大統領。〝わが宰相〟も何よりまず問題の核心をみつめてほしい。(佐)

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集団的自衛権の憲法解釈「変更」反対59%

 8月27日の朝日新聞は、「全国定例世論調査によると、憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにすることについて、賛成は27%で、反対の59%が大きく上回った。男性は賛成38%対反対54%だったが、女性は17%対64%と、反対が賛成の3倍以上にものぼった。安倍内閣の支持層(55%)でも37%対49%と反対の方が多く、不支持層(27%)では13%対81%と反対が圧倒的だった。自民支持層(38%)でも37%対48%と反対が多数で、無党派層(45%)では21%対63%だった」と報じています。

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集団的自衛権行使、全面解禁提言へ
安保法制懇・北岡氏


 8月10日の朝日新聞は、「安倍首相の私的諮問機関『安保法制懇』の北岡伸一座長代理が、集団的自衛権の全面解禁を提言する意向を明らかにした。自衛隊の活動は自衛隊法を改正して定めるべきだとの考えも示した。安保法制懇は08年に集団的自衛権行使を認め、4類型への対応を求める提言をした。北岡氏は『情勢が前より切迫している』とし、今回は4類型に限らない考えを示し、集団的自衛権は『日本が行使することを許される必要最小限度の自衛力に入る。法理的な禁止を全面的に解く』と明言し、また、政府はこれまで集団的自衛権を行使できない理由に自衛権行使の要件『我が国に対する急迫不正の侵害がある』を満たさないことをあげてきたが、北岡氏は個別的自衛権の行使も『やや不十分なところがある』と見直しの可能性に言及。『専守防衛が即、攻撃ゼロという意味ではない』とも語り、自衛のための攻撃も検討課題に挙げた」と報じました。
 北岡氏は安倍首相の意向に沿って集団的自衛権行使に突き進む露骨な姿勢を示しています。

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公明、集団的自衛権容認重ねて反対

 8月21日の東京新聞は、「公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は20日夜のBS番組で、憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認について『本当に必要なら、憲法改正の議論をすることの方が筋ではないか。憲法解釈上、認めるのは論理的にかなり無理がある』と、反対する考えを示した。集団的自衛権については『海外で外国軍と軍事行動する権利だ』と指摘。『平和国家として生きていくと宣言してきた日本の生き方を根本から変える』と強調した」と報じました。

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(2013年9月3日入力)
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