「九条の会・わかやま」 227号を発行(2013年9月14日付)

 227号が9月14日付で発行されました。1面は、第2回和歌山県「9条の会」交流集会開催 200人が集い,学び,励ましあう、憲法9条を日本から世界に発信しよう!9条世界会議・関西2013、9条国際会議、九条噺、2面は、追悼 品川正治さん  です。

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第2回和歌山県「9条の会」交流集会開催
200人が集い、学び、励ましあう

 9月8日(日)午後1時30分から4時30分までプラザホープ(和歌山市)で「第2回和歌山県『9条の会』交流集会」が開かれ、県下各地から200名の「9条の会」会員や一般参加者が集い、東京慈恵会医科大学教授(憲法学)で「九条の会」事務局員の小沢隆一さんの講演と8つの会からの発表に熱心に聞き入りました。
 まず開会宣言に続き、「和歌山うたごえ九条の会」が9条の条文に力強い曲を付けた『日本国憲法第九条』と、憲法を熱心に教えてくれた先生の思い出『あの日の授業』を心にしみる歌声で披露しました。

 次に開会挨拶で元和歌山弁護士会会長の月山桂さん(当会呼びかけ人)は、冒頭に護憲派財界人・品川正治さんの逝去を悼み、07年6月のプラザホープでの品川氏講演会を偲びつつ「戦争をしない」遺志を引き継ごうと訴えられました。そして交流集会参加者への歓迎の言葉と講師への感謝を述べられ、自民党改憲草案のような上からの目でなく、個人の目、一人の兵士や家族の目で戦争とは何かを考えて行くことが大切だと話されました。

 登壇された小沢隆一さんは「参院選後の憲法~情勢と私たちの課題~」と題して約90分にわたり話されました。(講演要旨は次号以降に掲載予定です)

 まず、日本国憲法制定以来、憲法の「最大の危機」が迫っている今、私たちがすべきことは、憲法を学び、活かし、守ることだと前置きされ、改憲勢力の論理や改憲反対勢力との対決点について、ここ数年の動きも含めて分かりやすく解明されました。
 自民党改憲草案は、①復古的反動的な国家を目指す②新自由主義の推進③軍事大国化の3つが主要な問題点であり、9条改憲の実現に向けた手法は、「明文改憲」「解釈改憲」「立法改憲」といろいろある。「明文改憲」は集団的自衛権発動、国防軍保持で海外にも出て行く軍隊(軍法会議も設置)を作る。「解釈改憲」は現憲法下でも集団的自衛権を行使できるようにする。「立法改憲」は法律を制定し、改憲したのと同じ事実を作る。「国家安全保障基本法案」「日本版NSCの設置法案」「自衛隊法改正法案」「秘密保全法案」など。自民党は9条改憲を本命としながらもしつこく既成事実作りを狙っている。しかし幅広い国民に「9条改憲NO!」の声がある。東アジアの平和構築のため、9条をもっている信頼感こそが役立つ。最後に今朝報じられた2020年の東京オリンピックを、9条をもつ平和な日本として迎えようと締めくくられました。
 第2部は、冒頭に「9条世界会議・関西2013」実行委員会の梅田章二さんから世界会議への参加のお誘いがあり、8つの会の発表に移りました。
 ①「はしもと9条の会」(富岡嬉子さん)は、「憲法9条を守る伊都・橋本連絡会」の活動から、「憲法をめぐる情勢」講演会、映画「渡されたバトン…さよなら原発」上映、第5回9条まつり、署名統一行動など多彩で創意的に続けている活動を報告されました。

 ②「和歌山うたごえ九条の会」(中北幸次さん)は、9条世界会議が縁で結成。多数の会員が、花見、総会、歌う会をはじめ、さまざまなイベントで、「歌える自由を未来まで」と、平和の歌を通して集い、外に発信している多彩な活動を報告されました。

 ③「守ろう9条 紀の川 市民の会」(原通範さん)は、発足以来継続してきた活動を振り返り、署名活動、毎年の憲法フェスタと総会で行った主な講演を紹介。フェスタと総会を節目に会員が増えている、地域で連携する九条の会が増える見込み、フェスタの写真などを発表されました。

 ④「和歌山大学憲法9条の会」(越野章史さん)は、大学教員と学生が参加する『憲法9条の戦後史』読書会の活動を報告されました。学生は色々なことを知らされていない。湾岸戦争以後の生まれになっている彼らに読書会を通して知らせることは大切だと述べられました。

 ⑤「9条の会・美浜」(大谷眞さん)は、有権者過半数署名達成について報告されました。美浜町の有権者6583人(6月1日現在)の過半数3292人にあと57となっていたところに、8月11日の署名活動で65筆、ついに達成と述べると会場から大きな拍手がわきました。個人で集めた30筆を合わせて累計3330筆で38筆の超過達成。約7年間に町内を3巡した緻密で粘り強い活動の成果を発表されました。

 ⑥「楠見子連れ9条の会」(馬場潔子さん)は、子育て世代のお母さんたちが、ジャーナリスト・西谷文和さんのイラク戦争のDVDをきっかけに「無関心はいけない」と子連れで熱心に語り合い学習し始めた活動を発表。子育て世代、子ども世代に9条を広げることが重要なので、相談されたら出かけると話されました。

 ⑦「輝け9条!芳養の会」(前田一彦さん)は、今年も8月23~25日に開催された「紀南ピースフェスタ」の報告をされました。芳養、田辺、白浜、上富田、龍神など多くの「9条の会」があるが、単独では困難でも、ネットワークでは大きなことができる。「紀南ピースフェスタ」は講演、上映、アート、カフェなど多彩な企画が多くの会や個人の協力で実現していると述べられました。

 ⑧「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」(金原徹雄さん)は、今年の活動にしぼって発表されました。4月28日政府の主権回復記念式典への新聞意見広告、5月3日和歌山放送特別番組「憲法を考える」提供と、JR和歌山駅前での県民署名行動とその後の和歌山城までのアピール行進実施、8月3日紀州踊りに「九条連」で参加したこと。さらに「新リレートーク」や会員弁護士の無料講師派遣についても話されました。

 以上8つの、各地域や分野での特色ある活動の発表で全てのプログラムが終わり、参加人数報告と場内カンパの報告が行われ、散会しました。  当会の呼びかけに応えて運営委員会に参加された会のみなさん、当日ご参加のみなさん、月山桂さん、小沢隆一さん、そして活動を発表していただいた8つの会に深く感謝いたします。

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憲法9条を日本から世界に発信しよう!
9条世界会議・関西2013



10月14日(月・祝)
10:00~16:30
大阪市中央体育館
 メイン集会、ワークショップ、子ども向けプログラム、ブース出店

9条国際会議



10月13日(日)
全体会10:00~12:30
分科会13:30~16:30
関西大学千里山キャンパス 第1学舎
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【九条噺】

 サザン・オールスターズのボーカル&リーダー桑田佳祐。日本のミュージック界をリードしてきたトップスターの一人だ。その彼がしばらくの休養期間を経て発表した曲が「ピースとハイライト」〔♪何気なく観たニュースでお隣の人が怒ってた/今までどんなに対話(はな)してもそれぞれの主張は変わらない/教科書は現代史をやる前に時間切れ/そこが一番知りたいのに何でそうなっちゃうの?/希望の苗を植えていこうよ/地上に愛を育てようよ/未来に平和の花咲くまでは…憂鬱(Blue)/絵空事かな?お伽噺かな?互いの幸せ願うなど/歴史を照らし合わせて助け合えたらいいじゃない/硬い拳を振り上げても心開かない/都合のいい大義名分(かいしゃく)で争いをしかけて/裸の王様が牛耳る世は…狂気(Insane)/20世紀で懲りたはずでしょう?♪(以下略)〕まさに現在の東アジア情勢を歌い、歴史もきちんとみつめて、対話を積み重ねていこうと訴えている▼沖縄のネーネーズが歌う「平和の琉歌」も桑田佳祐の作詞作曲による。〔この国が平和だと誰が決めたの?人の涙も乾かぬうちに/アメリカの傘の下 夢も見ました 民を見棄てた戦争の果てに/蒼いお月様が泣いております 忘れられないこともあります/愛を植えましょうこの島へ 傷の癒えない人々へ 語り継がれてゆくように(以下略)〕▼今桑田へのバッシングも半端ではないと聞く。このトップスターの勇気を讃え励ましたいと思う。(佐)

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追悼 品川正治さん

 財界の護憲派として知られる経済同友会終身幹事の品川正治さんが8月29日、東京都内の病院で死去されました(89歳)。
 品川さんは1949年に日本火災海上保険に入社され、社長、会長を歴任されました。経済同友会では、副代表幹事を経て終身幹事。国際開発センター会長も務められました。
 旧制三高に入学後、召集され中国で終戦を迎えられ、その経験から憲法9条の堅持を主張し、武器輸出3原則の緩和にも反対。米国流の市場原理主義や「規制緩和」にも強く反対し、雇用を重視する日本型資本主義の必要性を訴えられました。
 07年6月2日には「九条の会・わかやま」と「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の共催で、品川正治さんをお招きし、プラザホープ(和歌山市)で憲法問題講演会を開催し、330人が参加しました。品川さんは「戦争・人間・憲法九条」と題して講演され、「戦争を起こすのも人間、それを許さないで止めようと努力するのも人間なのだ」「9条の旗はぼろぼろになったが、国民は戦争をしないという旗竿を離さなかった。支配政党はそれを今離せと言ってきている。まさに今、国民の出番が来ている。ぜひ運動を大きく進めてほしい」と強く訴えられたのが、今も心に響きます。
 品川正治さんに謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りしたいと思います。



(07年6月の憲法問題講演会)

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(2013年9月15日入力)
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