「九条の会・わかやま」 231号を発行(2013年11月16日付)

 231号が16日付で発行されました。1面は、「第10回憲法フェスタ」開催「守ろう9条 紀の川 市民の会」、憲法9条の明文改憲を先取りする3法案 「国家安全保障基本法案」「日本版NSC設置法案」「特定秘密保護法案」、九条噺、2面は、「特定秘密保護法案」とは@   です。

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[本文から]

「第10回憲法フェスタ」開催
「守ろう9条 紀の川 市民の会」


 11月3日、和歌山市・河北コミュニティセンターで「守ろう9条 紀の川 市民の会」が「第10回憲法フェスタ」を100余人の参加で開催しました。

 午前10時から、恒例となった「展示の部屋」では地域のみなさんの絵・書・絵手紙・手芸・着物リフォーム、陶芸などの作品が展示され、コーヒーやお菓子をいただきながらおしゃべりの花も開きました。隣の「映像の部屋」では、憲法の伝道師と言われる伊藤真さんのDVD「憲法ってなぁに? 憲法改正ってどういうこと?」が上映され、これも恒例の和室の「リサイクルひろば」では不要になった衣類などを持ち寄り、欲しい物を貰って帰るというやり方で、若いお母さんや子どもたちで賑わいました。

 午後1時30分からのメイン会場は「楠見子連れ9条の会」の「折り鶴」の歌でオープニング。原通範代表は、「安倍政権はすごい勢いで何をするのか分からない状態だが、私たちは今まさに本腰を入れて改憲反対の声を上げていかなければならない。憲法を学びそれを他の人たちに伝える活動を一段と力を込めてやっていかなければならない。この憲法フェスタを迎えるに当たり新たに20人ほどの会員が参加してくれている。この動きも大きくしていきたい」と挨拶されました。

二度とあの時代に戻してはならない

 続いて戦争体験を話された堀井雅文さんは、「小学校時代は全て戦争中だった。朝の集会には必ず宮城遥拝があり、毎月8日は全校生徒が神社に必勝祈願に行った。6年生頃は空襲が激しくなり、みんな防空頭巾を被って学校に行った。学校も軍隊式になり、並んで登校・下校し、奉安殿に最敬礼をさせられた。修学旅行は中止になり、卒業式では「蛍の光」は敵国イギリスの歌として歌えなかった。中学生になった7月9日、和歌山大空襲があった。B29から次々と焼夷弾が落され和歌山城や周辺の町は火の海になった。B29は燃えている上に何回も何回も焼夷弾を落としていった。市内で一番多く焼死者が出たのは汀公園で、四方八方が火で、突然起る火の竜巻に巻き上げられてたくさんの人が死んだ。748人もがここで亡くなった。空襲が終り、私が真っ先に考えたことは、奉安殿は無事かということだった。学校に駆けつけると、家を焼かれ、肉親を殺され、家族を捜し求める幾千幾万の人がいた。その人たちの痛みや嘆き、悲しみに思いを寄せることもなく、天皇の写真の安否が一番気になる12歳の軍国少年の姿がそこにあった。広島・長崎に原爆が落とされ8月15日に長く苦しかった戦争が終った。二度とあの時代に戻してはならない」と話されました。

 兵庫県の弁護士・羽柴修さんは「安倍政権は憲法をどう変えようとしているのか」と題して講演され、安倍首相は憲法9条の明文改憲ではなく、その先取りとして「国家安全保障基本法案」「日本版NSC設置法案」「特定秘密保護法案」の3法案の成立を狙っている。これを許せば、日本は戦前と同じような戦争をする国になってしまう。9条を守り、軍事力では物事は解決しないという国際紛争解決のシステムを作り上げることが今の最優先課題だと強調されました。(講演要旨は3回に分けて別に掲載します)
 メイン会場には「ヒロシマ・ナガサキ 原爆と人間」の写真パネル35枚も展示され、説明に熱心に耳を傾けられる姿も見受けられました。

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憲法9条の明文改憲を先取りする3法案
「国家安全保障基本法案」「日本版NSC設置法案」「特定秘密保護法案」


 11月3日の「第10回憲法フェスタ」で兵庫県弁護士9条の会代表呼びかけ人・羽柴修さんが「安倍政権は憲法をどう変えようとしているのか」と題して講演されました。その要旨を3回に分けてご紹介します。今回は1回目。



羽柴 修さん @

 安倍首相は憲法をどのように変えようとしているのか。憲法9条を明文で変えるのではなく、その先取りで、「国家安全保障基本法案」「日本版NSC設置法案」「特定秘密保護法案」の3点セットを今国会で審議し、強行しようとしている。「特定秘密保護法案」は早ければ、11月15日の衆院本会議で突破される可能性がある。戦前に猛威を振った治安維持法、軍機保護法と同じような「特定秘密保護法案」が成立すると大変なことになる。安倍首相は96条改正も言ってみたがダメなので、憲法9条を明文で変えず実質的に変えてしまうことを今国会と通常国会でやろうとしている。
 安倍首相は、「国家安全保障基本法案」「日本版NSC設置法案」「特定秘密保護法案」「自衛隊海外派兵恒久法案」、安保法制懇による憲法解釈の見直し、集団的自衛権の行使、内閣法制局長官の首の挿げ替え、南の島嶼防衛の新防衛計画大綱の新たな見直し、自衛隊の海兵隊化、日米防衛協力の指針の見直し、2+2の見直し、敵基地攻撃能力の保有、武器輸出3原則の見直し等々、たくさんあって数え切れないが、これだけのことをやろうとしている。現に実現しかかっているのが先ほどの3法案だ。
 「改憲草案」は第2章の「戦争放棄」を「安全保障」に変え、国防軍を保持して、自衛以外に国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動もやれるように変えようとしている。もっと酷いのは「公の秩序」を維持し国民の生命、自由を守るための活動も行うとしている。「改憲草案」のキーワードは「公の秩序」「公益」で、条文の中にふんだんに出てくる。つまり、国民の人権は「公益」「公の秩序」の中でしか保障されないということが、全ての条文の中に入っている。特に問題なのは表現の自由で、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、それを目的として結社をすることは認められない」と明記している。3法案は「改憲草案」の酷いところを全部先取りしようとしている。私たちは本番並みの取り組みが求められている。今後3年間は国政選挙がない。自民党はやろうと思えば何でもできる数を持っている。自公だけではなく、維新や「みんな」の改憲勢力もあり、この3年間は私たちにとって大変だ。まだ、3年あると思わないで、「今大変なんだ。やるのは今だ」が今日の話の結論だ。
 何が今行われようとしているのか。「国家安全保障基本法案」は大変なことがいっぱい書かれている。「日本版NSC」の事務をどの部局がどうするのかということが「NSC設置法案」だが、その大本を定める国防とか安全保障に関わる基本法を、憲法9条を無視して新たに作ろうというのが「国家安全保障基本法案」だ。例えば、第10条は国連憲章に定められた集団的自衛権も行使できる。行使する場合は以下の事項を順守することという条項だ。以下の事項とは「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した事態」では9条があっても集団的自衛権行使をする。行使で採った措置を直ちに国連安保理に報告する、他国に対する攻撃がわが国に対する攻撃と見なし得るに足る関係性があることなどが書かれている。9条があるにも拘らず基本法では集団的自衛権の行使が出来るということを法律で通してしまって、いろんな関係部局の整理をしようと安倍首相は考えている。それ以外にも第3条では、「安全保障が問題になった場合は、教育、科学技術、建設、運輸、通信その他の内政の各分野において安全保障上必要な配慮を払わなければならない」と明記されている。現実にそういった事態が生じた場合は、武器・弾薬・燃料の輸送、軍事通信などを最優先してやらなければならない、つまり国民の基本的人権は制限して、国や地方公共団体などの行政側に優先して取り扱えと明記している。第3項には特定秘密保護法のことも書かれていて、秘密が適切に保護されるよう法律上・制度上必要な措置を講ずると明記されている。基本法は明らかにされただけで本格的な審議は始まっていない。それに先駆けて「特定秘密保護法」が出てきた。NSCは先行して審議が始まった。(つづく)

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【九条噺】

 秋が深まると京都がしのばれ、うずうずしてくるのである。朝目覚めて、さて今日はどこを歩こうかと思案する。例えば今日は南禅寺から永観堂を経て哲学の道をそぞろ歩いてみる。桜の季節はさぞきれいだろうと思うが人波にも閉口しそうだ。銀閣寺手前で別の小路にはいれば、やがて前方に苔生した茅葺の山門が目に入る。小さいが、とても風情を感じる。くぐるときれいな砂盛があり、法然院に到着する▼山門の手前に法然院の墓地があり、その入り口付近に経済学者河上肇(1879・10〜1946・1)の墓地がある。「多度利津伎布理加弊里美礼者山川遠古依天波越而来都流毛野哉」(たどり着き、振り返りみれば山川を越えては越えて来つるもの哉)という河上肇自筆の歌碑も建っている▼河上肇といえば『貧乏物語』が有名だ。資本主義による産業振興の一方で新たな「貧困」問題も生じ次第に大きな社会問題となった。河上肇は、「はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る」という石川啄木の歌を引用してワーキンプアの問題を取り上げ、「格差社会」を是正し貧乏をなくすためには金持ちが奢侈をやめることだと訴えて、ベストセラー(1917年)になったが、批判も多かった▼河上は、批判に応え、『資本論』をはじめマルクス経済学を学び、理論を整備して社会改造を世に訴えた。批判に応えるためにあの『資本論』から読むという。河上肇とは、そういう学者なのである。(佐)

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「特定秘密保護法案」とは@

 「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」の4分野について、国が一方的に「特定秘密」に指定し、これを漏らしたり、漏らすことをそそのかしたりすると、懲役10年以下という厳罰を与える「特定秘密保護法」。対象者は、秘密を取り扱う公務員だけではありません。出入り業者や大学などの研究者も対象になります。取材・報道も罪に問われます。秘密を取り扱う人はプライバシーを調査されます。調査範囲は家族や友人にまで広がります。
 1999年にできた情報公開法は、国に都合の悪い情報でも市民・国民に公開し、主権者である国民が政府を監視することを目指しています。特定秘密保護法はこれに逆行するものです。国民は目隠しをされて、「政府の言うことだけを信用しろ」ということになってしまいます。
 戦前の日本では、軍機保護法、国防保安法によって真実が隠される中で「大本営」が発表するウソの情報を信じ込まされ、侵略戦争に駆り出され、多くの人命が失われました。「秘密は戦争の始まり」は歴史の教訓です。
■国が何でも秘密に指定
 「特定秘密」に指定するのは「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」の4つの分野です。国が勝手に指定するため、何が「秘密」か、それ自体が秘密なのです。
 「防衛」といっても既に自衛隊法などがあり、新しい法律を作らなければならない状況にはありません。「外交」といえば、経済、産業、金融、保険・衛生、環境など、安全保障とかかわりがあると解釈すればさまざまな情報が対象になってしまいます。今、TPP交渉の内容も秘密のままで進められてきたように、生活に関わる情報でも多くが「秘密」になってしまうでしょう。
■原発事故の情報も秘密に
 もっと恐ろしいのは、「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」の分野です。そもそも、既存の法律で対応している内容ですが、今回、特定秘密保護法に加えることで、拡大解釈によって秘密の対象を警察の活動全般に拡大する狙いがあります。原発の安全性や事故による放射線量、感染症や食品の安全、事故や災害などの情報が、「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」を理由に、秘密にされかねません。(つづく)
「Stop! 秘密保護法 共同行動」のリーフレットより転載

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(2013年11月16日入力)
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